カテゴリー「弦楽器」の記事

2014.11.07

【音楽】ヴァイオリン古澤巌「マドリガル」←紹介し忘れていました。

◆今は、クロスオーバーというのでしょうか。

クラシックみたいな、ジプシーの民族音楽みたいな。ジャンル分け出来ないような曲の演奏が多い。

葉加瀬太郎とも共演したりするので(事務所が同じなのです)、「半芸能人的クラシック音楽家」と思っている方、

又は全然知らない方もいらっしゃるでしょう。


古澤巌氏は1959年7月生まれ。桐朋で江藤俊哉先生にならって、1979年、毎コンヴァイオリン部門で1位。

その後、モーツァルテウム音楽院でイヴリー・ギトリス氏に師事。

1988年から4年間、都響のコンマスを務めました。

その頃、私は一度生で古澤氏がブラームスの協奏曲を弾くのを聴きましたが

至極まっとうに、きちんと上手くて音楽的でした。


その後フリーになってからは、メディアに登場するときは特に変わった風体で、

如何にも芸術家の典型的な変人に見えますが、とにかく基本的には、極めてまっとうな、

クラシックのヴァイオリン奏者です。

以前かなり気に入って聴いてたのに、今までご紹介しなかったのが不思議です。


◆アルバム「マドリガル」

これは1990年発売ですから、まだ都響のコンマスだったころです。

聴き易い(曲想も、演奏時間も。)曲の名演が並んでいる。多分、これがデビューアルバムか、とにかく

レコーディング初期だと思います。

マドリガル

美しい音でヴァイオリンが良く鳴っているのがわかります。聴いていて快感があります。

これが本当に綺麗なヴァイオリンの音の一典型だと思います。

少しだけご紹介します。


◆シモネッティ:マドリガル


Simonetti Madrigale


伸びやかな音が気持ちいいです。これ生で聴くと、驚くほど「大きな」音に聞こえるだろうと思います。

それは、強く弾いているのではなく、良い楽器を、無駄な力を入れずに正しい奏法で演奏することで得られる音です。


次は、元来リスト作曲のピアノ曲をミルシテインって古澤氏も習ったヴァイオリニスト、大先生ですが、ミルシテインという人が、

ヴァイオリン用に編曲したものです。


◆F.リスト(ミルシテイン編曲)コンソレーション 第3番


Liszt Consolation


「愛の夢」に似ていますが、別の曲です。リストのコンソレーションは6曲あり、この3番が一番人気があり、単独で

演奏されることが多いのです。


最後は、みなさん御存知、モンティの「チャールダッシュ」。


◆V.モンティ:チャールダッシュ


V.Monti Czardas



ヴァイオリンも見事ですが、結構テンポが揺れてるのに、伴奏のピアノがピタリと合わせています。

御存知の方は御存知。小林道夫先生です。非常に贅沢な伴奏ですね。

24年も前のアルバムですが、Amazonの中古に沢山あります。

他にも古澤氏のアルバムは沢山あります。本当に上手いので、

ジプシー風とかタンゴとかもいいですが、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスなど協奏曲を

何処かのオケに呼ばれて弾いてくれるか、録音して欲しいものです。

皆様、良い週末をお過ごし下さい。

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2014.09.20

【音楽】ヴァイオリン、ジェームズ・エーネス(James Ehnes)の薦め。

◆過去に何度もやりましたが・・・・。

時事問題でも音楽でも何でもそうですが、こんな一般人のブログ記事など

誰もさほど真剣に読んでいません。私は集団的自衛権を213回も書いたのに、といくら思っても。

市井の一般人のブログなど、圧倒的大多数は読まない。毎日、一番多いのが一見さんです。

自分で書くのもなんですが、弊ブログを御愛読下さっている方で、かなり前に書いたこをと

覚えて下さっているかたもおられますが、極めて例外。


ですから天下国家に関することでも音楽でも、何度も繰り返してちょうど良い。


前置きが長くなりました。

カナダのヴァイオリニストJames Enhes氏を私は最初ナクソス・ミュージック・ライブラリーで

知りましたが、素晴らしい音と、音楽観が、要するに私にぴったりの好みでした。

ピアニストやヴァイオリニストは多すぎるし、ヴァイオリニストは昔とちがって、

皆、同じような音ですから、好みをみつけることが、むしろ難しい。

このエーネス氏も、他の方が聞いたら「普通」かもしれませんが、

私は気に入りまして、何度もお薦めしてます。

一番、まとも、というかヴァイオリニストとしては逃げも隠れも出来ない、

J.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ」から少しずつ選びました。

音源はSonatas & Partitas Soloist Vnです。


◆J.S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV 1001-1006 (エーネス)より。


バッハの無伴奏ヴァイオリンの一番最初。重音が難しそうです。ヴァイオリン試し弾きというと、

かなりのヴァイオリニストは、これを弾くような気がします。


◆無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV 1001 アダージョ


Violin Sonata No. 1 in G Minor, BWV 1001 Adagio



バッハの無伴奏ヴァイオリンは、ソナタもパルティータも3番だけが長調ですが、後は短調です。

悲壮感、何か不安になるような焦燥感が、どうして、そう感じるのか、自分でも分かりませんが、好きです。

これもそう。


◆無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV 1001 プレスト


Violin Sonata No. 1 in G Minor, BWV 1001IV. Presto


ソナタ→パルティータでそれぞれ1番から3番、全部で6曲あるわけです。今までのは「ソナタ1番」。

次はパルティータの1番から、最後のテンポ・ディ・ボレアってんですが、最初の「何かを訴えるような」和音が、私はなぜかたまらなく好きです。


◆無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番 ロ短調 BWV 1002 テンポ ディ ボレア


Partita No. 1 in B Minor, BWV 1002Tempo di Borea


「ソナタ2番」から一曲だけ。終曲のアレグロ。


◆無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV 1003 アレグロ


Violin Sonata No. 2 in A Minor, BWV 1003 IV. Allegro


バッハの無伴奏ヴァイオリンは無伴奏チェロ組曲よりも重音(同時に複数の弦を弾く)が多いのですが、

私はこのような短音でひたすら旋律を弾き続けるのがすきです。

どれもとても切なくて美しい。


◆無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004 ジーグ


Violin Partita No. 2 in D Minor, BWV 1004 IV. Giga



この後、バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ・パルティータだけではなくて、バッハの全作品、

