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2012.01.11

「自殺者14年連続3万人超=昨年は3万513人―被災3県は減少・警察庁」←うつ病の基礎知識。

◆記事1:自殺者14年連続3万人超=昨年は3万513人―被災3県は減少・警察庁(時事通信 1月10日(火)19時31分配信)

昨年1年間の自殺者数(速報値)は、前年比3.7%減の3万513人と、

14年連続で3万人を超えたことが10日、警察庁のまとめで分かった。

東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県ではいずれも減少した。

同庁によると、男女別では男性が2万867人、女性が9646人。

月別では、5月が3367人と最多で、次いで6月が3029人。それ以外の月は2000人台だった。

都道府県別では、東京と滋賀を除く、東北、関東・甲信越、関西、中国各地方の全府県で減少したが、

愛知、愛媛、福岡、宮崎、沖縄など12都県で増加した。
減少幅が大きかったのは大阪(171人減の1899人)や北海道(95人減の1438人)など。

増加した中では、愛知(59人増の1630人)、福岡(51人増の1310人)、愛媛(28人増の369人)が目立った。


◆記事2:昨年の自殺者、14年間で最少…震災関連49人(読売新聞 1月10日(火)19時42分配信)

昨年1年間の全国の自殺者数(速報値)が3万513人だったことが10日、警察庁のまとめでわかった。

前年より1177人(3・7%)少なく、1998年から14年連続で3万人を超えたが、

同期間では最も少ない。

男女別では、男性が前年より1416人少ない2万867人だった一方、女性は239人多い9646人で、男性が68%を占めた。


◆10年以上も自殺者が10万人を超えるのは先進国で日本だけです。

減ったとはいうものの、14年間連続で毎年3万人以上が自殺する先進国は日本だけです。

自殺予防の一般論に関しては後述します。


時事通信の報道(記事1)によれば、被災地での自殺者数は減少したというし、

読売新聞(記事2)では、14年連続3万人超だが、最も少なかったとのこと。


それは、東京にいても、統計学的データがなくても、察しが付きました。

私が通勤に用いる東京を東西に走るJR東日本中央線は、新宿-立川間(厳密には東中野付近から立川まで)

長い直線が続く。それと関係があるのかどうか分かりませんが、東日本大震災までは、一週間に必ず何度か

人身事故、つまり飛び込み自殺があり、通勤時や帰宅時の電車のダイヤが乱れたのです。

しかし、私は311の後、すぐに気付いたのですが、人身事故がピタリとなくなりました。

首都圏の他のJR在来線や私鉄各線の運航情報を見ても、明らかに人身事故が減っていたのです。


私は戦争を知りませんが、私の親の世代は皆、戦時中のことを鮮明に記憶しています。

母から「戦時中、自殺者の話を聞いた覚えがない」という話を聞いたことがあります。

無論、厳密に調べれば、戦時中にも自殺者はいたでしょうが、非常に少なかったはずです。


東日本大震災の後に自殺が減ったのも戦争中と同じ原理だろう、と思います。

つまり、人間は、放っておいても死ぬかも知れないというときには、自ら命を絶たないのです。

ですから、誠に残念ですが、皮肉なことに、東日本大震災から2ヶ月を過ぎ、

世の中が平穏を取り戻しつつあるときに、再び、中央線での人身事故が増えました。


しかし、そうは言っても、自殺者を減らすために戦争を始める訳にはいきませんし、

大地震など無い方が良いに決まっています。

それでは、自殺者を減らすにはどうすればいいのでしょうか?

