カテゴリー「金融危機」の記事

2013.04.09

「スペイン、ジャンク級へ格下げのリスク=ムーディーズ」←「対岸の火事」ではないのです。

◆記事:スペイン、ジャンク級へ格下げのリスク=ムーディーズ(ロイター 4月9日(火)21時40分配信)

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは9日、現在「Baa3」としているスペインの格付けについて、

今年の財政再建目標を達成できない恐れがあり、ジャンク(投機的)等級に引き下げられるリスクがあるとの認識を示した。

スペインは昨年、財政赤字を国内総生産(GDP)比7%までしか削減できず、6.3%の削減目標を達成できなかった。

今年の目標は4.5%だが、ムーディーズは達成できる公算は小さいとし、

「当社はGDP比6%程度への緩やかな赤字削減を見込んでおり、

公的債務の急増ペースを低下させることが妨げられる」との見方を示した。

格付け見通しについては「ネガティブ」で据え置き、スペイン政府は、財政再建目標を達成できず、

度々目標を修正することで信頼を失っていると指摘した。

政府筋によると、スペイン政府は2013年の財政赤字削減目標をGDP比6%に緩和する見通しで、

現在2014年となっているGDP比3%への削減達成期限を先送りするよう欧州委と交渉している。


◆コメント:アベノミクス期待で、日経平均株価が上昇しても欧州危機は終わっていないのです。

これは、スペインの特定の民間銀行が危ない、ということではありません。

こういう国家の信用リスクを「ソブリン・リスク」といいます。ソブリン「sovereign」とは元来「国王、主権団体」という

意味です。ムーディーズとスタンダードアンドプアーズ(S&P)というのが、二大格付け機関(会社)ということになっております。

格付け機関というのは、自らは何も付加価値を創造しないで、世界中の国の国債とか大企業の社債の格付けをして、

その信用力に関する情報を世界中の投資家に売って食っている連中で、どうして彼らがそれほど「エラい」のか、

誰にもわからないので、とくにアメリカのサブ・プライムローン問題の後から、この格付け機関にたいして、

おめーら、いい加減にしろよ?

という声も多々あがっているのですが、今のところまだ生きながらえております。

二大格付け機関のひとつ、ムーディーズという会社がスペインの信用力が著しく衰えている、と発表したというのですが、

これは、現在、御存知のとおりヨーロッパはEU(欧州連合)として、一つの経済地域とみなされますので、

ドイツなんかは、まあ、大丈夫なんですけれども、スペインというかなりEUの中では大きな国、その国家の信用力が

怪しい、となると、EU全体の信用力に関わるのです。


すると、ヨーロッパの国々の国債の価格が暴落するので、ここに投資しているアメリカや日本の投資家が

下手をすると大損します。

また、国債だけではなくて、スペインがまず一番ですけれども、ヨーロッパの銀行などの信用力に疑問符が付きます。

以前にも書いたことがありますが、世界中の金融機関というのは一つのネットワークになっておりますから、

スペインの銀行一つぐらい潰れてもいいや、という訳には参りませんで、必ずその銀行に他の銀行なり何なりが

短期金融市場という所でおカネを貸しています。そのおカネが帰ってくるのをアテにして別の所から資金を借りていたとすると、

たった一つのスペインの名前を聞いたこともないような銀行が資金繰りが付かなくなっただけで、その影響はドミノ(将棋倒し)的に

極端に言えば、全世界に波及する危険性があります。この危険を「システミック・リスク」といいます。


ですから、他人事(ひとごと)ではないのです。日本の投資家が直接スペインの地方銀行に投資していることは

殆どないでしょうが、ヨーロッパの他の銀行には投資しています。また、アメリカの銀行や証券会社などにも投資しています。

ドミノ式資金繰りショート(不足)が回り回ると、日本の投資家が持っている海外の国債や社債や、株が紙屑になります。

その損失を埋めるには、商売の元手である「資本金」を取り崩さなければならなくなります。これは最悪でして、

資本金を取り崩すこと=その会社の信用力が低下する→資金を調達しにくくなる、という悪循環が起きます。


こういうのがものすごい規模で起きたのが2008年9月15日のリーマンショックに端を発する世界金融恐慌です。

スペインの格下げで、そこまでの大波乱になるとは、おもいませんが、日経平均がノーテンキに上がり続けることは

できなくなるでしょう。新総裁の下で日銀が「大胆な金融緩和」を実行すれば、日本は安泰というほど、

世の中は、単純に出来ておりません。

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2011.12.02

欧州経済危機とは何か(その2)

◆EU(欧州連合)とユーロ圏とは一致しません。

「その2」と書いたとおり、一度簡単に説明しております。

2011年09月15日(木) 欧州経済危機とは何か。(ココログ)

このときには、ギリシャの問題を中心に書きました。

もう少し丁寧に説明します。


まず、EU(欧州連合)という共同体があります。27ヶ国がメンバーです。

ドイツが第一次、第二次いずれの世界大戦でも負けて、凋落してしまい、

ヨーロッパがアメリカのドルに支配されるのを危惧して、もっぱら最初はドイツが

音頭を取って、EU(欧州連合)というものを作った訳です。


そして、EUの共通通貨がユーロです。

ユーロ導入国は23ヶ国です。


すこしややこしいのですが、EU加盟国27ヶ国のうち、17ヶ国がユーロを自国通貨としています。

EU加盟国で、ユーロを導入していないのは、
イギリス、デンマーク、スウェーデン、チェコ、ポーランド、ハンガリー、リトアニア、ラトビア、ブルガリア、ルーマニア

の10ヶ国です。これらは、従来からの自国通貨を維持してます。


また、EUに加盟していないのにユーロを自国通貨としている国があります。

通貨同盟を結んでいた相手国がユーロに参加したため、一緒に加わったという、

いずれも人口数万人というぐらいの小さい国です。それ(EU加盟国ではないけど、ユーロを導入している国)は、
アンドラ、モナコ(フランスと通貨同盟)、

サンマリノ、バチカン(イタリアと通貨同盟)、

アンドラ(スペインと通貨同盟)

