カテゴリー「世界同時不況」の記事

2012.06.16

情報の軽重を考えることは大切です。「欧州」「橋下」「高橋容疑者」「子供の脳死臓器移植」

◆一人で世界の全てを見渡すことは、勿論出来ませんが・・・・。

最近は、「ネットで読めるから」という理由で、紙の新聞を購読しない(買わない)

人が増えているようです。私は情報商売なので、正直、カネがかかって辛いのですが、

例えば、日経は電子版を購読し、紙は駅の売店で買っています。

しかし、これだけだと、経済問題が最優先になりがちなので、毎日新聞も購読してます。

どうしてか、というと。


新聞の報道のあり方、色々不満がありますが、紙の新聞、

全ての紙面が全く余白なく、記事や広告で埋められていますね?

あれって、結構芸術的な「技」です。


ぴったり決められた字数で記事を書くように、新聞記者は訓練されてます。

そして、新聞のトップ(1面)ならトップに、さらにどのようなニュースを

どういう情報量で配分してレイアウトして印刷するか、これは「整理部」という部署の仕事です。

この整理部は重要な仕事で、ここがいい加減だと、

「今日、この新聞が特に重要だと考えていることは、何なのか?」

が、はっきりしない、「だらしのない」紙面になってしまうのです。

つまり、新聞各社の「整理部」は、情報の軽重(けいちょう)、重要度を、

なるべく早く決める、というそのバランス感覚が大切ですが、

これは、マス・メディアのみならず、各個人においても意識すべきことです。


◆大騒ぎされていることが、世の中全体にとって重要なこととは限りません。

今日ならば、朝方、オウムの高橋容疑者が身柄を確保されたことが

最も派手に取り上げられました。逮捕がニュース速報になるのは当然ですが、

あれだけ、網を張り巡らしていたら、捕まるのは時間の問題。


そして、高橋容疑者が地下鉄サリン事件などで果たした役割と、逃げ続けていた

という事実を考えると、どうせ死刑確定だと思います(本当は、有罪判決を待たなければいけませんが)。


ですから、1日中騒ぐことではありません。


Twitterでは、もう何週間も、毎日、何百件、何千件という「橋下大阪市長批判」がTweetされてます。

これは、皆が気がついているということですから、まあ、正常です。小泉のときは稀代のペテン師である

ことに、有権者が殆ど気付いていない、ということ自体が問題でした。

橋下のことは考えなくても良いとはいいませんが、あれだけ世間にウォッチされているので

変なことを、言ったり行ったりすれば、直ぐにニュースになるでしょう。


◆「6歳未満で脳死と判定された男児からの臓器摘出」は逐次報道する必要を認めません。

これ、メディアが実に無神経ですね。

国内で、脳死判定された子供からの臓器提供は初めてであるのは事実ですが、

6歳未満のお子さんが亡くなった親御さんが、当然いるのです。

昨日、気丈に記者会見をして、コメントを発表してましたが、

幼子を亡くした親がいる、ということですね?


いくら、臓器提供を決心したからといっても、

我が子を亡くした両親は胸が張り裂けんばかりの悲しみの中にいます。


それは、100パーセント、聞くまでもなく明らかです。


そのご両親が、やれ、臓器摘出が始まった。

心臓が取り出された、肝臓が摘出が終わった。角膜も取り出した

と、逐一報道されて、どんな気持ちになるでしょうね?

そんなことは、いちいち「実況」しなくて良いのです。

どうしても報じたければ全ての臓器移植が終わった後で、

「全て無事に終了した」と、短く伝えればいいのです。

メディア報道を見ると好奇心が優先してます。

世の人々も逐次状況を知りたいと思っていない。

報道機関のデリカシーの無さに呆れます。


◆欧州金融危機

世界のメディア、政府・金融政策担当者などが、今一番緊張してます。

金融市場は、世界中が一つのネットワークになっています。

昨日、ムーディーズという格付け会社がスペインのソブリンを3段階格下げし、

17日にはギリシャで選挙がある。

ギリシャは、財政危機にあり、自分の国が発行した債券を返せなくなるかも知れない。

デフォルト、といいますが、これを避けるために、ユーロ圏の他国からの財政支援を必要とするのです。

但し、ただで支援してくれるわけではなくて、ユーロ圏の財政支援を受けたいならば、

ギリシャは債務の国内総生産(GDP)比率を2011年の165%から116.5%に低下させる必要がある。

その為には、ギリシャ政府は財政を引き締め、つまり、無駄使いをなるべく減らさなければなりません。

ところがギリシャは労働人口の4分の1が公務員ですし、社会保障が手厚い。手厚すぎるのです。

公務員年金は、現役時代の給料とさほど変わらない。

ギリシャ人は、今までそれが当たり前と思い込んでいますが、

緊縮財政政策を取るということは、公務員の給料や年金支給額を減らす必要がある。それはイヤだ、という人達が

世論調査ではまだ半分近いというのですが、財政立て直しをしないなら、ユーロ圏他国は財政支援してやらないよ?

