カテゴリー「金管楽器」の記事

2014.07.28

【音楽】7月28日は、バッハとヴィヴァルディの命日です。

◆殆ど同じ時期を生きた二人でございます。

J.S.バッハが1685年-1750年。ヴィヴァルディが1678年-1741年ですから、ちょっとだけヴィヴァルディが生まれるのも

亡くなるのも早くて、しかし、まあ、ほぼ一緒ですよね。


なんとなく音楽史上、バッハは「音楽の父」とか何とか言われて、ヴィヴァルディは「四季」ばっかりイムジチが弾くから

損した感じがします。「あー、あの『四季』の人ね」とか「同じ協奏曲を600回書いた人」ね。とか。


しかし、過去何度も7月28日(あるいはその前後)で取り上げて、書いたように、バッハはヴェネツィア風の

作曲技法を積極的に勉強しようとした気配が濃厚でありまして、

ヴィヴァルディの曲をそのまま自分の曲の一部に用いたり、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲を

チェンバロ協奏曲または独奏曲にしてます。全く興味がなかったら、そんなことをしないか、しても一度で終わると思います。

探せば色々あるでしょうが、私の大好きなのを紹介したいので、毎年同じ記事になります。


◆ヴァイヴァルディのヴァイオリン協奏曲、RV 230をバッハがチェンバロ独奏曲にし、さらに金管アンサンブルで演奏されてます。

まず、ヴィヴァルディの原曲です。

Vivaldi - Concerto in D-Major, "L'estro Armonico", Op. 3 No. 9, RV 230







それをバッハがチェンバロ独奏曲に編曲してあたかもバッハの曲のように作品番号BWV 972になってます。

これはピアノで弾いてます。


(BWV 972) Vivaldi/Bach: Concerto in D major (complete)






それを、ジャーマンブラスが金管アンサンブルで演奏してます。編曲したのは一番右端で、

トランペットを吹いている、マティアス・ヘフスという人です。


Bach BWV 972 after Vivaldi Violin Concerto RV 230






これをアップしたのは私ですが、日本の方よりも世界中からコメントを寄せられてます。

有難いのですが、何語かすら分からない場合がありまして、ちょっと困る場合もあります。

いずれにせよ。欧米語同士なら機械翻訳で英語には訳せるので、英語にしてます。

それはさておき、一番最後が、原曲はヴァイオリン協奏曲であるにも関わらず一番、華やかで音楽として

出来が良いと思います。これは、『バッハ・フォー・ブラス』 ジャーマン・ブラスの映像です。

演奏場所は、バッハの勤め先だったし、今はお墓がある、ライプツィッヒの聖トーマス教会です。

まさにバッハづくしの場所ですが、音楽は、今風にいうならまさに「バッハとヴィヴァルディの見事なコラボ」です。

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2013.09.03

【音楽】9月1日は「奇跡のホルン」、デニスブレインの命日でした。

◆毎年、書いていますが、名曲の名演は何百回聴いても飽きないのがクラシックでしょ?

