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2013.11.18

【文字起こし】NHK 時論公論 「核のゴミ 処分に道筋を」(水野倫之解説委員)

◆NHK 時論公論 核のゴミ 処分に道筋を 水野倫之解説委員(11月15日(金)0:00放送)

こんばんは。

小泉元総理大臣が、今週、政界引退後初めて会見し、あらためて「脱原発」を主張しました。

最大の理由として「核のゴミ」の最終処分場が国内にないことを挙げています。

世界で唯一建設中のフィンランドの処分場を視察し、その思いを強くした、と言います。


最終処分は、日本を含め多くの国で困難を極めています。

小泉元総理の発言で、にわかに注目を集める「核のゴミ」の処分。日本は目途を付けることが出来るのか。

各国の状況を見ながら考えます。


総理大臣在職中は「原発推進」だった小泉元総理ですが、会見はほぼ、脱原発の訴えに終始しました。

夏にフィンランドの最終処分場、「オンカロ」を視察して、如何に処分が難しいかを知り、

同じような処分場を日本に造るのは困難だ、と感じ「これ以上原発を推進するのは、無理だ」というのです。



「核のゴミ」は、使用済み核燃料や、それを再処理した後にのこる廃液です。

近づくと、十数秒で致死量に達する強い放射線が出ており、安全になるのに10万年かかる、とされます。

各国は地中深くに埋めて処分しようとしていますが、安全への懸念から、処分場の選定は難航しています。


そんな中、唯一、処分場の建設が進むのが、フィンランドの「オンカロ」で、私は今年はじめに取材しました。

クルマで坑道を下ってゆくと、深さ420メートルの処分地点に到着します。

地下処分で問題になるのは、地殻変動が起きないか、そして地下水で放射性物質が、

地上に運ばれることがないかどうか、です。

担当者によると周りは厚い岩盤に覆われ、地震もなく、20億年前から殆ど変化していない、

ということです。水も少なく、岩肌は乾いていましたが、

廃棄物を埋める穴には、地下水が沁み込んでいるものもあり、

2020年以降処分する際には、こういう場所を避けるということでした。



フィンランドでは1983年から100を超える候補地が調査され、地盤の安定したオンカロが、最終候補地となりました。

町の関係者によりますと、当初は反対運動もありましたが、税収や雇用が増える事への期待に加えて、

推進から独立した機関が安全に処分できる、と報告したことをきっかけに、賛成に傾いたということです。



フィンランドは安定した岩盤に恵まれ、処分場建設にこぎつけたわけですが、

それでも、候補地の調査開始から20年近くがかかりました。



ただ、フィンランド以外で処分場が決まっているのはスウェーデンだけで、各国とも難航しており、

今年は同じヨーロッパでそれを象徴する動きがありました。



まず、ドイツが30年以上調査してきた唯一の候補地を白紙に戻す決定をしました。

候補地は、ベルリンの北西約150キロの村、ゴアレーベンにあり、私は夏に取材しました。

エレベーターで深さ840メートルまで降りると、 坑道がひろがっていましたが、フィンランドとは全く違う地層でした。

(注:以下、ゴアレーベン取材時の音声)

 こちら、壁とか天上が白っぽいのですね。実際に、削ってちょっと舐めてみるとしょっぱいのです。これ実は全て「塩」、岩塩で出来ています。

(注:所在時音声終わり)