といっているのです。そしてユーロ圏の支援を受け入れないのなら、共通通貨ユーロか出て行きなさい、と。


そこまで来て、初めてギリシャ人にも事の重大さが分かりました。

ギリシャは元々ドラクマという独自通貨をもっていましたが、経済力のない、つまりあまり信用が無い国、通貨だったので、

金利が高く、ギリシャ国民は借金をしづらかったのですが、統一通貨ユーロは、信用があるので、金利が低い。

ギリシャ国民は、ドラクマ時代よりも低い金利で借金ができるようになりました。

また、統一通貨ユーロ圏内は、たとえばドイツも同じユーロを使っているので、貿易をするにも

いちいち通貨を替える必要がないですね。為替リスクがなく、両替の面倒もない。だから、一時期、

ギリシャ人は調子に乗り、借金をしまくって、ドイツのポルシェを買いまくったので、

「ギリシャはポルシェを世界一多く保有している国」といわれていますが、これがユーロから追い出されて

ドラクマに戻ったら、弱小通貨ですから、ドラクマ安になる。つまり他国からの輸入品の値段がすごく高くなりインフレになる。

これが怖い。はっきり言って狡いのです。ユーロの信用力を享受したいのなら、日本人並は絶対に無理ですが、

いくら何でももう少し働け、と。民間で稼いで税金収めろと。いうことです。


17日の選挙では、2つの政党、緊縮策をとり、ユーロ圏の支援を受け入れようという、「新民主主義党(ND)」と

緊縮財政反対を掲げる(アホですな)ギリシャ急進左派連合(SYRIZA)のどちらが勝つか?が注目されています。


ギリシャ急進左派連合が勝利してしまうと、ギリシャは、ユーロ圏から放りだされます。

すると、ギリシャの銀行に投資していた、他のヨーロッパの銀行が資金繰りが危なくなり、

さらにそれら、ギリシャ以外のヨーロッパの銀行に投資していた、アメリカや中国の金融機関が大損して、

さらにそのアメリカの銀行に投資してた日本の投資家も潰れるんちゃうか?と、金融はそういう風に繋がってます。

日米欧の各国中銀が日曜日も出勤して、ギリシャ選挙の結果を注視するのは、万が一、ギリシャが、

ユーロ離脱ということになっても、ギリシャに投資してた銀行、その銀行に投資してた銀行・・・

がおカネを回収できなくなりそうだったら、直ぐに中央銀行(日本なら日本銀行です)が

金融市場に資金を注入する相談をしてるから、大丈夫だよ、としきりにパニックを予防しようとしてます。


とりあえずは、それで事態を沈静化できても、信用不安は残ります。つまり、

ヨーロッパのあの銀行、実は資本不足じゃないの?というような噂が流れただけで、

リーマン・ショックのときのような、信用収縮、つまり銀行ができるだけ貸出は安全運転に徹しようと。

信用収縮といいますけど、リーマンのときは、それで世の中全体のおカネの巡りが悪くなって、

世界中が同時に不況に突入してしまったのです。

リーマン・ショックは、2008年9月15日に発生しました。

昨年の初めの頃は、日本経済は、漸くその長い痛みから抜け出しかけていた。

それなのに、東日本大震災で、元の木阿弥になってしまったのです。

この上、欧州経済危機の影響を受けたら、また不況が長引きます。

全然、対岸の火事ではない。ものすごくきわどい状態です。


◆原発再稼働

欧州金融危機の説明が長くなってしまったし、大飯原発の再稼働については、

今までにも書きました。

時事通信が15日(金)に発表した世論調査では、大飯原発再稼働に関して、

「反対」が46%、「賛成」が39%で、辛うじて「反対」が「賛成」を上回りましたが、

私としては、福島第一原発の悲劇をみているのに、まだ約4割の回答者は原発再稼働に

賛成である、ということが驚きです。経験から何も学んでいないのがショックです。


◆まとめ:できるだけ色々なニュースを並行的にウォッチしている人が多いほど安心です。

あまり偉そうなことを書きたくありませんが、日本人のTwitterを読んでいると視野狭窄的で、

橋下大阪市長批判の人はそればかりだし、原発再稼働反対の人はやはり他のことを話さないし、

世の中の問題には、我、関せずでずっと音楽の話をしている人もいて、それぞれ自由なんですが、

社会と無縁でいられる人はいないので、色々な方面に意識的に注意を向けることが、

やはり大事なのではないか。

同時並行的に色々なことが視野に入っている人が多いほど、

世の中全体が安定的な状態に近づくのではないか、と思います。

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2011.08.09

「S&P、米国債初の格下げ 赤字削減が不十分 」←格付け機関の無責任。

◆記事:S&P、米国債初の格下げ 赤字削減が不十分 (日経 2011/8/6付)

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が5日(現地時間)、

米国債の長期格付けを「トリプルA」から初めて1段階引き下げると発表した。

欧米の財政問題を背景に、欧州では株価が大幅下落し、

米国でも5日の株式相場は乱高下するなど国際的な金融不安が続いていただけに、

週明けも市場が一段と混乱する可能性がある。

日米欧7カ国(G7)は近く、財務相会議を緊急開催し、対応策を協議する。

S&Pは米国債の長期格付けを最上位の「トリプルA」から、「ダブルAプラス」に1段階引き下げた。

同社が米国債を格下げするのは1941 年の現行制度開始以来初めて。

S&Pは「米政権と議会が合意した財政健全化計画が、

政府の中期的な債務構造の安定に不十分と判断した」としている。

格下げはドルの信認にも影響が出る可能性が高い。


◆コメント:一民間企業の主観的評価に世界経済が翻弄されるべきではない。

もう半年以上前なので、忘れている方が多いでしょうが、

今年の1月27日、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は日本の

外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けをAAからAA─に引き下げました。

そのときに、私は、格付け会社が如何にいい加減であるかを書きました。

「政府・日銀、国債格下げ契機に財政再建本腰が急務との声」←増税しやすくするための謀略ですか?

格付け会社というのは、ムーディーズとS&Pが最も「権威がある」ことに

なっていて、何かというと、この2つの会社の格付け、または、格付け見通しの

変更に翻弄されますが、「格付け機関」という訳し方は良くないです。

「機関」という言葉には「権威」を想起させる語感がありますが、

要するに単なる民間会社です。

そしてその判断が、絶対中立、公正無私であるかというと、全然そんなことはありません。

国債の格付けはソブリン格付けといいますが、格付け屋は、民間企業が発行する債券(社債)にも

ランク付けを行いますが、その評価対象から、手数料を受け取って評価を付けて収入にしている。

公平になるわけが無いのです。


今に至るまで世界経済低迷の原因となった、アメリカのサブプライムローンの破綻と、

それが原因となったリーマン・ショック、いずれにも格付け会社に大きな責任があります。


アメリカが不動産バブルで、土地に値段がうなぎのぼりだったころ、本来なら融資を受けられない

過去にローンを返済できなかったり、延滞したような世帯にまで、融資をしました。

2002年から2007年の間にアメリカの金融機関は3兆2000億ドルに及ぶサブプライム住宅ローンを

実行して、その「債権」をモーゲージ担保証券という紙の「債券」として売り出しました。

それは、S&Pとムーディーズの両方が、最高ランクの格付けを与えていたのです。

「この債権に投資すれば絶対安心」ということです。ところが、不動産価格が下がりはじめ、

多くのサブプライムローンが焦げ付き始め、あるとき、一番ひどいのになるとS&Pは、

「AAA」から一挙に18段階も格付けを下げたのですからたまりません。


世界中の投資家が債券価格の暴落で大損失を被りました。

リーマン・ブラザーズは、それが元で資金繰りに窮したのです。

このリーマンだって世界で四番目に大きな投資銀行だったのです。

S&Pは当然、「AAA」を付与していました。

本当は、リーマンの財務内容が悪化していることを知っていたはずなのに、破綻する

ときまで、最上位「AAA」のままでした。ところが2008年9月15日にリーマン・ブラザーズは

あっけないほど、アッというまに潰れてしまった。

リーマンの発行した債券や株が紙屑になり、世界中の投資家、特に銀行などが

巨大な評価損を計上することになりました。銀行は1つ潰れると、システミック・リスク

と言って、ドミノ式に世界中に影響しますから、世界金融恐慌を避けるために、

世界各国の中央銀行が、公的資金を民間銀行に注入して、資本を増強しました。

ヨーロッパ各国や日本や、アメリカは、リーマン・ショック前から財政赤字でしたが、

リーマンショックで、巨額の資本注入を行ったことで、さらに状態が悪化したのです。


スタンダード&プアーズ(S&P)や、ムーディーズは、元はと言えば自分達のいい加減な格付けと、

その急激な変更が原因なのに、日本や、欧州各国や、アメリカの財政状態がよろしくない、

といって、格下げしているのですから、盗っ人猛々しいのです。


S&Pが米国債を格下げした理由に、
米政権と議会が合意した財政健全化計画が、政府の中期的な債務構造の安定に不十分と判断した

とあります。その詳しい根拠は言わない。これは、数人のチームで会議を開いて適当に「判断し」ただけなのです。

極めて主観的で、根拠に乏しい。

とにかく私にはサブプライムローン債券にトリプルA(AAA)を付与していきなり、

18段階も引き下げるという(要するに前の格付けが間違っていたのです)ような無茶苦茶な

ことをする会社。自分達は何も作らず、何の付加価値を生み出すわけでもなく、

ただ、世界中の国債や社債に格付けして高収入を得ているような会社の活動は制限するべきだ、

と思います。

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2011.01.28

「政府・日銀、国債格下げ契機に財政再建本腰が急務との声」←増税しやすくするための謀略ですか?

◆記事:政府・日銀、国債格下げ契機に財政再建本腰が急務との声(ロイター 1月27日(木)22時41分配信)

S&Pによる日本国債格下げを受け、政府・日銀内では、市場の信認をつなぎとめておくためにも、

これを契機として財政健全化に本腰を入れて取り組むべきとの声が出ている。

S&Pは27日、日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けをAAからAA─に引き下げた。

アウトルックは安定的。

外貨建て・自国通貨建て短期ソブリン格付けはA─1+に据え置いた。

日本国債の格付けが下げられるのは、2002年4月以来。

格下げ発表を受けて野田佳彦財務相は同日記者団に対し「民間の会社の評価で、基本的にコメントを控える」とながらも、

6月に予定されている社会保障と税の一体改革など

「節目節目で財政規律を守るとのメッセージを出すことは、市場の信認を得るためにも大事だ」と強調した。

与謝野馨経済財政担当相は、格下げについて「残念だ」とコメント。

格下げの理由について「ひとつは債務残高が増加していること、

もうひとつは、菅内閣がこれから財政再建に取り組もうとしている姿勢が十分理解されていない、

あるいは真剣度が十分伝わっていないことだろうと思う」とした。

日本の消費税率は諸外国に比べて低く、「使っていない武器があると(S&Pは)思っている。

格下げは(消費税引き上げを)早くやりなさいとの催促だ」と述べた。

日銀関係者は、S&Pが2010年1月に格付け見通しを「安定的」から「格下げ方向で見直す」と公表しているため、

格下げ自体は想定内と受けとめている。

欧州のソブリン問題を契機に先進各国の財務体質が注目されており、

今回の日本国債格下げもその現れとの見方だ。



白川方明総裁は25日の金融政策決定会合後の記者会見で、

「ギリシャ・ショックの前と後で(ギリシャの)客観情勢自体が大きく変わったわけではないにもかかわらず、

ある時期を境にマーケットの認識は変化した」と指摘。

現在欧州周縁国にみられる「財政、金融システム、実体経済の負の相乗作用」が

「働くような経済状況になることを防ぐことは大事」と、財政健全化の重要性を力説している。


日本国債は9割以上が国内保有され、格下げなどを契機とした海外投資家の動向に左右されにくい、とされてきた。

しかし、昨年末は米国債下落の余波で金融機関が益出しのために日本国債を売却。

今年1月に入り、債務不履行などになった場合のリスクを取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で