さらには、音楽評論家・吉田秀和さんの言葉でいうと「西洋音楽2,000年の歴史の中の最高傑作の1つ」とまだ言われる、

「シャコンヌ」という15分以上もかかる大曲がありまして、それもいいいのですが、さほどしょっちゅう聴く気にならないです。

このジーグもとても旋律が美しい。大好きです。


◆無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV 1005 アレグロ・アッサイ


前述しましたが、ソナタとパルティータ、3曲ずつありますが、1番と2番は全部「短調」なのです。

バッハ先生、全部短調じゃ、流石に重すぎる、と思ったのか、もっと深遠な音楽観にもとづくのかしりませんが。

ソナタとパルティータ、どちらも第3番は長調で明るい。

Sonata No 3 in C, BWV 1005: III. Allegro assai


次の「パルティータ第3番ガヴォット」が一番ポピュラーで、よく演奏されます。

しかし、弾き方によっては軽薄に聞こえます。

ジェームズエーネスは、はしゃぎすぎず、ちょうどいい。


◆無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV 1006 ガヴォット



Violin Partita No. 3 in E Major, BWV 1006 III. Gavotte en rondeau


◆無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV 1006 ブーレ


次が最後です。


Violin Partita No. 3 in E Major, BWV 1006VI. Bourree


ヴァイオリンというのは、不思議な楽器で、やはりちょっと他と違う。

人間の心をまどわす妖しい響きを醸し出すこともできるし、あの小さい楽器でこのような宇宙の広がりを感じることもある。

宇宙の広がりというか形而上学的な何かを予感されるようなのは、

やはり、大バッハ先生のお陰でしょうね。


ヴァイオリニストのバイブルでしょうね。こればかりは聞いてると、子供のころからヴァイオリン習いたかったな、

と、言っても詮無いことですが、それをつい、かんがえてしまいます。

James Ehnesさんは他にも、もちろん広いレパートリーをお持ちですが、敢えて、力量が一番分かる、バッハの無伴奏にしました。

皆様、良い週末をお過ごし下さい。


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2014.04.10

【音楽】新しい才能の発見。ギター・パク・キュヒ(朴 葵姫)さん。

◆今週火曜日、NHKBSプレミアム「クラシック倶楽部」で聴き、びっくりしました。

日本のサラリーマンなんてのは、つまらんものでして、そもそも音楽なんて知る人が少ないし、

どういうわけか、わたしが勤める会社は、自分で書くのもなんですが、比較的知的水準が高い人間が多い筈なんですが、

クラシックの話が出来る人が殆どいません。しかし、稀に、当然ですが、好きな人がおります。

今回は、その人物が先週、私に教えてくれたので、大変有難かったです。


毎朝平日の朝6時からNHKBSプレミアムでは、「クラシック倶楽部」という番組で、

かなり通ごのみの、リサイタル録画・録音を放送します。

今週火曜日が、韓国仁川生まれで、3歳からピアノを始めその後、日本で育ち、東京音大で

荘村清志先生に習ったあと、ウィーン国立音楽院に留学した、極めてまともにクラシック・ギターを極めた

音楽家。朴 葵姫(パク・キュヒ)さんでした。

今まで知らないのが不覚でした。

録画しておいて見て聴いて、大変素晴らしい演奏に驚きました。


NHKで放送したのと重なるのが、彼女のNaxosからのアルバム

期待の新進演奏家シリーズ/朴 葵姫(パク・キュヒ)ギター・リサイタル

に録れてあったのですが、落ちついて調べたら、パク・キュヒさんは2010年にフォンテック(という荻窪の小さいレーベル。

会社は小さいけど、朝比奈隆=新日フィルでベートーヴェン交響曲全集とか出してます。)から、

とっくに
朴 葵姫(パク・キュヒ)/夢

でCDデビューしているのですね。

デビューアルバムにも、今日ご紹介するNAXOS盤にもスカルラッティのチェンバロ(鍵盤楽器)ソナタを

自分で編曲したのを録音していて、HMVの紹介欄に当時のCD評の一部が引用されていて、
スカルラッティが絶品

とあります。他にも色々聴いてからご紹介するべきですが、スカルラッティだけで私はすっかり

感心したのでご紹介します。デビューCDにスカルラッティを録れているギタリストは余りいないと思います。

勿論、スペインの作曲家による、「これぞ、ギター」のような作品もパクさんは弾いておられますが、

バッハと同い年で、殆ど一生が重なるスカルラッティでは、演奏者の知性が見事な技術によって表出しています。

ギターは門外漢ですが、何とも言えない音の優しさ、柔らかさと弱音でも曖昧にならない、確かな技術。

フレージング等の音楽性が見事で、天賦の才に恵まれ、極めて真面目に勉強したギター奏者であることが

明らかです。パク・キュヒさんんは、既に活躍しておられますが、大輪の花を咲かせることでしょう。


演奏をどうぞ。引用元は、期待の新進演奏家シリーズ/朴 葵姫(パク・キュヒ)ギター・リサイタルです。


◆スカルラッティ:ソナタ ニ長調 K178(パク・キュヒ編)


スカルラッティ:ソナタ ニ長調 K178(パク・キュヒ編)


◆スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K32(パク・キュヒ編)


スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K32(パク・キュヒ編)


◆スカルラッティ:ソナタ ト長調 K14(パク・キュヒ編)


スカルラッティ:ソナタ ト長調 K14(パク・キュヒ編)