毎年、9月1日前後に同じようにデニス・ブレインを特集します。


デニス・ブレインは、若くして亡くなった英国のホルン奏者です。Wikipedia「デニス・ブレイン」には、

死後の今に至るも世界中で最も卓越したホルン奏者のひとりとして知られる。

と、ありますが、全面的に同意いたします。

以前から、読んで下さっている方は、「またか」と思われるかもしれませんが、名曲の名演は何百回聴いても色褪せない。

クラシック音楽の驚嘆すべき力、だと思います。

今まで、クラシックや、ホルン、ましてや、デニス・ブレインなんて、聴いたことがない、若い方の人生が、

これで変わるかもしれません。とにかく演奏を聴いて下さい。

今でも、元ベルリン・フィルのバボラークとか、確かにものすごく上手いけど、デニス・ブレインの

音のコントロールは、次元が違います。


まず、あまりにも有名なモーツァルトホルン協奏曲全曲より。


◆モーツァルト::ホルン協奏曲 第4番 変ホ長調 K.495 第1楽章:アレグロ・モデラート


ホルン協奏曲 第4番 変ホ長調 K.495 第1楽章:アレグロ・モデラート



ホルンは、管が大変長く、その割にはマウスピースの口径が小さく、それだけ音がひっくり返り易いのですが、全く間違えそうな気配すら、

微塵も感じられない。同じ言葉を繰り返しますが、このコントロール力は空前絶後だと思うのです。


もう一曲。もっと難しい、リヒャルト・シュトラウス(オヤジさんがホルン吹きだったんです)は2曲のホルン協奏曲を残してます。

一番は18歳の時の作品ですが、大変ホルンの特性が良く生かされた曲だと思います。


これは、私の尊敬する、ウォルフガング・サヴァリッシュ先生の伴奏です。R.シュトラウス/ホルン協奏曲集。


この曲は3つの楽章から構成されていますが、演奏するときには、連続して(楽章の間で休まないで)演奏します。

CDでは3つのトラックに分かれているので、繋げました。


◆R.シュトラウス: ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11


Richard Strauss Horn Concerto No.1


冒頭、アルペン・ホルンをイメージするようなソロから、圧倒的な技量と音楽性。文句の付けようがありません。

完璧な演奏などない、といいますが、これは「完璧な演奏」としか形容出来ないと思います。

デニス・ブレインの演奏は、永遠に語り継がれることでしょう。

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2013.08.26

【音楽】新しい才能の発見。ベルリン・フィル、首席トランペット奏者、ガボール・タルコヴィ氏による「ハイドン:トランペット協奏曲」。

◆新しいと言っても、2005年からベルリンフィルのメンバーなんですが。

私が知ったのが、比較的最近である、ということです。

NHKBSプレミアムが、平日毎朝6時から放送する「クラシック倶楽部」という番組があり、

約2ヶ月前に、「ガボール・タルコヴィ、トランペット・リサイタル」という文字を見つけて、実はその時点では、

ベルリン・フィルの首席だとは知らなかったのです。

こんなことを書いてはのっけから白けてしまいますが、サイモン・ラトル氏が音楽監督になってからのベルリン・フィルは

カラヤンが振り、各セクションに伝説的名人がいて、かつ第一コンサートマスターが安永さんだった頃のベルリン・フィルに比べると

随分、「普通に近い」オーケストラになってしまった印象でして、あまり昔ほどの興味がなくなりまして、

若い頃の私だったらあり得ないのですが、各楽器の首席奏者すら、良く知らなかったのです。


しかし、こと、トランペットに関しては、タルコヴィ氏がやたらと上手いので、検索したら、ベルリン・フィルの首席だったのです。


それで、逆に、ベルリン・フィルを見直しました。

他のオーケストラの首席トランペット奏者で、ハイドンの協奏曲を録音している人は何人もいますが、やはり

アンドレは別格としても、モーリス・アンドレのようなソリストに比べると、はっきり言ってそれほど、ソロは上手くありません。

オーケストラのトランペット奏者といえども、勿論、オーディションでは、ハイドンの協奏曲をみな吹くのですけど、

アンサンブルの中のトランペットパートを吹くのと、ソリストでは、自ずと違いが出るのです。


しかし。

かつて、岩城宏之さんが、「ベルリン・フィルなら、多分、全員がソリストとして通用するだろう」と書いておられましたが、

まさしくそのとおりで、オーケストラで吹きながら、ソロでもこれほど上手い人が揃っているベルリンフィルは、やはりすごいです。


ベルリン・フィル公式サイトで、ガボール・タルコヴィ氏のプロフィールを読むと、

2005年8月1日からベルリン・フィルのメンバーである旨、記録されております。

最初から首席で採用されたのかどうかは分かりませんが、ベルリン・フィルのVacant positions(空席。つまり募集中、ということ)

を見ると、第一コンサートマスター(誰か、辞める予定ということでしょうね。以下同様)、第一首席チェロ、首席フルート、首席ホルン、高音ホルン(上吹きといいます)

