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2012年11月

2012.11.28

「感染性胃腸炎の患者が激減 新型インフル対策が予防に(2010年01月18日  紀伊民報)」前回の続きです。

◆記事1:感染性胃腸炎の患者が激減 新型インフル対策が予防に(2010年01月18日  紀伊民報)

毎年冬に流行する感染性胃腸炎の発症者数が、例年に比べて激減している。秋以降の新型インフルエンザの感染拡大に伴い、

うがいや手洗いなど予防意識が高まったことが減少の一因と考えられる。

県難病・感染症対策課は「今後増加する可能性はあるので、予防を徹底してほしい」と呼び掛けている。

感染性胃腸炎は、ノロウイルスやロタウイルス、細菌などが原因で起きる。ノロウイルスの場合、

例年11月後半から患者数が増え始め、12、1月にピークを迎える。ウイルスに汚染された食品や手指を介して感染し、

嘔吐(おうと)や下痢、発熱などの症状がある。

感染力が強く、小学校や保育所、幼稚園、高齢者福祉施設などで集団感染が起きることもある。

和歌山県内では31カ所の定点医療機関が患者数を報告している。2009年12月21~27日の患者数は

118人(定点当たり3・81人)だが、08年同時期は385人(同12・42人)、

07年同時期は320人(同10・32人)と、過去2年と比べて半数以下になっている。

県難病・感染症対策課によると、患者数減少の一因として、新型インフルエンザの流行の影響が考えられるという。

手洗いやうがいなど、インフルエンザと予防方法は共通しており、感染性胃腸炎の患者減少は流行している

新型インフルエンザ対策の効果と見られている。

一方で、新型インフルエンザの流行で定着したアルコール消毒は、ノロウイルスに効果がないため、

嘔吐物を処理する際に塩素系消毒剤を使うなど、注意が必要という。

同課は「例年に比べると非常に少ない。けれども冬場に多い疾患であり、集団感染で広まりやすい感染症。

今後もうがい、手洗いの予防策を徹底してほしい」と話している。


◆記事2:石川:県内、感染性胃腸炎の患者4分の1に減 新型インフル予防で思わぬ「効果」(北國新聞2009年12月17日)

冬場に増える傾向がある感染性胃腸炎の石川県内の患者数が今季、平年を大きく下回っ ている。

例年なら11月ごろから患者数は急増するが、今年は目立って増加していない。

県では新型インフルエンザ予防策として手洗いやうがいを励行したことが激減の一因と推 測しており、

新型インフル対策の「思わぬ効果」に驚いている。

県保健環境センターの調査によると、今年49週(11月30日~12月6日)の県内定点医療機関の患者報告数は108人、

定点当たりの患者数は3・72人となっており、 前年同週(12月1~7日)の421人、14・52人の4分の1程度となっている。

患者数の激減した原因として、医療関係者が指摘するのが、新型インフル予防策として 励行されている手洗いとうがいである。

県健康推進課によると、冬場の感染性胃腸炎に多 いノロウイルスへの対策にも手洗いとうがいは有効だという。

新型インフル対策として園内で手洗いとうがいを行っている金沢市幸町の川上幼稚園で は、

「この時期になると毎年、おなかが痛いという園児がいるが、今年はまだ出ていない 」という。

デイサービスセンターなどを運営する北伸福祉会(金沢市)では今季、利用者が感染性胃腸炎を発症したという報告はないという。

同会は新型インフル予防のため、各施設の玄関にアルコール消毒液を置いており、「手洗 いへの意識が高くなっていることが、

感染性胃腸炎の未発生と関係があるのかもしれない 」とする。

金沢市入江1丁目の加藤小児科医院でも感染性胃腸炎で来院する患者は平年より少ない というが、

加藤彰一院長は「これから感染が増加するかもしれないので注意は必要だ」と 話している。


◆コメント:前回の更新で、「過去記事」を引用出来なかったので、ご参考までに。

前回の記事、「ノロウイルスの患者急増 注意呼びかけ」←新型インフルの年には減ったのです。手洗い。で、新型インフルエンザが流行した年、

感染性胃腸炎の患者が減った、という記事を確かに読んだ、私は書きましたが、急いで更新したため、エビデンス(証拠)を

引用出来なかったので、改めて載せました。

地方新聞2紙の記事を引用したのは、1箇所では、偶然かも知れませんけれども、

読んで頂くとお分かりのように、記事1は紀伊民報で、記事2は北國新聞です。

和歌山県と石川県で、奇しくもまったく同じ傾向が統計的に確認出来て居ます。

厳密には「証明」にはならないのでしょうが、いずれの記事にもあるとおり、2009年に流行した新型インフルエンザ、

A型のH1N1亜型ウイルスによるインフルエンザ対策として、全国的に手洗いとうがいの励行を、

多くの人が実践した為、その副次的効果として、感染性胃腸炎が激減したのであろう、という専門家の意見が一致している点に

着目します。


あまり色々な記事を引用すると、長くなるので省略しますが、H1N1型(所謂「豚インフルエンザウイルス)の症状が軽く、

爆発的流行が収束し始めたころから、感染性胃腸炎の患者が、また増加し始めた、との報道があります。

新型インフルが、大した事はなさそうだ、と油断して手洗いがおろそかになりはじめたのでしょう。

というわけで、今日も、各地で、感染性胃腸炎の集団感染が報じられていますので、

当面、かなり意識的に「丁寧な手洗い」(親指が意外に洗えていないそうです)を継続することが

肝要かと思われます。

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「ノロウイルスの患者急増 注意呼びかけ」←新型インフルの年には減ったのです。手洗い。

◆記事:ノロウイルスの患者急増 注意呼びかけ(NHK 11月28日 4時6分)

ノロウイルスなどによる感染性の胃腸炎の患者が、ことしはこの5年間で最悪のペースで増えていることから、

厚生労働省は、食べ物による感染を防ぐため、飲食店などに対し、手洗いや調理器具の消毒などを徹底するよう呼びかけています。

ノロウイルスは、感染力が非常に強く、患者が吐いたものなどに触った人の手などを介して、

口から感染し、激しいおう吐や下痢を引き起こします。

国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科から報告されるノロウイルスなどによる

感染性の胃腸炎の患者数は、先月中旬から増え始め、今月18日までの1週間で

1医療機関当たり11.39人となっています。

これは、この期間としては、この5年で最も高い値です。

また、先月から全国の飲食店や旅館などで起きたノロウイルスによる食中毒は37件で、

患者はおよそ1100人に上っているということです。

このため厚生労働省は、食べ物による感染を防ぐため、飲食店などに対し、石けんで手洗いするほか、

調理器具を85度以上の熱湯で1分以上消毒すること、それに、感染した人が使った食器などは

塩素系の消毒剤で洗うことなどを徹底するよう呼びかけています。


◆コメント:ノロウイルスは、抗ウイルス薬がないのです。

感染性胃腸炎と言っても、細菌が原因ならば、抗生物質でその細菌を殺すことができますが、

一般的に「ウイルス」を殺すクスリというのは、ないのです(その意味ではインフルエンザの方がマシです)。

全然違う種類の病気ですが、エイズは、HIVという「ウイルス」が原因である、とわかっても、

発見されて30年も経ちますが、いまだに抗ウイルス薬がありません。

ノロウイルスにも抗ウイルス薬はなく、排泄物と共にウイルスが体外に出てしまうまで

(症状がおさまっても、ウイルスは残っているので、他人にうつす可能性があります)、

ORS(経口補水液。「OS-1」という奴)で、水分と電解質のバランスを保ちながら、ひたすら

待つしかないのですが、かなり症状が激烈です。

嘔吐と下痢と両方で、ひどいときは、びろうな話で恐縮ですが、バケツを抱えてトイレから1時間ぐらい

出てこられなかったりします。

多くの病院や開業医が休診となる年末・年始に発症すると大変です、というところですが、

今述べたばかりですが、ドクターと言えども、治療法も無いし、予防するワクチンもありませんので

実は、病院が休診であろうがなかろうが、大差ありません。


インフルエンザウイルスは、ワクチンもあるし、抗ウイルス薬もあるし、アルコールで非活性化できますが

ノロウイルスは、ワクチン、クスリが無い上、アルコールでも殺せず、塩素系消毒薬(漂白剤です)でしか

殺せないので、食器には使えますが、漂白剤で直接手を洗うことはできないので、

余計に厄介です。

時間がないので、当時の記事を探して引用できなのですが、

新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)が流行して大騒ぎ(結局、あれ自体は症状は大した事はありませんでしたが、

特に若い人の間で非常に感染力が強くて、アッというまに拡がりました)になった年、

政府や医療機関が、手洗いを厳重に、と呼びかけたので、その結果、付随的効果として、

「ノロウイルスの患者が例年よりも明らかに少ない」という記事を読んだことをはっきりと記憶しています。

したがって、発症してしまったら経口補水液で対症療法でただひたすら耐える、しかなくなるので、

結局は、石鹸と流水で、物理的に手に付着しているウイルスを洗い流すことが、今の所最も有効な予防方法だと

思います。尤も、いうまでもありませんが、私はドクターではないので、より正確な情報は医療従事者に確認して下さい。

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2012.11.27

【衆議院選挙】「戦後レジームから脱却し」なければならない、という論理が分かりません。

◆安倍晋三自民党総裁公式サイト基本政策「憲法改正」より。

安倍晋三自民党総裁の公式ホームページに総裁の基本的な思想が書かれています。

基本政策を見ると、外交教育再生憲法改正の三つが

「柱」のようです。今日は、憲法改正に関して、ごく基本的な根本的な問題を指摘します。

これは、安倍晋三氏個人への誹謗でも中傷でも無く、政治家が標榜する政策への批判であります。


◆国会議員には憲法遵守義務がありますから、憲法改正を提案すること自体、違憲です。

日本国憲法第99条を読めば明らかです。
第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

今までに何度も書いたことを繰り返しますが、憲法はその本質・歴史的経緯に鑑み、大元はフランス革命とその後の人権宣言にあります。

国家権力に国家を統治させてやるが、国家が権力を濫用しないように、主権者である国民がはめた「枷」(かせ)が憲法です。

要するにリミッターです。首輪です。

そのリミッターをかけられている側、つまり国家権力、国権の最高機関である国会の構成員、国会議員が、

これを、自分達(権力の濫用を監視さえている国家)の側から変えよう、制限を甘くしようとすること自体、

憲法の本質に鑑み、許されることではないのであります。

その一番基本的なことが分かっていない時点で、
一体安倍さんは何を考えているのですか?

と、伺いたいです。


◆こういうことは、私などではなく、マスコミが世論を正しい方向に導くべきです。

「何が正しいか、考え方に違いがあるだろう」という方は、まだ、分かっていません。

憲法自体に「国会議員は、この日本国憲法を尊重し、擁護する義務を負う」という文言があるのですから、

議論の余地はありません。

それを、「国会議員の側から憲法改正をいい出すとは、けしからん」という、大手メディアを知りません。

それどころか、世論調査を平然と行っています。

これは、国会議員の違憲行為を是認しているということになります。マスコミの責任も重大です。


◆百歩譲ったとしても・・・。

前述のとおり、憲法遵守・擁護義務を憲法自体で定められている国会議員が「憲法改正」と言った段階で

既に言語道断なのですが、百歩譲って、安倍氏の言葉を読んでみます。「憲法改正」の項には、

次のように書かれています。

私は平成19年1月の内閣総理大臣施政方針演説で「戦後レジーム」からの脱却を宣言しました。

憲法を頂点とした行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組みの多くが、

21世紀の時代の大きな変化についていけなくなっていることは、もはや明らかです。

戦後レジームからの脱却を成し遂げるためには憲法改正が不可欠です。

戦後レジームからの脱却という言葉がはっきりしません。

問題があれば、国会で審議すればよいのであり、それが「そもそも今の憲法に問題があるからだ」というのは

論理の飛躍です。

問題は、日本国憲法ではなく、国家権力の成員たちが自らの私利私欲を優先させていることではないか。

憲法13条は、
第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

と規定しています。「生命・自由及び幸福追求に対する国民の権利」が国政で最優先課題なのに、

今回の選挙では、どこの政党も東日本大震災の被害者の今後の生活の保障、

とりわけ、放射能をいまだに拡散し続けている福島第一原発の処理計画を具体的に標榜していません。

また、国政選挙となると、どの政党も必ず、国会議員の定数を減らすといいますが、

国会議員は毎月、歳費129万円、文書通信交通滞在費(非課税)100万円、政党に即していたら、一度も議員立法を

手がけていなくても、毎月立法事務費が議員一人当たり月額65万円交付されます。

ボーナスは年間約720万円、その他、秘酒給与、JRは何処までも無料。飛行機も月に4回までは無料です。


国税庁が毎年、民間給与実態統計調査を行っていますが、一年通して働いている給与所得者の中で年収が200万円未満の人は

5年連続で1,000万人を超えている。主権者で納税者たる国民が所得が増えずに苦しんでいるのにそれでも真面目に収めている税金から、

国会議員は毎月、軽く300万円近い支払いを受けている。

議員定数を削減しなくても、国会議員の収入を、半額なり4分の1にすれば

国会議員の人件費は瞬間的に削減できますが、

絶対にそう言うことをいう議員はいません。

「戦後レジーム」が破綻しているとすれば、憲法云々の前に、党利党略に明け暮れている国会議員に

問題があるのではないでしょうか。

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2012.11.25

【衆議院選挙】「安倍総裁“金融緩和公約は勝負あった”」←分かっていないと思います。

◆記事1:安倍総裁“金融緩和公約は勝負あった”(NHK 11月25日 18時8分)

自民党の安倍総裁は津市で講演し、衆議院選挙の政権公約でデフレ脱却のために日銀法の改正も視野に入れて

大胆な金融緩和を行うとしたことを民主党が批判していることについて、

「発表してから円は下がり、株価は上がった。『勝負あった』だ」と述べ、

政権公約の正しさが証明されたと主張しました。


自民党は先週発表した政権公約で、デフレや円高からの脱却に最優先に取り組むとして、

日銀法の改正も視野に入れて大胆な金融緩和を行うとしていますが、野田総理大臣をはじめ民主党は

「経済政策として通用しない」などと批判しています。

これについて、自民党の安倍総裁は講演で、「野田総理大臣は『安倍さんが言っている政策は危険だ。

インフレになっていいのか』と驚くべき発言をした。デフレのままでいいような発言で、

こんな人が経済運営をしていたかと世界が驚くと思う」と述べました。

そのうえで、安倍氏は「政権公約を発表してからどんどん円は下がり、株価は上がった。『勝負あった』だ」

と述べ、政権公約の正しさが証明されたと主張しました。

一方、安倍氏は、政権公約で、憲法を改正して自衛隊を「国防軍」と位置づけるとしていることについて、

「世界は自衛隊を軍隊だと認識しており、外に向かって軍隊、

内に向かって自衛隊という奇弁はもうやめるべきだ」と述べました。(注:色文字は引用者による)