私は、かなりの自殺者と密接な関係がある、うつ病の知識を広く啓蒙するべきである

と考えます。


◆大抵の人は自分は関係無い、と思っていますが、貴方も自殺衝動の駆られる可能性があります。

朝の通勤時、夕方の帰宅時、ただでさえ電車が混んでいる時間帯に人身事故(=飛び込み自殺)があると、

確かに困ります。しばしば、そういうときに、Twitterなどに、

死ぬなら、人に迷惑をかけないで死ね、バカヤロー

とか、
飛び込み自殺は犯罪である。

などと、その日の夜、腹立ち紛れにブログを書く人が結構います。

気持は分からないでもありません。確かに朝会議があるのに、試験があるのに、電車が動かない。

これは迷惑ですけれども、とりあえず、貴方は生きていて、まだ色々なことができますが、

飛び込んで電車に轢かれて肉片になった人は何もできないし、遺族の方々のショックは、ものすごい筈です。

ちょっと我慢しましょうよ。思うのはいいですけど、文字にして「バカヤロー」は止めましょう。


というのも、貴方自身、絶対に自殺しない、とは限らないからです。

自殺者は、かなりの割合で抑うつ状態、或いは、完全なうつ病にあったと言われます。

そしてうつ病には、大きく分けて二種類あります。

仕事、勉強、試験が上手く行かない、大きな失敗をした。或いは、職場、学校での人間関係で

悩んでいる。家族のことで悩みを抱えているなど、とにかく「ウツ」になる原因と思われる事象が比較的明確な、

「外因性うつ病」と、特に何にも原因となるような出来事がないのに、急にある時から気分が滅入る

「内因性うつ病」です。内因性は、生来の性格が明るいとか楽天的な人ですら、罹ることがあります。

遺伝も関係が認められないのです。従って、貴方もある日突然、どうしようも無く憂鬱な日が続き、

メンタルクリニックの門をくぐったら、「うつ病です」と診断されるかもしれないのです。


一旦うつ病になったら、程度が軽くても、ほぼ絶対「希死念慮」(自殺願望)が芽生えます。

これは非常に危険な心的作用でして、突如、殆ど自分がアンコントローラブルになることすらあります。

抑うつ状態をもたらすのは、うつ病だけではありません。ひどいPTSDの人なども、ショッキングなシーンを

急に思い出す「フラッシュバック」が起きると、自分を制御するのが、大変だそうです。


あるPTSD体験者が書いておられましたが、電車のホームに出たら、勝手に身体が線路に向かわないように

できる限りベンチに座って、動かないように、両足を揃え、その上に手を置いて、飛び込みたい衝動に耐えるのだそうです。

PTSDは、ご承知の通り、ショッキングな事故や犯罪、災害を見た方が否応なしに陥る、精神科の治療対象となる疾患です。

どんな人でも、そうなる可能性はあるのです。


このように、自殺者は「バカ野郎」ではなく、病気の症状の一つとして、アッという間に実行に移して

しまうことがある。

繰り返しますが、貴方が生涯、絶対にそうならない、と断定する根拠は何処にもないのです。


PTSDは私は経験がありませんが、抑うつ状態を測るのは、何度も紹介していますが、
ベックのうつ病調査票という、簡単なものです。ウェブ上に沢山あります。

代表的なサイトをご紹介します。(内容は全て同じです)

抑うつ度チェック - ベックのうつ病調査表 (BDI テスト) - 元のうつ病闘病記

Beck Depression Inventory (ベックうつ病調査表)山王クリニック

☆アルファ☆の「うつ病」克服記

ベックのうつ病調査表

該当箇所をチェックすると、点数が計算され、「診断結果」が出ます。

注意すべきは、「昨日は憂鬱だったが、今日はスッキリしている」という方はうつ病や抑うつ神経症(本当は今は、「気分変調症」といいます)