の4ヶ国。

それからコソボ共和国と独立を宣言している国があります。

ドイツマルクを自国通貨にしていましたが、ドイツがユーロを導入したので、ユーロを自国通貨にしました。

コソボはセルビアの一部で国連加盟国193国のうち、コソボを独立国家として承認しているのは、85ヶ国です。

承認していない国々はコソボをセルビア領土内の一地域、と見なしている。

ややこしいですが厳密にいうとそう言うことです。

そして、さらに、モンテネグロという国は一方的にドイツマルクを自国通貨にしていました。これもユーロに移行です。

EU加盟国であり、ユーロを自国通貨としているのが、17ヶ国。

それに、アンドラ、モナコ、サンマリノ、バチカン、コソボ、モンテネグロ、の

6ヶ国を加えるので、ユーロ導入国は23ヶ国です。


◆ユーロ導入している国が次々にヤバいのです。

単一通貨ユーロを導入すると、ユーロ圏では、両替をしなくていいので、コストが削減され、

また、為替変動リスクを気にせずに済むようになるので、ユーロ圏内では相互に貿易が盛んになり

経済活動が活発化します。


ところが、逆にデメリットがモロに出ているのが今の状態です。

ユーロ圏内は経済的運命共同体なので、一国でもいい加減なのがいると、

ユーロを導入している地域全体の信用問題になるのです。


ユーロ導入国であり、かつEU加盟国であるギリシャは、EU加盟の条件で

本当は財政赤字をGDP(国内総生産)の3パーセント以内に収めていなければならないのです。

しかし、9月に説明したように、ギリシャは、オリンパスじゃないですが、粉飾決算をしていたのです。

2009年10月に政権交代があり、今のパパンドレウ新政権のもと、旧政権が財政赤字を隠蔽していたことが

明らかになりました。旧政権は財政赤字はGDPの4パーセントぐらいだと言っていましたが、新政権が調べたら、

なんと3倍以上、GDPの13パーセントもあることが判明しました。

そこから、欧州ソブリン(国債など国家が発行したり政府が保証している債券)危機が始まりました。

それはそうでしょう。国家の発行する債券は、本来、最も安全でなければならないのに、本当はEUに参加出来ないような

ギリシャが財政赤字を誤魔化してEUのメンバーになっていたのですから、

「ユーロ圏は信用出来ないな」と思われてしまう。そうすると、世界の他の国が

ユーロ圏の債券を買わなくなる。資金が調達できなくなるから、ますます財政赤字が膨らむ、

という悪循環になるのです。


◆南欧諸国の財政状況の悪さも明らかになりました。

ギリシャの財政赤字は、身から出たさびですね。

ギリシャの公務員は、全労働人口の20%以上に当たる100万人以上もいて、

公務員給与と年金が政府支出の40%にも及ぶというから無茶です。

因みに2010年にOECDが発表した2007年のデータによると、公務員人件費の対GDP比率は、

資料を提出した23ヶ国中、日本は最も低く6.2パーセント。人口1000人あたりの公務員の人数は、

日本は32人で、フランス、アメリカ、イギリスの半分以下。

国家公務員に限ると、なんと日本はフランスの10分の1です。


それはともかく、ギリシャ人のデモを見てると全然分かっていないですね。

ギリシャのソブリンリスク、国家としての信用が暴落したので、

ギリシャ国債に投資していた、他のヨーロッパ政府やヨーロッパやアメリカの金融機関が

大きな評価損を計上せざるを得ない状況です。全然ギリシャ人は分かっていないです。

全労働人口の5分の1にあたる公務員。彼らは5時間の昼休みを取ります。

年金支給額が現役の給与とほぼ、同水準。それを減らすと言ったら、デモですよ。


ギリシャだけならまだしも、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランドが

どうも、自力で財政再建不可能らしいということで、既に投資不適格の格付けになっている国もある。

問題は、特にイタリア、スペインには、同じユーロ圏のドイツ、フランスが多額の投資をしている。

従って、イタリア、スペインが極端な話、デフォルト(債務不履行)などおこしたら、

イタリア、スペインの国債は紙屑となり、両国の銀行などの株・債券の価格が暴落し、

フランス・ドイツを巻き込み、さらにその結果アメリカや日本の投資家も評価損を計上することに

なるかもしれない。

そういう漠然とした、しかし、十分あり得る事態が鮮明になってきたので、

11月30日には何と、日本銀行の白川総裁が夜の11時から記者会見を開き、

日本銀行、カナダ中銀、英国中銀、欧州中銀、フランス中銀、スイス中銀の総裁が相談して、

それぞれの国で外貨、とくにアメリカドルの流動性資金が不足しそうなときは、余っている国から

融通する「スワップ取極」という制度があるのですが、その時タダじゃないのですね。金利を取ったり

取られたりするのですが、その金利を下げることにした、と発表したのです。

これによって世界の主だった国や、その国の金融機関が資金繰り難に陥るのを防ぐ。

その意思をヨーロッパ時間に合わせて同時に発表することによって、マーケットに、

ひとまず、安心感を与えましたが、白川日銀総裁は、11月30日夜11時からの記者会見で、

これは、けっして欧州財政危機の根本的な解決にはならないのであって、

財政に問題を抱えるユーロ圏で、対策を考えて貰わないと、リーマン・ショックのような

ことになりかねない(これは、昨夜ではないと思いますが、そういう趣旨の発言はしています)、

と言っていました。


◆全く予断を許さない、きわどい状況です。

11月30日、6ヶ国中央銀行の意思表明の結果、12月1日には、

ひとまず安心感から株が買われましたが、あくまでも「ひとまず」です。

日本の中央銀行総裁が夜の11時から記者会見をして世界に安心感を与えなければならないほど、

きわどい状況なのか、ということが、私には、むしろショックでした。

相当、ヤバい。下手をすれば、リーマン・ショック以上ですね。

民間企業ではありませんから。今、問題になっているのは。

G7といって、世界経済の最も主要な7ヶ国のうち、フランス、イタリア、

場合によってはドイツまで、デフォルトするかも知れないというのは、

もしそうなったら・・・・ちょっと想像が付かないですね。

世界大金融恐慌とそれによる、ものすごい大不況の到来ということでしょうか。

そんなことで済むかな?というほどの問題が起きる可能性が現実にある。

一般の方々が考えておられるよりも事態は遙かに深刻です。

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2011.10.02

放射線を無効化する技術が開発されない限り、世界は滅亡する。

◆記事:プルトニウム、飯舘村まで飛散=原発事故で、土壌から検出―文科省(時事通信 9月30日(金)17時42分配信)