◆記事2:野田首相と安倍総裁の党首討論実現の見通し 意見対立は鮮明に(フジテレビ系(FNN) 11月25日(日)18時47分配信)

民主党が呼びかける、野田首相と自民党の安倍総裁の党首討論が実現する見通しとなった。

そんな中、安倍総裁が主張する「建設国債」の日銀買い取りなどの政策をめぐり、意見の対立が鮮明になっている。

野田首相は25日、大阪・吹田市で「(自民党の安倍総裁は)建設国債は、日銀が買い取ればいいと言っている。

日銀の輪転機で、お金をいっぱい印刷すれば、景気が良くなると言っている。そんなのごまかしです」と訴えた。

さらに、野田首相は「建設国債だろうが、借金は借金ではないか。誰が返すのか」と批判した。

自民党の安倍総裁は、三重・津市で「もう笑止千万なんですが、皆さん、日本銀行は毎月、1兆8,000億円も国債をもう買っているんですよ。

実は、そのことを総理大臣が知らなかったということが驚きであります。日本銀行としっかりと調整をし、

思い切った、大胆な金融緩和をやっていかなければなりません」と述べた。

また、野田首相は、自民党が主張する自衛隊の「国防軍」化なども批判しており、

党首討論が実現すれば、激しい議論が交わされるとみられる。(注:色文字は引用者による)


◆コメント:日銀による、国債の「市中買入」と「直接引受」は違います。

私は、以前から、いくら経済全体における「需要」がないところで「金融緩和」をしても、デフレは止まらない

と書いているので、そもそも金融緩和云々に拘る、野田首相、安倍自民党総裁の議論も根本的に的はずれだと

思いますが、この件に関しては安倍さんの言っていることは詭弁だし、考えていることは危険なのです。


安倍総裁は、

日銀は既に国債を買っている。

といいます。それは、本当です。日本だけではなくて、アメリカもECB(欧州中銀)もやっています。

但し、これは「市中買入」というオペレーション(市場操作)でして、一旦国が発行して、金融機関が保有している国債を

買っているのです。この場合、日銀法の規定があって、買入の限度は、例えば日銀ならば、

「日銀券(おカネです)の発行残高以内の金額でなければいけない」ことになっています。


ところが安倍総裁は日銀法の改正も考える、といっています。これは何を意味するかというと、

日銀に自分でおカネを刷らせて、日本政府が発行した建設国債(だろうが、何国債だろうが同じです)を

無尽蔵に買い取らせようというのです。これを日銀による国債の「直接引受」といいます。


先日、20日(火)、日銀金融政策決定会合の後、白川日銀総裁による定例記者会見が行われました。

その席で、次のような質疑応答がありました。
問)日銀による国債の直接引き受けの是非は?

答)中央銀行には通貨を発行する権限がある。それを背景に国債の(直接)引き受けを行うと、通貨発行に歯止めが利かなくなり、さまざまな問題が生じる

(産経新聞 2012.11.20 21:37)

同じ記者会見の記事ですが、日経がまとめた「要旨」では、
日銀の白川総裁は、政府が公共事業のために発行する建設国債を日銀が全額買い取る案に、

一般論と断ったうえで「国際通貨基金(IMF)が発展途上国に助言する際に、やってはいけないことのリストの最上位だ」と強い懸念を示した。

という表現を使っています。日銀の発表した記者会見の全文は、

日本銀行 2012年11月21日【記者会見】白川総裁(11月20日) [PDF 233KB]

にあります。

白川総裁の発言を正確に引用すると、
中央銀行が通貨を発行する権限をバックに、国債の引き受け、或いは引き受け類似の行為を行っていくと、

通貨の発行に歯止めが利かなくなり、その結果、様々な問題が生じるという内外の歴史の教訓を踏まえたものだと考えています。

公平に見て、この件に関しては、野田首相が正しく、安倍総裁の発言は詭弁、つまり市中買入れと直接引受を混同させて、

野田首相が、日銀が既に市中買入れを行っていることすら知らない、というような言い方ですが、それを知らない訳が無い。

それよりも問題なのは、安倍総裁は、日銀法の改正を視野に入れる、といっていますが、この文脈に於ける日銀法とは、

先ほど述べた、「日銀は、国債を日銀券発行残高よりも沢山買ってはいけない」というルールのことです。


これを撤廃したら、いくらでも国債を発行し、いくらでも日銀におカネを刷らせれば、「打ち出の小槌」で、無限に通貨(円)を

発行できてしまいますから、次第に日銀券(日本円というおカネ)の価値が希釈されます。

また、国債をいくらでも出せるとなったら、債券市場で国債が供給過剰になります。需要と供給の関係で、国債の価格は

暴落し、これはちょっとややこしいので説明を省略しますが、債券価格と利回りは逆相関関係にあるので、国債の価格が暴落すると

金利が高騰します。金利が暴騰すれば、当然、景気に対して、強烈なブレーキになります。


また、国債を多額保有している投資家、特に銀行も多額の評価損を計上しなければならなくなり、下手をすれば、資本が足りなくなって

潰れてしまいます。

その辺を無視して、安倍総裁は「既に日銀は国債を買っているのだから」というのはあまりにも暴論。

こんな、無茶な金融緩和はありません。

ちょっと、いくら何でも、真面目な政策とは信じられません。

口幅ったいようですが、12月16日の投票日まで、有権者は多少面倒臭くてもマクロ経済を猛勉強する必要があると

思います。よく分からないのに適当に投票するから、国家がとんでもないことになるのです。

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【2012年衆議院議員選挙】各政党の公約で注目すべき項目。

◆大手メディアは、民主・自民の比較ばかりですが、いずれもダメです。

衆議院を解散したのが先週の金曜日、11月16日で、投票日は12月16日(日)と決まっています。

3週間後の日曜日が投票日ですから、各政党ともにさっさと公約を決めて、メディアは、それを分かり易く一覧表にしてくれないと

困ります(既にどこかに掲載されていたら、ゴメンナサイ)。


◆自民党と民主党。

マスコミは「脱原発」と「消費税」選挙だ」と意ってますが、もっと大事なことがあります。


まず、自民党。


自民党の安倍総裁は、憲法(第九条「戦争の放棄」)を変更して、自衛隊を国防軍にし、

日本に交戦権を与え、集団的自衛権を認めるという立場です。

先日、書いた通り、この一点だけで、絶対に自民党を支持してはいけません。

安倍晋三氏は一見、穏やかそうですが、前回、内閣総理大臣時代に憲法の附属法と言われる

教育基本法の改正を強行採決し、また、憲法改正に必要な国民投票について定めた国民投票法も

強行採決しました。

このように国の根幹に関わることを平気で強行採決するというのは非常に、独裁的権力志向を持っている

証左であります。彼は、本気で憲法を改正し、日本を戦争が出来る国にしようとしています。

それだけで、繰り返しますが、自民党を支持するべきではありません。


次に民主党。


野田首相は、ムキになって消費税増税法案を成立させました。

TPPにも参加すると言っています。


何故、こういうことになるか、バックグラウンドから説明すると非常に長くなるので、端折りますが、

要するに財務省の思惑通りに操作されているのです。財務官僚は何だかんだ頭が良いです。

増税を可とする政党を与党に饐えるように操作します。民主党は政治主導を掲げて政権をとりましたが、

結局、官僚に操作されています。この景気の悪いときに、しかも景気が好転する兆しがないときに、

消費税増税をどうしても急いで決め泣け江波なら無い理由はありませんでした。

それが輪から泣くだけでもダメです。


それからTPPに参加するといっています。これを認めると国内の法律とそれによって支えられている制度

まず危ないのは、厚生年金など年金制度。それから医療保険(健康保険)という公的制度すら、

アメリカの保険会社が参入するための非関税障壁だ。といって、廃止させられるかもしれません。

アメリカは、要するに、世界中をアメリカにすれば、万事上手く行くと考えている単純馬鹿ですから、

これに唯々諾々と従う政党は、信用できません。



最終的な公約がどうなるか分かりませんけど、増税反対、むしろ減税するべきだという点と、

TPPに反対という点では、名古屋市長の河村たかし氏と国民新党の亀井静香氏の主張が正しいのです。


◆あくまでも私見ですが、チェックするべきポイント。

まだ、情報量が足りないのですが、現時点で私が思い付く、大原則を挙げます。


  1. 憲法9条を改正するとか、自衛隊を国防軍にするとか、集団的自衛権を認めるとか、核武装を考えるという政党は問題外。

  2. デフレが続いているのを、日銀の所為にしている政党はダメ。総需要を創出するためには個人消費を増やすことが大事。減税を訴える党がベスト。

  3. TPPに賛成というのは、アメリカの傀儡政権と思って断固拒否。

  4. 文化的なことを切り捨てるという政党は、無教養だからダメ。

  5. 北朝鮮拉致問題を忘れたふりをしていないか、をチェックすること。

  6. 原発に関しては「脱原発」という言葉の具体的内容を精査すること。運転を止めても危険です。全ての原子炉の廃炉を目指すという政党がベスト。

  7. 被災地復興支援に関してこの頃新しい話が全く無い。特に福島第一原発の処理をどうするのか具体案を示すこと。

今後、追加すべき項目や本日書いた項目でも変更することがあるかもしれませんが、180度逆になる、ということは、

ありません。2005年9月11日投開票の「郵政民営化選挙」では、散々小泉政権批判を書き続けましたが、不本意な結果となりました。

今回も、タカが個人のブログですから影響力は限られますが、私の思想を、選挙までにぶつけたいと思います。

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2012.11.23

【音楽】11月22日は「ボレロ記念日」です。

◆1928(昭和3)年の11月22日にモーリス・ラヴェルの「ボレロ」が初演されました。

今年も、「ボレロ」です。

「またか」と思われる方がいらっしゃるでしょうが、そうなのです。

「ボレロ」が初演されてから84年を経て、一体、世界中んで何千回、何万回、演奏され、また

レコードやCDに録音されたか、数えるのは恐らく不可能でしょうが、それだけ繰り返し演奏されても、

しかも、まったく西洋音楽のDNAを持たない、私たち東洋人が聴いても、やはり、聴くと飽きない。

それは、この作品に限らず、西洋音楽、特に「泰西名曲」とひとによっては若干皮肉なニュアンスを込めて呼ばれる、

非常にポピュラーなクラシックの名曲全体に言えることです。

「同じ音楽が」「数十年、数百年後に」「違う文化圏で」「繰り返し」演奏されても、まだ聴きたい人がいる。

そういう音楽を書いた全ての作曲家はものすごい才能を持ち、気絶するほど偉大な仕事をした、と思います。


◆クラシック以外は下らん、とは言いません。

先週の土曜日の深夜、11月17日土曜の未明に、たまたま付けっぱなしにしていたNHKBSプレミアムで、

「DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る」という番組を放送していました。

余談ですが、NHKというのは何故か知りませんが、AKBが「お気に入り」のようで、この手の長い番組を度々放送します。

この番組など、既にDVD化されて商品として流通しているのに、NHKに放送を許可するということは、

AKBを管理・運営する大人たちがNHKで放送されることのメリットを考えてのことでしょうが、

それは、まあ、よろしい。AKBの歌も、まあ、歌謡曲ですから特にコメントいたしません。

西武ドームやら、東京ドームでの「コンサート」はさておき、ちょっと心を動かされたのは、

メンバー数人が繰り返し、被災地に設置された簡易ステージ(ステージに使えるように改造したトラックの荷台です)に、

311後、最初は5月22日、岩手県・大槌町を訪れたときの映像が記録されています。AKB側が作成した映像ですから

それから全てを知ることは出来ませんけれども、子供たちは、確実に大喜びしているのですね。

震災から2ヶ月と10日ぐらいですから、当然辺り一面、まだ、瓦礫で、自衛隊員は復旧活動、捜索活動を継続している時期です。

多くは、避難所生活で辛いに決まっていますが、兎にも角にも、子供達も青年達も、AKB48数人による歌と踊りを聴いて、観て、

笑顔になっています。子供が笑顔を見せた、ことをお母さんたちが見て、また、嬉しくて泣いています。

こういうことは、理屈ではなくて、クラシックであろうがなかろうが、「良いこと」です。

音楽家も芸能人も役者も、凡そエンタテイナーの「使命」は、漱石の「草枕」における表現を借りるならば、

棲みにくい人の世を、束の間でも棲み易くするが故に尊い

のであり、カール・ベームは、
人間の存在を明るく照らし出すことが芸術家に与えられた使命だと信じています。

といいました。おわかり頂けると思いますが、被災地の支援にはクラシックよりもAKBの方が良いとかそういう

低次元の話ではなく、人間には、色々な嗜好(このみ)があるのですから、出来るだけ、色々な人が訪れると良いと思います。

「ボレロ」とは関係ありません。ちょっと思ったので、書きました。


◆モーリス・ラヴェル作曲:「ボレロ」です。

最初に書いたとおり、同じ音楽を何回聴いても飽きないのが名曲・名演ですから、同じものを載せます。

ボレロに限らず、クラシックで気に入った曲があったら、色々な指揮者、オーケストラで聴き比べることをお薦めします。

最も指揮者の解釈の違いで分かり易いのは、テンポの設定です。


コンサート会場でも使えるものがあるのですが、うっかり変な操作をして音が出たら大変なので、紹介しません。

テンポ・カウンターというものです。どうしても欲しい方は検索して下さい。


ネット上では、Tempo Counterをお薦めします。極めて軽いけれど、音楽に合わせてEnterキーを押すか、マウスで

ボタンをクリックすることにより、メトロノーム・テンポを測ることが出来ます。


これを叩いてみると、「一定のテンポを正確に、ずっと維持する」ことが如何に難しいかがわかります。

ボレロで171回、2小節から成るリズムを繰り返す、スネア・ドラム(小太鼓)奏者は、非常な集中力と

もちろん前提となる、厳密な基礎技術の訓練を経たプロフェッショナルでないと、つとまりません。

カラヤンから。音源は、ラヴェル:ボレロです。


ラヴェル:ボレロ カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団






ボレロに限らず、音楽は本当は生で聴ければ一番ですけど、チケットも高いですし、

地方の方などは、そう滅多にオーケストラが来ないということもあるでしょう。

生で聴く場合は演奏開始後7分半から8分半(テンポによって違う)から始まる

トロンボーン・ソロ。これも何度書いたかわかりませんが、テナー・トロンボーンの最高音域の変ロ(シの♭)から始まるので、

生演奏のときには、自分は聴くだけなのに、私は極度の緊張状態に陥ります。

テンポですが、カラヤンは、後の2人に較べると遅く、テンポ=65強ぐらいです。


次は、マルティノン・シカゴ交響楽団。

音源が一時的にTOWERRECORDさんから復活していたのですが、今はもう入手できません。

しかし、突然、再版ということもありますので要ウォッチです。

ラヴェル名演集:ボレロ/亡き王女のためのパヴァーヌ/スペイン狂詩曲/他<タワーレコード限定>です。


ラヴェル:ボレロ ジャン・マルティノン指揮、シカゴ交響楽団






マルティノンってのはフランスの指揮者で、パリ管弦楽団などとの録音はありますが、マルティノン=シカゴという

組み合わせが珍しい。「幻の名盤」などと言われています。

テンポ・カウンターで測ると分かりますが、というか、カラヤンと較べればすぐわかりますが、

マルティノンのほうが明らかに早い。テンポ=75位です。


最後は、これは、何度目でしょうなあ。アバド=ロンドン交響楽団。

空前絶後でして、スタジオ録音で、取り直しが出来るのに、オーケストラ・プレイヤーが興奮のあまりに

最後、叫び声をあげる。アバドが「これは、自然に発せられた声だから、これで良いのだ」と、そのまま商品化されました。


ラヴェル:ボレロ クラウディオ・アバド指揮、ロンドン交響楽団





これぞ、

芸術は、爆発だ!(ある年代以上の方は御存知ですね。)

という演奏ですね。

アバドのテンポは、微妙でして、69から70ではないか、と思います。


ボレロは聴きながら、誤解を恐れずに書くならば色々、「遊ぶ」ことができます。

例えば、最初から最後まで、同じリズムを刻み続けるスネア・ドラム担当の打楽器奏者に合わせて

手でひざを叩いてみる。本気で集中しないと、絶対にどこかでずれますよ?

