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2012.10.10

「うつ病患者3億5千万人と推定 WHO、自殺者の過半数」←世界の20人に1人がうつ病ということになります。

◆記事:うつ病患者3億5千万人と推定 WHO、自殺者の過半数(共同通信 2012/10/09 22:46)

世界保健機関(WHO)は9日、世界で少なくとも3億5千万人が精神疾患である

うつ病の患者とみられるとの統計を発表した。毎年100万人近くの自殺者のうち、

うつ病患者の占める割合は半数を超えるとみられている。

日本の厚生労働省によると、1996年には国内で43万3千人だったうつ病など気分障害の患者数は

2008年に104万1千人に増加。WHOはストレスの多い日本など先進国だけでなく、

発展途上国でも精神疾患の患者が目立つとしている。

自覚していない患者も多く、WHOは早期に適切な治療を行うことが重要だと呼び掛けている。


◆コメント:昨年10月31日、国連は世界人口が70億人と発表したのです。

昨年の「世界10大ニュース」のひとつなのです。

国連の潘基文(パンギムン)事務総長は10月31日、世界の人口が70億人に達したと発表した。

それから、更に多少は増えているでしょうが、誤差の範囲内ですね。

冒頭の記事は、単純に計算すると平均して世界中の20人に1人がうつ病患者だ、ということになります。

そこまで多いかな?という気もしますが、まあ、増えているのは多分、間違いないでしょう。


言葉の使い方で注意したのですが、記事は概ね正しいのですが、よく読まないと誤解します。

うつ病は「精神疾患」のひとつとされていますが、記事をよく読むと分かるように「気分障害」という範疇です。

「気分」「障害」です。「精神」「病」ではない。

記事からでは、3億5千万人を「うつ病」と認定した根拠がわかりませんが、

一応の目安として、世界で最も普遍的な診断基準は、アメリカ精神科学会による、

DSM-Ⅳ(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders version4=精神疾患の分類と診断の手引)によります。


