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2012.01.22

【音楽・映像】DVD「ベスト・オブ・カラヤンの遺産」これはお買い得だと思うけどなあ・・・。

◆大きなお世話ですが、本当に好きな分野で欲しい物は買っておいた方が良いです。

勿論、それぞれ、人、世帯によって事情が違います。

飛騨市日本大震災で、家族も家も仕事も財産も全て失った方が、

この文章を読んだら、腹が立つかもしれませんが、


あらゆる感受性を考慮すると、何も書けなくなります。

航空機事故で家族を失った方の気持を考えて飛行機のことを書いてはならない、

山岳事故犠牲者遺族を考慮し、山のことはかかない。水の事故の犠牲者遺族をを考えたら、

海の事を書けず、食中毒でお子さんが亡くなった方を考えて、食べ物の話は避ける。

キリがありません。ので書かせて頂きます。


私は、独身の頃、狂ったようにクラシック音楽のCDを買い漁った時期がありまして

あの頃、それに使ったお金を全部貯蓄に回し、バブルが崩壊するまでに上手く運用していたら、

今は、もっとおカネが貯まっているかもしれませんが、

おカネだけ貯まっていくのを見ていても仕方が無い。

家族が食うのに困るような浪費は勿論、論外ですけれど、

原則として、欲しい本や、CDやDVDは「後で」と思っていると、

特に、クラシックの関係のCD,DVDは、ちょっと目を離して油断すると

直ぐに廃盤になります。復刻されることもありますが、二度と入手できない物も

ある。


カラヤンなど、生前から録音とか録画に着目して大量に録音を残して

くれたので、いまだに色々ありますけど、亡くなったのが1989年で、今年で23年ですから。

今の若い音楽家や音大生は、カラヤンと同じ時代に生きていた、私の世代ほど、

興味がないだろうと思います。

Amazonなどを見ると分かりますが、一時期あれほど人気があった、

「アダージョカラヤン」シリーズですら、

全てが新品で揃うわけではない。



カラヤンなんて、とバカにしていると、欲しい頃には何も無くなっているかも知れません。

CDがなくなってもiTunes Storeがありますけど、これだって、未来永劫存続するかどうか

誰にもわかりません。

結論。

本当に欲しい物は、この世にある間に買った方がいい。

ということです。

最終的にそれを買った結果、可処分所得がどうなるか、は勿論最終的には個人の責任です。
お前が「欲しいものは、買っておくべきだ」などと書くから、わが家が無茶苦茶になったのだ。

などと言われると困るので(この頃、このように何でも他人の所為にする人、多いですからね)、

念のため。
何かを買うかどうかは、個人の自由意思で決定してください。このブログ筆者(JIRO)は責任を取りません。
鼻白みますが、書いて起きます。


◆[DVD] ドキュメント カラヤン・イン・ザルツブルク [DVD]

カラヤンの指揮姿、本番の映像だけを見ていると、誤解します。

なんだか、やたらと、ナルシスティックに見えてしまう。

本当は、専門家や、私などよりずっと音楽が分かる人々に言わせると、

あれほど、真面目にスコア(オーケストラ曲やオペラの総譜)を勉強した人はいない、

ということです。それはしかし、素人には分かり難い。

ドキュメント カラヤン・イン・ザルツブルクを見ると随分印象が変わります。

今や、貫禄が付いちゃってすっかり大歌手ですが、韓国のソプラノで、スミ・ジョーという人がいる。

彼女が成功したのは、カラヤンに認められたところが大きい(勿論、上手いから認められたのですが、

上手い人なら他にもいる。売れるには「運」が必要だ、ということです。)

ロ短調ミサのリハーサルをしていて、すっかり彼女が気に入ったカラヤン、

いきなり全然関係のないアリアを歌わせます。


Bach Mass Hmoll.BWV 232







カラヤンがスミ・ジョーを「気に入った!」という瞬間の表情、おわかりになりますよね。

これだけではないかもしれませんが、スミ・ジョーの歌手としてのキャリアはこの瞬間、

かなり大きく変わっただろうと思います。

それにしても「帝王」は誠に気まぐれであります。

後からやってきた、テノール氏のことなど、もう眼中にないですね。

しかし、テノール氏も相手がカラヤン大先生ですから、

「あのー、ちょっと、お茶飲んできてもいいですかあ?」

と、いい出す訳にもいかない。忍の一字で気の毒です。


それはさておき、カラヤンは自分はお聴きのとおりちょっとびっくりするぐらいの悪声ですが、

歌手のことは本当に理解して、細やかな心配りをします。このDVDには、ジェシー・ノーマンも登場します。

最初のリハーサルに現れた、ノーマンを見たカラヤンは、一瞬で彼女が直前の本番で喉を酷使し、

完全に回復していないと看破して、「今日は歌わないでいい。聴いているだけでいい」というのです。


カラヤンの真価を一番理解していたのは、歌手たちだった、という話もあるほどです。


次は、カラヤンがザルツブルク音楽祭前にウィーン・フィルと「タンホイザー序曲」のリハーサル。



TannhauserOvertureRehearsal(1/2)







ウィーン・フィルというかウィーン国立歌劇場管弦楽団。タンホイザー序曲など、何度演奏したかわからない

ほどでしょうに。難しいものです


TannhauserOvertureRehearsal(2/2)





その他にも興味深い映像が多い。(皮肉な意味で)「帝王カラヤン」のイメージをお持ちの方にこそ、

特にお薦めです。


◆[DVD] ベスト・オブ・カラヤンの遺産

これは、何と1,675円です。

ベスト・オブ・カラヤンの遺産 [DVD]