また、スネア・ドラムのリズムは、旋律を吹いていない、色々な管楽器が交替で

同じことをやっています。管楽器を吹く人なら、タンギングの練習になります。

能書きはこれぐらいにします。連休にお楽しみ下さい。


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2012.11.22

「第46回衆議院議員選挙(平成24年度)自民党政策集」を読みました。自民党に投票してはいけません。

◆日本を戦争が出来る国に変えようとしています。

自由民主党のウェブサイト。

第46回衆議院議員選挙(平成24年度)自民党政策集 J-ファイル2012 マニフェスト

を読みました。他の政党もいずれ、公約だかマニフェストを掲げるでしょうが、

今の所、世論調査で一番、「投票したい」有権者が多い自由民主党の政策を

とりあげます。

自民党の政策が発表されて、その内容はこんなものだ、とメディアが報じますが、

要約には主観が入りますから、公約そのものを自分の目で確かめないといけません。


全部をよまなくても、
集団的自衛権の行使を可能にする。

自衛隊ではない、「国防軍」の設置を規定する

という二点で、私は絶対に自民党を支持しません。他に支持出来る政党があろうが無かろうが、

関係ありません。

日本をまた、戦争が出来る国にしようとしているだけで、

自民党は危険です。


民主党がダメだったから、自民党に入れておくか、という発想をしてはいけません。

投票日まで、何度でも強調するつもりですが、

今日はとりあえず、結論だけ書きます。

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2012.11.21

「<日銀総裁>安倍総裁に反論 物価目標『3%は非現実的』」←白川総裁、本当は「激怒」状態だと思います。

◆記事:<日銀総裁>安倍総裁に反論 物価目標「3%は非現実的」(毎日新聞 11月20日(火)21時4分配信)

日銀の白川方明(まさあき)総裁は20日、金融政策決定会合の後の記者会見で、

衆院選の争点に金融政策が浮上していることについて「(積極的な緩和は)既にやっている。

日銀の強力な金融緩和策を反映して金融環境は緩和した状態にある」と述べ、自民党の

安倍晋三総裁ら積極緩和を求める動きに真っ向から反論した。安倍氏が求める3%の物価上昇についても

一般論と断ったうえで「現実的ではない」と一蹴。日銀法の改正も慎重に検討すべきだとの認識を示した。

白川総裁は物価目標について、80年代後半のバブル期でも消費者物価の上昇率が3%に達したことがないことを踏まえ、

「3%は現実的でない。今まで経験のない物価上昇率を掲げ、政策を総動員すると長期金利が上昇し、

財政再建にも実体経済にも悪影響が出る」と指摘。さらに「国民が望むのは単なる物価上昇ではなく、

雇用や賃金が増加し、緩やかに物価が改善する状態」と述べた。

また、安倍氏が主張する日銀による建設国債の直接引き受けについては

「通貨発行に歯止めが利かなくなり、さまざまな悪影響を及ぼすのは歴史の教訓」と述べ、明確に反対する考えを示した。

政府と日銀の政策協定(アコード)やインフレターゲットの導入に向けた日銀法の改正に言及していることについても

「経済、金融の基本法である日銀法の改正を議論する場合は十分に時間をかけて慎重な検討を行うことが必要だ」と慎重な姿勢を示した。


◆コメント:白川総裁がここまで、政治家の発言に反論したのは初めてです。抑えてますが「激怒」している状態かと。

日銀の白川総裁は東大経済学部卒の生え抜きの日銀マンで、ずっと金融政策を担当する、企画局にいた人で、

金融政策に関しては、素人の政治家にいままでも色々言われて我慢してました。

昨日と今日、月に一度開かれる日銀の金融政策決定会合があり、日銀は金融政策の現状維持を決定したのです。

2012年11月20日 当面の金融政策運営について(現状維持、12時14分公表) [PDF 162KB]

金融政策決定会合があった日の夕方から、日銀総裁が記者会見を行うのが、昔からの慣習です。

いつもは穏やかな、質疑応答なのです。白川さんが日銀総裁に就任したのは2008年4月で既に4年半が経ちます。

白川総裁が、まだ野党党首とはいえ、政治家の金融政策に関する発言にこれほど真っ向から反論したのは初めてです。

日銀総裁という立場上、感情は抑制していますが、「物価上昇率3%は非現実的」というのは、通俗的な言葉に翻訳するなら、
「アホか!そんなの、ホントのインフレじゃないか!」

というところではないか、とおもいます。


私は、過去何度も、物価を押し上げることは日銀の仕事ではないし、いくら市場に資金を供給しても、

総需要がなければ、物価が上がるわけがない、と書きました。

実は、白川総裁も同じ発言をしています。ちょうど3年前の今日です。
◆記事:需要不足時、流動性供給だけでは物価は上がらず=日銀総裁(ロイター 2009年 11月 20日 17:29)

日銀の白川方明総裁は20日、金融政策決定会合後の記者会見で、物価が持続的に下落する根本的な原因は

需要不足だとし、需要不足の時は、流動性供給だけでは物価は上がってこないとの認識を示した。

 <持続的物価下落がデフレの定義なら、政府・日銀間に差はない>

政府が20日の月例経済報告で、日本経済がデフレ状況にあると認定したことについて、

白川総裁は、デフレには様々な定義があるとしたうえで、持続的な物価下落がデフレの定義なら、

日銀の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の考え方と異なってはいないと強調した。

同総裁は「持続的な物価下落は、マクロ的需給バランスが緩和していること、言い換えると需要の弱さの結果として生じる現象」

と指摘した。さらに、そうした状況の改善には「設備投資や個人消費といった最終需要が自律的に拡大する環境を整えることが不可欠で、

家計の将来の安心感や企業の成長期待を確保することが最も大事な課題」と述べた。

そのため日銀としては「家計や企業の経済活動を金融面から支えるために、極めて緩和的な金融環境を維持し、

わが国経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復していくことを今後とも粘り強く支援していく」とした。

量的緩和が、とり得る政策の選択肢に入るかの質問に対しては「経済が大きな流動性制約に直面しているときには、

その時に流動性を供給することが、物価下落を防ぐ上で大きな効果がある」としたものの

「需要自体が不足している時には、流動性を供給するだけでは物価は上がってこない」との考えを示した。

(注:色文字は引用者による)。

まったく同感です。個人消費が増えないのに、消費税増税を決めて、一層消費意欲を政治家が減衰させておいて、

ただひたすら、デフレは、日銀の金融緩和が不十分だからという考え方は正しくありません。

安倍晋三自民党総裁はお見受けするところ、何だかやたらと、気分が「ハイ」になっていて、やたらと大風呂敷を広げます。

世論調査では、12月16日の選挙で自民党(候補)に投票するという人の方が多いそうですが、

安倍総裁がこのように、全然、マクロ経済の基本が分かっていないということ。

前回、2007年5月、党首討論で、当時の小沢一郎民主党代表にたいして、

「宙に浮いた年金5,000万件を1年間で突合する」と公言して9月には腹具合で辞めてしまったこと

などを総合的に考慮すべきだと思います。

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2012.11.19

「ガザ空爆死者91人に エジプトで停戦協議」←アラブ・イスラエル紛争入門。

◆記事:ガザ空爆死者91人に エジプトで停戦協議(産経新聞 11月19日(月)20時25分配信)

イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザ地区への空爆開始から6日目となる19日も、

ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの軍事拠点などへの攻撃を続けた。

ハマスなどもロケット弾攻撃を継続。フランス通信(AFP)によると、空爆開始からのガザでの死者は計91人に達した。

イスラエルのメディアによると、停戦仲介に乗り出しているエジプトの首都カイロでは18日、

イスラエルやハマスなどの当局者が停戦の可能性を協議。ハマス関係者はAFPに話し合いは「前向き」だと語った。

またイスラエルの後ろ盾である米国のオバマ大統領は18日、イスラエルの自衛権を支持する一方、緊張緩和の必要性を強調した。


◆コメント:パレスチナをめぐるアラブとイスラエルの紛争の大元は紀元前になります。

日本は、総選挙の話で持ちきりですが、アラブ=イスラエル紛争の長い歴史と、

絶望的な現状を考えると、誤解を恐れずに言えば、日本の自民VS民主なんて、どうでも良いようなものです。


今、適当な地図が見つからないので、古い紛争地図を用います。

Palestine

レバノンは今回、無視して下さい。イスラエルとガザ地区、ヨルダン川西岸がどのような

位置関係にあるか、ということを分かって頂ければ良いのです。


パレスチナというのは「地名」です。しかし、明確な境界があるわけではない。

イスラエルとヨルダン川西岸、ガザ地区を合わせて「バレスチナ」と思って下さい。

紀元前10世紀頃、ユダヤ人がここに国を創りました。「イスラエル王国」といいます。

イスラエル王国の首都は「エルサレム」でしたが、紀元前586年に、新バビロニアに滅ぼされます。

そのときから、ユダヤ人はパレスチナ人は2500年近く、国を持たず、主にヨーロッパに拡散します。

そしてヨーロッパ中で邪魔者扱いされて、辛酸を嘗(な)めることになります。

この怨念がすごいわけです。


また、厄介なのは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は実は、同じ神様を自分達の神様と思っています。

ユダヤ教の教典が旧約聖書、そこから派生したのがキリスト教で、その教典が新約聖書です。

イスラム教もこの二つから派生したので、元々は同じ神様を信仰しているのです。。

三つの宗教ともエルサレムを「聖地」としているから、エルサレムの取り合いが起きて、揉め事の原因になってます。


◆追い出されて2500年後、第二次大戦後、ユダヤ人が再びパレスチナに国を創ったのが「イスラエル」です。

ユダヤ人はユダヤ教を信仰するし、そして多分、あまりにも優秀でカネ儲けが上手なので、

ヨーロッパ中で嫌われ、差別されます。それが2500年続いたのですから、たまりません。


19世紀から「シオニズム」という祖国再興運動がユダヤ人の間に興りました。

第2次大戦では、ご存知の通りヒトラーによるユダヤ人のホロコーストがあったので、ますます、その機運が高まります。

第二次大戦後、1948年、パレスチナに強引に国を創ったのが現在のイスラエルです。

もともと、パレスチナはユダヤ人のものなんだ!

という訳です。

しかし、ユダヤ人がヨーロッパでちりぢりになっていた間に、アラブ人(イスラム教徒)がパレスチナに

当然、街をつくり、住んでいたのです。それを無理矢理追い出して、イスラエルの樹立を宣言した。

パレスチナ人というのは、「パレスチナに住んでいたアラブ人」ということですが、彼らは隅っこの、

ガザ地区とヨルダン川西岸に追い出されます。これは面白くありません。


これが長い、今なお解決しない争いごとの原点です。


◆中東戦争

中東戦争は大きいのが第一次から第四次まで4回ありました。

第一次は、1948年、イスラエル建国直後、イスラエルと、

これに反発するアラブ諸国(エジプト、サウジアラビア、イラク、トランスヨルダン、シリア、レバノンなど)との争いで、

1949年、国連が停戦勧告を行い、イスラエルと各国との間で停戦協定が結ばれます。

この際、ガザ地区はエジプト領に、ヨルダン川西岸はヨルダン領にするということで、合意が為されたのです。



第二次中東戦争は、スエズ運河をエジプトが国有化しようとしたのに反発したフランスとイギリスが

イスラエルを焚きつけて戦争を始めさせ、自分たちは仲介者の立場をとります。はっきり言ってヨーロッパ人が狡い。

スエズ戦争といいます。アラブ=イスラエル紛争の本質とはあまり関係が無い、イスラエルが欧米人に利用された戦争です。



問題に収拾が付かなくなったのは第三次中東戦争です。

イスラエルが1949年の停戦協定を守って、それ以上、領土を拡げようとしなければ良かったのですが、

イスラエルとシリアの間にある、「ゴラン高原」をイスラエルは狙いました。

1697年、イスラエルは6月5日、いきなり先制攻撃を仕掛け、ゴラン高原、(エジプト領の筈の)ガザ地区、

(ヨルダン領の筈の)ヨルダン川西岸、ゴラン高原、さらに、シナイ半島(アラビア半島とアフリカ大陸の間にある三角形の半島)