2番トランペット・・・という募集の仕方をしているので、多分、タルコヴィ氏の時には、Principal Trumpet(首席トランペット)で

募集・オーディションがあり、それに合格したのでしょう。

とにかく、非常に安定しているトランペット。絶対間違えそうにないトランペット。いそうでいません。

引用元は、「古典派トランペット協奏曲集」 (輸入盤)です。

Amazonに注文してから、2回ほど予定より入手が遅れそうだ、という連絡があり、「結局廃盤でした」とならないか、ヒヤヒヤしてましたが、今日届きました。

トランペット協奏曲の定番、ハイドンと、フンメル(珍しく原曲通りホ長調。普通、変ホ長調で演奏。)の他、ネルーダ、L.モーツァルトなどが収録されてますが、

まずは、王道、ハイドンをお聴き頂きます。テクニックを誇示しているわけではありませんが、非常に

堅牢なテクニックという土台があって可能な演奏だと思います。


◆J.ハイドン:トランペット協奏曲変ホ長調Hob.7e-1 第一楽章 アレグロ


Gabor Tarkovi Haydn Trumpet Concerto 1st Mvt Allegro


カデンツァはオリジナルです。これは完全に初めて聴きます。


◆ハイドン:トランペット協奏曲 第二楽章 アンダンテ


Gabor Tarkovi Haydn Trumpet Concerto 2nd Mvt Andante


当たり前、と言ってしまうと実も蓋も無いのですが、明瞭な発音(音の立ち上がり)と伸びやかなロングトーン(延ばす音)、

正確な音程、美しい音色、ゆったりとした歌心。中学生でも吹ける楽章ですが、だからこそ、上手さが光ります。


◆ハイドン:トランペット協奏曲 第三楽章 アレグロ


Gabor Tarkovi Haydn Trumpet Concerto 3rd Mvt Allegro


細かい音の動きで、いささかの不安も感じさせない、テクニックの余裕と第二楽章とは違う、「これぞ、トランペット」という

輝かしい音色が、魅力です。


全体として、なにも「変わったこと」はしていませんが、それでいて、確実に印象に残る。ものすごく技術的に安定しているのと

やはり、音楽性。第二楽章で使った言葉と重複しますが「歌心」が満ちあふれた素晴らしいトランペット奏者だと思います。

もう一枚、タルコヴィ氏の「イタリアのトランペット協奏曲」も買いました。


これはまた、おいおい、ご紹介します。今日のハイドンを含む、「古典派トランペット協奏曲集」 (輸入盤)はお薦めです。

こういう、ラッパのCDなどというのは、アッというまに廃盤になっていることが多いので、気になったら買うことにしています。

それでは、失礼します。

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2013.08.10

【音楽】「軽騎兵」序曲の名演は、少ないのです。

◆通俗名曲→簡単→誰でも名演、では決して、ないのです。

以前から何度も書いておりますが、今は私はトランペットを吹きませんが、

昔、個人レッスンで習い始め、しばらく吹きました。


そのきっかけになったのは、小学校の音楽教室で初めて生オーケストラの演奏で「軽騎兵序曲」を聴いて、

トランペットの音の輝きに、感動し、ときめいたからです。


ですから、この曲でトランペットが有名な旋律を最初に吹くところには、こだわりがあります。

これ↓が、その箇所のトランペットパートだけを書き出したものです。

Suppelightcavalryoverturetrpexerpt

色々聴いた結果、今のところ、最も良い録音はメータ=ウィーン・フィルのスッパ序曲集なのです。

私が、「軽騎兵」序曲の演奏で、重視するのは、あのトランペットの旋律です。

メータ=ウィーン・フィルの抜萃で。


「軽騎兵序曲」抜萃(メータ=ウィーンフィル)


