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2013.03.18

キプロスで何が起きたのか。

◆記事:ユーロ圏、キプロス支援で合意=1.3兆円融資、貯蓄税を徴収(時事通信 3月16日(土)12時22分配信)

欧州連合(EU)のユーロ圏諸国は15日、ブリュッセルで臨時の財務相会合を開き、16日未明まで議論の末、

ギリシャの債務危機で銀行が深刻な打撃を受けたキプロスに対する金融支援で合意した。

支援額は最大100億ユーロ(約1兆2500億円)。

ユーロ圏による危機支援は、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインに次ぎ5カ国目。

キプロスは2012年6月に支援要請後、ユーロ圏との交渉が難航していたが、ようやく一区切り付いた。

融資には国際通貨基金(IMF)も参加する。

キプロスは支援と引き換えに、同国の銀行預金を対象に最大9.9%の貯蓄税を徴収。

財務相会合の声明によると、キプロスは法人税率の引き上げや、

劣後債保有者に損失負担を要請することも約束した。


◆キプロスはEU参加国なのですが、ロシア人の富豪の預金が多いのです。

ちょっと、記事では、分かり難いでしょうか。

キプロスという地中海の島国があります。面積は四国の半分程度で人口は約80万人です。

小国ですが、2004年にEU(欧州連合)に加盟し、2008年にはEUの単一通貨ユーロを導入しました。

そのキプロスが財政危機で、このままではデフォルト(債務不履行)に陥ることは避けられないというので、


EUに対して、記事にもありますが、ギリシャ、アイルランドのように、緊急的に資金を貸して欲しい、

と頼み、EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)が相談して金融支援を発表しました。

キプロスは、170億ユーロ、貸して欲しい、と頼んでいたのですが、EUが16日(土)に発表したのは、

1.EUとIMFが最大100億ユーロを支援。

2.あとはキプロスの銀行の預金者に58億ユーロの「預金税」を課税して賄え。

ということでした。元々キプロスが期待していた、170億ユーロに届かないばかりか、

キプロスの預金者も、一部財政危機を乗り越えるため、負担しろ、という前代未聞の方法なので大騒ぎです。

詳細に書くと、キプロスの銀行にある預金のうち、10万ユーロ以上の部分については、9.9パーセント。

10万ユーロ未満の部分については、6.75パーセントの「預金税」を課すというのです。

そんなことをキプロスの一般市民が知ったら、一斉に預金を引き出す「とりつけ」騒ぎが起きるのは

目に見えています。税金を掛けられる前に、出金してしまおうとするでしょうから、16日からすでにオンラインバンキングでの

振込などもできなくなっていまして、それがきょう、18日まで続いてます。18日はキプロスの休日だそうです。


火曜日の朝、預金封鎖が解かれたときには、10万ユーロ以上の預金の9.9%、

10万ユーロ未満の預金部分の6.75%は、税金として徴収されなくなってしまっているはずです。


これは、ギリシャ系の普通に暮らしている国民は怒るでしょうが、ヨーロッパは割と冷ややかです。

キプロスは、ヨーロッパからもアフリカからも、中東からも近い地理的条件を利用して、

税率の低い「タックスヘイブン」(租税回避地)になろうとしました。旧ソ連が崩壊してから、

特にソ連の富豪が税金逃れやマネーロンダリング(資金洗浄)のためにキプロスを利用しました。


ですので、キプロスの銀行にはロシア人の大富豪の預金が大量にあります。そしてロシアはEU加盟国ではありません。


ですから、EU諸国とその国民達から見ると、自分達の税金で、EUメンバーでもないロシア人の金持ちの

しかも、税金逃れや資金洗浄のための「汚い」おカネが一杯である、キプロスの銀行を救うのは、

愉快ではありません。


それが、今回、「100億ユーロは支援してやるが、あとはキプロス人も負担しろ」と決めた理由です。

資金洗浄とか脱税とか、悪いことをしていないキプロス市民にとってはたまらないでしょうが、

ロシア人の預金だけに課税する、というと、やはりどこでも差別だなんだ、と面倒なことになる。

そういう情緒的な面もありますが、キプロスはロシアの富裕層だけに課税し、彼らが怒って
もう、二度とキプロスの銀行は使わない。

と言われると困る。キプロスの一般市民も巻き添えにすることにより、「こちらも苦労してますから」という

ところを強調したいのでしょう。

経済規模からするとキプロスのGDPはユーロ圏全体の0.2%で、その意味では大した事がなさそうなのですが、

この小国の件で、日経平均まで大幅反落し、世界中の投資家が様子を窺っているのは、

今回の措置が正式に定着すると、今後他の国を金融支援する際にも、似たようなことになるかも知れない。

とりあえず落ちついたと思っていた欧州危機は、まだ、危ない要因がある、ということを改めて思い出したからだと

思います。

キプロス議会は日本時間19日(火)午前1時から、「銀行預金への課徴金適用をめぐる採決」を行うそうです。

この稿をかいているのは日本時間18日(月)午後11時ですが、小額預金は非課税にするかもしれない、

というニュースが流れています。事態の推移が注目されます。

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