をわずか六日間で占領します。エジプトとシリアは怒りました。


第4次中東戦争で、ゴラン高原はシリアが、シナイ半島はエジプトが奪回します。


◆イスラエルはガザ地区やヨルダン川西岸もイスラエルにしたいのです。

だから、ガザ地区を攻撃し、ガザ地区に追い込まれたアラブ人を追い出し、

ここも、イスラエル領にしたい。一方、アラブ側は今のイスラエルに住んでいたアラブ人がガザ地区にいるのですから、

ここを追い出されたら行き場を失う。反発するのは当然です。要するにそのことで、ずっと血で血を洗う戦争が続いてます。

記事を読むと分かる通り、イスラエルの空爆はものすごい。ひどいのは非戦闘員の一般人の集落まで空爆して、皆殺しにしている

ことです。完全にテロリズムです。しかし、これをアメリカが師事するから厄介です。

御存知の通り、アメリカの政財界には多くのユダヤ人がいて、彼らの支持を得ることが、歴代アメリカ大統領の必須課題になっている。

ノーベル平和賞を受賞した、オバマ大統領とも有ろう人が、この非人道的なイスラエルの空爆を「支持」しています。

国連で停戦決議を採択したくても常任理事国であるアメリカが拒否権を発動するから、採択できません。


本当に世界で最も悲惨な地帯です。幼いパレスチナ女の子が人形を拾ったら、実はそれが爆弾で、

子供が肉片と化す。

パレスチナの日本で言えば高校生の年頃の女の子が自爆テロとなり、イスラエル領に突っ込む。

こんなのは、両方が譲歩するしかないのですが、いつまで経っても出来ない。

戦争が如何に悲惨か、今も世界の遠くは慣れたところで、人間の殺し合いが続いています。

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【音楽】11月18日は、カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)の誕生日です。

◆「魔弾の射手」「舞踏への勧誘」のウェーバーです。

社会学者にマックス・ウェーバという人がいますが、19世紀から20世紀(1864~1920)の人で、

まったく関係ありません。

それよりも、作曲家のカルロ・マリア・フォン・ウェーバーの年上の従姉妹、コンスタンツェは、

モーツァルトの奧さんになった人です。

ウェーバーとモーツァルトは親戚同士です(会うことも無かったでしょうが)。


◆【音楽・映像】「魔弾の射手」序曲。カラヤン=ベルリン・フィル。コンマスは安永さんです。

この他、非常に貴重な映像が満載されている、DVD、ベスト・オブ・カラヤンの遺産は、なんとDVDなのに1,770円で、

別に私はソニーの関係者ではありませんが、非常にお買い得だと思います。

魔弾の射手だけ。コンマスは安永徹さんです。


この映像の記録を見ると、1985年のジルベスター(大晦日)コンサートです。

1985年は、安永さんがプローベ・ツァイト(試用期間)を終えて正式にベルリン・フィルのコンサートマスターになった年です。


DerFreischutzOverture (歌劇「魔弾の射手」序曲)






今となっては懐かしい、クラリネットのカール・ライスター氏をはじめ、挙げ始めたらキリがない。

神様のような、大スター・プレーヤーばかりです。

冒頭のホルン四重奏は本当に美しく、讃美歌にもなっていますが、ホルンというのは、

ごく標準的には4本一組で、高音域担当の1,3番と低音域担当の2,4番がいます。

もちろん、どちらの担当も全音域を吹けるのですが、慣習的に「低音域担当ホルン募集」などと書いてあります」

このホルン四重奏も一人がずっと旋律を吹いているのではなくて、交互に吹いているあたり、興味のある方はご覧下さい。


◆私が生まれて初めて買った「LP レコード」は、「ウェーバー序曲集」でした。

中学から高校に書けて、NHK交響楽団は「青少年の為のプロムナード・コンサート」を、NHKホールで、

また、東京都交響楽団は「ファミリー・コンサート」を杉並公会堂で、良く企画してくださいました。

どちらも、チケットが500円だったと思います。この頃が私が最も生のオーケストラを頻繁に聴いていた時期ですが

偶然でしょうが、ウェーバーの序曲がよく、演奏され、なかでも比較的マイナーな「リューベ・ツァール」序曲が

演奏されました。


この曲は不思議で原語でも邦訳でも作品名が複数ありまして、「リューベツァール」=「精霊の王者」=「霊界の支配者」

そして現在は「幽霊の支配者」(Der Beherrscher der Geister (Ruler of Spirits))で落ちついているようです。

どうしてこうなるのか、色々調べるのですが、よく分かりません。


細かい弦楽器群や、それとユニゾンで吹くファゴットが大変難しそうです。

私が初めて買ったレコードの復刻版、

ウェーバー:序曲集(オトマール・スウィトナー=シュターツカペレ・ベルリン)をお薦めします。


「精霊の王者」(リューベツァール)序曲






中間部で、トランペットのコラールの後に、ティンパニ・ソロが入ります。ここは少し不自然なくらいのフォルティッシモで

演奏するとちょうど良いと思います。生で何度も聴いた経験から、そう思います。


◆クラリネットとウェーバー。

クラリネットは、あの天才モーツァルト晩年に五重奏曲と協奏曲、2曲もの不朽の名曲を残したほど、

好んだ楽器です。楽聖モーツァルトに愛された、誠に羨ましい楽器ですが、

カール・マリア・フォン・ウェーバーもまた、どう見てもこの楽器が好きで仕方がなかったようです。

クラリネット協奏曲を二曲、その他に小協奏曲、さらに室内楽で、クラリネット五重奏曲まで書いている。

全てが一枚に収まっているのは、これです。

ウェーバー:クラリネット協奏曲第1番, 第2番/クラリネット・コンチェルティーノ/クラリネット五重奏曲(クリーク/ニュー・ヘルシンキ四重奏団/フィンランド放送響/オラモ)

オーケストラも指揮者も、ソリストも有名ではありませんが上手いと思います。


クラリネット小協奏曲がちょうど良いながさなのでこれにします。

最初3分ぐらいは何やら重苦しいですが、再生開始後3分ぐらいから、ソロ・クラリネットの華やかな動きを

堪能できます。全曲で10程度の曲です。


ウェーバー:クラリネット・コンチェルティーノ ハ短調 Op. 26 J. 109






クラリネットの特性・魅力を、ウェーバーは、大変良く理解しています。

クラリネットは音域が広く、低音域・中音域・高音域それぞれ音質が違います。

その特徴を上手く使い分けられるかどうかが、或る作曲家のクラリネットへの理解度を測る

物差しの一つだと思います。お楽しみ頂ければ幸いです。

それでは。

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2012.11.18

【雑感】私には「散文的」な文章しか書けない、という「コンプレックス」があります。

◆10年以上もWeb日記・ブログを書いていますが・・・。

2002年4月15日にWEB日記エンピツに自分のアカウントを開いてから、

書いた記事の総数は、今日のこの記事で3,442本目になります(総記事見出し一覧

子供の頃、「今年こそ」と思い、「当用日記」を元旦から書き始めたことがありますが、文字通りの3日坊主で、何回やっても一週間続いたことが

無かったのですから、このように、ネットに公開し、日本語を理解できる世界中の(大袈裟ですが原理的には、そういうことです)方に読んで頂く、

ということが、これほどの「励み」、文字通り書き続ける原動力になる、とは自分でも想像していませんでした。

その意味では、これは、私の意識の中では、「人生最初かつ唯一の偉業」なのです。


しかし、読み返してみると恥ずかしい文章の方が遙かに多い。頭が良くないので、文章が冗漫ですし、

ボキャブラリーが貧困で、誤字脱字も多い。しかし、最も恥ずかしいことは、これは才能なのでどうしようもありませんが

自分の文章が全て「散文的」である、いや散文そのものばかり、ということです。

「散文的」を広辞苑でひきますと、

詩情に乏しいさま。散漫で無趣味なさま。

とあります。反対語は「詩的」です。私は若い頃から詩的な文章が書けません。

書いてみようと試みたことはあるのですが、自分でも顔が赤くなるぐらい、話になりません。

しかたがないことですが、本当は、こういう文章を書ける感受性・才能を持ちたかった、

と、思うのは、毎日新聞の音楽記者(編集委員)梅津時比古(うめづときひこ)氏のコラムを読むときです。

<音のかなたへ>というコラムで、不定期ですが、1ヶ月に2,3度、掲載されます。


ずいぶん長く続いていて、過去の記事は本になっています。音をはこぶ風日差しのなかのバッハ非日常と日常の音楽 といずれもマーケット・プレイス(古本)ですが、

これ、一時期は殆ど古本屋にも在庫が無かったのか数千円から一万円以上もした時期がありました。

それは、さておき、梅津時比古氏は日本で唯一の本当のクラシック音楽専門記者、と

言って良いと思います。全国紙でも他紙は、読むと分かるのですが、本当に分かっている人がいません。

梅津氏は音大こそ出ていませんが、音楽への造詣が深いことはよく分かります。

演奏会評は、時に非常に辛辣なこともありますが、それは当然として、

コラム「音のかなたへ」は、非常に詩的な感受性にあふれています。例えば、

「音をはこぶ風」77ページ。
「冬を追い出すカーニバル」

 喜び、悲しみやおとおしさは、こみあげて、はじける。

凍りつくような二月のケルン。“バラの月曜日”に、朝早くから市民が顔に朱を塗り

ピエロのような思い思いの仮装を施し、メーン・ストリート沿いに集まる。

シュナップス(酒)で体を暖め、笑い声が交錯する。謝肉祭(カーニバル)。

 やがて、おびただしい花に囲まれた馬車、美しいお城に変じたトラック、華やかな服をまとった

子供の楽隊などが次々に登場し、半日近く切れ目無く行進する。馬車や車の上から、チョコレート、ボンボン、

花、小さな香水などをばらまきながら。沿道を埋めた人々は歓声をあげ、手づかみで、あるいはカサを広げて

菓子や花を取り合う。

 復活祭の四十日前、精進に入る前に食べて飲んで浮かれておこうという思いと、

長い冬をこらえていた感情が重なって、爆発する。

 ケルンの謝肉祭は、シューマンが住んだラインラント地方を代表する祭り。シューマンはピアノ曲「謝肉祭」で

自分の恋人や、少女クララ、友人ショパンを描き分け、仮装させる。泣き笑いがこみあげ、はじけて消える。

もう一つだけ。同じ「音をはこぶ風」68ページ。
超絶技巧に込められたもの

 パガニーニがヴァイオリン曲に刻み込んだ超絶技巧には、安易なものへの拒絶のにおいがする。

適当な技巧で美しく聞こえるような曲など望むな! 弾けもしないのにツベコベ言う批評家もどきが多すぎる!と、

たたきつけているよう。実際、彼の曲を完璧なテクニックで弾かれると、黙らざるを得ない。ピチカート、フラジョレット、

独自の運弓法などが輻輳(ふくそう)し、ヴァイオリンの表現の幅を恐ろしいほどに広げている。

 代表作の一つ「モーゼ変奏曲」は、ロッシーニのオペラ「モーゼ」から取られた主題が素朴で美しい。

だが奏者は、G線一本で高音域をかなでる苦闘をしいられる。

 オペラでは、出エジプト記で知られるモーゼと民衆が追い詰められ、紅海を前にした砂漠で神に祈る時に歌われる。

頭上に手を組み、奇跡を願って祈る姿を見ていると、パガニーニがなぜ楽に弾ける高音弦を使わなかったのか分かるような気がする。

 決して超絶技巧だけを求めたのではなく、彼は苦しみの果てに歌われる人間の声を、表したかったのだろう。

いずれも、言葉の美しさと表現の豊かさに陶酔してしまいます。

それに比べて自分の文章の何と凡俗で野卑で散文的なことか。

詩的な文章を書くには、非常に繊細な感受性と、それを言語化できる天賦の才が必要なのでしょう。

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2012.11.16

「NHKアナ、痴漢容疑で逮捕=「おはよう日本」担当―警視庁」←NHKが謝罪文を掲載しているのは正しくない。

◆記事:NHKアナ、痴漢容疑で逮捕=「おはよう日本」担当―警視庁(時事通信 11月15日(木)11時6分配信)

電車内で女性の体を触ったとして、警視庁玉川署は15日までに、強制わいせつ容疑で、

NHKのニュース番組「おはよう日本」担当のアナウンサー森本健成容疑者(47)=千葉県浦安市日の出=を現行犯逮捕した。

同署によると、当時酒に酔っており、「触った覚えはない」などと、容疑を否認している。

逮捕容疑は14日午後7時45~55分ごろ、東急田園都市線渋谷―二子玉川駅間を走行中の急行内で、

都内に住む女子大学生(23)の胸を触った疑い。

同署などによると、森本容疑者は14日正午すぎまで東京・渋谷のNHK本部で番組の打ち合わせをした後、

同僚数人と酒を飲んで帰宅する途中だった。

被害に遭った女性がその場で取り押さえ、二子玉川駅員に引き渡したという。


◆コメント:NHKが「職員の逮捕について」というプレスリリースで「謝罪し」ているが、正しくない。

何故なら、真実は何かがまだ分からないからである。

現在、わかっていることはNHKのアナウンサーが、痴漢の「容疑」で取り調べを受けている、ということだけだ。

しかし、他のメディア(テレビ・新聞など)は、あたかもすでに、森本アナウンサーが起訴されて、有罪判決が確定したかと

錯覚するほど、
やったにきまっている。
というアングルで報道している。これは良くない。

一番良くないのは、当のNHKである。NHKのサイトには、NHKについて 視聴者のみなさまへ/お知らせというコーナーがあり、

本日付で

【11月15日】 「職員の逮捕について」を掲載しました。(PDF 105KB)

とプレスリリースが乗っているので、中を見る。
職員の逮捕について

とあり、「NHKのコメント」には、
ニュースのキャスターを務めている職員が逮捕されたことは誠に遺憾であり、

関係社や視聴者の皆さまに深くお詫びいたします。事実関係を調べたうえで、厳正に対処いたします。

とあるが、まったく理解できない。

NHKのアナウンサーが痴漢の容疑で逮捕された、ということ「だけ」が現在断定出来る事実である。

痴漢の物的証拠はなく、仮に起訴をするとしても、証拠として採用されるのは「被害者の証言」と「自白」だけである。

こんな曖昧な話はなく、冤罪も多い。実際に故意に構成要件に該当する行為を実行したならば、責を免れないが、

冤罪だとしても、本人や家族の人生が狂ってしまう。だから「Shall we ダンス?」の周防正行監督が、

それでもボクはやってないDVD)を制作したくらいである。

本件において、森本アナウンサーは「容疑」をかけられている。それだけが確かな真実である。

刑事事件の取り調べにおいて、一番大事なことは、「本当は何があったのか」を明らかにすること。

即ち、事実認定、である。

そして繰り返すが、痴漢の「証拠」は「被害者の証言」と「自白」しかない。

被害者の証言が本当かどうか、分からない。

また自白については、つい先日、「遠隔操作ウイルス」を利用した犯行予告事件で、4人もの人が

誤認逮捕され、しかも、その中の少なくとも二人は、実際には身に覚えのないことを「自白」していた

という、とんでもない出来事があったのをメディアと世間は、もう忘れたのであろうか?