保証料率が上昇傾向をたどるなど、市場からの警告が相次いでおり、

政府側の財政健全化に向けた具体的な行動が求められつつある。

国会では2011年度予算審議が今後本格化するが、格下げが審議にどのような影響を与えるか注目される。


◆コメント:格付会社なんて、いい加減なんですよ。

スタンダード&プアーズ(Standard & Poor's=S&P。以下、S&P)はムーディーズは共にアメリカの

格付け会社です。この二つが世界中の企業や債券(社債や国債)の信用力、

つまり、投資しても大丈夫かどうかを調べて、分かりやすいようにランク付けするわけです。

その格付けの表示の仕方、謂わば物差しの目盛りは各社、少しずつ違います。

スタンダード&プアーズの最高のランクはAAAです。

信用力が高い順に、


  • AAA 債務を履行する能力はきわめて高い。スタンダード&プアーズの最上位の発行体格付け。

  • AA 債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(「AAA」)との差は小さい。

  • A  債務を履行する能力は高いが、上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい。

  • BBB 債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い。

  • BB より低い格付けの発行体ほど脆弱ではないが、事業環境、財務状況、または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。

  • B  現時点では債務を履行する能力を有しているが、「BB」に格付けされた発行体よりも脆弱である。事業環境、財務状況、または経済状況が悪化した場合には債務を履行する能力や意思が損なわれ易い。

  • CCC 債務者は現時点で脆弱であり、その債務の履行は、良好な事業環境、財務状況、および経済状況に依存している。

という「格」があるのです。CCCより悪いのもありますが、

省略します。

AAAからCCCまではプラスとマイナスが付く場合がある。

AAAのうち、特にAAA+が最高ランクです。

今回、日本が関係した部分までだけを細かく書くと、

  • AAA+

  • AAA

  • AAA-

  • AA+

  • AA

  • AA-


つまり、今日の格下げによって、

日本国債の信用力は上から5番目から6番目になったのです。


私の個人的感情としては、この格付け会社ってのが大嫌いでして、

自分では何も創り出さずに、他人様の信用とか債券を頼みもしていないのに勝手に評価して、

そのランクを世界中に公表するのです。その情報料で食っているわけです。


結構高給取りなんですよ。格付け会社の「アナリスト」という連中は。

しかし、スタンダード&プアーズとムーディーズの評価が

本当に信頼できるのか。何となく昔から、この2社の評価が有り難がられてますが

今、世界が不況だったり、ヨーロッパが財政危機に陥っている大元は、

アメリカのサブプライムローンの不良債権化です。

アメリカは、2006年頃まで不動産バブルでした。

そこで、本来ローンなんか組めないような人達にまで、

ローンでカネを貸して、不動産を、その不動産自体を担保にして、買わせていたのです。

土地の値段が上がり続けていましたから、
「たとえ、ローンが返せなくなっても、担保の不動産を売れば、ローンを返済しておつりが来ますよ」

といって貸していたのですが、そうやって皆が買ったら、やがて買う人がいなくなるので

不動産価格は暴落します。バブルの崩壊です。

その結果、サブプライムローンを組んでいた低所得者層は、担保不動産を売ってもローンを

返済出来なくなりました。おカネを貸していた住宅ローン専門の金融機関は大量の不良債権を抱え、

次々と潰れました。問題は、それら住宅ローン専門の金融機関は、ローンという債権(おカネを回収する権利)

を、債券(「券」の字が違うことに注意して下さい)化して他の金融商品と組み合わせて、

アメリカの大きな金融機関や、世界中の投資家(日本の銀行もいました)に買わせていました。

しかし、ローンが回収できなくなったら、つまり貸倒になるんですから、その権利を紙にしたものも

価値がなくなり、価格が暴落しました。これらを買っていた(投資していた)世界中の投資家が

巨額の評価損を出しました。リーマン・ブラザーズが潰れたのも、もとはと言えばその所為です。


そして、世界中の投資家が、サブプライムローン関連商品を買ったのは、格付け会社が

これら証券化されたサブプライムローンにAAA+を付与していたのも一因です。


AAA+を付与しておきながら、スタンダード&プアーズは、リーマン・ショックの前年2007年11月、

ある債券に対する格付けをAAAから一気にCCC-まで18段階引き下げました。無茶苦茶です。

AAA。つまり「債務を履行する能力はきわめて高い。」だったのが、一瞬にして

CCC-(債務者は現時点で脆弱であり、その債務の履行は、良好な事業環境、財務状況、および経済状況に依存している。)