収録されているのが、取っつき易い、泰西名曲ばかり。

ベルリン・フィル恒例、大晦日(ジルベスター)コンサートの映像が多い。

唯一、「新世界より」は、ウィーン・フィルですが、他は、ベルリン・フィル

その中から、「チャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番 ロ短調 」がYouTubeにありました。

1988年大晦日。カラヤンはこの翌年に亡くなります。

一方、1971年生まれのキーシンは、このとき、17歳。円熟した巨匠と、

今、正に才能が開花している、若いピアニストの一期一会。最初で最後の共演。

これを見たときにはそんなことをかんがえませんでしたが、割とすぐにNHKで放送したのです。

非常に感動しました。

コンサートマスターは、第一コンサートマスター就任3年後の安永徹さんです。


Evgeny Kissin - Tchaikovsky piano concerto - I Allegro non troppo e molto maestoso



埋め込み不可の映像なので、こちらのリンク先をどうぞ。



再生開始後、16分50秒前後でカラヤンが、安永さんを向いて、胸に手を当てる仕草をします。

非常に詳しい方から教わったことの受け売りですが、この部分、木管楽器はキーシンのピアノに音色を

合わせていますが、弦楽器群のピチカートの音色がやや、鋭角的なのだそうです。

そこでカラヤンは、コンサートマスターの安永さんを見て、「木管を聴いてご覧?キーシンに合わせてるよ?」と

注意を促す。安永さんは一瞬にしてその意を汲み、自らの音色を修正する。コンサートマスターがそうすることにより

弦楽器群全体が、コンサートマスターに合わせる。という、私のような耳がボンクラな人間には分からない

微調整を信じがたいほど、一瞬にして行っているのだそうです。

カラヤンが健在な頃、ベルリン・フィルのコンサートマスターは大変だったようですね。

安永さんを見ていると、譜面はあまり見ていない。殆ど暗譜しているようで、

カラヤンを見ている時間が非常に長い。他のオーケストラが今度テレビに映ったら、

気を付けて見るといいです。こんなに意識的に指揮者を凝視するコンマスっていないです。

カラヤンは、自分がプレイヤーの方を向いたときに、相手が見て無いと不満だったらしいですね。

他の楽器も同じですけど、とりわけ安永さんたち、コンサートマスターは大変だったと察せられます。


第二楽章。


Tchaikovsky piano concerto no.1 Evgeny Kissin 2nd Movement



同様にリンク先をご覧下さい。



終楽章、クライマックスに向けてのクレッシェンドがたまりません。


TchaikovskyPianoConcertoFinale






このYouTubeの画質・音質だとよく分かりませんけど、テレビで放送されたとき、

よく「テレビじゃ分からん」という人いますけど、本当に心のこもった名演奏ってわかりますよ。

勿論、このホールの聴衆はもっと胸がいっぱいになったでしょうけど。

まあまあ、音楽が好きではありましたが、私ほど、のめり込んでいたわけではない、

既に死んだ私の父がですら、この演奏を見て、聴いて、うっすらと涙ぐんでいたのをよく覚えています。

演奏終了後の映像が短くカットされてしまっているのが残念ですが、これ、キーシンがカラヤンに

殆ど飛びつく感じになるんです。カラヤンの優しい微笑みがとても美しかった。一期一会でしたね・・・。

というわけで、このDVDはお薦めですなあ・・・・。

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コメント

mokoさん、管理人のJIROです。

折角コメントをお書き頂きながら、レスが大変遅くなりました非礼をお詫び申しあげます。

>私はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の、特に第三楽章が好きなのですが、
>JIROさんお勧めの、アルゲリッチのDVDでは本当に鍵盤が火を噴くようでした!

お気に召してなによりです。正に仰有るとおり、すさまじい迫力。鍵盤から煙が立ち上るのではないか、
と錯覚しそうになるほど、文字通り「熱い」演奏でした。伴奏の芸大オケも素晴らしいですね。

>キーシンXカラヤンのCDは持っていて(今キーシンを買い漁っています(笑))
>YouTubeで映像も見ていたのですが、カラヤンのあの仕草にそんな意味が込められていて、
>それをコンマスが察知して軌道修正していたなんて本当に驚きました。

あの映像、キーシンはステージに上がったときには、ややぎこちなさが残るものの、
弾き始めてからのタッチは堂々たるものですね。感心しました。

カラヤンと安永さん(コンマス)との意思疎通の件、本文でも書きましたが、私より
ずっと詳しい、アマチュアオーケストラでコンマスをなさっている方に教えて頂いたのですが、
私も、この話しに愕然としました。あの一瞬で、そこまでを察知して、音色を変えるなど、
とても人間業とは思えません。

ベルリン・フィルのコンサートマスターを25年務めた安永さんの功績はもっと日本国内でも
評価されて然るべきだと、いつも考えております。

投稿: JIRO | 2012.02.08 03:05

以前コメントさせていただいたmokoといいます。
私はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の、特に第三楽章が好きなのですが、
JIROさんお勧めの、アルゲリッチのDVDでは本当に鍵盤が火を噴くようでした!
指さばきや、指揮者や演奏者とアイコンタクトをして上手くいった時に、
アルゲリッチがとても嬉しそうにしてるのをみると、
映像でクラシックを鑑賞するのも楽しいとしみじみ思います。

キーシン×カラヤンのCDは持っていて(今キーシンを買い漁っています(笑))
YouTubeで映像も見ていたのですが、カラヤンのあの仕草にそんな意味が込められていて、
それをコンマスが察知して軌道修正していたなんて本当に驚きました。
私の耳ではわかりませんでした(笑)
もう一度DVDでみてみようと思います。お急ぎ便で頼んでしまいました!

投稿: moko | 2012.01.22 19:10

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