魂が慰められるような素晴らしい音と演奏だと思います。

お薦めいたします。

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2013.07.28

【音楽・映像】7月28日はバッハ(1685-1750)とヴィヴァルディ(1678-1741)の命日です。

◆毎年書くのですが、殆ど生涯が重なっています。

J.S.バッハとヴィヴァルディは17世紀の末から18世紀の前半にかけて、

今更ですが、それぞれドイツとイタリアの大作曲家ですが、

偶然ですけど、殆ど生涯が重なっているんですね。ヴィヴィルディがバッハより7歳年上で、63歳で亡くなり、

バッハはヴィヴァルディの7年後に誕生して、65歳で亡くなっています。


殆ど「誤差」の範囲内というぐらい、全く同じ時期を生きております。

今ではバッハは音楽の父で、ヴィヴァルディは、イ・ムジチ合奏団を始め、あらゆる音楽家が

かの有名な「四季」をステージで演奏し、また録音をのこしていて、四季が流石に食傷気味だったり、

何か、ウンチクを語る本には「ヴィヴィアルディは同じ協奏曲を600回書いた、といわれる」などという記述が

あるので、やや、軽く見られがちですが、それは気の毒で、美しい音楽を沢山のこしてます。


いきなりマニアックな話になりますが、ヴィヴァルディはファゴット協奏曲を30曲以上も書いていて、

こんな人、他にしらないので。いずれ特集したいほどです。


◆バッハがヴィヴァルディの作品を沢山編曲してます。

バッハは当時のヴェニスの作曲家の技法を勉強するため(と言われてます)に、

アルビノーニやマルチェッロの作品を編曲していますが、私は音楽学者ではないので、

正確な数は分かりませんけれども、ヴィヴァルディを編曲したものが1番多いのではないか、

と思います。バッハはヴィヴァルディを尊敬していた、とも言われます。


最近では、マーラー、ブルックナーはもう当たり前で、更に珍しい曲を探し出すのが

若いクラシックマニアの主たる関心事のようですが、あながち、昔から残っているものは、

バカにできません。

ジャーマンブラスのこの映像。BWV 972とはヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲をバッハがオルガン協奏曲に

編曲したのをさらに、トランペット奏者、マティアス・ヘフス氏がジャーマン・ブラス用に編曲して、

自ら演奏に加わっています。日本の方々からはコメントはありませんが、何だか最近、世界中からコメントが来ます。

勿論、全て演奏を絶賛しています。少なくとも海外のクラシック・ファンは、「今時、ヴィヴァルディが好きだなどと

言ったら沽券に関わる、などという気配は全くない。好きな曲は好きなんだ、というところが小気味いいです。


この映像です。


◆Bach BWV 972 after Vivaldi Violin Concerto RV 230





これは、もともと、『バッハ・フォー・ブラス』 ジャーマン・ブラスに収録されています。


その次は、これはジャーマン・ブラスがバッハばかりを録音した、Fascination Bachです。


今は一時的に品切れのようですHMVやタワー・レコードも見たのですが、在庫なし、とか廃盤と書かれていますが、

私の経験ではしばらくするとまた再プレスされます。今は中古でやたらと高いですが、しばらく待ってみると良いと思います。

この中から、ヴィヴァルディの「調和の霊感」という協奏曲集の一曲。

「2つのヴァイオリンのための協奏曲」RV522 イ短調をバッハがオルガン協奏曲に編曲したのがあります。

バッハの作品番号ですと、BWV 593です。これをマティアスヘフスがブラス用にアレンジしてます。


◆オルガン協奏曲 BWV 593 第一楽章 アレグロ(German Brass)



Bach Organ Concerto BWV 596 After Vivaldi Concerto Grosso RV 565 ⅠAllegro



バランスの良い、しかも輝かしい、金管の響きが、たまりません。

さらに、同じ調和の霊感の中から、2本のヴァイオリンとチェロのための合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)

(ヴィヴァルディの作品番号はRV565)を、

これまたバッハがオルガン用に編曲し、それをブラスで演奏してます。長いので最終楽章だけ。


◆バッハ オルガン協奏曲 BVW 596 第五楽章 アレグロ


Concerto D-Moll BWV 596 Nach Vivaldi RV 565 Ⅴ Allegro


最後に。

これは先日取り上げたばかりですが、やはり同じ調和の霊感から、4つのヴァイオリンのための協奏曲を

バッハは4台のチェンバロのための協奏曲に編曲しました。それを現代のピアノで弾いてます。

このCDです。バッハ:2台、3台、4台のピアノのための協奏曲集

この引用元のCD。元西独首相のヘルムートシュミット氏が第4ピアノを弾いているようなのですが、プロに遜色ない。


◆4台のピアノのための協奏曲 イ短調 BWV 1065 第一楽章


Bach: Concerto In A Minor For 4 Harpsichords, BWV 1065 - Mvt. 1


一国の政治的指導者だった人が、玄人はだしのピアノを弾く教養人だというのは誠に羨ましい限り。


ところで、あまりにも曲数が多くなるので今日はヴィヴァルディの原曲は載せませんでした。

全て、協奏曲集Op.3調和の霊感第1,2,4,7,8,10,11番 コペルマン/カペラ・イストロポリターナ : ヴィヴァルディ(1678-1741) に収録されております。


最後の「4台のピアノのための協奏曲」の原曲。ヴィヴァルディの「4つのヴァイオリンのための協奏曲」だけ載せます。


◆ヴィヴァルディ:4つのヴァイオリンのための協奏曲 ロ短調 Op. 3 No. 10 RV 580 第1楽章 アレグロ


Concerto for 4 Violins in B minor, Op. 3, No. 10, RV 580: I. Allegro


大曲にも勿論素晴らしい作品は多けれども、最近、半分忘れられているヴィヴァルディにも名作は多いのですね。

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2013.05.18

【音楽】とにかく綺麗な音楽。

◆最近、あまりにも「人間の醜さ」が目にあまるので。

だいぶ慣れたつもりだったのですけど、アインシュタインが言ったことは本当ですね。

この世には、はかりしれないものが二つある。宇宙の大きさと、人間の愚かしさだ。

最近、毎日更新できてないのですが、あまりにもひどい(色々な意味で)人間の行為を知り、

「あきれてものがいえない」のであります。書けない事はないのでしょうが、今まで散々書いたので、

いい加減疲れます。11年書いてるんですからね。数年前から、Twitterの140文字で思い付いたことを

書くのは、簡単ですが、如何に愚かしいか、をブログで長々と取り上げるのは、気が滅入ります。


◆「人間の存在を少しでも明るく照らし出すことが、芸術家に与えられた使命だと信じています」(カール・ベーム)