「容疑」がある、として取り調べを受けているが、まだ起訴されたわけでもないし、

仮に起訴されたとしても,有罪判決が下るかどうか、分からない。


NHKが今日プレスリリースで「謝罪し」たが、「本当は何があったのか」事実関係を調べるのは警察の

仕事だし、厳正な処分をする、とか、しない、とかは、容疑者が刑事被告人となり、有罪判決が

確定したときに、初めて使うべき表現だ。

だから、私は、メールによるご意見・お問い合わせからNHKに

抗議のコメント送った。
視聴者のみなさまへのWEBページに、強制わいせつの疑いで逮捕されたアナウンサーの実名を載せて謝罪していますが、

事実認定は完了しておらず、当該アナウンサーが違法行為を故意に行ったのかどうか、まだ分からない、という状況で、

謝罪することは要らぬ誤解の元になると思います。事実関係を警察が取り調べ中である、ということだけを書くべきです。

くどくなるが、もう一度整理すると、

私は、森本アナが痴漢行為を実行していないだろう、とも、実行しただろう、とも書いていないし、考えていない。

「何が真実か分からない」のが現在の状況である。それは、そのまま中立的に報じられるべきであるのに、

NHK自身のプレスリリースや、他のメディアの報道は、あたかも痴漢行為の既遂が確認されたかのような印象を世間に与える。

それは、間違っている、と、私は述べている。

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2012.11.14

「首相“定数削減なら16日解散”」←意味がわかりません。

◆記事:首相“定数削減なら16日解散”(NHK 11月14日 18時15分)

衆議院の解散を巡って政局が緊迫するなか、野田総理大臣と自民党の安倍総裁らによる党首討論が行われ、

野田総理大臣は、安倍総裁らが衆議院の定数削減を来年の通常国会までに実現することを確約すれば、

16日に衆議院を解散する考えを表明しました。

これに対し、自民党は、野田総理大臣の提案に協力する方針を決定し、

政府・民主党は、具体的な解散・総選挙の日程の調整を進めることにしています。


◆コメント:今は解散・総選挙などしている場合ではない、と思います。

野田首相は、あまりの党内外のゴタゴタで思考が混乱したのでしょうか?

私は今日、ニュースを追っていて、訳が分からなくなりました。

今日、午後2時半過ぎのNHKニュースでは、

◆記事:首相“解散すると申し上げるつもりない”(NHK 11月14日 14時36分)

野田総理大臣と国民新党の自見代表が会談し、自見氏は、衆議院の年内解散に反対する考えを伝えたうえで、

14日の党首討論で、解散について言及しないよう求めました。

自見氏によりますと、野田総理大臣は「『解散する』などということは申し上げるつもりはない」と述べたということです。

と、報じられました。ところがそのわずか、1時間後。
◆記事:野田首相「16日に解散してもいい」 定数削減確約なら(日経電子版)(2012/11/14 15:22)
野田佳彦首相は14日の党首討論で、衆院解散について

「自民党が次期通常国会での定数削減を確約するなら、今週末の16日に解散してもいい」と述べた。

自民党の安倍晋三総裁の質問に答えた。

というニュースを読んだのです。

正確には、14時36分のNHKニュース、「解散すると申し上げるつもりない」は国民新党の自見代表を通しての伝聞で、

15時22分の「16日に解散してもいい」のは野田首相と安倍晋三自民党総裁との党首討論が映像に記録されているので、

1次情報(直接的情報)に近いです(本当の1次情報は、自分の目で見た情報です)。


それにしても、一日の中で、首相が衆議院の解散について安易に発言し、しかもその内容が

午前と午後では正反対、は問題です。


◆何が問題か?衆議院解散から総選挙、組閣、臨時国会まで審議が中止します。

今、民主党が政権を取ろうが自民党が取ろうが、どっちにしろ、「この人に任せれば大丈夫」というのは

いないのです。衆議院解散から総選挙まで、議員達はまた、当選することで頭がいっぱいになり、

本来の「国・国民の為」に存在することを忘れ、選挙対策に血道を上げる。その間、国会審議は止まる。それが問題です。


◆国政の最重要課題は「定数削減」ではない。

野田首相の思考はどうなっているのか、訳がわかりません。

まず、「何故、定数削減が、至上課題なのか?」ということです。

一票の格差に関して、最近、司法が「違憲」と言う判断を下してますが、

そんなの前から言われていることで、今、どうしても緊急的に決めなければいけないことではない。

定数を削減すれば、国会議員の歳費に使う税金が減りますが、それならば、、定数をいじらなくても、

国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律を改正して、

今、国会議員の歳費(月給)だけで、

第一条  各議院の議長は二百十七万円を、副議長は百五十八万四千円を、議員は百二十九万四千円を、それぞれ歳費月額として受ける。
とありますが、その他にも、文書通信交通滞在費を100万ももらっている。
第九条  各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として月額百万円を受ける。

キリがないので、省略しますが、国会議員に皆なりたがるのは、こういう「美味しいこと」があるからです。

国民が所得が減少して苦しんでいるのに、真面目に税金を納め、その税金から国会議員の給料が支払われているのに、

これが減らないのは、納得できない。要するに国会議員の収入を半分にすれば、少なくとも「無駄な税金」を減らせます。

定数削減しなくても、経済的には同じ効果を瞬間的にもたらします。それを、言わないのが政治家の狡いところで、

国会議員になるからには、今と同じ「美味しい特権」を享受したい。自分たちのことばかり考えているのが、明白です。

今度は単純にまた、自民党が与党になるのでしょうが、そんなのはどうでも良い。


政治家は、まず、国民の利益を代表しているのに、どう見ても、今、そんなことは彼らの頭から飛んでいます。


◆まず、福島第一原発の処理、全原発の廃炉の決定です。

まずやるべき事は、先日も書きましたけれども、人間が住める環境を、日本の領域内に確保することですから、

福島第一原発の、どこにあるのか分からない、メルトダウンした核燃料の所在の確認とその石棺に注力するべきです。

それから、大飯原発や柏崎原発の断層を調べるとかなんとかいってますが、調べてもいいですけど、

悠長なことを言っている場合ではない。断層があったら、原発再稼働しないとか、既に再稼働した大飯を止めるとか

何とか言ってますが、運転していようがいまいが、原子炉圧力容器には核燃料が入っていて、直下型地震が起きたら、

どんな建造物も壊れるのですから、のこり53基の原子炉は全て廃炉にするという決定をするべきですが、

国会で原発の話をしているのを最近見ていません。本会議でも諸々の委員会でも、今日の党首討論でも。


野田首相、安倍自民党総裁両方に

あなた方、何を考えているですか、政権争い以前に、日本そのものが潰れたらおしまいでしょう。

野田首相、安倍総裁だけではありません。他の政治家も官僚も財界人も国民もマスコミも、

「日本が放射能で極度に汚染されたら、国自体が終わりだ」ということからどうして目を逸らすのか、不思議でなりません。


◆景気対策。今週月曜に発表された7月-9月のGDPは三期ぶりに前期比マイナスでした。

内閣府が12日発表した2012年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、

物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%減、年率換算で3.5%減でした。

マイナス成長は3四半期ぶりです。実質は「量」ですが、今はデフレですから問題は名目です。

名目成長率は前期比マイナス0.9%(年率3.6%減)でした。

いくら金融緩和を政治家が日本銀行に求めたところで、資金需要がないのですから、物が売れない。

売れなければ、需要と供給の法則で物価は更に下がります。私は何度も書いています。

来年4月で任期を終える白川総裁も、さすがにエコノミストとして本当のことを言いたくなったのでしょうか。

日本経済新聞に白川発言が載っていました。

◆記事:日銀総裁、過度な緩和期待けん制 外債購入「必要ない」(日本経済新聞 11月13日(火)朝刊)

日銀が市場や政界で高まる金融緩和への期待をけん制し始めた。

白川方明総裁は12日の衆院予算委員会で市場で根強い日銀による外債購入論は「必要ない」と主張した。

白川総裁は同日午前の講演でもデフレ脱却へ「最大限の努力を続ける」とした上で日銀批判に反論。

市場に供給するマネーを欧米のように積極的に増やすべきだとの主張には、リーマン・ショック後に増やした

資金供給量の名目国内総生産(GDP)比率は米欧と「同規模だ」と訴えた。

日銀が総裁講演などで「日銀批判」をテーマに取り上げて反論するのは異例だ。

緩和圧力が高まっていることへの警戒感が日銀内で広がっていることが背景にある。

さらに、
◆記事:日銀総裁、インフレ目標設定に否定的(産経新聞 2012.11.13 05:00)

