【音楽】浅田選手が使った「白鳥の湖」は、バレエだと32回転のグラン・フェッテ。
◆フィギュアスケートの浅田真央選手が使った「白鳥の湖」はバレエでも見せ所です。
フィギュアスケートの四大陸選手権で浅田真央選手が優勝しました。
おめでとうございます。
テレビでアナウンサーが何か言ったとしても、あの音楽が「白鳥の湖」全曲の何処か?を
知りたい、という方が多いのではないでしょうか?
チャイコフスキーの3大バレエの一つ、「情景」のオーボエのメロディーで余りにも有名な
「白鳥の湖」ですが、あれは全幕全曲聴いたことがある方は、少ないと思います。私も全曲は無いです。
バレエ公演ですら、一部は割愛するのが普通です。浅田選手が使ったのは、
「白鳥の湖」、第3幕で悪役、オディール(黒鳥)が王子ジークフリートを誘惑するために踊ります。
黒鳥と白鳥は見た目がそっくり、という設定ですので、バレエでも一人のバレエ・ダンサーが白鳥のオデッサと
黒鳥のオディールを演じ分けます。
「白鳥の湖」全曲の録音は少ないのですが、Naxosさんから出てます。CDでも買えますが、最近は
ダウンロード購入の方が探しやすくなっています。
Tchaikovsky: Swan Lake ドミトリ・ヤブロンスキー & Russian State Symphony Orchestra
の14番目です。 Coda: Allegro Molto Vivace です。
音楽だけ、まずどうぞ。
Swan Lake:Coda: Allegro Molto Vivace
音楽だけでも十分華やかですが、これはバレエ・ダンサーの女性は大変でして、ロイヤル・オペラなら
吉田さんのようなプリンシパル(ではなくても踊れることは踊れるでしょうが)級の技巧の見せ所だそうです。
32回、回転します。グラン・フェッテというそうです。ボリショイの映像ですが。
白鳥の湖 32回 グランフェッテ by ニーナ・アナニアシビリ
吉田都さんの有名な話がありまして、吉田さんがロイヤル・バレエ・スクールに在学中、
最上級のクラスの学期末のテスト・レッスンで最後の課題がこの「白鳥の湖」、
32回転のグラン・フェッテでした。
吉田さんが、師と仰ぐバーミガム・ロイヤル・バレエ(旧:サドラーズ・ウェルズ・バレエ団)名誉監督、
ピーター・ライト氏の証言。スーパーバレエレッスン82ページ。
英国ロイヤル・バレエを世界に冠たるレベルに引き上げた、ニネット・ド・ヴァロア女史(1898-2001)
がこの試験を見ていた、という状況です。
都(引用者注:吉田都さんのこと)のグラン・フェッテは私の心にずっと残っています。
(テストの)最後の課題が32回転のグラン・フェッテだったのです。
ド・ヴァロワは当時80歳代後半か90歳代前半だったと思いますが、その様子を見ていました。
全員がフェッテをやりましたが、みんな、かなり苦労していてできない人もいました。
しかし都は、美しく、やすやすとやってのけたのです。
するとデイム・ニネット・ド・ヴァロアが立ち上がり、クラスを見学していた人全員に、こう言ったんです。
「私は、こんな詩的な優雅さのあるグラン・フェッテを見たのは初めてです」と。
実に美しい出来事でした。このときのことはずっと私の心のなかに残っています。
非常に誇らしいですね。
吉田都さんや、熊川哲也さんのお二人は東洋人でありながら英国ロイヤルオペラのプリンシパル。
先日のジュネーブ国際バレエコンクールで熊川さんは、今や審査員です(吉田さんもずいぶん前から)。
こういう人たち。バレエダンサー・音楽家などが海外で活躍することにより、欧米人の日本人のイメージは
絶対に良くなっています。元・旧西独首相で、自らも玄人はだしのピアノを弾くヘルムート・シュミット氏は、
ヨーロッパ各地で演奏する日本人音楽家は、政治家や外交官や財界人よりも、日本人のイメージを向上させることに貢献している。
といいました。
そういうことを日本の大衆は仕方がないとしても、権力の中枢にいる人達が全く理解していないのが、
如何にも無教養、無粋、下品な感じです。国防軍なんていって軍隊を他の国に行かせたって、
武器ってのは人を殺す道具なんですから、いい顔をされるわけがない。
楽器は武器よりも強いのです。
武力で人を殺しても恨みを買うだけです。恨みは増幅します。
しかし、日本人芸術家が他国の人を感動させて、恨まれる可能性は絶対に無い。
尊敬されるでしょう。これほど簡単なことが、どうしてわからないのか。
どちらが大切なことか分からないのか。残念でなりません。
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