この部分で多くの指揮者の解釈に、私は異を唱えたい。

多分、どの指揮者もこのトランペットの旋律は、この直後にTutti(テュッティ=総奏=オーケストラ全体の演奏)で繰り返すから、

最初に旋律を提示するトランペットの音量は抑えめにした方が、Tuttiが景気がよく響くと思うのでしょう。


◆トランペットを抑え過ぎ、「キレ」が悪い演奏が多いのです。

確かにここはトランペットは、p(ピアノ=弱く)と書かれてますが、それでトランペットの輝きが減じてはいけない。

しかし、そうなってしまっている演奏が多いのです。


カラヤンの場合。これは録音後、技術的に操作しているのでしょうが、こうなります。

カラヤン=ベルリン・フィル



舞台裏で吹いているようで音がモヤモヤしています。

今年のウィーン・フィル、ニューイヤー・コンサート。フランツ・ウェルザー=メストは全体としては良くて、

また、ニューイヤーで「軽騎兵」、というのも、初めてのような気がします(未確認)が、ちょっとこの箇所は・・・。


フランツ・ウェルザー=メスト ウィーン・フィル


音量は、まあ、いいのですが、最初のメータと比べると明らかですが、同じウィーン・フィルなのに、

これは、「ワクワク感」がありません。


我が敬愛するサヴァリッシュ先生の場合は、


サヴァリッシュ=バイエルン国立歌劇場


キレは良いのですが、音量が平坦過ぎる気がします。高揚感の予感がありません。


ユージン・オーマンディ、フィラデルフィアはどうか。


ユージン・オーマンディ、フィラデルフィア


音量も音質も良いのですが、アーティキュレーション(スタッカートとかテヌーなど、音の長さ、切り方)問題。


楽譜に黄色の線で囲みました。八分休符。スッペが、わざわざ書いているのですから、その前の音が伸びてはいけません。

また、16分音符2個に関しては、楽譜には何の指示もありませんが、そのまま、ダラーっと吹くのではなく、

軍隊の信号ラッパ風にやや詰めて吹かないと、だらしなく聞こえてしまいます。


メーター=ウィーン・フィルのディスクから。軽騎兵序曲全曲をお聴き下さい。


◆ 喜歌劇「軽騎兵」序曲


メータ、ウィーン・フィル「軽騎兵」序曲


あたり前の結論ですが、今時のクラシックマニアは見向きもしない、「ポピュラー小品」といえども、

上手い人がまともに演奏しなければ、名演にはなりません。

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2013.07.28

【音楽・映像】7月28日はバッハ(1685-1750)とヴィヴァルディ(1678-1741)の命日です。

◆毎年書くのですが、殆ど生涯が重なっています。

J.S.バッハとヴィヴァルディは17世紀の末から18世紀の前半にかけて、

今更ですが、それぞれドイツとイタリアの大作曲家ですが、

偶然ですけど、殆ど生涯が重なっているんですね。ヴィヴィルディがバッハより7歳年上で、63歳で亡くなり、

バッハはヴィヴァルディの7年後に誕生して、65歳で亡くなっています。


殆ど「誤差」の範囲内というぐらい、全く同じ時期を生きております。

今ではバッハは音楽の父で、ヴィヴァルディは、イ・ムジチ合奏団を始め、あらゆる音楽家が

かの有名な「四季」をステージで演奏し、また録音をのこしていて、四季が流石に食傷気味だったり、

何か、ウンチクを語る本には「ヴィヴィアルディは同じ協奏曲を600回書いた、といわれる」などという記述が

あるので、やや、軽く見られがちですが、それは気の毒で、美しい音楽を沢山のこしてます。


いきなりマニアックな話になりますが、ヴィヴァルディはファゴット協奏曲を30曲以上も書いていて、

こんな人、他にしらないので。いずれ特集したいほどです。


◆バッハがヴィヴァルディの作品を沢山編曲してます。

バッハは当時のヴェニスの作曲家の技法を勉強するため(と言われてます)に、

アルビノーニやマルチェッロの作品を編曲していますが、私は音楽学者ではないので、

正確な数は分かりませんけれども、ヴィヴァルディを編曲したものが1番多いのではないか、

と思います。バッハはヴィヴァルディを尊敬していた、とも言われます。


最近では、マーラー、ブルックナーはもう当たり前で、更に珍しい曲を探し出すのが

若いクラシックマニアの主たる関心事のようですが、あながち、昔から残っているものは、

バカにできません。

ジャーマンブラスのこの映像。BWV 972とはヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲をバッハがオルガン協奏曲に