文部科学省は30日、福島第1原発周辺で行った土壌調査の結果、

原発事故で飛散したとみられるプルトニウムが福島県双葉町、

浪江町と飯館村の計6カ所から検出されたと発表した。

原発敷地外での検出は初めて。

沈着量はいずれも、過去に海外で行われた核実験で日本各地に降った

プルトニウムの測定値の範囲に収まっているという。

飯舘村の1カ所は原発から40キロ以上離れていた。プルトニウムは粒子が重く、

遠くまで飛散しにくいとされ、爆発を伴った事故の大きさが改めて浮き彫りになった。

調査では6月6日~7月8日、福島第1原発から80キロ圏内にある市町村の100カ所で土壌を採取。

プルトニウムなどの量を分析した。

その結果、3町村の各2カ所で1平方メートル当たり最大4.0ベクレルのプルトニウム238を検出した。

事故以前の測定値に比べ、同239、同240に対する比率が大きいことから、

今回の事故で新たな沈着があったと判断した。

沈着量が最も大きかった浪江町の地点で、仮に50年間滞在した場合、

同238の被ばく線量は0.027ミリシーベルトにとどまるという。
また、45カ所ではストロンチウム89を検出。

半減期が約50.5日と短いことから、事故後に沈着したとみられる。


◆コメント:「プルトニウムの生物学的毒性はウランの20万倍である(小出助教)」

これは、震災約2週間後にビデオニュース・ドットコムで放送された、

番組の中での小出裕章京都大学原子炉実験所助教の発言である。

私のブログでも引用した。

2011.03.28 【差替】ビデオニュース・ドットコム「あえて最悪のシナリオとその対処法を考える」

この中で、小出助教は、
プルトニウムは人類が遭遇した物質で最悪の毒性を持っているといわれ、生物学的毒性はウランの20万倍です。

と言っている。ウソだとおもうなら、今でも聴けるから番組そのものを

ご覧になるといい。


あえて最悪のシナリオとその対処法を考える【Part1】





放射性物質といっても何百種類もあり、気体状になりやすいヨウ素とかセシウムは、拡散しやすく

チェルノブイリ事故のあと、世界中から検出さえたが、相対的に「重い」プルトニウムは

水に溶け出すなどしないと気体にはなりにくいため、チェルノブイリでは原発周辺何㎞、10㎞、20㎞

の範囲に落ちた。今回はチェルノブイリよりも更に遠い40㎞地点で検出された。

と、いうことは、福島原発事故後に拡散した放射性物質全体の量が如何にすさまじかったか

ということであろう。「兆」の上の「京(けい)」という単位は大きすぎて想像不可能だが、

今回初めて、その量の大きさが何となく、おぼろげに想像出来た。


しかし、問題の本質は「40㎞離れた飯舘村でプルトニウムが検出されたこと」自体ではない。

今もなお、放射性物質は環境に放出され続けている、ということ、

そして、人類には放射線を無効化する技術を持っていない、という事実、である。


◆「除染」は「移染」に過ぎない。

福島原発周辺地域の住民はしきりに「しっかり除染」して欲しいというが、

除染という言葉はミス・リーディング(誤解を招きやすい)な言葉である。

現在、世間がいうところの「除染」とは、放射性物質が含まれているもの(土とか水とか)を

削り取ったり、汲み出したり、或いは、放射性物質だけを何かに吸い取らせて、他の場所に移す

ことであり、その放射性物質自体が、無害になる、つまり放射線を発しなくなるのではない。


即ち我々のいうところの「除染」とは、こっちにある放射性物質を何処かにとりあえず運ぶ、

というだけである。汚染が移動するだけだ。「除染」ではなく「移染」である。

「移染」と言う日本語は辞書に載っていない。私が思いついた言葉だが、この方が真実に忠実である。


◆放射性物質は放出され続けている。

福島原発1号機から3号機の原子炉圧力容器に格納されていた、核燃料は、

とっくの昔に圧力容器も格納容器も溶かし(核燃料の崩壊熱は2,800℃に達するが、

圧力容器、格納容器の素材である鋼鉄は1,700℃で溶ける)、原子炉建屋のコンクリート床も溶かし

多分、地中に沈降した。

「多分」というのは、今でも誰も「核燃料が今どこで、どうなっているのか」確認出来ないのである

場所が分からないのだから、回収しようもない。密閉することもできない。従って、核燃料はどこかで

今、この瞬間も放射性物質を環境に放出し続けている、と考えざるを得ない。


最大の問題は、そこにある。福島原発事故直後に放出され、原発周囲に落ちた、あるいは世界中に

飛び散った核物質とて「移染」することしか出来ない。

何故なら、人類が放射線を無効化する技術を持たないからである。

それに加えて、どこにあるか分からない、福島の核燃料が放射性物質を放出し続けている。

ということは、とりあえず、今は放射性廃棄物をどこやら、人が住んでいるところから離れた場所に

閉じこめることっができても、時間の経過とともに、環境の放射性物質は増える一方で決して減らないので

あるから、超長期的には、やがて地球上に、保管する場所はなくなり、

地球上のあらゆる人間や生物は、深刻な被曝を避けることができなくなる。


◆放射線を無効化する技術が発見又は開発されない限り、地球上の生物は滅亡する。

私は、世間を徒に怖がらせて喜ぶつもりは全くないが、前段までに

書いた事実から、論理的、必然的に到達する結論は、

放射性物質を無効化することができなければ、やがて地球上の生物は、被曝により滅亡する。

ということになる。それを考えると暗澹たる気持である。

但し、最近、一筋の光明となるかも知れない記事を発見した。

外務省に保存されている、1970年代の外交記録文書である。朝日新聞が報じた。
◆記事:米、海へ原子炉投棄を画策 72年、日本に協力要請(朝日新聞 2011年9月26日5時54分)

放射性廃棄物などの海洋投棄を禁じる「ロンドン条約」の策定が進んでいた1972年、米国政府が廃炉後の原子炉を海洋投棄するための例外規定を条約に盛り込むことを目指し、日本政府に極秘に協力要請していたことが、外務省の外交記録文書(公電)で明らかになった。日本は態度を鮮明にしなかったが、米国は海洋投棄の狙いを隠して国際交渉を進め、例外規定を盛り込むことに成功した。

当時、米国では初期の試験用原子炉の解体が始まっていたが、その後に想定される大型の商業用原子炉の処分方法は決まっていなかった。廃炉の処理法を確立せずに原発建設を進め、海洋投棄を検討せざるを得なかった事情がうかがえる。

朝日新聞の請求で公開された極秘指定の外交記録文書によると、米国の条約交渉代表団のサーモン国務省環境部次長(当時)が72年11月に日本側担当者と会談し、「米国には初期の原子炉で寿命のきたものが相当数あり、処分に苦慮している」と吐露。「地上での処分は住民の反対が必至で、放射能汚染の危険性を皆無にする程度まで科学的処理を行うのは経済的に困難」とする米国内の実情を説明した。

日米が国民に秘密裡に行った外交交渉の内容は、この際どうでも良い。

「一筋の光明」とは色太文字の部分である。
放射能汚染の危険性を皆無にする程度まで科学的処理を行うのは経済的に困難

「経済的に困難」といっている。「科学的に不可能」とは言っていない。

発言者は当時の国務省環境部次長のサーモン氏とやらである。

この人物の科学的知識の程度が不明であるし、発言を何処まで信頼してよいか不明だが

希望的に、文字通りに解釈すると、
放射能汚染の危険性を皆無にする程度まで科学的処理を行うのは、カネに糸目をつけなければ可能である。

ということになる。この記事を読んで私はハッとしたのである。

しかし、繰り返すが発言を文字通りに受け取ってよいかどうかが、分からない。

発言者はアメリカ国務省(日本の外務省に相当)の役人である。アメリカとて実は放射能を安全にする

ことは「科学的に不可能」なのだが、そのように発言すると、アメリカの沽券に関わるので、

「経済的に困難」と、ウソをついているかも知れない。

どちらとも云えない。ただ、サーモン・元・環境部次長の発言が「一筋の光明」であってほしい。

そうでなければ、人類は滅亡に向かっている、という結論に変化が生じない。


◆残念ながら、私の「悪い予想」は、当たるのである。

今回の事態の深刻さとは比べ物にならないが、私は過去、重要な事態において二度予想を書いた。

一つは、2005年9月11日、「郵政民営化選挙」の結果を受けた翌日。

2005.09.12 自民党歴史的勝利←国民の歴史的かつ致命的判断ミスですな。

何度も書くが、この後、ものすごい数の嫌がらせコメント、メールが殺到したが、

時間の経過と共に、小泉政治が日本の「終わりの始まり」だったことは明らかである「格差社会」を生み、

高齢者、障害者、病人、経済的弱者にとって一層辛い世の中を創り出した大元は、小泉純一郎である。

(あのときに嫌がらせをしてきた連中で、その後私に謝罪したのは、1人もいない。)


もう一つは、2008年、9月15日に起きた「リーマン・ショック」に関してである。
2008.09.16 「米証券大手リーマン、破産法適用申請へ」←三菱UFJか三井住友か、みずほが潰れたようなものです。超一大事です。

リンク先をご覧頂くと分かるが、私は、
冗談じゃないよ。リーマンを潰すか? 世界中がパニックに陥るぞ。米政府よ。

と書いた。世界中の政府が銀行に公的資金を注入して資本を増強したので、金融恐慌は免れたが、

銀行の受けた評価損が貸し渋り(クレジット・クランチ)を世界中で引き起こし、全世界の景気が

「あたかも、崖から岩が転がり落ちるような勢いで」(白川日銀総裁)後退した。

全世界の景気が同時にかつて経験したことの無いほどの勢いで悪化したのである。

今もその後遺症が残っている。日本に関して言えば、リーマン・ショック後の景気後退から

漸く、少し脱して来た気配が見えたのが今年の初めだったのに、何と言う皮肉であろう。

東日本大震災で、元の木阿弥どころか、以前よりも悪い状態になってしまった。


話がそれた。


要するに、残念ながら、悪いことが起きた時の私の予想は過去2回ともほぼ当たっている。

悪いことが当たっても少しも嬉しくないが、今回、地震と津波だけならまだしも、

福島原発の事故は、痛恨の極みである。

このままだと、取り返しが付かないことになる、と私は予想している。

世間は、あまりもノーテンキである。

深刻なことを考えたくない。それはわかるが、「あまり、のほほんとしなさんな」

と敢えて、忠告する。

最後に今一度、書く。
放射線を無効化する技術が発見又は開発されない限り、地球上の生物は滅亡する。

それは、論理的必然である。

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2011.08.25

「ムーディーズ、日本国債格下げ」←今、財政再建なんか出来るわけが無いだろう。馬鹿。

◆記事:日本国債格下げ、プライマリーバランス黒字化遅れが要因=ムーディーズ(ロイター)(2011年 08月 24日 20:20 )

ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、日本政府の債務格付けを

Aa2からAa3に引き下げたことについて、プライマリーバランスの黒字化の遅れが要因で、

電力の供給力低下も日本の経済成長に逆風との見解を示した。

1ノッチ格下げの根拠については、財政赤字、政府債務、弱い成長戦略の見通しを織り込んだとしている。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスのソブリン・リスク・グループ・シニア・ヴァイスプレジデント、