日銀の白川方明総裁は12日、都内で講演し、デフレ脱却に向けて日銀がインフレターゲットを設定すべきだ

との意見に対し「物価も賃金も上がらない状況が長く続いた日本経済では現実的でない」と述べ、否定的な見解を示した。

その上で、デフレ脱却には経済成長力を強化し賃金の引き上げを実現することが不可欠と強調。

企業の新規事業の開拓が重要で「思い切った規制緩和など政府の役割も大きい」と注文を付けた。

全面的に賛成であります。

私は、今まで、何度も、いくら金融緩和、つまり金利は既にほぼゼロなんですから、日銀が国債などを買い取り、

資金を金融市場に供給しても、「総需要を喚起しないければ」つまり「個人消費が増えるように」減税するとか、

財政出動により公共事業で、需要創出しないと、デフレからは抜け出せない、という趣旨の記事を書いています。

白川総裁も要するにそういうことです。日銀ばかりに頼るな、と。

そういうことを、議論するのが今、政治家のやるべき事の2番目です。


いずれにせよ、選挙なんかして時間とおカネを無駄にするべきではありません。

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2012.11.12

23年前(1989年)の11月13日、日本で初めての生体肝移植が行われました。

◆今年で10回目になりますが、同じ事を書き続けます。

日本人は良いことも悪いことも、何でもすぐに忘れます。

しかし、偉大な決断と行為、それを実行した人々のことは、永遠に語り継がれるべきです。

1989年11月13日、日本で初めて、当時の島根医科大学第二外科の永末直文助教授が、

生体部分肝移植手術を行いました。

日本では、1960年代に北海道の大学病院で「脳死心臓移植」が行われたのですが、

ドナー(臓器提供者)に十分な蘇生は行ったのか?脳死判定は適切だったのか?などが大問題となり、

執刀医には殺人容疑まで掛けられ、以後数十年、日本では「臓器移植」は医学界のタブーだったのです。

それを「最初に破る」決断は物凄い勇気だと思うのです。

以下は、毎年同じ文章ですが、今年初めてお読みの方もいらっしゃるでしょうし、事実は一つですから、

あれこれ違う書き方をする必要はない、と思うのです。

以下、この段落と内容が重複する部分がありますが、昨年書いたことを、そのまま載せます。


◆偉大な行為が忘れられてはならない、と思います。

毎年、11月13日は、余程の突発的事態が起きない限り、これを書き続けています。

1989年11月13日、今は島根大学医学部になってしまいましたが、

島根医科大学、第二外科の永末直文助教授(当時)のチームが

日本で初めての生体部分肝移植手術を行った日です。


日本では、1968年に初めての臓器移植手術が行われました。

それは、札幌医科大学で、故・和田寿郎医師(1922年3月11日 - 2011年2月14日)による心臓移植手術でしたが、

何しろ43年も前のことで、今のように臓器移植コーディネーターなど存在せず、

脳死判定基準も、臓器移植に関する法整備も全然対応出来ていなかった、等の背景があり

また、心臓のドナーが、現在で言う所の臨床的脳死、法的脳死の条件を満たしていたかも

定かではなく、和田医師が殺人罪等で刑事告発されるという大事件になってしまいました。

記述内容の信頼性を私は検証できませんが、事態の概略はWikipediaの

和田心臓移植事件に書かれています。


和田医師の医療行為の医学的妥当性に関しても、当然、私は論評できませんが、

確かに云えることは、この「事件」以来、日本の医学界では

「臓器移植」が完全に「タブー」となってしまい、

その後の日本の臓器移植医療技術の進歩に遅延が生じたことです。


1989年に島根医科大学第二外科が行った生体部分肝移植手術は、

「生体」の二文字でわかるとおり、脳死移植とは異なる手術ですけれども、

とにもかくにも、長い間日本の医学界で最大のタブーであった「移植手術」の

実行を決断した、永末先生と島根医科大学は立派でした。

私は医者ではないけれども、このとき、移植手術を行う決断をする勇気は、

我々の想像を絶するものだったことは想像に難くない。

後述しますが、永末先生は手術が失敗したら勿論、成功しても、医学界や

ロクに勉強していないマスコミや、身勝手で感情的な世論のバッシングを受けて、

大学を去る、つまり、研究活動を諦めることになること、いや、それどころか、

医師免許を剥奪されることすら、覚悟をしていたのでした。


余談ですが、映画化された「孤高のメス」の主人公、当麻鉄彦医師のモデルは、

だそうです。孤高のメスの年代設定をよくご覧頂くとわかりますが、映画の当麻医師が脳死肝移植を行うのは、

歴史的事実である島根医大の生体部分肝移植と同じ1989年です。


兎にも角にも日本人は、良いことも悪いことも直ぐに忘れる。

いつまでもネチネチ人を恨んだりしないのは良いところかもしれませんが、

世の中で為された立派な行為、業績を忘れてはいけないとおもうのです。

だから私は毎年生体肝移植をリマインドするのです。

日本の人口は2010年の国勢調査によると、約1億2千8百万人だそうですが、

こんなことをしているのは、私だけではないか、と思います。


◆そもそもの始まり。

移植手術の患者は、生後間もない杉本裕弥ちゃんでした。生後1ヶ月検診で黄疸がある、と言われました。

山口県玖珂郡和木町、岩国市のすぐ北、広島との県境で開業していた木村直躬医師に、

裕弥ちゃんのおばあさんが、そのことを告げました。1988(昭和63)年12月のことです。

木村先生はエコー(超音波)で、ただちに、杉本裕弥ちゃんが、先天性胆道閉鎖症という病気である、と診断しました。

先天性胆道閉鎖症とは、生まれつき胆汁が流れ出る道がふさがっていて、胆汁が肝臓へ流れていかないので、

黄疸が段々強くなり、しまいには、肝硬変で死に至る病です。


◆杉本裕弥ちゃんは、移植以前に、胆道閉鎖症の専門家による手術をうけましたが、上手く行きませんでした。

この世に生を受けて間もない赤ん坊が、可哀想なことに、何度も手術を受ける運命にあったのです。

木村先生の紹介で、地元山口県の国立岩國病院の小児外科により、胆管を何とか開く手術が行われました。

1度では上手く行かず、2度目の手術も失敗でした。

岩國病院の担当医から、木村先生(最初に裕弥ちゃんを診察した開業医の先生)の元に、手紙が来て、

「この子の予後はホープレス(望みがない)」とのことでした。残酷な宣告です。

それでも、裕弥ちゃんの家族は諦めませんでした。

木村先生に、何とか手段は無いか、と聞きました。先生は肝移植以外に道はない。といいました。

日本では、移植手術はタブーとされていました。

1968年札幌医大で行われた日本初の心臓移植手術の失敗が、その背景にありますが、その説明は省きます。

日本木村先生はオーストラリアの病院に問い合わせましたが、オーストラリアの病院は

「生体肝移植は難しくて無理だ。」という、つれない返事をよこしてきました。

しかし、木村先生も諦めませんでした。


◆木村先生は、「移植手術を頼むなら、島根医大の永末先生しかない」と考えました。

木村先生の頭に浮かんだのは、九州大学医学部の後輩で、広島赤十字病院で同僚だった永末直文医師でした。

木村先生は内科、永末先生は外科ですが、肝臓を専門とすることで共通していました。

木村先生がエコーで肝臓ガンを診断し、永末先生が切除可能な肝ガンの手術を6年間で200例も手がけていました。

木村先生は「生体肝移植を頼むなら、(島根医大に移った)永末君しかいない」と思いました。

永末先生は、最初あまり乗り気ではなく、オーストラリアの病院で手術を受けることを進めました。

これは、前述の通り当時の日本の医学界で「移植」という言葉はタブーだったのです。

このタブーを破った医師は、医師生命を絶たれる危険がありました。ですから、最初に永末先生が積極的ではなかったことも、

無理からぬことだったと言って良いでしょう。

ところが、木村先生は諦めませんでした。講演のため、広島に来た永末先生に会い、

とにかく裕弥ちゃんの診察だけでもしてくれ、と、頼みました。永末先生は引き受けました。

永末医師が初めて診る裕弥ちゃんは、黄疸が強く出ていて、溜まった腹水でおなかがパンパンに膨れて、静脈が浮き出ていました。

既に食道静脈瘤が出来ている可能性があり、これでは、いつ吐血してもおかしくない。

吐血しなくてもあと1ヶ月ほどの命、と永末先生は思いました。まだ、生後一年経っていない赤ん坊が肝硬変です。残酷な現実でした。

裕弥ちゃんの体力が移植手術に耐えられるか、五分五分だと考えました。


◆永末先生は裕弥ちゃんの家族にありのままを話しました。

永末医師は家族に客観的事実を説明しました。それは、


  • 正確なことは精密検査をしないと分からないが、移植手術は出来そうなこと。

  • 但し、島根医大の永末医師のグループでは生体肝移植の経験がないので、上手くいくかどうか保証できないこと。

  • 手術まで持ち込めても、裕弥ちゃんの全身状態があまりにも悪いので、手術に持ちこたえられずに亡くなる可能性も高いこと、


という内容でした。決して楽観出来る話ではありません。しかし、家族は必死でした。

永末医師は特に裕弥ちゃんの祖父政雄さんの言葉を強く覚えています。
このまま裕弥を死なせたら悔いが残ります。明弘(引用者注:裕弥ちゃんの父)の命に別状がないのなら、結果は問いません。是非手術をして下さい。

そして、政雄さんは、裕弥ちゃんの両親に言いました。
「明弘、寿美子さん。お前たちが両親なんだから、お前たちからはっきりお願いしなさい」

15秒ほどの沈黙の後、それまで寡黙だった明弘さん(裕弥ちゃんの父)が永末医師を正面から見つめ、言いました。
「お願いします」

その言葉に永末先生の気持ちが動きました。

「この人達は裕弥ちゃんを助けようと必死になっている。移植手術未経験だというのに、頼むという。

ここで失敗を恐れて背を向けたら、医師として最も大事なものを失ってしまう」と思ったのです。


◆永末先生は、島根医大第二外科全員に「この手術を断るぐらいなら、明日から肝移植の研究など止めてしまおう」と言いました。

永末先生の気持ちは固まりました。

当時永末先生は助教授でしたから、第二外科の部長中村教授の了解も取り付けました。

自分の研究室に戻った永末先生は、肝臓グループの医師たちに、裕弥ちゃんの生体肝移植を引き受けることにした、と言いました。

医師達は全員無言になりました。

「日本で初めての生体肝移植」であることに加え、裕弥ちゃんの症状が悪すぎる、と専門医たちは誰もが思ったのです。

スタッフが躊躇っているのを見て、永末先生は、言いました。

「赤ちゃんは死にかけている。家族は結果は問わないからやってくれという。責任は全て私が取る。目の前の赤ちゃんを救えないような研究なら意味は無い。もしこの移植を拒むなら、明日から移植の研究など止めてしまおう

第二外科の河野講師(当時)はこの言葉を聞いて、身体が震えたといいます。皆同じ心境だったことでしょう。


◆中村教授は「永末君、君は全てを失うかも知れない、本当にそれでいいのか?」と心配しました。

手術を行うことが決まってから、永末先生は、中村教授の部屋で何度も話し合いました。

中村先生は、心配していました。

「永末君。僕はもう13年もここの教授をしていて思い残すことはない。福岡へ帰れば済む。

しかし、君はこの手術で全てを失うかも知れない。僕はそれがいちばん心配だ。本当に君はそうなってもかまわないのか」

その都度、永末先生は答えました。
「先生。大丈夫です。誰かがやらなければならないことを、私たちがやるだけです。これで弾劾されたら、福岡へ帰って開業します」

この言葉は、決断―生体肝移植の軌跡という本(是非、読んでいただきたい)で永末先生自身が書いている言葉です。

しかし、本当はもっと悲痛な覚悟でした。

後年、NHKの「プロジェクトX」に出たとき、永末先生は、医師を辞めることさえ覚悟していた、と話しました。

「私は英語が得意なので、学習塾の英語の先生をすれば、食べていけると思ったのです」

淡々と語る永末先生を見て、私は心の底から、永末先生を尊敬しました。

これほど立派な医師を見たことがありません。

裕弥ちゃんの移植手術そのものは成功しましたが、その後、ありとあらゆる合併症が起きました。

そして、手術から285日後、1990(平成2)年8月24日、午前2時32分、亡くなりました。1歳9ヶ月の生涯でした。

家族は、手術とその後の肝臓チームのすさまじい努力、裕弥ちゃんを救おうとする苦労を目の当たりにしていたので、

チーム全員に丁重にお礼をいいました。後年、裕弥ちゃんの弟が生まれました。

母親の寿美子さんは、永末直文医師の「直」と裕弥ちゃんの「弥」をとり、「直弥」と名付けました。

島根医大第二外科が初めての生体肝移植をしたのを見届けるように、その後、京大、信州大が、数多くの生体肝移植を成功させました。

それはそれで、良いことです。

しかし、何と云っても、「最初にやる」ことを決断する勇気と覚悟は、2番目以降とは比べものになりません。

島根医大第二外科の英断と死にものぐるいの努力がなければ、こうした道は今も開けていなかったでしょう。

島根医大は、今は島根大学医学部になってしまいましたが、それはこの歴史的事実の価値に比べればどうでも良い。

永末先生とそのチームの偉業は、日本の医療の歴史に永遠に刻まれるでしょう。

永末先生が中心となり、当時の移植チームのメンバーが、思いを綴った本、決断―生体肝移植の軌跡を是非、読んで下さい。

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「東京 脱原発大規模デモ」(NHK 11月11日 20時38分)←3月に始まったのですけどね。

◆記事:脱原発大規模デモ(NHK 11月11日 20時38分)

東京の総理大臣官邸や国会の周辺では、原子力発電所に反対する市民グループが呼びかけた抗議活動が行われ、

集まった人たちが福井県の大飯原発の運転停止などを訴えました。

この抗議活動は、毎週金曜日に総理大臣官邸前で原発に反対する活動を

続けてきた市民グループが呼びかけて行われました。

11日は、総理大臣官邸や国会議事堂、それに霞が関の周辺で、午後3時ごろから

のぼりやプラカードなどを持った人たちが歩道に集まり、

「大飯原発の再稼働反対」「原発はいらない」などと叫びながら訴えました。

埼玉県桶川市から4歳の息子と参加した40代の母親は、

「子どものことを考えると原発はなくしてほしいと訴えたくて参加しました」と話しました。

また千葉県柏市から来た60代の男性は、

「大飯原発の運転再開はあり得ません。

これだけ多くの人が原発に反対する声をあげていることを、政府にわかってほしい」と話していました。


◆コメント:3月から毎週金曜日に行われていますので、「今さら」の感は否めませんが・・・。

毎週金曜日に首相官邸や国会議事堂前で「反原発デモ」がおこなわれるようになり、

それは、当初「ネット・ジャーナリスト」ばかりが報道していて、テレビや大手新聞は知っていたクセに無視していたのですが、

夏頃からでしょうか。遂に、無視できないほどの規模と、大抵のことは何でもすぐに忘れる日本人なのに、

このデモに関しては、継続的、反復的に行われているということの重大性に、マス・メディアが気がついたようです。


しかし、困ったことに、国政の最高責任者である首相や国家権力、財界人が分かっていないのです。

経団連なんか、早く原発を再稼働すべしと繰り返し言っていますが、無責任です。


◆昔と違って、もはや誤魔化したり、隠したりすることはできない、ことを国家もメディアも認識するべきです。

誤魔化したり・隠したりというのは、まず、原発の危険性という点にに関して。

以前、政府は「原発は絶対安全」と言っていたのです。私の記憶だけだと少し曖昧ですが、確か

「原発は、この世で一番堅牢な建造物だ」とか「たとえ、ミサイルの直撃を食らっても、壊れない」などという文字を、

読んだ事がありますが、なんのことはない。地震津波で、しかも、東日本大震災の震央から約180キロも離れていても、

壊滅的打撃を受けたのです。

これですっかりウソがばれました。東電や国家はしきりに「放射能は大した事は無い」ことにしたがりましたが、

小出裕章京都大学原子炉実験所助教の数々の著書や、小出助教にほぼ毎日質問して現状の深刻さを伝えつつづけた

MBS・毎日放送「たね蒔きジャーナル」(9月末で放送終了)が与えて下さった情報により、本当は物凄い量の放射性物質が、

311後の水素爆発のときに、ほぼ地球全体に飛び散り、厳密に言えば、もはや地球上、福島原発から拡散した放射性物質で汚染されていない場所は

全く無いこと、がわかりました。


いくら、政府や各電力会社が「ストレステストの結果、安全が確認された」と言っても、誰も信じません。


隠しても無駄なのです。


◆反原発の世論を「誤魔化したり、隠したり」することも、できません。

インターネットは両刃の剣で、先日来補導されているように、遠隔操作ウイルスによって、犯罪犯行予告の犯人の冤罪が

生じたり、ネットバンキングで不正におカネを送金したりする、悪い輩もおりますが、

メリットも当然あるのであって、冒頭の記事でNHKが報じている、毎週金曜日のデモは、当初「お上の宣伝局」と化している

大手メディアは報道しませんでしたが、個人が簡単な機材を用いてネットで全世界に映像を流していました。

ですから、今年の3月から毎週金曜日のデモが行われていることは、もはや公然の事実で、これはいくら国家が隠そうとしてもかくせません。


電力会社、特に東京電力が、原発で何かトラブルが生じても「大した事は無い」といっても、

9割方はウソであることも、経験的に知ってしまいましたから、政治家も役人も東電も、メディアも、

匿しても、無駄だ。

ということを認識して頂きたいです。それから、これだけ国民が反原発といっているのに、

それに反して、原発存続を標榜する政党は、選挙で負ける、と思うべきです。


◆少しだけ付け加えるならば・・・原発は運転を停止しても危険で、1日も早く廃炉にするべきです。

いつも申しあげておりますが、

私は大事なことなら、同じ事を何十回でも何百回でも、繰り返しかきます。

以下の話は、ほぼ一週間前に書いたばかりですが、また、かきます。


原発は運転を停止すれば安全なのではなく、存在するだけで危険であることです。

運転を停止しても原子炉圧力容器には棒状で束になった核燃料が冷却水に浸かっている分には安全ですが、

日本中どこでも大地震が起きうるし、活断層や、大地震の予想震源域のド真ん中に建っている原発は多く、

もしも直下型地震が起きたら、いくら丈夫に創ってある建造物も破壊される。原子炉圧力容器は壊れ、冷却水が流れ出し、

中の核燃料は、福島第一の時と同じように自らの崩壊熱でメルトダウンして、環境に放射性物質を撒き散らすことになります。

従って、安全を確実にするためには、原子炉を廃炉にするしかないわけですが、何も問題が起きていなかったけれども、老朽化により、

廃炉が決定した東海原子炉は2000年に作業が始まりましたが、完了するのが2020年(当初の予定どおりなら)です。

この地震大国に福島を除いても53基もの原子炉があるというのは、それを許容してしまった主権者国民に最終的な責任がありますが、

とにもかくにも、放っておいたら危険で、現実的には不可能であうが、仮に明日から、「せーの」で廃炉作業を始めても、

20年は安心出来ない。その間に別の大地震が起きる可能性が高いけれど、そんなことを言っていたら、何もできなくなります。


一番分かってないのが政治家で、この後に及んで、日本国そのものの物理的存亡の危機よりも政局ばかり考えていますが、

政権を取りたいなら、尖閣も憲法も厚生年金もへったくれもないので、まず、原発を最優先で廃炉にします。という政党があったら、

そいつらが一番、事の重要性が分かっていることになります。残念ながら今のところ、そういう政治家、政党が見当たりませんが。

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2012.11.09

「米国産牛など輸入規制緩和を了承…厚労省審議会」←だから、ちょうど1年前にTPPはダメだ、と書いたのです。

◆記事:米国産牛など輸入規制緩和を了承…厚労省審議会(読売新聞 11月6日(火)21時2分配信)

BSE(牛海綿状脳症)対策として実施されている米国産など輸入牛肉の月齢規制について、

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は6日、現在の「月齢20か月以下」を

「同30か月以下」に緩和する同省の方針を了承した。

輸入牛肉の規制緩和の対象は、米国と同様に月齢20か月以下に限定されているカナダと、

現在は禁輸のフランスとオランダで、いずれも同30か月以下となる。

同省は今後、各国と2国間協議を実施して具体的な緩和の時期などを決める。

この日は、国産牛の食肉検査の対象を「同21か月以上」から「同31か月以上」に引き上げることについても了承された。

国産牛についてはパブリックコメントなどを実施し、来年4月からの緩和を目指す。


◆コメント:日本で、月齢21ヶ月のBSE感染牛が見つかったことがあります。

読売新聞は、平然と、

「同30か月以下」に緩和する同省の方針を了承した。

と書いていますが、米国産牛肉に規制緩和については、かつては攻防が続いていました。

その経緯を、私は5年前に書きました。
2007.12.08「米産牛肉、輸入制限緩和へ=「30カ月未満」を米に提起」←月齢21ヶ月のBSE感染牛が確認されたことがあるのですが。