ドイツに広く分布する岩塩層は海水が蒸発して出来た地層で、地下水がないとされ、

処分場として最適だとドイツ政府はこれまで説明し、長年、ゴアレーベンだけを候補地とし、調査してきました。

見た限りでは、水は全くありませんでしたが、一部、石油が沁みだしているところがありました。


しかし別の岩塩層で判明した事実をきっかけに反対運動が激しくなります。

施設周辺には、黄色い×印を掲げる住宅を多く見かけましたが、これは「反対」の意思表示です。

住民によると、別の低レベルの放射性廃棄物を埋めた岩塩層で、

ないはずの地下水が流入していることがわかり、放射性物質が水に溶けて、地表へ流出する危険が出て来ました。

にも関わらず、連邦政府は10年以上事実を公表せず、政府への不信が一気に高まったということです。


安全性への揺らぎと、政府への強い不信。地元の州も、計画の撤回を求め、

連邦政府は今年、ゴアレーベン以外にも候補地を探す決定を余儀なくされました。

また、イギリスでも今年、候補地誘致が州議会の反対で振り出しに戻っています。


以上、ヨーロッパを取材して感じるのは、候補地があっても大変なのが、この問題だ、ということで、

日本の取組の遅れが際立っています。 

候補地選定の目途は全く立っていません。

原発を動かすことに力を入れるあまり、厄介な「ゴミ」問題に正面から向き合おうとしなかったからです。



確かに政府は、研究機関が国内で地下処分出来るとの報告したのを受けて、

2000年に「原子力発電環境整備機構」を作り、候補地の選定を始めました。

しかし、自治体から立候補を受け付けるという「待ち」の姿勢で、積極的に動きませんでした。

また、機構の80人あまりの職員のうち、50人が電力会社からの出向者で占められ、

担当者は2,3年で元の職場に戻るため、「自分で解決しよう」というモチベーションがはたらかず、

最終処分問題は10年以上進展しませんでした。


そうした中、東日本大震災が起きました。

福島県内で、電力会社が「動かない」としていた断層が動いたり、住宅街で突然大量の地下水が湧きだし、

今も続いています。

こうした事実は、活断層の見極めが難しく、断層がずれれば、地下水の流れも大きく変わることがあることを示しているわけです。

フィンランドで出来るからといって、地震が頻発する日本で出来るか疑問を持ったのは、何も小泉元総理だけではありませんでした。

専門家も改めて、日本で地下処分が可能か、検討する必要がある、と指摘しました。



この指摘を受け、経済産業省はようやく先月、地震や地下水などの専門家を集めて地下処分の安全性を検証する会議を始めました。

しかし、会議では機構側が「ここ十数年の論文などの知見を見ても、地下処分が安全に出来る見通しがある」と報告し、

専門家が猛反発しました。

これから検証しようというのに、既に「安全」というのであれば、自分達は要らない、というわけです。



国や機構側が最初から「地下処分ありき」のような姿勢で検証に臨むようでは、国民の信頼は得られず、

ドイツの二の舞になりかねません。



地下処分に関する過去の知見にとらわれることなく、全てをリセットして震災以降の知見を徹底的に検証しなければなりません。

そして、仮に、地下処分出来るとするなら、どんな地層で、どんなリスクがあるか洗い出して、国民に判断材料を提供する、

そんな報告をまとめて貰いたいと思います。

また機構については、専任の職員を大幅に増やすなど体制強化を検討して欲しいと思います。


安倍政権は、規制委員会が安全を確認した原発を再稼働させる方針を示しています。

しかし既に全国の原発のプールには、行き場のない使用済み燃料が1万4千トン溜まっています。

このまま再稼働が進めば数年で満杯になるところもあります。

今回の事故では、 使用済み燃料をプールで大量貯蔵することの危険性も明らかになりました。

「核のゴミ」処分は、原発再稼働の是非にかかわらず、急いで答えをださなければならない問題だ

ということを政府は再認識し、今こそ、正面から取り組むことを求めたいと思います。(文字起こし終わり)


◆コメント:4号機使用済み核燃料を移動したくらいでは何の解決にもなりません。

これは水野解説委員の解説を聞くまでもなく明らかなことですが、

今日(2013年11月18日(月))、かねて懸案事項の一つとされていた、福島第一原発4号機の

使用済み核燃料を、脆くなっている可能性が高いプールから別に移す作業が始まりましたが、

場所を移しても使用済み核燃料は放射能を出し続けるわけで、

最終処理場のことを真面目に考えろと水野解説がいうとおりですけれども、究極的には、

放射能を無毒化する技術が開発されない限り、ここにある「核のゴミ」をあちらに移すというだけで、

ゴミの総量は増える一方ではどんな所に埋めても、限界があります。

それを本気で開発できないものか。世界中の物理学者が集まっても無理なのでしょうか。

私の疑問はいつもそこに行き着きます。

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