トーマス・バーン氏が24日開催した「日本国債格付メディア説明会」で明らかにした。

今回の格下げの根拠についてムーディーズは、多額の財政赤字の増加、

2009年の世界的な景気後退以降の政府債務の増加、

債務残高の対国内総生産(GDP)比上昇の抑制を困難にしているいくつかの要因がある、と指摘。

まず、過去5年にわたり首相が頻繁に交代したことが、長期的な経済・財政戦略を効果的に

かつ一貫した政策として実行に移す上での妨げとなったと指摘。

また、3月11日の地震と津波、その後の東京電力福島第1原子力発電所の事故の発生が、

2009年の世界的な景気後退からの回復を遅らせ、経済成長の見通しも弱まらせたとみている。

これらの要因が、政府による赤字削減目標の達成と「社会保障と税の一体改革成案」

の実施を一層困難にさせたとの認識も示した。

日本の格付け見通し「安定的」としたことに関して、バーン氏は

「日本政府の信用力がおそらく18カ月維持される。それを下支えする要因は、

国内投資志向の存続によりファイナンスコストを低く抑えられること」と指摘。

「仮にネガティブに変更する格付けアクションがあるとしても、その可能性は大変小さい」との見方を示した。

民主党代表を控えた時期に格下げを発表したことについて、

バーン氏は「政局の動きとはまったく関係ない。格付け見直しを開始してほぼ3カ月たっており、

ムーディーズの方針として、見直しをする際には3カ月あるいは90日をめどに結論を発表することにしている」

と述べた。

急激な円高に関しては「日本の経済、成長にはマイナス。

ただ、円高進行による産業の空洞化はただちには起きていない」との見解を示した。

ムーディーズでは、影響は一部にすぎず、大企業には見られないとしている。

世界的金融危機の期間、3月の地震に続く数カ月、世界市場で新たな混乱が生じた最近においても、

日本国債は安全な投資対象として引き続き極めて高いパフォーマンスを示した。

バーン氏は「世界的な信用市場における動揺があったとしても、重要な点は、

銀行を含めて民間が保有している対外純資産を持つことにより、

かなり大きなバッファーがあるということ。

このバッファーにより、ユーロ圏における問題が波及することはない」との認識を示した。


◆コメント:今、プライマリーバランスどころではないですよ。

プライマリー・バランスは基礎的財政収支とも言います。

アンチョコから引用すると、

国の財政の健全性を見る指標の一つで、歳入(国債などの借金を除く)から、

歳出(過去に発行した国債などの元利払いに充てる国債費を除く)を差し引いた数字。

プライマリーバランスともいう。毎年度の一般会計歳出を税収だけで賄えれば収支は均衡する。

しかし、日本はバブル経済崩壊後、景気低迷で税収が減少する一方、

景気対策のため歳出が膨らんだ結果、収支が大きく悪化した。(共同通信社)

ということなのです。


ムーディーズとスタンダード&プアーズが世界の2大格付け機関で、

スタンダード&プアーズは、8月5日に米国債を格下げしました。

その時に、
2011.08.09 「S&P、米国債初の格下げ 赤字削減が不十分 」←格付け機関の無責任。

で書きましたが、そもそも、今日の世界経済の混乱を招いた元凶がこの2大「格付け屋」

なのです。アメリカの低所得者層向け住宅ローン、「サブプライムローン」を債券化した、

モーゲージ担保証券に、最上級格付けを付けておいて、いきなり18段階も格下げしたのです。

おかげでリーマンが潰れたようなもので、その時各国政府は、システミックリスクといって、

それぞれの国の銀行が資金繰りが付かなくなり、世界金融恐慌に陥るのを防ぐ為に、

大量の公的資金を、民間銀行に注入しましたが、それ以来、不景気です。


漸く今年のはじめのころ、景気のどん底から抜け出したかな?と言うときに

日本では、震災が起きました。


御存知のように、復興や被災者支援の為には国が多くのおカネを出さなければならない。

その間、赤字が増えるのは仕方が無いです。

プライマリー・バランスを均衡させる、つまり、赤字で無くさせるためには、

財政支出を減らして、国庫の歳入を増やす。つまり増税です。だから消費税引き上げとか

なんとか政府が焦ってますが、この景気の悪いときに、財政出動をやめたら、

被災地のがれきも片付けられないし、二重ローンの免除も出来ないし、

インフラの再整備もできません。

そして、皆がものを買わずに物価が下がり続けるデフレーションが続いている最中に

増税など実行したら、家計の可処分所得は減りますから、悪循環です。


少なくとも、今の未曾有の緊急事態が起きた日本に、財政を健全化する見通しがたっていない

のは当たり前です。

長期的にどうすれば良いかというと、アメリカの経済学者でノーベル経済学賞受賞者、

クリーグマンという人が前から仕切りに言うのですが、インフレ・ターゲットを設定して

景気を良くしてから、増税すれば良い、という意見があります。


これは、日銀は嫌がっているのですね。そもそも物価の安定が日銀の大きな使命の一つなのに

よりによってその日銀がインフレ目標を設けて、少しずつ通貨供給量を増やしたら

つまり、量的緩和でデフレを止めて、物価を上昇させること、

とクリーグマンはいうのですが、

通貨供給量が増えたら、自動的に物価が上昇するとは限らない。

たとえを用いるならば、そこらの床にガソリンを撒いたところで、それだけでは

何も起こりません。それに火を点けるマッチが必要ですが、

金融政策では、そういう手段はないのです。

そして、何かがきっかけとなり、インフレ、つまり物価が上がり始めたら、

散々通貨供給量を増やしてますから、今度はすごいインフレになるかも知れない。

日銀はそれを恐れているのですが、クリーグマンは「何をグズグズしているのだ」

と言わんばかりです。元来日本がこれほど長期的にデフレになる時が日本銀行の

出番というより、インフレが起きたら、金利を引き上げるなどの手段で、

それを抑えるのが日本銀行の使命だという意識が日本銀行には伝統的にあるので、

かつて、実行したことがない、故意にインフレにする、ということに非常に

抵抗感があるようです。


民主党からも、自民党からも日本銀行にインフレ・ターゲット政策を採用しろ

という圧力はあるのですけれども、仮にそれを実行して、インフレが急加速したら

絶対「日銀の責任を問う」とか、白川総裁の責任にして自分達は知らん顔をする

ことは、ほぼ、100パーセント明らか。だから、なかなか決められません。


インフレターゲット政策はさておき、日本政府はムーディーズに対して、
今、格下げしなくても良いだろう。今はプライマリーバランスどころじゃないのだ。

ぐらい、言ってやっても良いと思います。スタンダード&プアーズに格下げされた

アメリカは、スタンダード&プアーズに、「どういうつもりだ」と言っています。

とにかく今は、ムーディーズに踊らされて、焦り狂って、財政支出削減、増税、などと、

現政権が決めないことです。自民党も大人しくしてなさい。

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2011.08.09

「S&P、米国債初の格下げ 赤字削減が不十分 」←格付け機関の無責任。

◆記事:S&P、米国債初の格下げ 赤字削減が不十分 (日経 2011/8/6付)

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が5日(現地時間)、

米国債の長期格付けを「トリプルA」から初めて1段階引き下げると発表した。

欧米の財政問題を背景に、欧州では株価が大幅下落し、

米国でも5日の株式相場は乱高下するなど国際的な金融不安が続いていただけに、

週明けも市場が一段と混乱する可能性がある。

日米欧7カ国(G7)は近く、財務相会議を緊急開催し、対応策を協議する。

S&Pは米国債の長期格付けを最上位の「トリプルA」から、「ダブルAプラス」に1段階引き下げた。

同社が米国債を格下げするのは1941 年の現行制度開始以来初めて。

S&Pは「米政権と議会が合意した財政健全化計画が、

政府の中期的な債務構造の安定に不十分と判断した」としている。

格下げはドルの信認にも影響が出る可能性が高い。


◆コメント:一民間企業の主観的評価に世界経済が翻弄されるべきではない。

もう半年以上前なので、忘れている方が多いでしょうが、

今年の1月27日、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は日本の

外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けをAAからAA─に引き下げました。

そのときに、私は、格付け会社が如何にいい加減であるかを書きました。

「政府・日銀、国債格下げ契機に財政再建本腰が急務との声」←増税しやすくするための謀略ですか?

