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2013.04.16

【訃報】アドルフ・ハーセス氏。半世紀以上、シカゴ交響楽団首席トランペット奏者を務めた音楽家です。

◆凡そ(特にクラシック系の)ラッパ吹き(吹いていたことがある者)で知らない人はいないのです。

アドルフ・ハーセス氏を知らないラッパ吹き、特にクラシック系のラッパ吹きがいたら、モグリです。

それぐらい、世界中のオーケストラ・トランペット奏者の頂点に君臨したといっても良いかもしれません。

尤も難しいところで、このシカゴ交響楽団というアメリカでは、雑誌の「タイム」でしたか。

アメリカ人ってのは何でも「順位」を付けるのが好きなようで、毎年オーケストラ・ランキングを発表します。

ここ数年はどうなっているのかしりませんが、以前は長い間、サー・ゲオルグ・ショルティ指揮=シカゴ交響楽団が、毎年1位でした。


実は私はサントリーホールで聴いたことがあります。「展覧会の絵」を含むプログラムでトランペットは大活躍します。

しかし、お悔やみ記事の中でこんなことを記すのも、なんですが、あまり印象にのこらないシカゴ交響楽団の演奏でした。

このオーケストラは一人一人は非常に技術のレベルが高く、今もいるのかわかりませんが、以前はチェロの首席奏者が

チャイコフスキーコンクール、優勝だか2位だったか、とにかく「ソリスト級の名人」を集めたオーケストラですが、

オーケストラ全体としての音楽が、聴き手の心に残るためには、単に「上手ければいい」ものではない、ことが、

皮肉な言い方になってしまいますが、よく分かりました。しかし、そうとはいえ、ハーセス氏はすごいです。


◆どのように「すごい」のか。

シカゴ交響楽団に対する好みは分かれるでしょうが、やはり第一級のオーケストラであることは間違いありません。

一流オーケストラのメンバー、とりわけ、各楽器の「首席奏者」は「上手くなければならない」上に、

「間違えてはいけない」のです。


厳密に言うと、絶対間違えないということは、人間、あり得ないと思います。

オーケストラの奏者ではなくて、ソリストですが、私が過去に何度も記事にした、不世出の名手、

モーリス・アンドレ氏のごとき天才ですら、一度、ハイドンのトランペット協奏曲でちょっとミスをしました。

あれほど常に完璧な演奏をする天才(←ご本人は「天才」と言われると機嫌が悪かったそうです。「練習だ」と)ですら

ミスがあるのか!と逆に感動(?)した、中学時代の私でした。


アドルフ・ハーセス氏も一度だけ、ミスをしたのを聴いたことがあるという日本のプロ・トランペット奏者がおられます。

不思議はありませんが、その時だけだ、というのです。


アドルフ・ハーセス氏は、1948年から2001年まで実に53年間の長きにわたり、シカゴ交響楽団首席トランペット奏者、

という栄光の、しかし、ものすごいプレッシャーがかかる地位にいつづけました。

どうしていられたか?というと、それは音楽家として優れていたからですが、トランペットは

とにかく目立ちます。ハーセス氏は1921年生まれで、80歳まで首席だったのは、オーケストラの演奏において

トランペットの「ここ一番!」というところ。絶対に間違えたらいけないところで殆ど絶対に間違え無かったという

その安定した演奏ぶりゆえ、だと言ってよいでしょう。これは自分もラッパを吹いていたことがある私には、

少しは想像がつきます。トランペットはピアノのハンマーアクションのように「ド」の鍵盤を叩いたら「ド」の音が出る

という楽器ではない。人体の一部を振動体とするのは、西洋音楽では声楽とトランペットだけです。

声楽の音源は、元々音を発するための臓器である「声帯」ですが、トランペットは本来その為に存在するわけではない

「唇」を振動体(音源)として用います。それだけ不安定で、たゆまない練習により、楽器と身体との一体感を醸成しないと

ハーセス氏のような偉業を成し遂げることはできません。やはり、永遠にトランペット奏者の歴史に名を残す方だと思います。

それがアドルフ・ハーセス氏の「すごさ」です。


◆ハーセス氏のトランペット協奏曲を乗せて、栄誉を讃えます。

もう廃盤ですが、クラウディオ・アバドがシカゴ交響楽団を振っていた頃に、シカゴの名人達をソリストにして、

ドイツ・グラモフォンに「管楽器協奏曲集」を録音しました。その中にハーセス氏がソロを吹く、ハイドンがあります。

T_chicagoconcerto001

その演奏を乗せて、アドルフ・ハーセス氏の栄誉を讃え、氏への弔意を表します。


ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 第一楽章 アレグロ





安定した立派な音だと思います。


ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 第二楽章 アンダンテ





弱音のコントロールと、歌心が素晴らしいと思います。


ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 第三楽章 フィナーレ・アレグロ





華やかな音色とテクニックの切れが心地良く響きます。


やはり、アドルフ・ハーセス氏はクラシック・オーケストラ・トランペット奏者の代名詞といっても過言でない。

その名は永遠に残ることでしょう。

心より、お悔やみを申しあげます。

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