になったら、それは金融市場は売れるうちにその債券を売ろうという人達が殺到し

大混乱になるに決まっています。実際そうなりました。


この時を契機に、「信用格付け会社を監督した方が良い」と、各国政府の意見が一致しました。


◆日本では格付け会社は金融庁の監督下にあります。

少々乱暴に書くと、リーマン・ショック前後の世界経済の大混乱の

大きな要因のひとつに、格付け会社の不適切な格付けと格付け変更が存在していた、

と考えられるのです。

このため、日本では、2009年の金融商品取引法改正で、

信用してもまあ、良いだろうという格付け会社を

金融庁が指定することにしました。指定格付け機関といいます。

スタンダード&プアーズ、ムーディーズを含む6社だけが、一応「まともな格付け会社」

として、認められています。しかし、格付けが不適切だとか、問題がある、と金融庁が

見なしたら、業務停止命令をだしたり、甚だしい場合は指定登録を取り消すことが出来ます。


◆今回の格下げは、政府が増税を正当化するために、わざとやらせたのかも知れません。

長期国債の格下げは、本来、国家の信用力の低下を意味するので、

全然、好ましいことではありませんが、記事の中の与謝野大臣の発言

格下げは(消費税引き上げを)早くやりなさいとの催促だ

を読んで、私は「ははーん」と思ったのです。これは、「やらせ」かな、と。

「茶番」でも良いですけど。

政府の側から、格付け会社と水面下で交渉し、

日本にとって致命的な信用失墜にならない程度に1段階だけ格下げをし、

見通しを「安定的」に維持する(先行き見通し「ネガティブ」というのもあります)。

AからBに格下げされたら、本格的にヤバいことになりかねないので、そうならない程度に

格下げさせておき、国民には、
「消費増税して、一刻も早く財政健全化への道筋を示さないと、更なる信用失墜を招く」

と説明するわけです。そうすると、国民も「仕方ないのかな?」と納得するであろうと。

心理的な効果を狙った、作戦かな?と穿った(うがった)見方をすることが出来ます。

日本国債は大部分日本人が買っています。

また、以前からスタンダード&プアーズは、

「日本国債を格下げ方向で検討する」と言ってましたから、

タイミングは分かりませんでしたけど、スタンダード&プアーズかムーディーズ

の格下げは、予想範囲内のことで、国債の投げ売りで国債価格が暴落し、

金利が急騰する可能性もさほど高く無い(一時的に売りはでるでしょうが)。

菅首相が格下げについてコメントを乞われて、「そういうことには疎いので」と

発言したのを真に受けている人が結構いますけど、疎い訳ないですよ。

あれは「日本国の宰相が、1民間格付け会社の評価でオタオタしない」という

「ポーズ」でしょう。

全て私が勝手に想像した「シナリオ」ですが、当たらずといえども遠からずでは

ないかという気がします。

しかし、家計の可処分所得が増えていないのに、消費税率を引き上げたところで、

税収増が期待できるのか、私は非常に懐疑的です。

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2010.10.09

「円急伸、一時81円72銭に 米雇用者数が予想超え減少」←世界中が金融緩和政策を取ろうとしているのです。

◆【お詫び】一昨日、昨日は寝てしまいました。

最近たるんでいまして、1ヶ月に何度か、木曜日にどっと疲れが出て、更新できないことがあります。

そういうときでも、何とか「今日は更新できません。悪しからず」というような、「お詫び」を書いたことにより、

「インチキ更新」(空白の日にはしなかっただけ、という意味です)はしていましたが、

一昨日の晩は、どうにもこうにも抗うことのできない睡魔に襲われ、何も書かずに寝てしまいました。

そして、昨夜こそ更新しようとしましたが、今週はたまたま余程疲れていたようで、また、パタリと寝てしまい、

更に今日(9日、土曜日)も朝食後、いつの間にか眠りに落ち、目が覚めたら夕方でした。


普段、夜更かしし過ぎて、3時間ぐらいしかねないのです。それで身体を壊すことはないのですが、

あまりに連続すると、脳が「とにかく、寝ろ」という問答無用のシグナルを送ってくるようです。

失礼しました。


◆記事:円急伸、一時81円72銭に 米雇用者数が予想超え減少--1995年4月以来の高値(日経 2010/10/8 23:07)

8日午前のニューヨーク外国為替市場で円相場が一段高となり、一時1ドル=81円72銭まで上昇した。

1995年5月29日に付けた81円80銭を突破し、95年4月下旬以来、約15年5カ月ぶりの円高・ドル安水準となる。

米労働省が朝方発表した9月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数が市場予想を超えて大幅に減少。

米連邦準備理事会が追加金融緩和に踏み切る可能性がさらに高まったとの見方を背景とした円買い・ドル売りが続いている。


◆コメント:折角日銀が金融緩和したけど、世界中が金融緩和政策を取ったら、同じ事ですよね。

日本銀行が10月4日、5日と金融政策決定会合を開き、ゼロ金利政策を取ることと、追加的な資金供給の為の基金を

創設する、と発表しました。それは、日本銀行のサイト、 新着情報一覧で確認できます。

日本銀行:2010年10月 5日 「包括的な金融緩和政策」の実施について(13時38分公表) (PDF, 177KB)

遂に5年ぶりにゼロ金利政策を採用することと、実質的「量的緩和」を組み合わせました。

翌日、首相や財務相からは、「日銀の姿勢を評価する」旨の発言が相次ぎました。

ところが記事に書かれているとおり、円高は止まりません。日本が金融緩和を実施する、と発表したら、

普通は、外為市場でドル円相場は円安に動く筈です。


何故そうならないか、というと、金融緩和を行って円安に振れるためには、ドル金利は動かないけれども、

円金利は下がる、つまり、金利差の縮小によるものです。

ところが今は、アメリカも景気が回復せず、あの大変な支持を得て(無論一部には不満分子が存在していましたが)

大統領に就任したオバマ氏ですら、不支持が支持を上回っていて、それは経済が好転しないこと、が理由になっています。


詳しく書くと長くなるので簡単に括りますが、米国が発表する経済指標や、不動産価格の動向を見ていると、

リーマン・ショックの根本的な原因となった、サブプライムローン問題が後を引きずっているのです。

一番新しい指標は、日本時間8日(金)21時半に発表された、米国雇用統計です。

米国雇用統計で注目されるのは、失業率自体よりも、非農業部門就業者数(nonfarm payrolls)の増減です。

農業部門の雇用者数は、景気の影響をあまり受けないので、「非」農業部門の雇用状況に注目するのです。

昨夜、事前の予想は、「前月比マイナス5,000人前後」でしたが、実際の統計は「前月比マイナス95,000人」

でした。アメリカの雇用統計は毎月第1金曜、米国東部時間午前8時30分に発表される(今月のように、第1金曜が

月初の場合は、翌週になります)ことは、株、為替、債券、金利、商品、その他あらゆる世界の市場関係者の常識で、

世界で最も注目される経済指標の一つです。この影響は大変大きい。


FRBが次のFOMC(Federal Open Market Committee=連邦公開市場委員会)で利下げするであろうことは、

雇用統計を待つまでもなく予想されていたのが、昨日はほぼ「確信」に変わりました。だから、市場は先取りして、

NY株式市場は、「金融緩和期待」により上昇して終わりました(実際に発表されたら、利食いで売られるはずです)。


この他、EU諸国も景気が悪いし、アイルランドは、ギリシャのような財政危機に陥る恐れがある。

日本の輸出企業にとって、円高よりも円安の方が好ましいのと同様、アメリカ・ヨーロッパの輸出企業にとっては

自国通貨安の方が好ましい。だから、日本が単独で円安を目指して介入するな、という声が海外から出ていますが、

皆、勝手に自国のことばかり考えて発言しているだけなのです。こうなると、全世界的に金融緩和で金利を下げて、

さらに市場介入して、自国通貨安を目指します。「世界通貨戦争」とかマスコミが書いているのは、そういうことです。

しかし、論理的に考えて、全ての国にとっての自国通貨安というのはあり得ないので、言い争っても、終わりが無い。


外需に依存するから良くないので、日本を例にとれば、輸出に頼らず、国内の需要(内需)を喚起するべきだ、

といわれます。日経の「マーケット総合欄」に「大磯小磯」というコラムがあり、ここは社説よりも自由に経済記者か

編集委員が自説を展開するのですが、「政府は内需拡大に努めるべきだ」というところまでしか書かず、

では、そのためにどうすればいいのか?を書きません。


◆所得税・地方税・消費税を(暫定的にでも)減税するべきです。

政府は8日、追加経済対策で、5兆500億円の財政支出を閣議決定しました。

主な内容は

(1)雇用・人材育成(2)成長戦略の推進・加速(3)子育て・医療・介護などの強化(4)地域活性化、社会資本整備、中小企業金融支援

となっていますが、本当に効果があるか、やってみないとわかりません。

そもそも国家のおカネを特定の経済分野に焦点を絞って、支出するというのは、本来「計画経済」で、

日本は、社会主義国ではないのですから、どうもピントが外れているように思います。


政界・財界・学者のだれも口にしないのが不思議ですが、私は以前から書いているように、

いくら、日銀が金融緩和しても、市場に資金が不足し、銀行が貸し渋るから不況なのではなくて

長らく不況で家計の支出が滞っている。GDPの約60パーセントを占めるのは、個人消費なのです。

法人税を下げても、それが、従業員の給与の増加に繋がるとは思えません(会社はコストを削りたいのです)。


一時期、今よりも財政が悪化したとしても、暫定的に所得税・地方税・消費税を減税することにより、

家計の可処分所得を増やすことが、内需を喚起する為に最も直接的に効果がある対策だと思います。

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2010.09.30

「アングロ・アイリッシュ銀の政府負担、最悪ケースで300億ユーロ超=新聞」←ギリシャとは違うけれどもかなり、ヤバいのです。

◆記事:アングロ・アイリッシュ銀の政府負担、最悪ケースで300億ユーロ超=新聞(ロイター 9月29日(水)16時5分配信)

[ダブリン 29日 ロイター] アイリッシュ・タイムズ紙は29日、アイルランド政府が救済のため国有化した

アングロ・アイリッシュ銀行について、最悪の「ストレス・シナリオ」では、15年間かけて清算する最終費用が

300億ユーロ(404億ドル)を大きく上回る可能性があると報じた。

同紙は情報源は明示していないが、費用が膨らんだとしても、前日に米格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)の