↑を読んで頂くとわかりますが、
日本では、2003年11月4日に、生後21ヶ月の国産牛のBSE感染が確認されているのだ。

という「歴史的事実」があるのです。可能性が低いといっても、何しろ食べるものですから、管理が厳密であるべきです。

アメリカなどよりも、ずっと食品には神経質な日本ですらそういうことがある。月齢30ヶ月以下の外国産牛肉など、

輸入するべきではない、と思います。


何故、方針が変わったかというと、野田政権がTPP(Trans-Pacific Partnership:環太平洋戦略的経済連携協定 )への参加を決めたからです。

これに加わると、国内法の規制も、「非関税障壁」だといって撤廃させられてしまいます。

食品の貿易だけではなく、保険なども、外資系企業が日本で営業するのに「障害」になる、といって

極端な場合は、公的な健康保険まで廃止しろ、と言いかねないのが特にアメリカです。

だから、ちょうど一年前、
2011.10.21 「野田首相、TPP交渉参加に改めて意欲」←ダメ。TPP絶対ダメ。

2011.10.29 「<民主党>TPP交渉参加 所属議員同士の議論をスタート」←TPP絶対ダメ(その2)。

2011.11.10 「首相『公的保険制度守る』TPP交渉巡り」←守れないでしょ?TPP絶対ダメ(その3)。

2011.11.15 「TPP決断「評価する」51%…読売世論調査」←分からないことを「評価」するな。

と、4本を短期間にまとめて書きました。だから、いわんこっちゃないのです。

TPPは、他の国も参加していますが、日本とアメリカとの関係でいうと、以前、毎年アメリカ政府から日本に送られてきた、

「年次改革要望書」という大内政干渉文書がありましたが、あれを更に強化したようなものです。

日本政府は、アメリカに要求されたら、すぐに唯々諾々と従ってしまいます。


昨年、2011.11.15 「TPP決断「評価する」51%…読売世論調査」←分からないことを「評価」するな。と書きました。

分からない事を「何となく賛成」するから、政府も「これはいけるな」と思ってしまうのです。

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2012.11.07

「オバマ米大統領再選」←彼の違法行為をどうして誰も、問題と思わないのでしょうか。

◆記事:オバマ大統領が再選 2期目へ(NHK 11月7日 19時5分)

アメリカ大統領選挙は、民主党の現職のオバマ大統領が、勝敗の鍵を握るとされてきた接戦州のほとんどを制して

再選を果たしました。オバマ大統領は2期目にあたって、激しい選挙戦で分断が深まった社会の融和を目指すとともに、

景気を回復させ国民の期待に応えることができるのか、その手腕が問われることになります。


◆コメント:誰も問題視しないのが不思議なのですが、彼は人を殺しています。

メディアを通じて、世界中の反応を見ると、100%ではないけれども、大体はオバマ再選歓迎、ということらしいです。


しかし、私は、オバマ氏と彼を支持するアメリカ人や国際社会に疑問を抱きます。

オバマ大統領は、2009年10月9日にノルウェーのノーベル賞委員会から「『核なき世界』に向けた国際社会への働きかけ」

を評価され、ノーベル平和賞を受賞していますが、全然核なき世界は、実現しそうにありません。

オバマ大統領自身、自分で言ったことを覚えているかどうか、とイヤミを言いたくなります。


しかし、私が書きたいのはそのことではありません。

ノーベル平和賞の受賞理由とは直接関係ないとはいえ、曲がりなりにも「ノーベル平和賞」を受賞した人物が、

昨年5月、ウサマ・ビン・ラディンを911テロの首謀者と断定して

(あれはあくまでも米国が勝手にそう断定しているのであって、法的に裁かれた訳ではありません) 、

しかもパキスタンの領土内で殺害しました。そのことにアメリカ国民が沸き立ち、国際社会もこの行為を評価した。

それ自体、間違っています。

あくまでも「ウサマ・ビン・ラディン容疑者」であって、テロの犯人と確認されたわけではないのに

勝手に他の国(パキスタン)に侵入して、つまり他国の主権を無視して、その領土内で

殺人を実行させたのです。

国連憲章その他どのような国際法でも、そのような行為は容認されておりません。

世界中の人々はこんな簡単なこともわからないのでしょうか?

言うまでもなくアメリカは国連加盟国ですから、国連憲章に従わなければなりません。

国連憲章を読むと分かりますが、原則として武力の行使を禁止しております。

その点では日本国憲法によく似ています。


国連憲章第51条で容認されているのは自衛権の行使であって、

つまり自国が他の国の攻撃を受けたとか、他の国に侵略されたという場合に

国連が平和維持軍か多国籍軍を派遣するまで、自国を守るために兵力を用いて良い、

ということであって、先制攻撃は認めていません。



ましてや特定個人を、アメリカが勝手にテロの犯人だと断定し、

その犯人がパキスタンにいるからといって、軍隊を派遣し、ウサマ・ビン・ラディンの

潜伏場所を急襲して、殺害することを正当化する文言は、どの国際法にも含まれていません。

完全に違法行為です。「犯罪」といっていい。


国際法と国内法を混同しておいてませんが、国内法になぞらえるならば、

「あいつは人を殺したらしい」と言って、警察がその人物の家に行って、

「人を殺したという噂がある人」を、逮捕、起訴し、法廷の判断に任せる事もなく、

いきなり射殺するのと大差ありません。本来無茶苦茶な行為なのです。


こういう行為を、平然と実行する米国とその大統領は、非常に野蛮です。

何ら賞賛に値しない。むしろ非難されるべきですが、誰もその点には全く触れずに

景気を回復させ国民の期待に応えることができるのか、その手腕が問われることになります

というような話ばかりです。

一体、オバマ大統領は自らの違法行為をどうして正当化できるのか。

米国民も世界中の人々も何故これを問題視しないのか。

私には理解出来ません。

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「振り込め詐欺被害、過去最悪11億円 都内10月」←あまりにも情報を遮断するのは危険です。

◆記事:振り込め詐欺被害、過去最悪11億円 都内10月(日本経済新聞 2012/11/7 0:40)

10月の都内の振り込め詐欺の被害額が約11億円に達し、単月としては過去最悪となったことが6日、

警視庁への取材で分かった。同庁は被害の急増を受けて11月を「振り込め詐欺撲滅月間」と位置付け、

被害防止に向けた取り組みを強化している。

警視庁犯罪抑止対策本部によると、都内の10月の振り込め詐欺被害件数は約280件(未遂含む)、被害額は約11億円。

現在の方法で統計を取り始めた2010年2月以降、1カ月の被害としては件数、金額ともに最悪を更新した。

1~10月の累計は被害件数約1770件(同)、被害額約65億5千万円で、前年同期に比べ約400件、

約29億7千万円増加している。被害額は6月以降、5カ月連続で7億円を超え、増加傾向に歯止めがかからない。

6日、東京都品川区で開催された「振り込め詐欺ゼロキャンペーン」で樋口建史警視総監は

「家族の絆がカギ。息子や孫とのコミュニケーションを大事にしてほしい」と参加した地域住民ら約350人に呼びかけた。


◆コメント:まず、「だます」奴が悪いのですが、こうなると程度問題です。

以前、書いたことがあります。

振り込め詐欺の問題に関して、多くの世論は「これだけ騒がれているのに騙される方が悪い」という

意見の人が多いので、私は、

だます人間とだまされる人間がいたら、まず「だます人間」が悪いのだ。

と主張しました。

基本的見解は今も同じです。逆の考え方、つまり「だまされる人が悪いのだ」という意見は、

「折あらば、人をだましてやろう」という意識の持ち主の意見ではないか、と思います。


しかしながら、前回その話を書いたのが何年前か。調べたら、「振り込め詐欺」についてではありませんでした。

7年10ヶ月前。
2005.01.20 「偽造カード被害(スキミング)防止、金融庁と警察庁が初協議へ。 現時点におけるスキミング対策について。

改行の仕方も行間もバラバラで読みづらいことこの上(;.;)、お恥ずかしいのですが、この当時は基本的なHTMLタグさえ、

覚えようとしていなかったのですね。すみません。

それはさておき、繰り返しますが、「他人のカネをだまし取ろう」という人間がいる、ということが、まず問題です。

しかし、振り込め詐欺、当初「おれおれ詐欺」と言われていましたが、電話を用いた一番古い例は、1986(昭和61)年に

確認されています。急激に増えたのは21世紀に入ってからだ、とWikipediaに書いてありましたが、

それが事実であると仮定すると、すでに今世紀に入ってから12年近くの時間が経過しており、

この間、警察もマスコミもさかんに、この犯罪手法について注意を喚起していますが、まだ、だまされる人がいる。

しかも先月(2012年10月)が被害額が過去最悪だというのには、さすがに驚きますし、はっきり言ってあきれます。

まず、犯人が悪いのですが、ここまでくると確かに被害者にも「責任の一端」はある、と思います。


◆極端に情報を減らすのは、危険だと思います。

どうして、これほど騒がれているのに、今だに振り込め詐欺にだまされるのか?

理由・事情は色々で、知っていても「まさか自分が『振り込め詐欺』の標的になるはずがない」という思い込み

による場合もあるでしょうが、私はブログを書いていたり、最近ですと、Twitterというので世間の人々の「つぶやき」を見ていると、

情報が不足しているのではないか、と思います。

こう言っては、世の人々に失礼ですが、かなり多くの人には、大事なことは繰り返し強調しないと伝わりません。

自分にとっては、興味深かったり、意味があったり、大事な情報だからといって、他人がその認識を共有していることは、

むしろ、稀である、と考えた方がいいです。


私は会社でも、世の中の情報をなるべく早く伝えることを仕事にしてますが、

はっきりいって、人々は、唖然とするほど、読んでいません。

ずっと前に、かなり注意を喚起するつもりで伝えた情報を、全然読んでなくて、はるか後に質問され、

がっかりすることがしばしばあります。

殆どの人間は1日の99パーセントは、自分のこと「だけ」を考えて生きている

と、言った人がいますが、かなり真実に近いのでは無いかと思います。

そういう「心がけ」の修正も必要ですし、最近、新聞を購読せず、自宅にテレビがない、と言って得意そうな若い方がいますが、

よほど、ネットで情報収集の技術にたけているのであれば、別ですが、新聞を取らないし、テレビも無いというひとは、

そもそも「情報に対する執着心」があまり無い人だから、ネットうんぬんは、関係ないと思います。

あまりにも情報が無いと、自分や家族の健康・生命に危険が及ぶ場合さえあります。


これは、ご自身が著書に書いておられるので紹介させて頂きますが、

一昨年、NHKの朝ドラになった、「ゲゲゲの女房」という水木しげる夫人、武良 布枝さんの本があります。

ドラマと原作が違うのは当然ですが、原作には、流石にドラマの脚本で取り上げられなかった、驚くべき歴史的事実が書かれております。

失礼ながら、売れない頃の水木しげるさんは、とにかく殆ど「極貧」だったので、新聞を購読していなかったので

(無論、テレビなど、もっと無理です)、世の中で問題になっていることを知らず、眠れないという夫人に、

睡眠薬「サリドマイド」を薦めて、実際に夫人も妊娠中に飲んだことがあるそうです。サリドマイド禍はあまりにも有名です。

たまたま、東京に住んでいた、武良布枝さんのお姉さんが訪ねて来たときに、それを知り驚いて、服用を止めさせ、

ことなきを得たのだそうです。「情報がない」「知らない」ということは、ときとしてこれほど危険なのです。

日本人の悪い癖で「おカネを出して情報を買うのは勿体無い」と考える傾向がありますが、価値のある情報はそれだけの労力を

費やして、得られているのですから、商品の一種であり、それを得るには対価を払うのが当然です。

新聞は紙の新聞を読んだ方がいいです。比べるとわかりますが、いくらタブレットが便利といっても、

紙の新聞は、一覧性(ひと目で大量の情報を見られる、ということ)において、断然すぐれています。

NHKの受信料が勿体無い、と言う人が多いですが、東日本大震災の後、結局みんなが一番頼りにしたのはNHKニュースであることが

分かっています。

あまりにも「知らない」ことは、様々な不利益を被る危険があります。

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2012.11.05

何も本気で書く気力が起きません。

◆「とりあえず」ニュースはいくらでもありますが・・・・。

政治・経済・外交・社会、と新聞やテレビやネットにはいくらでも「一見」、取り上げるニュースがあふれています。

それは以前と、変わらない様に見えますが、どうも私は、何を書いていても自分で白々しいのです。

将来の公的年金の財源をどうするか、止まらないデフレをどうするか、自殺者が減らないのは問題だ、

と、形だけ書くならいくらでもかけますが、政治家も官僚も財界人も国民も見て見ぬフリをしていることがあるでしょう。


◆福島第一原発は、その後どうなったのか?