中学生の頃に、クラシック音楽雑誌「音楽の友」にカール・ベームという指揮者のインタビューで、この言葉が

載っておりまして、中学生でもそれなりに、意味は分かりましたが、年を取ったら、一層、ベーム先生の正しさが分かります。

欲の塊になって、醜さの極みになってしまう人間が大勢いますが、一方では、数百年経っても、

人間の魂を慰める、美しい音楽を書いたのは、同じ人間。それを音にしているのも、人間であります。

既出の曲ばかりなのですが。ちょっと一息つきましょう。


森麻季さんのソプラノ。麗しき瞳よ ヘンデル・アリア集から。


ヘンデル:リナルド 涙の流れるままに


Lascia ch'io pianga



信仰心がなくても敬虔な気持ちになる、ということはありますね。実に美しい。

森麻季さんの演奏は、何度も書くのですが、これ以上あり得ないほどの素晴らしさで、人間の声の美しい部分を

全部、集めたのではないか、と思えるほどです。


続いて、リヒテルの「平均律」一番最初の。バッハ:平均律クラヴィーア曲集全巻 から。


バッハ:平均律クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ 第1番 ハ長調


前奏曲とフーガ 第1番 ハ長調


同じくバッハの「無伴奏チェロ組曲」1番の第一曲「プレリュード」もそうですが、この「前奏曲」。

ありていに言えば、「分散和音の羅列」なんですけれども、これが「天上の調べ」と呼びたいほどの美しさ。

続くフーガ。静寂からぞっとするほど綺麗な音が聞こえる瞬間。何度聴いても、どこからどう聴いても美しい。


次は、ケルン放送響首席コントラバス奏者、河原泰則さんのコントラバス。「コントラバスの奇跡」から。


ラフマニノフ:「ヴォカリーズ」


ラフマニノフ:ヴォカリーズ



ラフマニノフといえば、99パーセントの方はピアノの超絶技巧曲を連想なさることでしょう。


それはそれで、音楽史上の宝ですが、私はその超絶技巧のラフマニノフが書いた、この切ない旋律が一番好きです。

河原泰則さんの演奏はこのアルバムはまさに「奇跡」で、コントラバスの表現力の広さを、存分に知ることができます。


最後は、映像と一緒に。金管楽器で「G線上のアリア」は、聴いたことがないでしょう?

あるんですねえ。これが。『バッハ・フォー・ブラス』 ジャーマン・ブラスから。


バッハ:管弦楽組曲第3番から「エア」(G線上のアリア)






何度も書きますが、これを演奏しているのはバッハがここで働き、バッハのお墓がある、ライプツィッヒの聖トーマス教会です。


簡単そうに聞こえますけれども、全ての管楽器に必要な基礎中の基礎。「ロングトーン」といって、ひとつの音を長く揺れないで伸ばす。

なかなか難しいのですよ。


みなさま、良い週末をお過ごしください。

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2013.03.18

【音楽】サヴァリシュ先生がベルリン・フィルを振ってヴァイオリンのツィンマーマンの伴奏。モーツァルトとブラームス。

◆サヴァリッシュ先生が亡くなったのは先月の22日です。

ですから、亡くなってから今日(3月17日)で3週間と2日になりますが、

何度も繰り返し書いているように、私は小学生4年の頃からずっと尊敬してきた

先生ですから、亡くなったぐらいで、その尊敬の念が薄れることは微塵もありません。

日本はメディアも大衆も、異常になんでもかんでもすぐに忘れてしまいますので、

サヴァリッシュ先生に関しても、亡くなって一週間か10日はNHKで追悼番組を放送していましたが、

もはや、みな、すっかりわすれていることでしょう。


私はこの間、ずっと先生の音楽を探しています。

そして、或る意味では画期的な録音を見つけました。

ここには載せませんが、サヴァリッシュ先生がウィーン・フィルで、

シューベルトの交響曲「ザ・グレート」という長大な曲を振っている映像が

YouTubeに載っています。大抵の指揮者は一生に一度もウィーン・フィルを振れないのです。

ベルリン・フィルとてまず、振れないのですが、サヴァリッシュ先生ならば当然振っていて然るべきなんです。

カラヤンを悪く言うつもりはありませんけれども、歴史的事実として、カラヤンが生きている間は、

サヴァリッシュ先生は、一度も、ベルリン・フィルを振っていないと思います。

あくまでもうわさですが、サヴァリッシュ先生があまりにも実力があるが故にカラヤンが振らせなかった、

などといわれるほどですが、お二人とも亡くなっているので永遠に謎です。


それはさておき、だからサヴァリッシュ先生がベルリン・フィルを振った録音は全然無いのだろう、と

思っていたのですが、色々探しているうちに見つけました。


◆フランク・ペーター・ツィンマーマンがモーツァルトとブラームスの協奏曲を弾いて先生が伴奏です。

フランク・ペーター・ツィンマーマンは今調べたら、1965年生まれで、私の感覚では

まだ「若い」、「新進気鋭の」ヴァイオリニストだったのです。但しとても才能が有る人で、

日本にも何度も来て、N響とベートーヴェンの協奏曲などで協演しています。


ところが、一昨年11月、フランクの息子で1991年生まれというから当時はまだ20歳になったばかりの

セルゲ・ツィンマーマンが、オヤジさんと同じN響のソリストに呼ばれてオヤジさんと同じベートーヴェンの協奏曲を

弾いていたので、驚きました。何に驚いたかというと、こっちも年を取ったもんだ、ということです。

さて、それはさておき、オヤジさんのフランク・ペーター・ツィンマーマンが、

モーツェルトのヴァイオリン協奏曲第3番とブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾き、

その伴奏が、サヴァリッシュ先生指揮のベルリン・フィル、という、私の好みからすると、

ド真ん中のストライク、とも言えるCDを見つけました。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番 ツィンマーマン、サヴァリッシュ&ベルリン・フィル