格付け会社というのは、ムーディーズとS&Pが最も「権威がある」ことに

なっていて、何かというと、この2つの会社の格付け、または、格付け見通しの

変更に翻弄されますが、「格付け機関」という訳し方は良くないです。

「機関」という言葉には「権威」を想起させる語感がありますが、

要するに単なる民間会社です。

そしてその判断が、絶対中立、公正無私であるかというと、全然そんなことはありません。

国債の格付けはソブリン格付けといいますが、格付け屋は、民間企業が発行する債券(社債)にも

ランク付けを行いますが、その評価対象から、手数料を受け取って評価を付けて収入にしている。

公平になるわけが無いのです。


今に至るまで世界経済低迷の原因となった、アメリカのサブプライムローンの破綻と、

それが原因となったリーマン・ショック、いずれにも格付け会社に大きな責任があります。


アメリカが不動産バブルで、土地に値段がうなぎのぼりだったころ、本来なら融資を受けられない

過去にローンを返済できなかったり、延滞したような世帯にまで、融資をしました。

2002年から2007年の間にアメリカの金融機関は3兆2000億ドルに及ぶサブプライム住宅ローンを

実行して、その「債権」をモーゲージ担保証券という紙の「債券」として売り出しました。

それは、S&Pとムーディーズの両方が、最高ランクの格付けを与えていたのです。

「この債権に投資すれば絶対安心」ということです。ところが、不動産価格が下がりはじめ、

多くのサブプライムローンが焦げ付き始め、あるとき、一番ひどいのになるとS&Pは、

「AAA」から一挙に18段階も格付けを下げたのですからたまりません。


世界中の投資家が債券価格の暴落で大損失を被りました。

リーマン・ブラザーズは、それが元で資金繰りに窮したのです。

このリーマンだって世界で四番目に大きな投資銀行だったのです。

S&Pは当然、「AAA」を付与していました。

本当は、リーマンの財務内容が悪化していることを知っていたはずなのに、破綻する

ときまで、最上位「AAA」のままでした。ところが2008年9月15日にリーマン・ブラザーズは

あっけないほど、アッというまに潰れてしまった。

リーマンの発行した債券や株が紙屑になり、世界中の投資家、特に銀行などが

巨大な評価損を計上することになりました。銀行は1つ潰れると、システミック・リスク

と言って、ドミノ式に世界中に影響しますから、世界金融恐慌を避けるために、

世界各国の中央銀行が、公的資金を民間銀行に注入して、資本を増強しました。

ヨーロッパ各国や日本や、アメリカは、リーマン・ショック前から財政赤字でしたが、

リーマンショックで、巨額の資本注入を行ったことで、さらに状態が悪化したのです。


スタンダード&プアーズ(S&P)や、ムーディーズは、元はと言えば自分達のいい加減な格付けと、

その急激な変更が原因なのに、日本や、欧州各国や、アメリカの財政状態がよろしくない、

といって、格下げしているのですから、盗っ人猛々しいのです。


S&Pが米国債を格下げした理由に、
米政権と議会が合意した財政健全化計画が、政府の中期的な債務構造の安定に不十分と判断した

とあります。その詳しい根拠は言わない。これは、数人のチームで会議を開いて適当に「判断し」ただけなのです。

極めて主観的で、根拠に乏しい。

とにかく私にはサブプライムローン債券にトリプルA(AAA)を付与していきなり、

18段階も引き下げるという(要するに前の格付けが間違っていたのです)ような無茶苦茶な

ことをする会社。自分達は何も作らず、何の付加価値を生み出すわけでもなく、

ただ、世界中の国債や社債に格付けして高収入を得ているような会社の活動は制限するべきだ、

と思います。

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2010.09.30

「アングロ・アイリッシュ銀の政府負担、最悪ケースで300億ユーロ超=新聞」←ギリシャとは違うけれどもかなり、ヤバいのです。

◆記事:アングロ・アイリッシュ銀の政府負担、最悪ケースで300億ユーロ超=新聞(ロイター 9月29日(水)16時5分配信)

[ダブリン 29日 ロイター] アイリッシュ・タイムズ紙は29日、アイルランド政府が救済のため国有化した

アングロ・アイリッシュ銀行について、最悪の「ストレス・シナリオ」では、15年間かけて清算する最終費用が

300億ユーロ(404億ドル)を大きく上回る可能性があると報じた。

同紙は情報源は明示していないが、費用が膨らんだとしても、前日に米格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)の

アナリストが示唆した350億ユーロは下回る見通しだとしている。

最悪の場合のシナリオを除くと、資金調達を行うファンディングバンクと資産を回収する銀行に分割する費用が推定で

280億─290億ユーロになるという。

アングロ・アイリッシュ銀の最高経営責任者(CEO)は今月、ロイターとのインタビューで、

救済費用が300億ユーロに達する可能性があるとの考えを示していた。

アイルランド政府は、同行の分割・清算にかかる資本コストについて30日の市場終了後に公表する見通し。

アイリッシュ・タイムズ紙は、政府がアライド・アイリッシュ・バンクス

の資本増強に関する概要も明らかにする可能性があると伝えている。


◆コメント:国有化した銀行の資本増強にEU(ECB=欧州中銀)の救済が必要かもしれないのです。

ギリシャ危機は、簡単に言うと、EU諸国に課せられた財政赤字基準を、遙かに超えていたのに「粉飾していた」ということでした。

EU各国は財政赤字をGDPの3パーセント以下に抑えなければならない、というルールがあるのですが、ギリシャは実際は10パーセントを

超えていたのが発覚し、周辺諸国からおカネを借りて、何とか国債の期限にこれを償還することが出来たのです。

国債は国の借金ですから、期日に返すべきお金が無いと、デフォルト(債務不履行)ということになり、国の信用力がゼロになるのです。


アイルランドはそうではないのですが、財政赤字を何とか小さくしようとして緊縮財政政策を取り、経済成長率が予想以上に低くなって

しまいました。国債の償還に関しては、資金を確保しているのですが、この記事にある、アングロ・アイリッシュをはじめとする銀行の

救済に、よそからの助けを頼むことになるのではないか、といわれていたのです。

とにかく、まず、アングロアイリッシュがどうなるか、に市場が注目していたら、案の定、巨額の資本注入が必要らしい、と。

アイルランド政府は、アングロ・アイリッシュだけではなく、他の銀行の救済も含めると、1,000億ユーロが必要ではないか、

とも言われています。そうなると、欧州金融安定機関(EFSF)というところからおカネを借りなければならないだろうとも

考えられています。国の信用力に関わる問題なので、2日ほど前からアイルランド国債が債券市場で大量に売られていて、

その減少だけを見ると、ギリシャ危機(とは原因が異なるのですが)直前とそっくりなのです。

EUは運命共同体なので、アイルランドだけの信用に留まらない。また欧州経済危機が取りざたされている訳です。


また、アメリカも最近発表された経済指標が、予想を下回っていて、再び金融緩和を行う、と予想されています。


日本は、昨日、日銀短観という数字が発表され、景気の現状は3ヶ月前よりも良い、と答えた大企業(特に製造業が注目されます)

が多いのですが、3ヶ月後はどうか?という問いには、多くが「悪化するだろう」と答えていて、そう考えている以上、経済活動が

活発になるとは思えない。日銀は10月5日から金融政策決定会合をやりますが、そこで、更に金融緩和(後は量的緩和ぐらいしかないのですが)、

するだろうと考えられています。

このように、世界中、景気が悪いので、所謂「二番底」が到来するのではないか、という恐怖が経済の世界では広がっています。

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2010.09.16

「リーマン・ショックから2年目」に「6年半ぶりの日銀介入」。

◆記事1:米経済に今も傷跡=住宅市場、回復に遅れ―リーマン・ショック2年(時事通信 9月13日(月)15時32分配信)

証券大手リーマン・ブラザーズが住宅バブル崩壊のあおりで破綻(はたん)してから、15日で2年。

金融危機で冷え込んでいたウォール街(米金融街)のビジネスは、企業合併・買収(M&A)が増加するなど活気が戻りつつある。

ただ、住宅市場の回復は遅れ、中小金融機関の破綻も後を絶たない。リーマン・ショックの後遺症は今も残っている。

ウォール街をにぎわすM&A。調査会社ディーロジックによると、8月の買収総額は世界全体で2834億ドル(約24兆円)に上り、

前年同月から倍増した。米金融当局による事実上のゼロ金利政策のおかげで、資金調達コストが低下していることが背景にある。

だが、ウォール街の復調とは裏腹に、家計や中小企業の資金繰りは厳しい。

不況の長期化と雇用情勢の冷え込みが原因だ。金融機関も「焦げ付きを警戒して、既存の顧客以外には貸したがらない」(米金融関係者)。

とりわけ住宅ローンには慎重で、住宅市場が回復しない一因となっている。


記事2:82円台突入で円売り介入=財務相「急激な円高、看過できず」―日本単独6年半ぶり(時事通信 9月15日(水)10時52分配信)