編曲したのをさらに、トランペット奏者、マティアス・ヘフス氏がジャーマン・ブラス用に編曲して、

自ら演奏に加わっています。日本の方々からはコメントはありませんが、何だか最近、世界中からコメントが来ます。

勿論、全て演奏を絶賛しています。少なくとも海外のクラシック・ファンは、「今時、ヴィヴァルディが好きだなどと

言ったら沽券に関わる、などという気配は全くない。好きな曲は好きなんだ、というところが小気味いいです。


この映像です。


◆Bach BWV 972 after Vivaldi Violin Concerto RV 230





これは、もともと、『バッハ・フォー・ブラス』 ジャーマン・ブラスに収録されています。


その次は、これはジャーマン・ブラスがバッハばかりを録音した、Fascination Bachです。


今は一時的に品切れのようですHMVやタワー・レコードも見たのですが、在庫なし、とか廃盤と書かれていますが、

私の経験ではしばらくするとまた再プレスされます。今は中古でやたらと高いですが、しばらく待ってみると良いと思います。

この中から、ヴィヴァルディの「調和の霊感」という協奏曲集の一曲。

「2つのヴァイオリンのための協奏曲」RV522 イ短調をバッハがオルガン協奏曲に編曲したのがあります。

バッハの作品番号ですと、BWV 593です。これをマティアスヘフスがブラス用にアレンジしてます。


◆オルガン協奏曲 BWV 593 第一楽章 アレグロ(German Brass)



Bach Organ Concerto BWV 596 After Vivaldi Concerto Grosso RV 565 ⅠAllegro



バランスの良い、しかも輝かしい、金管の響きが、たまりません。

さらに、同じ調和の霊感の中から、2本のヴァイオリンとチェロのための合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)

(ヴィヴァルディの作品番号はRV565)を、

これまたバッハがオルガン用に編曲し、それをブラスで演奏してます。長いので最終楽章だけ。


◆バッハ オルガン協奏曲 BVW 596 第五楽章 アレグロ


Concerto D-Moll BWV 596 Nach Vivaldi RV 565 Ⅴ Allegro


最後に。

これは先日取り上げたばかりですが、やはり同じ調和の霊感から、4つのヴァイオリンのための協奏曲を

バッハは4台のチェンバロのための協奏曲に編曲しました。それを現代のピアノで弾いてます。

このCDです。バッハ:2台、3台、4台のピアノのための協奏曲集

この引用元のCD。元西独首相のヘルムートシュミット氏が第4ピアノを弾いているようなのですが、プロに遜色ない。


◆4台のピアノのための協奏曲 イ短調 BWV 1065 第一楽章


Bach: Concerto In A Minor For 4 Harpsichords, BWV 1065 - Mvt. 1


一国の政治的指導者だった人が、玄人はだしのピアノを弾く教養人だというのは誠に羨ましい限り。


ところで、あまりにも曲数が多くなるので今日はヴィヴァルディの原曲は載せませんでした。

全て、協奏曲集Op.3調和の霊感第1,2,4,7,8,10,11番 コペルマン/カペラ・イストロポリターナ : ヴィヴァルディ(1678-1741) に収録されております。