これは素晴らしいです。

先生がベルリン・フィルで交響曲か何かを指揮している録音も欲しいところですが、

このCDでは伴奏者としてのサヴァリシュ先生の指揮の妙技が発揮されています。


指揮者でも伴奏ができない、というか下手な人がいて、そういうのに当たると、ソリストは非常に弾きにくいそうですが

サヴァリッシュ先生はピアノでも室内楽や、歌(フィッシャー=ディースカウ)の伴奏をしたり、

伴奏の「ツボ」は完全に心得ているのでしょう。元N響事務長の長谷恭男(はせ・たかお)さんが書いた

斜めから見たマエストロたちという本の中で前橋汀子先生が、メンデルスゾーンの協奏曲をサヴァリッシュ先生指揮のN響で弾き終えて、
こんなに弾きやすかったのは、初めて。

と仰有った、との記述があります。

要するに抑えるところは抑えないと、ヴァイオリンなんか聞こえないのです。

しかし、ずっとオーケストラがメゾ・ピアノからメゾ・フォルテの間ぐらいの音量で弾いてたら、

音楽としてメリハリがなくなってしまうので、つまりその辺が協奏曲の伴奏に慣れているかどうか、

ということでしょう。


知ったかぶりはここまでにして、音楽にします。


フランク・ペーター・ツィンマーマンのヴァイオリン。ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮、

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の伴奏です。


まず、モーツァルト。音楽家の音楽性が一遍にバレてしまいます。


モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216 第一楽章


Violin Concerto No. 3 In G K216: I. Allegro


モーツァルトはわずか35年の生涯でしたが、ヴァイオリン協奏曲は彼の若い頃に書かれていて、

私は、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲には、生命力の発露、モーツァルトの青春の輝きを感じます。

続いて、ドイツの3Bの一人ブラームスです。第二楽章(載せませんが)には長いオーボエのソロがあり、

シュレンベルガーという名手がこのCDでは吹いております。第三楽章。


ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 第三楽章


BrahmsViolin Concerto: III: Allegro Giocoso, Ma Non Troppo Vivace


お聴きの通り、モーツァルトの頃よりもオーケストラの編成が大きく、従って響きが大きく厚くなっています。

ブラームスの特徴でして、ピアノ協奏曲でもヴァイオリン協奏曲でもこのようなシンフォニックな壮大な響きになるので

もちろん、ブラームスは、ソロを消さないように考えて書いていますが、それでもやはりこういうのは指揮者の腕の見せ所で、

放っておいたら、ヴァイオリン一本の音など埋もれてしまいますので抑えるべき所は抑え、ソロが無いところではオーケストラの

重厚な響きを聞かせるという、その辺りはさすが、サヴァリッシュ先生だと思います。

ツィンマーマンのヴァイオリンはよく鳴っており、表現力が豊かです。見事だとおもいます。

このCD、私が買ってしまったので、「お取り寄せ」ですが、輸入盤で安いし、

とにかくサヴァリッシュ=ベルリン・フィルって無いですからお薦めです。

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2013.02.02

【音楽】クライスラーとハイフェッツの誕生日。シューベルト。ローザンヌ山本さん3位。

◆クライスラー(1875-1962)は昨年とりあげるべきでした。

昨年がフリッツ・クライスラーの没後50周年でしたので、あるヴァイオリニストが、

「今年はリサイタルなどで、クライスラーをプログラムに含めて頂きたいという依頼が多い」

といっていましたが、1年前はちょうどN響アワーが終わるというので、NHKに抗議文を出して

そちらに気を取られておりました。


クライスラーは自作自演の録音が残っていますが、いくら何でもノイズばかりで

興ざめです。

私が好きな、カナダのヴァイオリニスト、ジェームス・エーネス(James Ehnes)氏の
James Ehnes Plays Kreislerですが、

iTunes Store ですとJames Ehnes Plays Kreisler1,500円でダウンロード購入できます。

最近はなんでもダウンロードですね。それはさておき、一曲だけ。


クライスラーが、タルティーニ作曲:「コレルリの主題による変奏曲」という第50変奏まであるのをコンパクトにまとめた曲。


コレルリの主題による変奏曲


Variations on a theme by Corelli




ピアノやヴァイオリンなど、優れた才能が掃いて捨てるほどいる世界で秀でるということは、非常に大変で

殆ど不可能と考えた方が良い、というのが凡人に対しては、最も親切なアドヴァイスだと思いますが、

James Ehnes氏には確かに他と違った表現力がある、と思います。


◆ハイフェッツ(1901-1987)

ヤシャ・ハイフェッツは、ヴァイオリニストの神様で、100年に1人の天才といわれます。

何ても弾けと言われれば、すくに弾けてしまうのですが、協奏曲より小品集の方が

ハイフェッツの真骨頂です。

ツィゴイネルワイゼン ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリン

から。


ツィゴイネルワイゼン


Heifetz Zigeunerweisen



中間部の美しい旋律はハンガリー民謡をそのままサラサーテが使ったそうです。

若干、音色が普通と違うのは、ここは弱音器を付けているからです。

まさに、ハイフェッツ=ツィゴイネルワイゼンと言っても過言では無いほどの名演。

最初と終わりのテクニックでは腕がなりますが、この中間部の歌い方。


ヴァイオリンが「泣い」てます。したたるポルタメント、よよとすすり泣くヴィヴラート。


これぐらいの浪花節がぴったりです。


◆既に過ぎてしまいましたが、1月31日はフランツ・シューベルトの誕生日でした。

シューベルトは「歌曲の王」であるのは余りにも有名で、過去にはシューベルト歌曲を載せましたが、

彼にはあまりにも有名な代表作、三大歌曲集「冬の旅」「白鳥の歌」「美しき水車小屋の娘」があります。

これはいままで殆ど取り上げたことがありません。

クラシックの声楽家というとまずオペラ歌手を連想する方が多いでしょう。

あちらの方が派手です。一方、ドイツ・リートなんていうのは、イタリア・オペラのように

テノールが高音をフォルティッシモで張り上げるというような所はありませんが、それだけに

純粋に「音楽性」「歌心」がモロに出ます。

第一人者。故・フィッシャー=ディースカウと名伴奏者として有名なジェラルド・ムーアのピアノ。

シューベルト:歌曲集「冬の旅」から第一曲。


シューベルト:歌曲集:「冬の旅」 第一曲 Gute Nacht(おやすみ)