政府・日銀は15日午前、急激な円高を阻止するため、東京外国為替市場で円売り・ドル買いの為替介入に踏み切った。

これを受け、15年3カ月ぶりの高値となる1ドル=82円台後半で推移していた円相場は、一時85円台まで急落した。

介入は1000億円を大きく上回る規模とみられる。為替介入は2004年3月16日以来、6年半ぶり。

米欧の通貨当局との協調はなく、日本単独で実施した。

野田佳彦財務相は介入実施直後に緊急記者会見し、

「足元の動きは経済、金融の安定に悪影響を及ぼし看過できない問題だ」とした上で、

「過度な変動を抑制するため為替介入を実施した」と明言。

さらに、「必要な時には介入も含め断固たる措置を取る」と改めて市場を強くけん制した。

米欧は輸出拡大を狙って自国通貨安を容認しており、日本が介入する場合は海外通貨当局の理解が不可欠と見られていた。

これについて野田財務相は、日本単独で実施したことを認めた上で、

「必要な関係当局と緊密な連携は取っているが、それぞれどういう反応を示しているのかはコメントを差し控えたい」と明言を避けた。

白川方明日銀総裁もほぼ同時に、「為替市場における財務省の行動が為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待している」

との談話を発表。

日銀としても「今後とも金融市場に潤沢な資金供給を行っていく方針だ」とし、

介入により市場に放出された円資金を利用し、強力な金融緩和環境を維持する姿勢を示した。

具体的には、本来、金融調節で吸収すべき円資金を市場に放置するとみられる。

菅直人首相はこれまで、「円高の急速な進行と長期化は経済・金融の安定に悪影響を及ぼすため看過できない」

との政府見解を表明。「必要な時には為替介入を含む断固たる措置を取る」と述べ、介入も辞さない構えを見せていた。


◆コメント:奇しくもリーマン・ショックからちょうど2年後に、6年半ぶりの為替市場介入となった。

日銀は東京市場に続き、ロンドン、ニューヨーク市場でも介入を続けている。

流石に、6年半ぶりの介入初日は、マーケットに「耐性」が無いから、ドル高・円安となった。

しかし、問題の根源は、「ドル売り」である。記事1に示したとおり、今日(9月15日)は、

アメリカの巨大証券会社、リーマン・ブラザースが破綻した「リーマン・ショック」からちょうど2年目である。

アメリカの景気は好転しないが、結局、リーマン・ショックの影響が残っている。不動産価格が低迷したままなので、

サブプライムローンを組んだ人々は、所有する不動産を売っても、ローンを返済できない。

このため、アメリカでは普通の事である、、職を探して自由に国内を移動する、ということができないので、

雇用を失った人が、他の土地へ言って職を見つけることができず、失業したままとなる。この雇用情勢の悪さが、

アメリカ経済の回復をさらに遅らせている。


2年前、リーマン・ブラザーズが破綻した際、こんなことをしたら影響が大きすぎると書いた。

「米証券大手リーマン、破産法適用申請へ」←三菱UFJか三井住友か、みずほが潰れたようなものです。超一大事です。ココログ

それはともかく、8月10日のFOMC(Federal Open Market Committee=連邦公開市場委員会)で、反対するメンバーもいたが、

最後は議長のバーナンキの決断で、アメリカは追加的金融緩和を決めた。


日銀は8月30日に臨時の金融政策決定会合を開き、金融緩和策の強化を発表した

しかし、円高は収まらず、民主党代表選が終わるのを待ちかねていたように、今日(9月15日)

為替市場介入を実行した。昔の介入は、介入したかどうか、旧大蔵省も日本銀行も、はっきり言わなかったが、

今日は記事2に書かれているとおり、介入開始後、財務相が記者会見を開き、

白川日銀総裁が、「総裁談話」を発表した。

このような介入の仕方は、初めてである。しかし、それは枝葉末節である。


介入が効果を持続できるか。

多分、無理であろう。問題の本質は米国経済が好転しないことよる「ドル売り」である。

また、欧州財政危機への不安から来る「ユーロ売り」である。

日本とて、デフレを克服できず、決して世界で唯一景気が良い国でもなんでもないのだが、

相対的にリスクが少ないと思われている。

さらに、アメリカもEUも自国通貨が安くなった方が、輸出企業にとって有利である。

日本の輸出企業に取っては円安が有利であることと同じ原理である。

1ドル=80円では、1台1万ドルの自動車は80万円だが、円安で、1ドル=100円になれば、

同じ1万ドルが100万円になる。


アメリカやユーロ圏の輸出企業にとっては、円高・ドル安或いは、円高・ユーロ安、の方が

有りがたい。従って、皆自分の事しか考えていない訳だが、日銀が介入により、極端に円安に

しようとしても、邪魔するだろう。


久しぶりの介入なので、マーケットは反応したが、やがて慣れてくる。

謂わば、日銀介入に「耐性」ができるのである。

一旦円安に転じた相場もやがて再びドル安・ユーロ安・円高に戻り、80円を割り込み、

歴史的安値、79円75銭を更新する可能性が高い。

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2010.09.13

<振興銀破綻>債務超過1804億円 提携交渉望み絶たれ←債務超過の銀行は潰すべきだと小泉に進言していた木村剛。

◆記事:<振興銀破綻>債務超過1804億円 提携交渉望み絶たれ(毎日新聞 9月10日(金)22時12分配信)

経営再建中の日本振興銀行(東京都千代田区)は10日、経営破綻(はたん)し、東京地裁に民事再生法適用を申請した。

8月末時点での債務超過額は1804億円。民間調査会社の帝国データバンクによると、3月末の負債総額は6194億円。

江上剛(本名・小畠晴喜)社長ら取締役5人は退任を申し合わせた。

元金融庁顧問の木村剛被告=今年8月に銀行法違反(検査忌避)の罪で起訴=らが中小企業融資に特化して設立した銀行は、

6年半で行き詰まり、預金の元本1000万円とその利息までしか保護しないペイオフが初めて発動された。


◆コメント:小泉政権時代、竹中金融相のブレーンで、不良債権を抱えた銀行はどんどん潰すべきだと主張していたのが、木村剛

2001年、小泉政権が発足し、小泉が所信表明演説を行った、2001年5月7日、

日経平均株価は14,529円だった。

小泉首相の経済政策は明確に二つの項目が示されていた。それは、

国債は絶対に30兆円以上発行しない。(緊縮財政)。

企業の破綻処理を薦める(不良債権処理)