最後の「4台のピアノのための協奏曲」の原曲。ヴィヴァルディの「4つのヴァイオリンのための協奏曲」だけ載せます。


◆ヴィヴァルディ:4つのヴァイオリンのための協奏曲 ロ短調 Op. 3 No. 10 RV 580 第1楽章 アレグロ


Concerto for 4 Violins in B minor, Op. 3, No. 10, RV 580: I. Allegro


大曲にも勿論素晴らしい作品は多けれども、最近、半分忘れられているヴィヴァルディにも名作は多いのですね。

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2013.07.15

【音楽】カールライスターオペラ・ファンタジー、他。管楽器ヴィルティオーゾ集。「上手いっ!」ってことです。

◆元、ベルリン・フィル首席クラリネット奏者。カール・ライスター氏

カラヤン=ベルリン・フィルの黄金期には、プレイヤーも今では信じられないような天才ばかりが

首席を務めていて、オーボエのローター・コッホ、フルートのジェイムズ・ゴールウェイ、ホルンのザイフェルト、

そしてクラリネットのライスター、ファゴットのピースク。というのは、今では夢のような、

日本のプロ野球の「3番・ファースト・王、4番・サード・長嶋」みたいなものなのです。


ライスター氏はベルリン・フィルと共に来日したことは勿論、群馬交響楽団の音楽監督を、頼まれて務めた

元・ベルリン交響楽団、コンサートマスター、豊田耕児氏が招いて、モーツァルトのクラリネット協奏曲のソリストとして

来て繰れてから群響には度々客演していますし、日本のカメラータというレーベルに多数の録音を残しました。

その一つにオペラのアリアを主題とした、クラリネット用変奏曲。しかも、クラリネットの名人芸を披露するような

曲を録音したことがあります。

オペラ・ファンタジー/カール・ライスターです。


その中から冒頭の一曲。


◆ヴェルディ:歌劇「椿姫」の旋律による演奏会用幻想曲(ロヴェッリョ,ジャンピエーリ)


ヴェルディ:歌劇「椿姫」の旋律による演奏会用幻想曲(ロヴェッリョ,ジャンピエーリ)



プロ、クラリネット奏者のネット上のお知り合い、Nべさんのお話では、この当時の演奏家は有名なオペラアリアを自分で

編曲・演奏して腕の良さを見せて稼いでいたそうで、特に珍しいことではないそうです。オペラ・ファンタジーで検索すると

確かに他の楽器もあります。

この曲はむずかしいことはむずかしいけれども、とりあえず吹くだけなら、今や日本の高校生が吹いてしまうそうですから、

技術的な向上には、目を瞠るものがあります。ライスター氏はしかし、流石にベルリン・フィル首席ですから音質にムラガなく、

音の安定感が、素晴らしいと思います。


◆トロンボーン:「スコットランドの釣鐘草変奏曲」クリスチャン・リンドベルイ

クリスチャン・リンドベルイ(Christian Lindberg)はスウェーデンのトロンボーン奏者で、

Wikipediaによると、世界でただ1人、フルタイムのソロ・トロンボーン奏者として成功している(食えている)

人物だそうです。そうでしょうね。トロンボーン協奏曲なんて、まず演りませんからこの人は、何でもトロンボーン用に

編曲して、世界中でリサイタルをしてます。最初に日本でも知られた、熊蜂の飛行”~ヴィルトゥオーソ・トロンボーンから。

「スコットランドの釣鐘草」は聴けばどなたも御存知でしょうし、変奏曲としても原始的な形態ですが、

トロンボーンのテクニックを披露する曲としては割と有名です。


◆スコットランドの釣鐘草 変奏曲(アーサー・プライヤー)


Blue Bells of Scotland(Arthur Pryor)