では、ありません。それは、日常的な気分の「変動」で、気分が変動するのは、人間ですから当たり前です。

しかし、10日から2週間、ずーっと、憂鬱な場合が、ちょっと危ないです。それで、これはあくまでも私の経験的目安ですが、

ベックで20点以上だったら、メンタルクリニックに診て貰った方が良いです。


深刻に考えない。行ってみれば分かりますが、精神科という名前が如何にもよくないのですけれど、

「怖い」ところではないです。嬌声を発して暴れる人など、まず、滅多にお目にかかれない。

あれは、良くないですね。統合失調症の陽性症状が極端化した場合ですが、あんなの殆どいないです。

それどころか、統合失調症(以前は「精神分裂病」と言われていました)の患者さんでも陰性症状が主で、

一見すると、うつ病と区別が付かない患者さんも多い。

私は本当に悪くなったときに大学病院の精神科に入院しました。

あそこは「閉鎖病棟」になっています。

ここにも誤解があります。閉鎖病棟なのは、「キチガイが暴れて外に飛び出すから」だと

殆どの方は考えていることでしょうが、そうではないのです。

閉鎖病棟である理由は、患者を外界のストレスから遮断するということが目的なのです。

入院した患者に、精神科医やスタッフは滅多なことで、他人(それが会社の同僚でも)面会させません。

職場や学校に、発症の原因がある「外因性」の場合は特に、絶対患者に会わせません。

患者は「閉鎖」病棟によって、院外にいたら、避けられない、一般社会のストレスから

完全に「守られる」のです。それが、精神科が「閉鎖病棟」である、本来の趣旨です。

まあ、入院は極端です。普通はそこまでの必要は無い。うつ病であれば、初期に診断が付けば

通院で治るでしょう。

なお、「精神科」や「メンタルクリニック」に入る所を人に見られるのが嫌なので、

「心療内科」を受診する人がいます。

勿論、心療内科のドクターで、よく勉強している方もおられるでしょうが、

あれは、あくまで「内科」です。つまり、心的な原因で胃潰瘍になっちゃった

と言う人は、胃潰瘍の薬だけでは、意味がないから、その原因となる精神的な部分をも、診る

というのが心療内科です。 書きにくいのですが、中には、「心療内科」の看板を出せば、

「精神科」に行きたくない患者がくるだろう、と言う算段の「なんちゃって心療内科」がいます。

ですから、やはりできれば、精神科=メンタルクリニックを受診する方が良いです。


◆カウンセリングで治したい、という人がものすごく多いですが・・・。

できれば薬を使わず、カウンセリングで治したいと言う方が多いです。

カウンセリング自体が「悪いこと」ではありませんが、あれは医療行為ではありませんので、

保険適用対象外です。一回30分から1時間で5,000円も支払うことになります。

第一、例えば東京では、今、どこのカウンセラーも予約で一杯ですから、

1ヶ月またされることもザラです。本当にうつ病の初期だったら、その間に

症状が悪化します。

そして、臨床心理士は国家資格ではありません。

だから、と言うわけではありませんが、相性が良い人、そしてよく訓練された

カウンセラーならいいですけど、そもそも診て貰うときには鬱々とした気分なのですから、

変な質問されると、頭の中が余計に混乱しかねません。そういうときでも、

臨床心理士は、医者じゃないから、薬の処方はできない。それで5,000円、

で、次回はまた、1ヶ月後。そんなことやっていたら、本当の「ウツ」なら治りません。


うつ病は「心の風邪」といいますが、なかなか言い得て妙です。

心は英語でもハートといいまして、あたかも心臓に宿っているような錯覚を抱きますが、

実際は脳内の化学反応です。インスリンというホルモンが膵臓から分泌されなくなると、

糖尿病になる。

うつ病は脳内神経伝達物質のうち、特にセロトニンやノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の

バランスが崩れて発症すると言われます。同じようなことがお腹で起きるか、頭野中で起きるか

の違いです。心の病は身体の病なのです。


世の中には、何も知らずに実に無責任なことを書く人がいます。

以前、確か「2ちゃんねる」だったと思いますが、

抗うつ薬など精神科の薬は要するに全て覚醒剤で、長期間服用すると廃人になる。

ここまで下らないと、説明するのが嫌になりますが、覚醒剤はアンフェタミンといって、

ドーパミンを異常に分泌させるものですが、

抗うつ薬は、前述のとおり、うつ病に関係が深い、脳内精神物質セロトニンのバランスを整えるのです。

長期間飲んだら廃人になるというのなら、この日記を2002年に書き始めた私はとっくに廃人です。

お読みになっている文章が、「廃人」の文章ならば、世の中のかなり大勢の人々が「廃人」に

なるのではないか、と思います。


あまりにも長くなるのでこの辺にします。

日本の自殺者数があまりにも減らない原因は本当は様々な要素に起因している

のかもしれませんが、一つには、世間が精神医療に無知だから、患者が適切な治療機会を

逃していることが、ある、と思い、世の偏見を取り除くべく、今までにも何度も書きましたが、

今一度、繰り返しました。

治療をすれば日常生活を普通に送ることができます。私は遷延性うつといって、例外的に

10年も病院に通っていますが、これは、そういう人間が書いた文章です。

うつ病は重くても軽くても辛いものですし、必ず程度の差こそあれ、希死念慮を伴う。

自殺者を減らす一助となれば、と思いつつ、筆を擱(お)きます。

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