だった。2番目の政策は、つぶれそうな企業は、潰す。という意味であり、エコノミストの中には猛反対する声もあったが、

反対されると実行してしまう小泉首相は、現実に破綻処理を薦めた。

その結果、所信表明演説から約2年後、2003年4月28日、日経平均株価は、7,607円と約半分。

金融恐慌ギリギリのところであった。


◆そうなった原因は竹中金融相と、政策を進言した、ブレーンの木村である。

2002年8月竹中平蔵が金融担当大臣になった直後、ニューヨークタイムズのインタビューに答えて、

「銀行の破綻もありうる」と発言したため、日本の金融市場では金融恐慌の可能性が現実味を帯び、

それが、株価の下落を引き起こし、2003年4月の7000円台という目も当てられない状況を呼び込んだのである。


◆小泉政権が経済政策の完遂に失敗したおかげで、その後景気は回復したのだ。

竹中は、木村剛の意見を取り入れ、アメリカ風に「金融機関に自己責任を負わせる」方針を名言した。


2003年3月決算において、りそな銀行は国内営業を行うため、最低必要とされる自己資本比率4%を割り込み、本来破綻するところだった。

そうなったら、世界の金融システムは一つの巨大なネットワークになっているから、りそなが潰れたら金融恐慌が起きるところだった。

小泉政権が当初の公約通り、「破綻処理をすすめ」ていたら確実にそうなるところだった。


しかし、現実には、小泉政権は、公約を破棄し、りそなに公的資金を注入して救済した。

小泉政権が公約を破棄し、「潰れそうな銀行も潰さなかった」が為に、その後の景気回復が

始まったのである。


◆銀行の自己資本に組み込む、「繰り延べ税金資産」の問題。

この時問題となったのが、銀行の自己資本に繰り入れる繰り延べ税金資産

(先に払った税金が、不良債権の処理状況によっては、還付される)であった。

竹中金融相のブレインの一人であった木村剛は、

自己資本に計上する繰り延べ税金資産は最大1年分だといっていたが、

りそなは3年分の繰り延べ税金資産を自己資本に組み込むことにより破綻を免れたのである。

1年分しか繰り延べ税金資産を計上しなかったら、確実にりそな銀行は潰れていたのである。


◆結論:小泉経済改革が破綻したから、景気が回復したのである。

2003年4月の7千円台から次第に株価は値を戻し、8月18日に1万円台を回復した。

この頃、世間は「小泉改革路線の成果だ」ともてはやしたが、そうではない。


小泉経済改革が破綻したから、金融危機を免れたのである。

木村剛、竹中平蔵の当初の路線を継続していたら、金融恐慌だったのである。

木村が、小泉政権の金融行政ブレーンを辞めて、銀行を作りたい、といったら、

担当大臣の竹中はあっさり認可した。木村は元日銀マンで秀才で通っていたらしいが、

中央銀行でいくら優秀であっても、民間銀行を経営するセンスは、全く違う種類のものだ。

とうとう日本振興銀行は破綻した。

ペイオフの発動により、預金全額が戻らない預金者が3,423人もいる。

自見金融担当相がいうとおり、当時、安易に銀行免許を与えた竹中の責任は、確かに存在する。

竹中はマスコミの取材に対して、知らぬ、存ぜぬを繰り返しているらしいが、このままで済ませていいのか。

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2010.09.01

「日経平均株価 325円安、ドル円、84円06銭。15年ぶりの円高」←「効果ないだろう」と書いたでしょ?

◆記事1:東証大引け、大幅反落、全面安で年初来安値 09年4月以来の水準。 (日本経済新聞 8/31 15:20)

31日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反落した。終値は前日比325円20銭(3.55%)安の8824円06銭で、

25日の8845円39銭を下回って年初来安値を更新した。2009年4月28日(8493円77銭)以来の水準で、

下げ幅は6月7日(380円39銭)以来の大きさとなる。

前日の米株式相場の下落や円相場の上昇を嫌気して安く始まり、その後も円高などを懸念した売りが止まらず全面安の展開になった。

前日に日銀が追加金融緩和を、政府が追加経済対策の基本方針を決定したが、

東京市場で1ドル=84円台前半と円高に歯止めがかからないことも売りに拍車をかけた。

トヨタやみずほFG、東芝など主力株で年初来安値の更新が相次いだ。

政府・日銀による経済・円高対策はおおむね事前の予想通りの内容で、当面は政策面の好材料が出そうにないとの見方や、

今後発表が相次ぐ米経済指標への警戒感が株売り・円買いを加速させた。後場は一段の地合い悪化を警戒し、

株式投資を手じまう目的の換金売りが下げに拍車をかけたとの声も聞かれた。

あす9月1日に民主党代表選の告示を控え、市場では「政局が混乱する可能性があることも買いを見送らせた」

との指摘があった。


◆記事2:外為17時 円、大幅反発し84円台前半 東京市場でも15年ぶり高値 (日本経済新聞 8/31 17:32)

31日の東京外国為替市場で、円相場は大幅反発した。

17時時点では前日の同時点に比べ91銭の円高・ドル安の1ドル=84円20~23銭近辺で推移している。

日銀の追加緩和策が市場予想の範囲内にとどまったことや、内外の株安を手掛かりに円買い・ドル売りが広がった。

月末とあり国内輸出企業による円買い・ドル売りも加わり、

円は一時84円06銭前後と東京市場の動きとしては1995年6月以来およそ15年2カ月ぶりの円高水準まで買われた。

米景気の先行き不透明感を背景に、前日の米株式相場は下落し、日経平均株価も300円超の大幅安となった。

アジア諸国・地域の株式相場も総じて下落し、投資家がリスク回避姿勢を強めたため、資金の退避先として円を買う動きが加速した。

ロイター通信は31日夕、池田元久副財務大臣の発言として

「急激な変動には断固たる措置をとらなければならない」と報じた。

政府・日銀による円売り介入への警戒感が高まり、買い持ち高を縮小する目的の円売りが出て、上げ幅を縮めた。

9~17時時点の円の安値は84円66銭近辺で、値幅は60銭程度だった。


◆コメント:日銀が追加金融緩和しても、効果は期待出来ない、と書きましたでしょ?

昨今の円高、株安は、まず円高が先行し、円高だと輸出企業の収益を悪化させるので輸出関連株主導で、

株価が全面安になっているわけです。

日曜日の夜に、日経などが、
「30日(月)、日銀が臨時金融政策決定会合を開き追加緩和策決定へ」

と、報道しましたが、私は、そんなことをしても円高は止まらないだろう、と書きました。
2010年08月29日(日) 「<日銀>30日に臨時の金融政策決定会合 追加緩和策決定へ」←あまり効果は期待できません。ココログ

更に言わせて頂くならば、その前にも「『日銀の対応が遅れたから円高になったのだ』、という批判は正しくない」

という趣旨の記事を書きました。
2010年08月24日(火) 円急伸、15年ぶり83円台=円高対応の遅れ突く―ロンドン外為」←対応しようがありません。80円を割り込むと思います。ココログ

私は占い師ではありませんので、予想が当たったといって自慢するためにこの記事を書いている訳ではありません。

自明なのです。


そもそも日銀ばかり批判される筋合いはない。同じ事を繰り返す事になりますが、

今の円高は、円に積極的な「買い材料」があるから、ではありません。

「円買い」ではなく、「ドル売り」「ユーロ売り」なのです。

アメリカ経済が先週、今年のGDP予想を下方修正しました。

リーマン・ショックは2008年9月15日でしたから、そろそろ2年が経つのに、

米国経済は、本当に回復していません。まだ不動産価格は上がらず、不良債権を抱えた

アメリカの地方銀行は今年に入ってからだけでも既に100行以上潰れています。


EU(欧州連合)もまだ、不安定です。ギリシャ財政危機だけであれほど大騒ぎになりました。

ギリシャのGDPがEU全体のGDPで占める比率はわずか2%とか3%とか、せいぜいその程度です。

しかし、ギリシャは「粉飾決算」していたのですね。

EUの財政規律ではEU加盟各国は、財政赤字をGDPの3%以下に抑制すること、

という義務が課せられてます。ギリシャの当初の統計ではどうなっていたか不明ですが、

とにかく「財政赤字はGDPの3%以下」の条件を満たしていたはずなのに、

本当は、規定の4倍、12%だったことが判明したのです。

こういうことが一度あると、EU全体への評価が落ちます。スペインも財政危機なのでは、

などという噂がありましたが、スペインのGDPはEU全体の約10%ですから、もし、スペインが

財政危機に陥り、ギリシャ危機のように、他国が穴埋めすることになったら、EU全体がガタガタに

なる(あくまで仮の話ですが、可能性がゼロではありません)。


このように考えると、円はリスク回避先として「相対的に」まだマシということです。


だから、日銀が緩和するといって、臨時会合を開いても、
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.1%前後で推移するよう促す。