うつ病といっても、本当のうつ病を「大うつ病」(Major Depression)と言います。

これを杓子定規に用いて診断を下す精神科医は、まずいませんけれども一応の基準です。

そして、「大うつ病」というのは、そうとう幾つもの条件を満たさないと、診断が下りません。


「大うつ病」が世界の20人に1人とは考え難いです。本当の大うつ病の急性期だったら、起き上がることすら出来ません。

多分、WHOが言う所の「うつ病」には、私ぐらいの患者も含んでいるのではないか、と想像します。

私は、しばしば自分が「遷延性うつ病」だ、と書いてますが、これは便宜的な呼称です。

大うつ病のように寝込んで入院しなければならないほどではないけれども、

程度の差はありますが、ずっと、憂鬱な気分が続いている(このずっと続くというのが肝心です)のを、

現在では、「気分変調症」といいます。これは、以前は抑うつ神経症と呼ばれていた病態です。


うつ病ではなくても、人間は嫌なこと、面倒臭い事、不幸な出来事があれば、憂鬱になります。

これは、生物として当然の反応です。

「たんなる憂鬱」と「うつ病」の違いは、先ほども書きましたが、「ずっと憂鬱かどうか」ということです。

今日は死ぬほど憂鬱だが、一晩寝たらケロッと治った、と言う場合、うつ病ではありません。

長い間、気分の上昇方向にあたかも、「ふた」をされたような。重しをのせられたような気分が続く、

こうなって初めてうつ病です。


症状が軽いと、日常生活は送れますが、うつ病の厄介な「症状」の一つに「希死念慮」があります。

要するに「自殺願望」です。更に厄介なのは、本当に重い、急性期の「大うつ病」は起き上がる事すらできないので、

自殺の危険は低いのですが、むしろうつ病になりかけ、とか、治りかけ、の時。つまり希死念慮が残っていて、

それを実際に行動に移すエネルギーが残っている程度の患者が、自殺するので、注意が必要です。


◆簡易的に「抑うつ度」を知るために「ベックのうつ病調査表」を使います。

これも、過去に何度も書きましたが、本当は「生兵法は大怪我の元」ですから、専門医に診てもらうべきですが、

生まれてこの方「精神科」に行ったことなど無い方は、精神科を受診することに大きな心理的抵抗を覚えるでしょう。


無理もありません。「精神科」という名前が悪いですよね。私が長年診ていただいているドクターは、

以前、他の病院で、その点を考えて「疲労外来」という診療科にしたそうです。

確かにうつ病では身体のエネルギーが以上に低下して疲れやすくなる「易疲労性(いひろうせい)」という

症状があるので、ウソではありません。


話が逸れました。

うつ病かどうか、最終的な診断は専門医に任せますが、簡易的には、

ベックのうつ病調査表、という簡単なツールを用います。有難いことに

ネット上に幾つも無料で使わせて頂ける、サイトがあります。リンクを貼らせて頂きます。

ベックのうつ病調査表

抑うつ度チェック - ベックのうつ病調査表 (BDI テスト) - 元のうつ病闘病記

抑うつ度チェック(BDIテスト)

この他にも、Googleで「ベックのうつ病調査表」を検索すると、約19,400件ヒットします。

これが全てではないのですが、ベックの調査表で、私の経験からすると20前後からそれ以上が続くようなら、

精神科を受診した方が良いです。何の病気も同じで軽いウチに治療を始めた方が早く治る可能性が高くなります。


◆カウンセラーよりも、精神科を薦めます。

「うつ病」という言葉は広くしられるようになりましたが、うつ病に関する正確な知識は

必ずしも普及していません。これだけ、簡単にネットで検索できるのですから、専門家の説明を読めば良いと思うのですが

Q&Aサイトなどで素人に質問し、また、答える方も無責任に出鱈目を教えていることがあります。その典型が、

抗うつ薬は全て「覚醒剤」で、飲み続けると廃人になるから、クスリを使わないカウンセラーの方がよい。

などという「回答」です。

うつ病は脳内神経伝達物質のうち、セロトニンが関係しているといわれています。そのバランスが

何らかの原因によって崩れて、発症する。原因は環境的なストレスであることも、

全く該当するストレスが存在しない場合も、様々です。


ただ「うつ病」は「心の病」で心は身体と別で、根性がないからうつ病になる、というのは、

最も野蛮で、無教養な誤解です。


膵臓のランゲルハンス島という細胞から分泌されるはずの「インスリン」というホルモンが

何らかの原因で不足すると糖尿病になります。

うつ病も似たような化学物質のアンバランスが、胴体の腹部ではなくて、脳で起きているだけです。


その意味で、人々が「心の病」と呼んでいるものは、脳という臓器の病であり、心の病は身体の病です。

そう考えれば、誰でもなり得る。実際に職場や学校や家庭のストレスなどが特にないのに発症する「内因性うつ病」が

あるのです。

うつ病になって精神科を受診することは恥ずかしいことではありません。

抗うつ薬を怖がって、カウンセリングで治したいという方が多いけど、臨床心理士は国家資格ではない、民間資格です。

臨床心理士は医師ではない。医療行為ではないから、健康保険は勿論適用されません「人生相談」や「占い」と同じ事です。

大抵どこも予約で一杯で、初めてのカウンセリングまで1ヶ月もまたされ、30分で5,000円取られるのはザラです。

そして、カウンセラーとの相性によっては、余計に症状が悪化します。誰とは言いませんが、

私は実際にそういう例をしっています。


抗うつ薬を飲み続けると廃人になるかどうか。

私の3,300本の記事は、全て抗うつ剤を飲み始めた後つまり、うつ病になってから書いたものです。

10数年、抗うつ薬を飲んでいますが、抗うつ薬で廃人になるかどうか、この文章でご判断頂きたいと思います。

早期に適切な治療を行うこと」、とは、簡易チェックで抑うつ状態を認識し、抑うつ状態ならば、

早く精神科を受診することです。

うつ病ではありません、と言われるかも知れないですが、それはその方が良い訳ですし、

うつ病だったとしても、私を見て下さい。うつ病自体で死ぬこともないし、思考力が無くなるわけでもない。

早く治療すれば、早く治る可能性が高い、ということを今一度繰り返して、筆を擱きます。


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