福島第一原子力発電所の原子炉からメルトダウンした核燃料は、恐らく原子炉圧力容器も格納容器も溶かして、地面の何処かに

めり込んでいる。それがどうなっているのか、誰にも分からない。どこにあるかも分からない。


つまりまったく、事故後の処理は進展していないではないですか。

ということは、溶けて流れ出た福島第一原発の核燃料は、今、この瞬間も環境に対して剥き出しになっていて、

311直後に原子建屋の屋根が吹き飛んだときほどではない、としても、

大気に放射性物質を撒き散らしている。放射能を無毒化する技術を人間は持っていない。

小出助教は、何とかみつけて、核燃料を固めてしまわないといけない、と何十回も言っているけれども、

政治家も官僚も、東電も、マスコミもそして、国民も、この異常な事態が当たり前になってしまって、

面倒臭いので、考えない。

さらに、あっちで断層が見つかった。こちらでも活断層が見つかった。原子炉の真下だ。などといいます。

もう一回大地震が来て、もう一つ、何処かの原発の原子炉圧力容器が破損したら、おしまいです。

日本国という国家が、その国土に人が住み続けられる保証がどこにもない、という状況下で、景気も尖閣諸島も

橋下大阪市長も石原新党もへったくれもどうでも良いことです。


考えれば、どんな人でも分かる、この当たり前の事を一億総オストリッチコンプレックスで、

考えなければ、福島第一原発の事故現場から放射能がなくなるとでも思っているかのようです。

何よりも優先して対処しなければならないことを、国全体で見て見ぬフリをして、

他の問題の方が重要であるかのように行動するのは、日本国全体が現実から逃避しているということです。

そういう世の中で、何を論じても始まらない、と思います。

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2012.11.04

【音楽】オーボエ 池田昭子さん新譜「恋のうぐいす バロック作品集」

◆もっと何枚もご紹介したつもりでいたのですが。

クラッシックがお好きな方、N響がお好きな方にはお馴染み、NHK交響楽団のオーボエ奏者、池田昭子さんの新譜です。

恋のうぐいす バロック作品集 (池田昭子)です。


私は、池田さんのオーボエの演奏が大変好きですので、今までのCDに関して何度もご紹介したつもりでしたが

「カッチーニのアヴェ・マリア」特集を何度も組みまして、それだけで3回、「ご登場」(?)頂いたのでした。

アルバムを丸ごとお薦めするのは、

2012.01.03 明日から仕事なのでせめて今日までは。【音楽】アルビノーニ&マルチェッロ:オーボエ協奏曲(Ob.池田昭子)

以来、2度目です。


◆コメント:美しい曲の名演ばかりで、どうにもこうにも、文句の付けようがありません。

私は音楽を聴くときに、決して「粗探し」をするのが目的で聴いてはおりません。

ただし、ちょっと、演奏者と演奏上の「趣味・嗜好」が違うな、と思うことがあるのですが

池田昭子さんのオーボエに関しては、今までに色々を聴かせて頂きましたが、そういう違和感がまったくありません。

それが「文句の付けようがない」と書いた趣旨です。

徹底的に音が美しいし、なんというか、決して無表情ではなく、それどころか非常に「表現」しておられるのですが、

池田昭子さんのオーボエは「過剰な表現」というのが一切、ないのです。


勿論、十分に研究なさってから吹いておられまして、なんというか音楽は芝居になぞらえるならば、

「棒読み」になったら、面白くもなんともないのですが、「過剰に表現」されると、聴き手が疲れます。

池田さんの演奏は、絶対そうならないのです。ものすごく微妙なところですが、ホンのすこし、控え目に吹く

のが独特で、それが却って、音楽の美しさを際立たせております。

極めて品の良い、音楽的教養にあふれた演奏だと思います。

曲目は、お馴染みのものばかりです。どこから聴いても良いと思います。

全部、ここに載せてしまいたいぐらいですが、それは流石に出来ないので、少しだけ。


フルートソナタ、BWV 1031の第2楽章「シチリアーノ」はあまりにも美しいので、他の楽器でも単独で

しばしば演奏されます。ピアノ編曲その他、数えきれませんが、ここではオーボエで。


J.S. バッハ:シチリアーノ






ぞっとするほど綺麗だと思います。

2曲目も好きな方が多いでしょう。ヘンデル、歌劇「リナルド」より「涙の流れるままに」。

以前は邦題は「私を泣かせて」が多かったのですが、同じ曲です。


ヘンデル:涙の流れるままに







信仰心の無い私ですら、敬虔な気持ちになります。心が洗われるように美しい、と思うのです。


次は、バッハと同時代に生き、その頃はバッハよりもずっと人気があった、というテレマンの作品です。

多作の人ですが、オーボエ族の楽器、オーボエ・ダ・モーレの為の協奏曲です。

池田さんは、普通のオーボエ、コーラングレ(イングリッシュホルン)、オーボエ・ダ・モーレを巧みに使い分けますね。

これは、原曲どおり、オーボエ・ダ・モーレで演奏しています。


テレマン:シチリアーノ







最後は、バッハのカンタータ BWV 156「アリオーソ」です。

これはバッハのチェンバロ協奏曲ヘ短調 BWV 1056の第二楽章に転用され、そのチェンバロ協奏曲を

オーボエ協奏曲ト短調 BWV 1056とすることもあって、訳が分からなくなりがちですが

大元は、カンタータ 156番 BWV 156「片足は墓穴にありてわれは立つ」の第一曲「シンフォニア」

なのです(愛称が「アリオーソ」)。

カンタータってのは教会でオーケストラとコーラスで演奏しますが、コーラスは歌わないで

オーケストラが演奏する部分があります。このシンフォニアがまさにそれで、ずっとオーボエソロなんです。

元々オーボエが吹くメロディーなんです。あまりにも美しいので、これも色々な楽器で演奏されます。


バッハ カンタータ BWV 156 より「アリオーソ」







歌心が素晴らしいと思います。長いフレージングと美しいビブラートが(この曲だけではありませんが)たまりません。

この他、全部で16トラックあります。

アルバム名に遣われている「恋のうぐいす」は、クープランの曲です。

これは、買って「損をした」気分になる、ということはあり得ないと思います。

お薦めします。恋のうぐいす バロック作品集 (池田昭子)です。

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2012.11.02

尼崎事件別人写真掲載に関する各社の「謝罪」がなっていない。

◆他人のことは散々大きく記事にするくせに・・・・。

他人のこと、というのは新聞やテレビは、世の中の個人や企業が不祥事を起こしたり、過失で事故が起きて、死傷者が出たり

したときには、記者会見で頭を下げる経営陣の写真をデカデカとのせ、或いはテレビなら繰り返し放送し、

記者が容赦無く、キツイ質問で責めるわけです。


今回、角田美代子被疑者について、関係のない別人の写真を使うという

「絶対にあってはならないミス」を犯した、とかいいながら、謝罪は余程探さないと分からないのです。


◆NHKの場合。

NHKだけではないのですが、これだけの飛んでもない間違いをしでかして、謝る、というなら、

誰が見ても一目瞭然、という場所に謝罪文を掲載するべきだと思います。トップページですね。

これがNHKのトップページですが、お詫びの「お」の字もありません。

別に、「NHKについて」というページがありまして、

その「新着情報」に

【11月1日】会長会見要旨(11月)」を掲載しました。

という小さい文字がありそのリックを開くと、やっと会長の謝罪の言葉が一番下に載っていました。


Owbinhk



こんなの、普通はわかりません。


◆毎日新聞の場合。

別人の写真を載せた新聞は、これほどの大失態はないのですから、

当然一面トップかと思ったら、何とか誤魔化そうとしていることが判明しました。

毎日新聞は社会面にます、ひとごとにような記事が載ってます。

◆記事:尼崎連続変死:毎日新聞 顔写真を誤って掲載(毎日新聞 2012年11月01日 03時00分)

兵庫県尼崎市の連続変死事件で、毎日新聞が角田(すみだ)美代子被告(64)として掲載した顔写真は、

事件と関係のない同市の50代の女性だったことが分かった。

毎日新聞は、10月21日、写真が撮影された頃の美代子被告をよく知るという人から、美代子被告が写っているという19年前の写真の提供を受けた。

式典での集合写真だった。写っている人物について具体的な説明があったことなどから間違いないと判断して

22日朝刊(一部地域は23日も)に掲載した。写真は、テレビなどで報道された写真と同一とみられたが、

「別人ではないか」との情報はなかった。

しかし29日になり、事件の関係者から「顔写真は美代子被告ではない」との指摘があり、再確認取材を開始。

30日夜になって「これは自分の写真だ」と弁護士を通じて女性が名乗り出た。

女性は同時期に同じ服装で撮影した自らの写真を持参。「買い物をするにも周りの目が気になり、

普段の生活ができない。憤りを感じている」と話した。

写真については、疑義が生じた29日以降の再確認取材で提供者を含む3人に点検を依頼。

全員から「美代子被告に間違いない」との回答を得たが、その後3人に改めて尋ねたところ、

「似ていないと言われれば違うかな」と話すなど証言は変化した。美代子被告の弁護士が

「(被告が)この写真は私ではないと言っている」と話していることや、名乗り出た女性の証言内容から誤りだったと判断した。

と、散々、「言い訳」をした後に、大阪本社編集局長の謝罪が載っています。


Owabimainichishinbun


「再発防止に努めます」は常套語句で、どうすれば今回のミスを防げたのか?という「分析」がないので、

簡単に信じられません。


◆読売新聞の場合。

読売はもっとも姑息で、なんとYOMIURI ONLINEからは、既に謝罪文は削除されてます。

仕方がなから、Googleでサイト内検索をしてキャッシュから拾ってきました。


Owabiyomiurionline


これは一体サイト内の何処に表示されていたのか分かりませんし、

何ですか、この思い切り小さいフォントは?

なるべく早く誤魔化してしまいたい、という魂胆が見えます。


以上見たとおり、マスコミ各社は「絶対にあってはならない」などといいながら、

日本人の何でもすぐに忘れてしまう特性を利用した誤魔化しているように思われます。

各社ともに、誠意のある謝罪、とはとても認められません。

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2012.11.01

「読売新聞、NHKがおわび=別人写真を角田被告―尼崎死体遺棄」←最近、国家権力もマスコミも多すぎます。

◆記事:読売新聞、NHKがおわび=別人写真を角田被告―尼崎死体遺棄 (時事通信 10月31日(水)9時9分配信)

読売新聞は31日付朝刊に、兵庫県尼崎市で起きた連続死体遺棄事件の記事で、

別人の顔写真を角田美代子被告(64)=傷害致死罪などで起訴=として掲載したことについて、

「あってはならないミスであり、本人確認が不十分でした。おわびします」との謝罪文を掲載した。

角田被告として写真を掲載された尼崎市の女性(54)が30日夜に記者会見し、

「写真は私」と抗議していた。同社によると、同被告側の弁護人からも写真は本人でないとの指摘があったという。

また、この写真を角田被告として報道したNHKなどテレビ各社も31日までに、

「別の方の写真でした。おわびします」などと番組内で謝罪した。


◆コメント:マスコミの問題

最近、この手の間違いが、多いですね。読売新聞は、

読売新聞東京本社は26日、 森口尚史(ひさし)氏(48)が人工多能性幹細胞(iPS細胞)を臨床応用したと誤報した問題で、大橋善光専務取締役編集局長ら関係者7人を処分すると発表した。

ばかりです(他のメディアも処分者を出していますが)。

そして、顔写真間違いですか。冗談じゃ無いですね。

今回の顔写真間違いの件では、掲載していないメディアもあるので、詳細がわかりませんが、私はどうしても、

マスコミが冤罪の危険を助長した「地下鉄サリン事件」を思い出します。あれは、警察が河野さんを犯人だと決めてかかり、

マスコミ各社が、その警察発表を鵜呑みにして、自ら「ウラを取る」という取材の基本を実行しないから、起きたことです。

最近の誤報も、基本的には同じ原因だと思います。つまり、森口某による「iPS細胞の臨床応用」も、自分が理解できないなら、

「そういうことはあり得るのか?」を、ノーベル賞の山中教授でも他の専門家でも良いですが、確かめれば、

明らかにおかしいということはすぐ発覚したはずです。


尼崎事件の顔写真間違いも、とんでもないとか共同通信の責任者は「絶対にあってはならないこと」などと言っていますが、

本当にそう思うなら、YOMIURI ONLINEも その他のメディアもWEBのトップページに「尼崎事件に関するお詫び」を、

ひと目で分かる所に表示するべきだと思いますが、実際は、別人の写真を掲載したメディアでそれを実行しているところがないのです。


だから、この「実は別人だった」というニュースを読んでいない、あるいは見ていない、聞いていない人は知らないまま、

いまだに「別人」を角田美代子被告と思い続ける事になります。

「一回、とにかく謝罪したからいいだろ?」というのは、無責任だと思います。


◆国家権力について。「遠隔操作」ウイルス関連誤認逮捕は、「サイバー犯罪」の問題では、ありません。

何だか、最近、ネット犯罪がますます増え、中学生がフィッシングサイトを作ったとか、銀行のIDを偽画面から入力してしまった

とか、その手の事件が立て続けに起きています。

警察は、それに乗じて「犯行予告」を遠隔操作ウィルスで「書き込まされてしまった」四人を誤認逮捕した問題を、

「サイバー犯罪が多発」している問題にすり替えようとしているように思います。


しかし、誤認逮捕の問題は、「サイバー犯罪うんぬん」ではない。取り調べの方法の致命的欠陥が明らかになったことです。

誤認逮捕された四人のうち、少なくとも二人は「自白」しているのです。身に覚えがないことなのに「犯行動機」まで供述している。


どうしてこういうことになるか、というと、自白といっても、警察の取り調べ調書というのは既にテンプレートが決まっていること。

本人がゼロから自白の文言を書くのではなくて、警察が用意したテンプレート(ひな形)に、日時、氏名などを書き込むだけなのです。

そして、最初の逮捕から留置は48時間ですが、その間に検察官が勾留の必要があると思ったら、裁判所に申請するのです。

裁判所にも安易に勾留令状を発行した責任があります。勾留期間は10日ですが、何度でも延長できるのです。

1日の取り調べ時間に関する制約もないので、毎日取り調べ室に朝から晩まで閉じこめられ、

こういうことなんだろ?

と、何百回と繰り返され、それが勾留の延長で20日にもなるのですから(留置の48時間を含めると22日です)、

最後には、気も変になり、やってないことでも、やりましたといってしまう。どうやら、そういうことが日本中の警察で

行われているようです。今回、たまたま、誤認逮捕された一人が、遠隔操作ウィルスがインストールされてしまってから、

パソコンの動作が異常に重くなったというので、ネット接続を切ったので、犯人は、「わざとウイルスを残した」といってますが、

実は、ネット接続を断ってしまったので、真犯人が、ウイルスを消せなかった。それでようやく「おかしい」ということが分かったんですが

それがなかったら、四人とも起訴されて、誘導された虚偽の真実の「自白」を元に有罪が確定してしまったことでしょう。


というわけで、今回の事件で明らかになったのは、警察の取り調べ方の致命的な問題です。

「こいつが犯人であることに、しよう」と警察(というか、司法)に狙われたらどうしようもない、ということです。

我々だって、犠牲になるかもしれません。冗談では無い。


きっと、いままで冤罪で服役した人がいるであろうことは、想像に難くない。

それから、私は死刑存続賛成なので、今まで「死刑廃止」論者は何を考えているのか?と思いました。

ただちに死刑廃止とはいいませんけど、司法経験者に死刑廃止論者がいますね。

例えば、今年の6月に亡くなった、元東大教授で後に最高裁判事をつとめた団藤重光先生

元、警察庁キャリア組だった、亀井静香衆議院議員も死刑廃止を訴えています。


以下は、完全に私の想像です。何の証拠もありませんが、こういう人達が「死刑廃止」を唱えるのは、

もしかすると、「冤罪で死刑になってしまったひとがいることを知っている」所為ではないでしょうか。

そう、考えるとなんとなく、納得出来るのです。あの強面で、どちらかというとラディカルな雰囲気の人達が死刑廃止と。

本当の理由が、私の想像どおりならば、それは、文字通り「取り返しが付かない、国家権力の超大失態」ですから、

絶対に言わないで、棺桶までもっていくでしょう。


繰り返しますが、私の「想像」です。裏情報もなにもありません。

しかし、今回の誤認逮捕で明らかになったこと。

本当は身に覚えが無いことに関して「誘導された自白」に基づいた起訴がなされているという現実を知ってしまったので、

恐ろしい想像ですが、「冤罪で死刑」が過去にあったとしても、不思議はないように思います。

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