Gute Nacht



泣けますね。シューベルトは「悲しくない音楽なんてあるのだろうか?」と言ったそうですが、

あまりにも直接的に切ないです。

同じ「冬の旅」には有名な「菩提樹」もあります。


◆【為参考】2月2日は今年のローザンヌ国際バレエコンクールのファイナルです。

クライスラー、ハイフェッツ、シューベルトと全く関係ありませんが、毎年、

1月の終わりから2月のはじめにかけて、ローザンヌが開かれます。昨年は菅井円加(すがいまどか)さんが1位でした。

2013年のファイナルは今日2月2日。日本人は5人がファイナルに残っています。ご参考までに。


◆【追加】ローザンヌ国際バレエ、山本さん3位 石川の高2(朝日新聞 2月3日(日)2時50分配信)

熊川哲也さんや吉田都さんらを輩出した第41回ローザンヌ国際バレエコンクールの決勝が2日、スイス西部の当地で開かれ、

石川県能美市在住で小松市立高校2年の山本雅也さん(18)=横倉明子バレエスクール=が3位に入った。

山本さんは「信じられない気持ち。緊張もせず、自分の納得できる踊りができた。家族にありがとうと言いたい」と話した。

同コンクールは15~18歳だけが参加でき、「将来性」を審査するため、若手ダンサーの登竜門とされる。

本選には23カ国から75人が参加し、決勝には20人が進んだ。

上位8人には世界の有名バレエ団やバレエ学校へ1年間、無料で入団が認められ、

生活支援金として1万6千スイスフラン(約160万円)が支給される。

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2013.01.12

【音楽・映像】懐かしいN響の映像。ホルスト・シュタイン、スウィトナー、サヴァリッシュ、マタチッチ、他

◆今日が何か特別の日ではないのですが。

私は音楽記事を載せるときは、以前は作曲家や演奏家の誕生日だとか、命日だとか、

何か音楽史上の出来事と結びつけることが多かったのですが、それはそうしないと、

元来、政治や経済を論じるよりも、音楽とかオーケストラにかんしてマニアックなことを書いたり話したり

する方が100倍ぐらい好きなので、時事問題そっちのけになってしまう恐れがあるからです。

近年、天下国家を論じてもあまりにも空しい。といって止める気はありませんが、


今日は、YouTubeを検索していたら、私と同じ世代か、目上の方で「N響アワー」の前身時代から、

「テレビのN響」で数々の音楽に接してきた方々には、非常になつかしく、また、若い世代の方には、

何しろ、生まれる前の映像でしょうから、却って珍しいだろう、と、そういうのを選びました。


◆名誉指揮者を中心に(全員じゃないですけど)。終わりはなんとブルックナー8番全曲です。

順不同です。

名誉指揮者の1人、ホルストシュタインさん。「バイオリニストは肩が凝る―鶴我裕子のN響日記」は、ホルスト・シュタインさんを絶賛してます。

見た目の棒の振り方がキレイとかそういうことではなくて、プロのプレーヤーから見て、

実に「いい棒」(この場合、「棒」とは指揮棒そのものではなく「指揮」自体を意味します)だそうです。

日本人はこの当時、あまり分かっていなかったけど、ホルスト・シュタイン先生はバイロイトで「指輪」全曲など

既にとっくに振った、大指揮者なのです。お馴染み、シベリウス、フィンランディア。


シベリウス:交響詩「フィンランディア」ホルストシュタイン指揮、NHK交響楽団






「泰西名曲」ですけど、指揮者の熱い思いが、オーケストラに伝わり名演になっていることがはっきりとわかります。

それにしても、N響の面々の懐かしい顔ぶれ・・・。


次は同じ、名誉指揮者でオトマール・スウィトナー先生です。この方はまだ、ドイツが東西に分裂していた頃、

ベルリンの壁を通過するためには、一般人なら、何時間もクルマの中を検査されたり、書類を書かされたりして

大変な時代だったのですが、旧東ドイツ、ドレスデン国立歌劇場の音楽監督であったスウィトナー氏は東独政府から

フリーパスを与えられていて、昼食のとき「東ベルリンのコーヒーは不味いから」といって、その「パス」見せてコーヒーを飲むためだけに

壁を通り抜けて、西でコーヒーを飲み、午後のリハーサル時間になると戻ってこられたそうで、

東独がスウィトナー氏を「国賓待遇」というか、如何に特別に優遇していたか、分かります。

スウィトナー氏で、ブラームス。


ブラームス:交響曲第3番 第三楽章 オトマール・スウィトナー指揮、NHK交響楽団






スウィトナー氏が「本当の」音楽家だったことは、亡くなった時に日記・ブログに書きました。

2010.01.15 【追悼】オトマール・スウィトナー氏(指揮者)(その1)

2010.01.17 【追悼】オトマール・スウィトナー氏(指揮者)(その2)(注:ハンガリー舞曲集から、いくつか聞くことが出来ます)

次は私が小学校4年か5年のころから、40年以上「サヴァリッシュ先生」と勝手に「師」を仰いで尊敬している、

ヴォルフガング・サヴァリッシュ先生です。


ベートーヴェン:交響曲 第7番 第四楽章 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮、NHK交響楽団






この時、1年だけN響のティンパニ奏者が留学したんで、元・シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)の元ティンパニ奏者で