で、これは今までと変わらない。0.1%ですから、下げようがない。ゼロ金利政策を採用してもわずか0.1%しか下げられない。

それで、資金供給オペの額を10兆円上乗せするということしかできなかったのですが、

何度も書いている通り、日本の金融市場は資金不足で困っている訳ではありませんから、

この程度では焼け石に水。それは白川日銀総裁も分かっているけど、政治的圧力がかかり、

とにかく何か、ポーズを取らなくてはいけないので、こういう結果になったのです。


◆政治家が、民主党の代表選選びの方に血道を上げていることが問題です。

31日付の日経1面で、編集委員が特別コラムを書いていました。目に留まったのは、

民主党内は消去法のような代表選びに忙しく、経済への関心は著しく低い。だが日本はなお世界3位の経済大国なのだ。

渡辺博史元財務官は最近会う海外の要人たちが「日本の現状に、いらだちよりも恐怖を感じ始めている」という。

日本が低迷しているだけなら反面教師で済むが、いずれ経済・財政の破綻につながり、世界経済の混乱の火種になりかねない。

非常に尤もな話で今日も菅直人内閣総理大臣は、小沢一郎に「代表選出馬を止めろ」と頼みに言ったけれど、

結局小沢は出るという結果です。小沢以前に、民主党内の内輪もめが政治家達の最大の関心事で、

これだけ、円高、株安が進行しているのにもかかわらず、あたかも、
今、それどころじゃない。

と言わんばかり。自分達は民主党代表選で忙しいから、為替と株価は日銀さん、よろしくね。

というその姿勢です。世界第3位の経済大国である日本がもし、ボヤボヤして財政危機などが、

コントロール不可能になったら、世界経済の破滅に繋がると言っても過言ではない。

小沢は民主党代表選出馬を決めたそうですが、政治資金問題に関してグレーだから、

6月2日に幹事長を辞めた奴が、何を考えているのか。政党は公的存在ではあるけど、要するに、

政治家共の内輪の事です。小沢と鳩山は引っ込み、菅直人内閣総理大臣には、経済政策に

注力して頂きたいですね。今日、経済相が家電のエコポイントを年末までのはずだったのを、

来年3月まで延長する、とか言っていましたが、小手先じゃダメです。

理論的には、効果は無いのですが、こうなったら、日銀はゼロ金利政策をとり、更に大規模量的緩和を

行う。

同時に、菅直人内閣総理大臣は、景気が回復し、デフレが止まるまでは、

所得税、住民税、消費税率をそれぞれ思い切って、暫定的に引き下げる、

という、常識では考えられないぐらいのことを発表して世界をアッと言わせないと、

状況は悪化する一方でしょう。

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2010.08.17

円高阻止の為に介入をしても、無駄だと思います。

◆記事:円急騰 政府・日銀は為替安定へ動け(8月13日付・読売社説)

米国の景気減速懸念から、円高・ドル安に歯止めがかからない。為替安定へ、政府と日銀が連携を強化し、機動的に対応すべきだ。

円相場は1ドル=84円台に上昇した。1995年以来、15年ぶりの水準だ。

この年に79円台の史上最高値を記録したが、このまま円高が進めば、

最高値をうかがう展開もあり得る。対ユーロでも円が上昇し、円独歩高といえよう。

円急騰は、ようやく業績が好転し始めた自動車、電機などの輸出企業の収益を圧迫し、

景気回復に悪影響を与えかねない。

円高に伴う輸入価格の下落により、日本のデフレがさらに長期化することも懸念される。

円高加速が嫌気され、12日の東京株式市場の株価は急落した。

今後の為替相場の動きを警戒しなければならない。

円高が進んだきっかけは、米連邦準備制度理事会(FRB)が10日、

景気判断を大幅に下方修正し、事実上の追加金融緩和策に踏み切ったことである。

市場への資金供給量を減らさずに、長期金利の低下を促し、

景気を下支えする狙いだ。米国でも台頭し始めたデフレ懸念に対し、先手を打つ思惑もあろう。

しかし、市場ではむしろ、雇用悪化と個人消費の低迷など、景気減速への警戒感が一段と高まったといえる。

米国の金利低下で、日米金利差が縮小するという見方も重なり、ドルが売られている。

比較的安定した通貨と受け止められた円が、“消去法”で買われている事情もある。

気がかりなのは、FRBの追加策による景気テコ入れ効果が限定的とみられる点だろう。

財政赤字を抱えたオバマ政権も、新たな景気刺激策を実施しにくい。政策に手詰まり感がみえる。

そこで米当局は、当面は輸出で景気を下支えしようと、

輸出促進にプラスになるドル安の進行を容認する構えのようだ。

財政危機問題を抱えた欧州も事情は同じで、通貨安頼みがうかがえる。

そんな中、円急騰に無策ぶりが目立つのが日本政府と日銀だ。

日銀は10日、金融政策の現状維持を決めたばかりだが、量的緩和策の拡充を含め、

追加策の検討が急務ではないか。あまりにも危機感が足りない。

経済産業省は円高が経営などに与える影響について、企業調査を月内にまとめるという。しかし、これも緩慢すぎる。

政府・日銀は、円高阻止の為替介入をためらうべきでない。


◆コメント:介入をしても無駄だと思います。

読売新聞の13日付社説は、教科書的には大変正しいのですが、現実のマーケットにおける売買は、

このような、日米の経済情勢を勘案して行っているのでは、ありません。

ディーラーといっても色々いますが、このドル円相場は「直物(じきもの)為替」といいます。

スポット・ディーリングとも言いますが、これは、「ディーリング」というと聞こえが良いけれど、

要するに、「丁半バクチ」です。上がるか、下がるか、動かない。この3種類しかない。取引としては、

ドルを売るか、買うか、何もしないか、です。何もしなかったら損もしないけど儲かる可能性もゼロなので、

ディーラーという人種は必ず何かをします。


そして、ここからは理屈ではないのです。

ドル円、直物相場の歴史的安値は79円75銭です。先週の海外で84円台まで円高が進みました。

ここまで来たら、ディーラーという「生き物」は、歴史的安値を更新しないと気が済まないのです。

歴史的安値を付けたのは俺だ、と言いたい。それだけのことです。実際の相場というのはその程度の世界です。


所でドルが対円で値を下げるのは、ドルを売る人がいるからです。

何故、ドルを為替市場で売ることが出来るかというと、買い手がいるからです。

買い手がいなくなったら、ドルを売っていた連中が自分で買い戻すしかありません。

そうなったら、自分が売ったときより、安い値で買い戻さないと、損失が発生しますから、

今度は、狂ったようにドルの買い戻しが始まるでしょう。それまで放っておくしかないのです。

今、介入したら、日銀がドルの買い手になるということですから、余計に売られる事でしょう。



逆のケースが、為替ではありませんが、アメリカの不動産価格です。サブプライムローンは、本来、

過去に延滞の記録があったり、低所得だったり、住宅ローンを組めないような人達にも住宅ローン専門の

アメリカの金融機関がどんどんおカネを貸したものです。何故そんなことをしたかというと、2007年頃まで、

アメリカの不動産価格はずっと上昇し続けていたのです。だから金融機関は、低所得者層にまで、

ローンを組んでローンで買った土地、建物を担保にすれば、これらの値段は、どんどん上がっているから、

ローンを返せなくなっても、土地と建物を売れば、ローンを返済してまだお釣りがきますよ

と、甘言を弄しておカネを貸して、土地・建物を買わせました。ところがあまりにも買ったものだから、

それ以上、買う人がいなくなってしまいました。買う人がいなくなれば、不動産価格は暴落します。

このため、金融機関の思惑ははずれ、皆、土地・建物を売っても、元の値段より安くしか売れず、

住宅ローンを返済できなくなり、住宅ローン専門金融機関は多額の不良債権を抱えることになりました。

そして、サブプライムローンを証券化して、他の投資家に売っていたのですが、何しろ不良債権になって

しまったので、債券化した商品も価格が暴落しました。こういう金融商品に大量に投資したり、

或いは、住宅ローン専門金融機関に融資していた、さらに大きな金融機関も不良債権を抱えることになりました。

それを処理するために、資本金を取り崩さなければならない。それだけ経営の安定性が崩れます。

いつ潰れるか分からない金融機関に短期金融市場で資金を出してくれるところがどんどん減りました。

それで資金繰りが付かなくなって潰れたのがリーマン・ブラザーズです。


話が、それましたが、要するに、アメリカの不動産市場では、皆が不動産を買ってしまったので、

暴落するしかなかった。


だから、日本の為替市場に日銀が介入したら、売りたい連中は喜ぶばかりです。

今は、黙って見ていれば良いのです。そのうち、皆ドル売り持ち(買いと売りを相殺してもまだ売りの方が多いこと。)

になります。皆が売ってしまったら、買い戻すしかありません。

そうしたら、我先にとドルの買い戻しが入る事でしょう。どうしても介入したいのなら、

このタイミングで介入することです。既に買い戻しが始まっているのに、さらに後から

追い立てるように介入するのを、「追いかけ介入」などといいますが、これは短期的には効果があります。

しかし、アメリカも景気の回復が鈍いので先週、FRBは追加的に金融緩和措置を講ずるといっています。

ドルは、今は積極的に買われる地合いにない。中期的にはドル安でしょう。

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