アナリストが示唆した350億ユーロは下回る見通しだとしている。

最悪の場合のシナリオを除くと、資金調達を行うファンディングバンクと資産を回収する銀行に分割する費用が推定で

280億─290億ユーロになるという。

アングロ・アイリッシュ銀の最高経営責任者(CEO)は今月、ロイターとのインタビューで、

救済費用が300億ユーロに達する可能性があるとの考えを示していた。

アイルランド政府は、同行の分割・清算にかかる資本コストについて30日の市場終了後に公表する見通し。

アイリッシュ・タイムズ紙は、政府がアライド・アイリッシュ・バンクス

の資本増強に関する概要も明らかにする可能性があると伝えている。


◆コメント:国有化した銀行の資本増強にEU(ECB=欧州中銀)の救済が必要かもしれないのです。

ギリシャ危機は、簡単に言うと、EU諸国に課せられた財政赤字基準を、遙かに超えていたのに「粉飾していた」ということでした。

EU各国は財政赤字をGDPの3パーセント以下に抑えなければならない、というルールがあるのですが、ギリシャは実際は10パーセントを

超えていたのが発覚し、周辺諸国からおカネを借りて、何とか国債の期限にこれを償還することが出来たのです。

国債は国の借金ですから、期日に返すべきお金が無いと、デフォルト(債務不履行)ということになり、国の信用力がゼロになるのです。


アイルランドはそうではないのですが、財政赤字を何とか小さくしようとして緊縮財政政策を取り、経済成長率が予想以上に低くなって

しまいました。国債の償還に関しては、資金を確保しているのですが、この記事にある、アングロ・アイリッシュをはじめとする銀行の

救済に、よそからの助けを頼むことになるのではないか、といわれていたのです。

とにかく、まず、アングロアイリッシュがどうなるか、に市場が注目していたら、案の定、巨額の資本注入が必要らしい、と。

アイルランド政府は、アングロ・アイリッシュだけではなく、他の銀行の救済も含めると、1,000億ユーロが必要ではないか、

とも言われています。そうなると、欧州金融安定機関(EFSF)というところからおカネを借りなければならないだろうとも

考えられています。国の信用力に関わる問題なので、2日ほど前からアイルランド国債が債券市場で大量に売られていて、

その減少だけを見ると、ギリシャ危機(とは原因が異なるのですが)直前とそっくりなのです。

EUは運命共同体なので、アイルランドだけの信用に留まらない。また欧州経済危機が取りざたされている訳です。


また、アメリカも最近発表された経済指標が、予想を下回っていて、再び金融緩和を行う、と予想されています。


日本は、昨日、日銀短観という数字が発表され、景気の現状は3ヶ月前よりも良い、と答えた大企業(特に製造業が注目されます)

が多いのですが、3ヶ月後はどうか?という問いには、多くが「悪化するだろう」と答えていて、そう考えている以上、経済活動が

活発になるとは思えない。日銀は10月5日から金融政策決定会合をやりますが、そこで、更に金融緩和(後は量的緩和ぐらいしかないのですが)、

するだろうと考えられています。

このように、世界中、景気が悪いので、所謂「二番底」が到来するのではないか、という恐怖が経済の世界では広がっています。

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2010.09.18

「補正、野党と事前協議=「有言実行内閣」と命名―菅改造内閣が発足・首相会見」←出来ないことは「出来ない」理由を説明した方が良い。

◆補正、野党と事前協議=「有言実行内閣」と命名―菅改造内閣が発足・首相会見(時事通信 9月18日(土)0時23分配信)

菅改造内閣は17日夕、皇居での閣僚認証式を経て発足した。

菅直人首相は同日夜、首相官邸で記者会見し、追加の経済対策を盛り込んだ2010年度補正予算案の提出を検討していることに関し

「野党の希望も入れた形で組むことができれば国会の審議も順調にいく」と述べ、事前に野党と協議する意向を表明。

同時に「合意形成の可能性は十分ある」と述べ、次期臨時国会を念頭に野党の賛成を得ての成立もあり得るとの見方を示した。 

首相は、民主党政権発足後の1年間を振り返り「試行錯誤を繰り返した」とした上で、これを教訓に

「具体的な事柄を実行していく『有言実行内閣』を目指す」と表明。第1の課題として景気・雇用対策を挙げ、

「経済に関しては一歩たりとも緩めることはできない」と力説した。また、首相は、消費税を含む税制の抜本改革に関し

「社会保障と財源を一体的に議論する場を超党派でつくることが可能なら、他党と話し合いたい」と強調。

自民党など野党との連立の可能性については「あり得ない、考えないということではなく、

まずは政策的な協議を進めることから努力する」と語った。

これに先立ち、政府は初閣議で「昨年の政権交代の原点に立ち返り、

国民に約束した政策を政治主導・官邸主導で実現する」とした内閣の基本方針を決定。

経済・財政・社会保障の一体的立て直しに取り組むため

「直近の円高・デフレ状況に緊急な対応を行う」ことを確認した。

首相は、仙谷由人官房長官や野田佳彦財務相らを留任させ、民主党幹事長に外相の岡田克也氏を起用。

後任の外相に国土交通相の前原誠司氏を横滑りさせるなど、党と内閣の要職に小沢一郎元幹事長と距離を置く実力者を据えた。

一方で、小沢氏の議員グループからは閣僚に一人も登用しないなど、「脱小沢」路線を一層鮮明にした。

ただ、首相は会見で、一連の人事について「どこかのグループを外したとか全く念頭になく、

客観的にもそういうことはない」と強調した。


◆コメント:本当に実現出来そうなことは「有言実行」でいいが。

菅直人内閣総理大臣の記者会見に一問一答は(編集していない、という確証はないが)

首相官邸ホームページ菅内閣総理大臣記者会見(平成22年9月17日(金))

確認することができる。ここでの発言は首相官邸ホームページは消さない筈だが、各自記録しておくことが、大切である。


首相記者会見といっても新しい総理大臣ではないから、それほど目新しい内容はない。

ただ、こういう時、とかく政治家は、「あれもやります。これもやります。」という。

しかし、時間が経つにつれて、「あれは、無理そうです。」「これも駄目そうです」となる。

だから、内閣支持率の世論調査推移を見ると、どの政権でも必ず発足直後が期待感から最も高く、

時間の経過と共に、殆ど必ず低下する。


勿論、内閣を改造して心機一転、本格的に政治に取り組もう、というときに、

内閣総理大臣が最初から、「これはできません。」「あれも無理です」と言うことばかりを羅列したら、

じゃあ、あんた。何のために総理大臣になったのかね?