今のN響の人達も「ティンパニ奏者の神様みたいな人」と尊敬している。ペーター・ゾンダーマン先生がティンパニを担当しています。

ティンパニがオーケストラの響きの厚さを変えています。


次は、いつもにこやかでした。ハインツ・ワルベルク氏。この方も何度も振ってくださいました。


ベートーヴェン:「エグモント」序曲 ハインツ・ワルベルク指揮、NHK交響楽団





私は、「エグモント」序曲が大好きでして、何百回聴いても、血湧き肉躍ります。


次は指揮者はあんまりしらないのですが、曲が珍しい。コントラバス奏者は学生時代の試験とか、

オーケストラのオーディションで弾かされるから、もちろんよく御存知でしょうが、一般の方は殆ど御存知ない。

この曲が生で演奏されること自体殆どありませんが、これを弾いているソリストが、元、ウィーン・フィルの首席コントバス奏者、

ルートヴィッヒ・シュトライヒャーである、というところがすごいです。世界でこれしか映像がないのではないか、と思います。


ディッタースドルフ:コントラバス協奏曲 第三楽章






この先生は、ご覧のとおり大柄で、背丈がコントラバスと同じぐらいありますね。「オーケストラがやってきた」という番組では、

平気な顔で「熊ん蜂の飛行」を弾いていたのを思い出します。


最後です、ロヴロ・フォン・マタチッチ先生で、当時のN響のメンバーはものすごく尊敬していたそうです。

これは、まだ、元気ですが、最後の来日の時は、ブラームス交響曲第一番を指揮しました。マタチッチ先生は

殆ど手首から先ぐらいでしか、「指揮」できないのですが、動作の如何に関わらず、N響が「マタチッチ先生の表現したいこと」を

汲み取ってすごい熱演だったのを覚えています。


私がブルックナーの交響曲を載せるのは初めてだと思いますが、大作交響曲台8番全曲の映像がありました。


ブルックナー:交響曲 薹8番 ハ短調 マタチッチ指揮、NHK交響楽団


(注:「特定のサイトでの再生が制限されています」というメッセージが表示されたら、そこをクリックして下さい。別ウィンドウで開きます。)




ブルックナーの8番は1時間20分を超えますから、無理しないで下さい。


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2012.08.27

【音楽】「買える時に買っておきましょう」シリーズ。安永徹さん「デュオ・コンサート」

◆元・ベルリン・フィル第一コンサートマスター、安永徹さんの最初のCDです。

先日、久しぶりにマーケット(流通市場)で見かけたので、御喜美江さんのアコーディオンと

ラベック姉妹のラグタイムを買っておいた方が良いですよ。という話を書きました。

2012.08.19 【音楽】御喜美江「アコーディオン・バッハ」/ラベック姉妹「ラグタイム集」

大袈裟にいうと、こういうものは買える時に買わないと「取り返しが付かない」のです。


今日は今までに何度、ご紹介し、何度お薦めしたか分からない、

元・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団第一コンサートマスター、安永徹さんと、夫人でピアニスト・市野あゆみさんの、
デュオ・コンサート

毎日チェックしている訳では無いから、いつからあるのか分かりませんが、

一時期ずっと入手不可能になっていたのです。今、念のため、HMVとTowerRecordを確認しましたが、ありません。

Amazonのマーケットプレイス(中古品)だけです。こういうのは、本当に貴重ですから、ある時に買うべきです。

勿論、音楽は各人の好みなのですが、この安永さんのヴァイオリン演奏の録音は、私の独断で書かせて頂くと、

古今東西のあらゆるヴァイオリンのレコードやCDの中でも最も上等な演奏が収録されている。

亡くなった、作曲家の芥川也寸志さんが、「音楽は技術じゃないからね。結局精神の問題だからね」と何度も言われてました。

勿論ヘタクソでは、話にならないのであって、ベルリンフィルのコンサートマスターになるような方は、

そこらのソリストより、余程テクニックもあるのではないか、という位上手な方が就任するのですが、上手いだけではやはり、ダメだ、ということ。

演奏者の教養とか、人品、人格、品性は、音になって、確実に外側に現れるのだ、ということがよく分かります。


◆一部、引用させていただきます。

こと、音楽に関する限りは、言語をいくら連ねるよりも、聴いて頂くに限ります。

いわば、「百語は一聞に如かず」。「デュオ・コンサート」から。


コレルリ ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ヘ長調  作品5 第一楽章 アダージョ



最初の僅か数小節でハッと息を呑むほどの圧倒的な美しさと朗々たる歌い方。輝かしい音色。こんなヴァイオリンを聴いたことがありません。


Corelli Violin Sonata No. 4 in F major, Op. 5 I. Adagio



コレルリ ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ヘ長調  作品5 第二楽章 アレグロ



Corelli Violin Sonata No. 4 in F major, Op. 5 II. Allegro



お聴きの通り、冒頭、ヴァイオリン1本でフーガになります。

コレルリってこれほど綺麗な曲だったのか、と思います。

現在出回っているコレルリのヴァイオリンソナタは

古楽器で、当時の演奏法に近づけたものが殆どですが、私は、絶対に安永さんの演奏の方が好きです。

次はモーツァルトです。

「ある音楽家の教養の程度は、彼のモーツァルトに対する関係で分かる」(カール・フレッシュ「ヴァイオリン演奏の技法」)

という位です。


モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ 第21番 ホ短調 K.304 第一楽章


Mozart Violin Sonata No.21 in E minor K.304 Ⅰ. Allegro



モーツァルトの作品には短調が少ない。短調には何か特別な思い入れがあるような気がします。

しかし、それを意識し過ぎると、過剰にメランコリックになります。安永さんの解釈はそこが絶妙だと思います。

また、これは、最初のコレルリから一貫していますが、伴奏の市野あゆみさんの美しいピアノの音色と、安永さんのヴァイオリンのそれが

非常に美しく融け合っていることが、よくわかります。


終わりはアンコールピースです。


エデ・ポルディーニ 7つのマリオネット - 第2番 踊る人形(編曲:F. クライスラー)


Ede Poldini 7 Marionnettes: No. 2. Poldini valsante (arr. F. Kreisler)


この編曲者。ヴァイオリニストで作曲家でもあったフリッツ・クライスラーの今年は、没後50年です。クライスラーの小品を上手く

まとめるというのは、意外とプロでも難しいのだそうです。ほど良い「遊び心」が必要です。最初から最後まで、クソ真面目にインテンポで

弾かれては、聴き手は面白くありません。安永さんは、実に心得たものです。

上品なルバートと、アーティキュレーションのメリハリがヴァイオリンとピアノでピタリと合っていて、

聴く者に心地良さをもたらします。


ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第一コンサートマスターというのは、オーケストラのスコアを全部、

