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2012.12.19

「日銀総裁に2%の物価目標と政策協定の検討を要請=安倍自民党総裁」←感心しません。

◆記事:日銀総裁に2%の物価目標と政策協定の検討を要請=安倍自民党総裁(ロイター 2012/12/18 15:24)

自民党の安倍晋三総裁は18日午後、白川方明日銀総裁と会談し、衆院選挙戦で訴えてきた2%の

インフレターゲットと日銀との政策協定について検討を要請したことを明らかにした。

また、その後国会内で行った山口那津男公明党代表との初の連立協議では、

景気対策に取り組み大型補正予算を編成すること、また復興に力を入れることで一致した。国会内で記者団に語った。



<日銀総裁が表敬訪問、2%物価目標の検討を要請>

白川総裁との会談では、「選挙戦で、デフレからの脱却と円高是正、経済成長を訴えてきた。

また、消費税上げが決まっており、来年4─6月(の経済状況)をみて来年秋に決定する。

消費税上げの状況を作りだすことを考えている」と説明し、選挙戦で訴えてきた

「2%のインフレターゲット(の設定)と日銀とアコード(政策協定)を結ぶことについて言及し、検討をお願いした」

ことを明らかにした。要請に対して白川総裁は「聞いておられただけ」だったという。


◆コメント:この記事で報じられていることの問題点。

厳密には、このロイターの記事だけではなく、他の情報も併せて考えると、

少なくとも3つの問題が見つかります。


一つ目。今日の安倍・白川会談は、白川日銀総裁が安倍氏を「表敬訪問」した、とのことです。

日銀は日本の中央銀行であり、白川総裁は言うまでも無くその最高責任者です。

中央銀行は政府から独立して金融政策を実行しなければいけません。

政治家は、国民の人気を得たいので、都合の良いことを言います。そのような利害から中央銀行は独立し、

客観的にマクロ経済を観察し、金融政策を決めなければ鳴りません。中央銀行の独立性はどの国でも必須です。

日銀側から、まだ首相になってもいない自民党総裁に擦り寄るべきではありません。


二つ目。弊ブログで何度書いたか分かりませんが、中央銀行はインフレ局面でこれにブレーキをかける機能はありますが、

国内の総需要が低迷しているときに、物価を上げる、という手段を持ちません。

安倍氏は日銀総裁に2パーセントの物価(上昇)目標を要請したそうです。

日銀は何年も殆ど政策金利を殆どゼロにしていますので、ます金利の引き下げはこれ以上できません。

今、日銀が続けている金融緩和は実質的に量的緩和で、市中に出回っている国債などを買い取り、それによって、

金融市場に資金を供給する、という方法ですが、2010年10月からそれを開始して二年以上経ちますが、

いまだにデフレはとまりません。

その経緯を仔細に観察すれば、いくら政府が日銀に金融緩和を恫喝的に実行させても効果がないことは明らかです。

需要が無い時に、資金だけ供給しても、結局銀行からおカネを借りる企業はないので、日銀当座といって、

市中銀行が日銀に預ける当座預金の残高が増えるだけです。


三つ目。白川日銀総裁は、安倍氏との会談終了後、記者団の質問に答える形で、

金融政策について安倍自民総裁と議論はしなかった

と言っています。
◆記事:金融政策について安倍自民総裁と議論はしなかった=白川日銀総裁(ロイター 2012年 12月 18日 13:25)

日銀の白川方明総裁は18日、自民党の安倍晋三総裁を訪問し、午後1時からおよそ15分間会談した。

白川日銀総裁は記者団に対して、金融政策については議論しなかったと述べた。

確かに、最初に転載した記事も、終わり
要請に対して白川総裁は「聞いておられただけ」だったという。

とあります。聞いていただけだから、「議論」は無かったというのでしょうか。

そういえば、ウソではないけれど、私がここで書いているほど丹念に記事をチェックする人は、普通は、いません。

日銀総裁が「金融政策に関して議論しなかった」といっているのに、その直後、

安倍氏は「日銀との政策協定について検討を要請したことを明らかにした」のです。

白川総裁がウソを付いているような印象を受けます。日銀総裁と、安倍氏が会談して金融政策の話が出ない訳がない。

日銀総裁は「聞いていただけ」といいますが、自分から安倍氏を表敬訪問し、話をして、

全く何も言わなかった訳はないのですが、日銀総裁が先に
「金融政策に関して議論はしなかった」

といっているのですから、安倍晋三自民党総裁は、気を利かせて、
要請はしたが、議論は無かった。

とでも言わないと、白川総裁の面目が潰れます。

安倍氏は、そのあたり、細かい気配りができないのだろうと思います。


この記事は今日の安倍・白川会談を批判しています。

本論からはずれますが、最後に一言。


◆デフレを克服したければ、減税により家計の可処分所得を増やせ。

国内の総需要がないときに、金融緩和政策を実行しても効果はない、と先に書きました。

ケインズという経済学者は、こういう時には、国家が財政支出により、需要を創れと

言いました。それも一つの手ですが、そうすると、要らない高速道路やら新幹線やら

今更もう流石にそれはないかもしれませんが、利権が絡み、特定の商売関係とそれにツルんだ

政治家にリベートが入るだけです。

私は以前から、こういうときには、一時的に税収がへるかもしれませんが、

減税するべきだ、と何度も書いております。


GDP(国内総生産)の3分の2は個人消費です。しかし、家計の所得は会社が儲からないから、給料は

増えるどころか減る一方。良くても変わらない。そういう状態で消費税増税(すぐにではないですが)するのは

逆効果です。家計の可処分所得を増やすには、所得税、住民税(地方税)、消費税を思い切って減税します。

減税分だけ、家計で使えるお金が増えます。収入が増えれば、人間はおカネを使いたくなります。

買いたかったのに我慢していたものを買うようになります。旅行に行く人が増えます。

国民全体におなじようにメリットがあり、色々な産業がもうかります。

総需要が増えるのです。モノやサービスの売上げが増えれば、需要と供給の法則で、物価の上昇がはじまります。

つまり、デフレが止まるということです。


「金融緩和期待で株価上昇」などと各メディアが書いていますが、「期待」で「株価」がうごいているだけで、

金融緩和の効果がないことは、明らかなのですから、総需要の喚起を減税をとおして実現するべきだと思います。

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