と思われてしまう。このため、最初の(今回内閣改造後、最初の)記者会見では、ある程度「景気の良い」ことを

プロパガンダ風にぶち上げないと、サマにならぬ。それはわかる。


現状、日本にはありとあらゆる分野で問題があるけれども、一番国民の関心が高いのは、

あまりにも長く続くデフレによってもたらされる、景気の低迷を、菅政権はどうするつもりか、

ということであろう。この件に関して、菅首相は、
「追加の経済対策を盛り込んだ2010年度補正予算案の提出を検討していること」

を説明したり、
「経済に関しては一歩たりとも緩めることはできない」と力説した。

とのことだ。勿論、何もしなくて良いとは言わないが、今の景気の悪さは、

こう言ってしまうと実も蓋もないが、「どうしようもない」状態である。


何故かというと、世界中、景気が悪かったり、財政危機の不安があったり、

景気の良い中国も、はっきり言って相当ものすごい不動産バブルで、近い将来にバブルが崩壊したら、

景気が後退することが、目に見えていて、要するにどこも安心出来るところが無いからである。


日本国内の需要が低迷していても、世界の景気が良ければ、輸出で企業業績の改善を期待できる。

ドル円為替を日銀介入によって、円安にするのも、円高のままだと輸出企業の収益を圧迫するからだが、

日本は円安にしたくても、他の国々は、それをあまり喜んでいないから、介入自体に無理がある。

さらに、仮定上の話として、市場介入が予想以上に奏功して1ドル=90円台が定着したとしても、

アメリカもEUも景気が悪いのであるから、例えば自動車を輸出しても、飛ぶように売れることは期待出来ない。

アメリカの経済指標を見ると、依然としてリーマン・ショックの後遺症から雇用が安定しない。

このため、あれほど大衆の熱狂的支持を受けて大統領に就任したオバマ大統領も、直近の世論調査では、

遂に、「不支持」が「支持」を上回った。


つまり、日本政府が追加経済対策を実行し、日本銀行が現在0.1%である無担コールオーバーナイトもの金利の

誘導目標を完全に0にして(ゼロ金利政策)、かつ、非常に例外的な金融政策と前回はいわれた「量的緩和」の

両方を実行するという「大決断」をしたところで、市場は資金不足ではないのだから、急に設備投資や個人消費が

増加し(つまり内需が拡大し)、日本経済がみるみるウチに好転する、ということは、期待出来ない。


それは、どう考えても期待出来ない状況にあり、その責任は日本政府や日銀にあるのではない。

繰り返すが、世界中の経済が後退したり、不安定な状態なのが原因で、その大元はリーマン・ショックにある、

ということを、国民に説明することは、経済学など勉強したことがない私ですら、このように何とか

出来るのであるから、日本政府に出来ないはずはない。


無理なものは、無理なのである。しかもこれは何十年に一度というぐらい特殊な状況なのだ、

ということを説明するのは「言い訳」ではない。

現状を国が説明しないで、ただ、何とか景気が良くなるように、最大限の努力をします、と言うばかりなので、

「努力します」は当たり前で、現状を把握出来ていない多くの国民から、不要な誤解を招くのである。

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2010.09.16

「リーマン・ショックから2年目」に「6年半ぶりの日銀介入」。

◆記事1:米経済に今も傷跡=住宅市場、回復に遅れ―リーマン・ショック2年(時事通信 9月13日(月)15時32分配信)

証券大手リーマン・ブラザーズが住宅バブル崩壊のあおりで破綻(はたん)してから、15日で2年。

金融危機で冷え込んでいたウォール街(米金融街)のビジネスは、企業合併・買収(M&A)が増加するなど活気が戻りつつある。

ただ、住宅市場の回復は遅れ、中小金融機関の破綻も後を絶たない。リーマン・ショックの後遺症は今も残っている。

ウォール街をにぎわすM&A。調査会社ディーロジックによると、8月の買収総額は世界全体で2834億ドル(約24兆円)に上り、

前年同月から倍増した。米金融当局による事実上のゼロ金利政策のおかげで、資金調達コストが低下していることが背景にある。

だが、ウォール街の復調とは裏腹に、家計や中小企業の資金繰りは厳しい。

不況の長期化と雇用情勢の冷え込みが原因だ。金融機関も「焦げ付きを警戒して、既存の顧客以外には貸したがらない」(米金融関係者)。

とりわけ住宅ローンには慎重で、住宅市場が回復しない一因となっている。


記事2:82円台突入で円売り介入=財務相「急激な円高、看過できず」―日本単独6年半ぶり(時事通信 9月15日(水)10時52分配信)

政府・日銀は15日午前、急激な円高を阻止するため、東京外国為替市場で円売り・ドル買いの為替介入に踏み切った。

これを受け、15年3カ月ぶりの高値となる1ドル=82円台後半で推移していた円相場は、一時85円台まで急落した。

介入は1000億円を大きく上回る規模とみられる。為替介入は2004年3月16日以来、6年半ぶり。

米欧の通貨当局との協調はなく、日本単独で実施した。

野田佳彦財務相は介入実施直後に緊急記者会見し、

「足元の動きは経済、金融の安定に悪影響を及ぼし看過できない問題だ」とした上で、

「過度な変動を抑制するため為替介入を実施した」と明言。

さらに、「必要な時には介入も含め断固たる措置を取る」と改めて市場を強くけん制した。

米欧は輸出拡大を狙って自国通貨安を容認しており、日本が介入する場合は海外通貨当局の理解が不可欠と見られていた。

これについて野田財務相は、日本単独で実施したことを認めた上で、

「必要な関係当局と緊密な連携は取っているが、それぞれどういう反応を示しているのかはコメントを差し控えたい」と明言を避けた。

白川方明日銀総裁もほぼ同時に、「為替市場における財務省の行動が為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待している」

との談話を発表。

日銀としても「今後とも金融市場に潤沢な資金供給を行っていく方針だ」とし、

介入により市場に放出された円資金を利用し、強力な金融緩和環境を維持する姿勢を示した。

具体的には、本来、金融調節で吸収すべき円資金を市場に放置するとみられる。

菅直人首相はこれまで、「円高の急速な進行と長期化は経済・金融の安定に悪影響を及ぼすため看過できない」

との政府見解を表明。「必要な時には為替介入を含む断固たる措置を取る」と述べ、介入も辞さない構えを見せていた。


◆コメント:奇しくもリーマン・ショックからちょうど2年後に、6年半ぶりの為替市場介入となった。

日銀は東京市場に続き、ロンドン、ニューヨーク市場でも介入を続けている。

流石に、6年半ぶりの介入初日は、マーケットに「耐性」が無いから、ドル高・円安となった。

しかし、問題の根源は、「ドル売り」である。記事1に示したとおり、今日(9月15日)は、

アメリカの巨大証券会社、リーマン・ブラザースが破綻した「リーマン・ショック」からちょうど2年目である。

アメリカの景気は好転しないが、結局、リーマン・ショックの影響が残っている。不動産価格が低迷したままなので、

サブプライムローンを組んだ人々は、所有する不動産を売っても、ローンを返済できない。

このため、アメリカでは普通の事である、、職を探して自由に国内を移動する、ということができないので、

雇用を失った人が、他の土地へ言って職を見つけることができず、失業したままとなる。この雇用情勢の悪さが、

アメリカ経済の回復をさらに遅らせている。


2年前、リーマン・ブラザーズが破綻した際、こんなことをしたら影響が大きすぎると書いた。

「米証券大手リーマン、破産法適用申請へ」←三菱UFJか三井住友か、みずほが潰れたようなものです。超一大事です。ココログ

それはともかく、8月10日のFOMC(Federal Open Market Committee=連邦公開市場委員会)で、反対するメンバーもいたが、

最後は議長のバーナンキの決断で、アメリカは追加的金融緩和を決めた。


日銀は8月30日に臨時の金融政策決定会合を開き、金融緩和策の強化を発表した

しかし、円高は収まらず、民主党代表選が終わるのを待ちかねていたように、今日(9月15日)

為替市場介入を実行した。昔の介入は、介入したかどうか、旧大蔵省も日本銀行も、はっきり言わなかったが、

今日は記事2に書かれているとおり、介入開始後、財務相が記者会見を開き、

白川日銀総裁が、「総裁談話」を発表した。

このような介入の仕方は、初めてである。しかし、それは枝葉末節である。


介入が効果を持続できるか。

多分、無理であろう。問題の本質は米国経済が好転しないことよる「ドル売り」である。

また、欧州財政危機への不安から来る「ユーロ売り」である。

日本とて、デフレを克服できず、決して世界で唯一景気が良い国でもなんでもないのだが、

相対的にリスクが少ないと思われている。

さらに、アメリカもEUも自国通貨が安くなった方が、輸出企業にとって有利である。

日本の輸出企業に取っては円安が有利であることと同じ原理である。

1ドル=80円では、1台1万ドルの自動車は80万円だが、円安で、1ドル=100円になれば、

同じ1万ドルが100万円になる。


アメリカやユーロ圏の輸出企業にとっては、円高・ドル安或いは、円高・ユーロ安、の方が

有りがたい。従って、皆自分の事しか考えていない訳だが、日銀が介入により、極端に円安に

しようとしても、邪魔するだろう。


久しぶりの介入なので、マーケットは反応したが、やがて慣れてくる。

謂わば、日銀介入に「耐性」ができるのである。

一旦円安に転じた相場もやがて再びドル安・ユーロ安・円高に戻り、80円を割り込み、

歴史的安値、79円75銭を更新する可能性が高い。

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2010.08.25

「円急伸、15年ぶり83円台=円高対応の遅れ突く―ロンドン外為」←対応しようがありません。80円を割り込むと思います。

◆記事:円急伸、15年ぶり83円台=円高対応の遅れ突く―ロンドン外為(8月24日21時35分配信 時事通信)