知っていなければならないし、リヒャルトシュトラウスのように難しいコンサートマスターのソロもありますし、

ベルリン・フィルの場合一年半に一回だか、二年に一回だか、コンサートマスターが、ベルリン・フィルの伴奏で、

ブラームスとか、ベートーヴェンとか、きちんとしたコンチェルトを弾かなければなりません。そのソロの勉強も

日頃から研鑽を積んでいなければなりません。並の人ではないのです。

このCDは是非一人でも多くの方が愛聴盤になさることを切望します。

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2012.08.05

【音楽】1年ぶりの「怒濤のカッチーニ」

◆ときどき、エンドレスで聞きたくなる曲。

カッチーニのアヴェマリアという曲。

あまりにも旋律が美しいので色々な声楽科や、様々な楽器の奏者が、

録音を残しています。探し始めると殆どキリがないです。


以前から何度も「カッチーニ」特集を組みましたが、最近、以前の記事を

見つけて、コメントを書いて下さる方が続きました。

約1年前、昨年の8月10日、私の誕生日に、

【音楽】怒濤のカッチーニ。

をやりまして、そろそろ、また、聞きたくなってきました。

内容は実は、殆ど変わりませんが、これだけ集めているブログは

少ないと思います。


◆順不同です。

特に良いものから、というわけではありません。全く気の赴くままに、

載せました。


順番にお聴き頂いたり、必ずしも全部をお聴き頂く

「必要」はありません(勿論、聴いて頂ければ嬉しいですが)。

お好きなように、お聴き下さい。


最初のこの曲で「おっ!」と思ったのはロシアのカウンターテナー、

スラバ(SLAVA)が、色々な作曲家の「アヴェマリア」だけを集めたCDを

聞いた時だと思います。ave mariaですね。


◆スラバ(カウンター・テナー):カッチーニ: アヴェ・マリア


Caccini Ave Maria(Slava Counter Tenor)



伴奏がシンセサイザーなのが、うーん。ちょっと残念です(あくまでも私の好みです)。


次は、元・オーボエ奏者(現在は指揮者)宮本文昭さんのお嬢さん、

宮本笑里(えみり)さんのデビューアルバム、smile [Hybrid SACD]に、

当時はまだ、オーボエ奏者を引退していなかった、お父さんが加わった親子共演ですが、それは

本質ではなく、実に美しい演奏です。


◆宮本文昭(オーボエ)・笑里(ヴァイオリン):カッチーニ アヴェ・マリア


Ave Maria 宮本笑里・宮本文昭。



綺麗ですね。


この曲は技術的には、難しくありませんので、演奏家の「歌心」がモロに出ます。

こういう誰でも演奏できる曲を歌ったり弾いたりして、なおかつ聴衆を感動させるのは至難の業です。

ただ、「カッチーニのアヴェマリア」の場合、曲そのものが、圧倒的に美しいので、よほど「棒読み」ふうに演奏しない限り

ある程度は必ず綺麗に聞こえる。


後は、その音楽家の好み・センスの問題です。最高音へ向けて盛り上がるところで、

思い切りクレッシェンドして、なおかつヴィヴラート全開にする、という弾き方。

逆にそこで敢えてやや控え目にする演奏というのもあります。それはそれでとても品がある

と思います(クレシェンドが「下品」という意味では、ありません。)


その控え目のほう。英国王立音楽院留学中、175年の歴史の中で二人目の

スペシャル・アーティスト・ステータスという称号を授与された

ヴァイオリンの川畠成道氏。アルバム、美しき夕暮れから。


◆川畠成道:カッチーニ アヴェ・マリア


Caccini Ave Maria(Narimichi Kawabata)



非常に上品な、控え目でありながら丁寧に旋律を歌っていると思います。


管楽器で、先ほどのオーボエよりと同族ですがコーラングレ(コール・アングレ)という

オーボエよりも完全五度、音域が低い楽器を敢えて選んだ、N響オーボエ奏者、

池田昭子さんの、アヴェ・マリア~オーボエ作品集から。


◆池田昭子(コール・アングレ):カッチーニ: アヴェ・マリア


Ave Maria Shoko Ikeda(English Horn)



文句の付けようが、ありません。オーボエ(族)特有の切ない、メランコリックな音色がこの曲にぴったりですね。

やはり控え目でありながら美しく歌う。非常にデリカシーのある名演です。


弦楽器に戻ります。同じ区N響の首席チェロ奏者、藤森亮一氏の「ラルゴ:チェロ小品集Ⅱ」から。


◆藤森亮一(チェロ):カッチーニ:アヴェ・マリア


Caccini Ave Maria(Ryoichi Fujimori)



低音楽器が弱音で演奏したときの独特の美しさ。


さらに低音。元N響コントラバス奏者、池松宏氏の5つのアヴェマリアから。


◆池松宏 (コントラバス):カッチーニ  アヴェ・マリア



Caccini Ave Maria(Hiroshi Ikematsu Double Base)



いいですね。低音は気持ちがぐっと落ちつきます。テンポをやや遅めに設定して演奏しているので、一層安定感が出ています。


次は、金管楽器です。アメリカ、ミルウォーキー交響楽団 首席トロンボーン奏者、神田めぐみさん。グロリアから。


◆神田めぐみ(トロンボーン):カッチーニ アヴェ・マリア


Caccini Ave Maria(Megumi Kanda Trombone)


美しいです。トロンボーンには、他の楽器と同様に、色々な表現の可能性がありますが、柔らかく、朗々と吹くと、

これほど、優しい音がする、ということです。


同じく金管でトランペットです。ガボール・ボルドツキ(Gabor Boldoczki)という、ハンガリーのトランペット奏者です。

グローリア~オルガンとトランペットから。


◆ガボール・ボルドツキ(トランペット):カッチーニ アヴェ・マリア


Caccini Ave Maria(Gabor Boldoczk Trumpet)


トランペットは金管セクションで最高音域を担当します。とくにその高音域では、音色が金属的、刺激的になりがちです。

緊張感を持たせないで、柔らかい高音を吹けるか?というのはトランペット奏者共通の課題です。この人は上手いです。


最後は、声楽。以前から何度も何度もご紹介している、日本音楽史上、バスからソプラノまで含めて、最も上手い声楽科だと

私は思っています。ソプラノの森麻季さんのアヴェ・マリアから。


◆森麻季(ソプラノ):カッチーニ アヴェマリア


Caccini Ave Maria (Maki Mori Soprano)



どう聴いても完璧な演奏ですね。これ以上美しい歌い方が人間に可能であろうか?と思います。


沢山並べました。週末です。ごゆっくり、お楽しみください。

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