ロンドン外国為替市場で24日、円が対ドルで急伸し、一時1ドル=83円72銭と、1995年6月13日以来、

約15年2カ月ぶりに83円台を付けた。午後1時20分現在は83円95銭~84円05銭と、前日午後4時比1円20銭の大幅円高・ドル安。

一方、円は対ユーロでも買われ、一時1ユーロ=105円44銭を付けた。105円台は2001年9月4日以来約9年ぶり。

歴史的水準に上昇する円相場に対し有効な手だてを打てない政府・日銀に失望感が拡大、一段と円買いを推し進めている格好だ。

野田佳彦財務相は日本時間の同日夕方の記者会見で「為替動向を極めて注意深く見守る」とけん制した。

ただ市場では具体的な円高対策を求める声が強く、「この期に及んで『見守るだけ』とは信じられない」(邦銀筋)との声が支配的。

日本当局の政策の手詰まりを見透かす形で、主要通貨に対する円買いが加速した。

午後1時20分現在の円の対ユーロ相場は、105円75~85銭と、前日午後4時(107円75~85銭)比2円ちょうどの大幅な円高・ユーロ安。


◆コメント:政府・日銀に「円高対応を求める」という人、具体策が提案できますか?

原則的に市場経済においては、為替・株・債券など変動する価格は市場の流れで決めるものです。

円高が長期に亘って持続すれば、輸出に頼っている日本企業にとっては確かに打撃です。

つまり、例えば、為替相場が「1ドル=100円ならば、」アメリカで1台1万ドルで自動車を売ったら、

コストとかややこしいことは抜きにして、円にすれば、

100×1万=100万円

の売上げになりますが、


現在のドル安・円高が進行して、「1ドル=80円」になったら、同じ1台1万ドルの自動車が売れても、

80×1万=80万円

となり、1ドル=100円の時に比べて、同じ商品を売っても1台あたり20万円も売上げが減るのです。

そうすると大企業、特にメーカーはどうするかというと、その分コストを減らすしかない。

そのしわ寄せは自動車の部品を作っている下請け工場に及びます。

要するに、大企業がこれら下請けに対して値切る訳です。


日本円が買われるのは、普通の状況下ならば、日本の景気が良く、金利が高い、

など、プラス材料があるものですが、今の円高はそういうことではなく、世界一の経済大国、

アメリカの景気回復が芳しくない。アメリカの中央銀行にあたる、FRBは先週、一層の金融緩和措置を取り、

景気が悪いので、あれほどの期待を担って大統領に就任したオバマ氏の支持率が急低下しています。


さらにヨーロッパ経済も、ギリシャの財政危機のようなことが起きるかも知れない。だからユーロは買えない。

中国は不動産バブルがひどく、これが崩壊したらかつての日本と同様、中国の金融機関は多額の不良債権を抱え、

資金を貸し渋るため、中国の経済成長も行き詰まるでしょう。


要するに、「円買い」というより、「ドル売り」「ユーロ売り」が先行しており、その相手通貨として円が

買われている。


マスコミや財界は、政府や日銀が円高に対して無為無策だ、と言いますが、

日銀といえども、政策金利は0.5%ですから、これ以上下げるとしても、せいぜい0.25%。

それぐらいのことでは、効き目がない。かといってマイナス金利にする訳にもいきません。


また、為替市場に日銀が介入しても無駄です。

その理由は、ちょうど一週間前に、

2010年08月16日(月) 円高阻止の為に介入をしても、無駄だと思います。ココログ

に書きました。特に為替は、ここまで来たら、ディーラーという連中は、

理屈もへったくれもなく、80円割れ、さらに、歴史的安値の79円75銭を更新するまでは気が済まない、と

思います。新聞には、銀行その他のディーラーのコメントとして、
政府・日銀が有効な円高対策を打ち出さないから。

という言葉が載っていますが、はっきり言って関係ありません。為替ディーラーというのは、

言葉は悪いですが「博打打ち」であって、日本や他国の経済指標を綿密に分析してディーリングしているのではない。

但し、新聞の金融面の担当者から毎日電話がかかってきます。それに対しては、何かもっともらしいことを言わないと

解放してもらえないので、「政府・日銀が・・・・」と言っているだけで、本当にそう思っているのではないのです。

今、日銀が介入しても無駄であることは、ディーラーが一番分かっていると思います。


先週書いた通り、全員がドル・ショート(ドルの売り持ち)ポジションになれば自然に相場は反転します。

マスコミが騒ぐほど、ディーラーは「我こそ、ドル円の歴史的安値を更新せん」と張り切ります。

暫く、放っておくしかありません。

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2010.08.17

円高阻止の為に介入をしても、無駄だと思います。

◆記事:円急騰 政府・日銀は為替安定へ動け(8月13日付・読売社説)

米国の景気減速懸念から、円高・ドル安に歯止めがかからない。為替安定へ、政府と日銀が連携を強化し、機動的に対応すべきだ。

円相場は1ドル=84円台に上昇した。1995年以来、15年ぶりの水準だ。

この年に79円台の史上最高値を記録したが、このまま円高が進めば、

最高値をうかがう展開もあり得る。対ユーロでも円が上昇し、円独歩高といえよう。

円急騰は、ようやく業績が好転し始めた自動車、電機などの輸出企業の収益を圧迫し、

景気回復に悪影響を与えかねない。

円高に伴う輸入価格の下落により、日本のデフレがさらに長期化することも懸念される。

円高加速が嫌気され、12日の東京株式市場の株価は急落した。

今後の為替相場の動きを警戒しなければならない。

円高が進んだきっかけは、米連邦準備制度理事会(FRB)が10日、

景気判断を大幅に下方修正し、事実上の追加金融緩和策に踏み切ったことである。

市場への資金供給量を減らさずに、長期金利の低下を促し、

景気を下支えする狙いだ。米国でも台頭し始めたデフレ懸念に対し、先手を打つ思惑もあろう。

しかし、市場ではむしろ、雇用悪化と個人消費の低迷など、景気減速への警戒感が一段と高まったといえる。

米国の金利低下で、日米金利差が縮小するという見方も重なり、ドルが売られている。

比較的安定した通貨と受け止められた円が、“消去法”で買われている事情もある。

気がかりなのは、FRBの追加策による景気テコ入れ効果が限定的とみられる点だろう。

財政赤字を抱えたオバマ政権も、新たな景気刺激策を実施しにくい。政策に手詰まり感がみえる。

そこで米当局は、当面は輸出で景気を下支えしようと、

輸出促進にプラスになるドル安の進行を容認する構えのようだ。

財政危機問題を抱えた欧州も事情は同じで、通貨安頼みがうかがえる。

そんな中、円急騰に無策ぶりが目立つのが日本政府と日銀だ。

日銀は10日、金融政策の現状維持を決めたばかりだが、量的緩和策の拡充を含め、

追加策の検討が急務ではないか。あまりにも危機感が足りない。

経済産業省は円高が経営などに与える影響について、企業調査を月内にまとめるという。しかし、これも緩慢すぎる。

政府・日銀は、円高阻止の為替介入をためらうべきでない。


◆コメント:介入をしても無駄だと思います。

読売新聞の13日付社説は、教科書的には大変正しいのですが、現実のマーケットにおける売買は、

このような、日米の経済情勢を勘案して行っているのでは、ありません。

ディーラーといっても色々いますが、このドル円相場は「直物(じきもの)為替」といいます。

スポット・ディーリングとも言いますが、これは、「ディーリング」というと聞こえが良いけれど、

要するに、「丁半バクチ」です。上がるか、下がるか、動かない。この3種類しかない。取引としては、

ドルを売るか、買うか、何もしないか、です。何もしなかったら損もしないけど儲かる可能性もゼロなので、

ディーラーという人種は必ず何かをします。


そして、ここからは理屈ではないのです。

ドル円、直物相場の歴史的安値は79円75銭です。先週の海外で84円台まで円高が進みました。

ここまで来たら、ディーラーという「生き物」は、歴史的安値を更新しないと気が済まないのです。

歴史的安値を付けたのは俺だ、と言いたい。それだけのことです。実際の相場というのはその程度の世界です。


所でドルが対円で値を下げるのは、ドルを売る人がいるからです。

何故、ドルを為替市場で売ることが出来るかというと、買い手がいるからです。

買い手がいなくなったら、ドルを売っていた連中が自分で買い戻すしかありません。

そうなったら、自分が売ったときより、安い値で買い戻さないと、損失が発生しますから、

今度は、狂ったようにドルの買い戻しが始まるでしょう。それまで放っておくしかないのです。

今、介入したら、日銀がドルの買い手になるということですから、余計に売られる事でしょう。



逆のケースが、為替ではありませんが、アメリカの不動産価格です。サブプライムローンは、本来、

過去に延滞の記録があったり、低所得だったり、住宅ローンを組めないような人達にも住宅ローン専門の

アメリカの金融機関がどんどんおカネを貸したものです。何故そんなことをしたかというと、2007年頃まで、

アメリカの不動産価格はずっと上昇し続けていたのです。だから金融機関は、低所得者層にまで、

ローンを組んでローンで買った土地、建物を担保にすれば、これらの値段は、どんどん上がっているから、

ローンを返せなくなっても、土地と建物を売れば、ローンを返済してまだお釣りがきますよ

と、甘言を弄しておカネを貸して、土地・建物を買わせました。ところがあまりにも買ったものだから、

それ以上、買う人がいなくなってしまいました。買う人がいなくなれば、不動産価格は暴落します。

このため、金融機関の思惑ははずれ、皆、土地・建物を売っても、元の値段より安くしか売れず、

住宅ローンを返済できなくなり、住宅ローン専門金融機関は多額の不良債権を抱えることになりました。

そして、サブプライムローンを証券化して、他の投資家に売っていたのですが、何しろ不良債権になって

しまったので、債券化した商品も価格が暴落しました。こういう金融商品に大量に投資したり、

或いは、住宅ローン専門金融機関に融資していた、さらに大きな金融機関も不良債権を抱えることになりました。

それを処理するために、資本金を取り崩さなければならない。それだけ経営の安定性が崩れます。

いつ潰れるか分からない金融機関に短期金融市場で資金を出してくれるところがどんどん減りました。

それで資金繰りが付かなくなって潰れたのがリーマン・ブラザーズです。


話が、それましたが、要するに、アメリカの不動産市場では、皆が不動産を買ってしまったので、

暴落するしかなかった。


だから、日本の為替市場に日銀が介入したら、売りたい連中は喜ぶばかりです。

今は、黙って見ていれば良いのです。そのうち、皆ドル売り持ち(買いと売りを相殺してもまだ売りの方が多いこと。)

になります。皆が売ってしまったら、買い戻すしかありません。

そうしたら、我先にとドルの買い戻しが入る事でしょう。どうしても介入したいのなら、

このタイミングで介入することです。既に買い戻しが始まっているのに、さらに後から

追い立てるように介入するのを、「追いかけ介入」などといいますが、これは短期的には効果があります。

しかし、アメリカも景気の回復が鈍いので先週、FRBは追加的に金融緩和措置を講ずるといっています。

ドルは、今は積極的に買われる地合いにない。中期的にはドル安でしょう。

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2010.08.13

「円高対応へ臨戦態勢--首相、財務相らが緊急協議」←日銀の責任ではなく世界同時不況だと思います。

◆記事1:円高対応へ臨戦態勢=重大な関心、市場動向を注視―首相、財務相らが緊急協議(8月12日23時0分配信 時事通信)

長野県軽井沢町で静養中の菅直人首相は12日、外国為替市場で一時1ドル=84円台まで円高が進行したことを受け、

仙谷由人官房長官、野田佳彦財務相と緊急の電話協議を行った。

菅首相は為替相場について「動きが激しい」と懸念を示し、市場動向を注視するよう指示。

これを受けて記者会見した野田財務相は、「景気動向を注意深く見守りながら適切な対応をしていく」と述べた。

財務相は会見で、「為替レートの過度な変動、無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与える」と

最近の円高に懸念を示した上で、「重大な関心を持ち、極めて注意深く見守る」と市場動向に細心の注意を払っていく考えを強調。

米国など主要各国の当局とも事務レベルで情報交換していることを明らかにした。

今後については、日銀とも緊密に連携しながら必要に応じて「適切な対応」を取る考えを示したが、

為替介入の可能性については「コメントを控えたい」として明言を避けた。

日銀の白川方明総裁も同日夕、為替問題に関する談話を発表。

最近の為替市場や株式市場では「大きな変動が見られる」と指摘し、

「こうした動きやその国内経済に与える影響について、注意深く見ていく」と表明した。


◆記事2:日銀の危機管理能力に疑問の声、「量」拡大政策が選択肢に(8月12日21時47分配信 ロイター)

円相場が1ドル85円をはさんで振れの大きな展開となっている状況で、

日銀の対応について「危機管理能力」を問う声が浮上している。

10日の金融政策決定会合で危機感を強く打ち出さなかった点や、

金融環境の引き締まりへの言及が足りなかった点に厳しい評価が集まっており、

一段とその立ち居振る舞いに注目が集まりそうだ。

これ以上の円高進行に歯止めをかけるには、政府による介入は国際環境からみて困難とみられる中で、

日銀ができることは「資金供給量の拡大」以外に有効策がないとみられている。


◆コメント:円高が進行しているのは日銀の責任ではないと思います。

11日の欧州市場で、ドル円が84円72銭と、15年ぶりの円高となったのは、

日銀の危機感が足りないからだ、というのは的外れだと思います。

要するにアメリカが再び景気後退に陥りそうなのです。欧州景気も回復の兆しが無い。

10日、アメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)が追加的な金融緩和策を決めました。

ドルは買えません。また、円高ドル安は、アメリカの輸出企業にとっては、メリットです。

日本の輸出企業にとって円安(例えば1ドル90円→100円になること)が有利な条件です。

アメリカの輸出企業はちょうどその逆ですから、ドル安円高、歓迎なのです。


2008年9月15日にリーマン・ショックが起きて、翌年1月、オバマ大統領になって、2月には、

7870億ドル(約77兆円)というすさまじい規模の景気対策法案に署名しましたが、

どうやら、奏功しなかった。だから、FRBが金融緩和を一昨日決めたのです。


アメリカでは11月に中間選挙を控えていて、少しでも景気に明るい材料を見たいのですから、

日本が為替市場に介入しても、アメリカは同調しません。また、EUもギリシャ危機は一応回避しましたが、

以前、景気が悪く、税収も増えませんから、今度はスペインとかアイルランドなど、ギリシャよりも遙かに

経済規模が大きい国の財政危機が発覚するかも知れない。それが原因でその国の銀行が潰れたら、世界金融危機です。

中国は景気が良さそうですが、不動産バブルが相当ものすごい状態で、中国政府はそれを抑制しようと躍起ですが、

そのうち破綻するでしょう。すると、中国の銀行に膨大な不良債権がのこり、投資家は損失を被り、

景気は悪化するでしょう。

今は日本の経済が少し立ち直りかけて相対的にマシなので、円が買われてしまう。

それは、日銀が何をしようが防げません。多分、歴史的安値の79円75銭を割り込むのではないかと思います。

日本が財政危機と言われますが、今は国債発行残高が880兆円で95%は日本人が買ってます。金利も異常に低い。

ギリシャとは全く状況が違う。あそこは国債の70%を他国(の投資家)が買っていたし金利も高かったのです。

日本の財政が大変だと言ってますが、日本の家計の金融資産は1400兆円もあり、ローンなど負債を差し引いても1100兆円もある。

国債発行残高は880兆円。まだまだ、買えます。

日銀が小手先で為替相場を操作しようとしても無駄で、日銀のせいで円高・株安になったのではない。

日本は更に国債を発行してでも財政支出を通じて景気対策を打ち出した方がいいです。

日銀の金融政策だけに頼るべきでは無いのです。

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