これは、映像があると更に面白いのです。

文字通り、目にも止まらぬ速いスライド・アクション、それ自体が芸術的です。


◆トランペット「ヴェニスの謝肉祭」変奏曲 マティアス・ヘフス

この曲を初めて聴いたとき、私は「これは、ごく限られた才能を持つ、天才しか吹けないだろう」と、

思ったものですが、その後、吹ける人が大勢現れました。ラッパ好きとしては喜ばしいのですが、

このような曲は、どうしても「テクニック誇示」になりやすく、難しいテクニックを綺麗に決められただけでは

さほど感心しません。マティアス・ヘフス氏は、ジャーマン・ブラスで活躍中の方ですが、

テクニックと音楽性を兼ね備えた、稀有な例ではないか、と思います。

音源は、Trumpet Acrobatics Matthias Hofsです。


◆アーバン:ヴェニスの謝肉祭 変奏曲


MatthiasHofsCarniva.OfVeniceVariation


最近、これをもっと速く吹く、若いトランペット奏者がいましたが、前述の通り、完全にテクニックを誇示するだけ

になってしまって、そうすると、いくら上手くても、聴いていて妙に白けるのです。難しいものです。


◆テューバ「ヴェニスの謝肉祭」変奏曲 オイスタイン・ボーズヴィク

オイスタイン・ボーズヴィク氏はノルウェーのテューバ奏者です。何故か北欧からは、卓越した金管楽器奏者が次々と現れます。

オイスタイン・ボーズヴィク氏もトロンボーンのリンドベルイ氏同様、世界でただ1人、フルタイムのソロ・テューバ奏者として

食えている人です。ソロとなれば、関係ないのですが、オーケストラでは、トロンボーンよりも更に出番が少ないテューバのソリストを

職業として成り立たせているということは、つまりそれだけ、卓越しているということです。


音域が低いので、上でお聴き頂いた、トランペットのヘフス氏に比べると多少「ボソボソ」と聞こえますが。

兎にも角にも、あの、一見、運動性のなさそうな、金管楽器セクションの最低音域を受け持つ楽器が、

全く同じ難易度の譜面を演奏してしまいます。これを本日の最後にお聴き頂きます。

音源は、チューバの謝肉祭です。


◆アーバン:ヴェニスの謝肉祭 変奏曲(テューバ オイスタイン・ボーズヴィク)


Baadsvik - Carnival Of Venice



世の中、ありとあらゆる楽器で信じられないほどの名人がいるものです。

いずれの楽器も難しい。ただひたすら練習した人が上手くなるのですねえ。

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2013.05.18

【音楽】とにかく綺麗な音楽。

◆最近、あまりにも「人間の醜さ」が目にあまるので。

だいぶ慣れたつもりだったのですけど、アインシュタインが言ったことは本当ですね。

この世には、はかりしれないものが二つある。宇宙の大きさと、人間の愚かしさだ。

最近、毎日更新できてないのですが、あまりにもひどい(色々な意味で)人間の行為を知り、

「あきれてものがいえない」のであります。書けない事はないのでしょうが、今まで散々書いたので、

いい加減疲れます。11年書いてるんですからね。数年前から、Twitterの140文字で思い付いたことを

書くのは、簡単ですが、如何に愚かしいか、をブログで長々と取り上げるのは、気が滅入ります。


◆「人間の存在を少しでも明るく照らし出すことが、芸術家に与えられた使命だと信じています」(カール・ベーム)

中学生の頃に、クラシック音楽雑誌「音楽の友」にカール・ベームという指揮者のインタビューで、この言葉が

載っておりまして、中学生でもそれなりに、意味は分かりましたが、年を取ったら、一層、ベーム先生の正しさが分かります。

欲の塊になって、醜さの極みになってしまう人間が大勢いますが、一方では、数百年経っても、

人間の魂を慰める、美しい音楽を書いたのは、同じ人間。それを音にしているのも、人間であります。

既出の曲ばかりなのですが。ちょっと一息つきましょう。


森麻季さんのソプラノ。麗しき瞳よ ヘンデル・アリア集から。


ヘンデル:リナルド 涙の流れるままに


Lascia ch'io pianga



信仰心がなくても敬虔な気持ちになる、ということはありますね。実に美しい。

森麻季さんの演奏は、何度も書くのですが、これ以上あり得ないほどの素晴らしさで、人間の声の美しい部分を

全部、集めたのではないか、と思えるほどです。


続いて、リヒテルの「平均律」一番最初の。バッハ:平均律クラヴィーア曲集全巻 から。


バッハ:平均律クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ 第1番 ハ長調


前奏曲とフーガ 第1番 ハ長調


同じくバッハの「無伴奏チェロ組曲」1番の第一曲「プレリュード」もそうですが、この「前奏曲」。

ありていに言えば、「分散和音の羅列」なんですけれども、これが「天上の調べ」と呼びたいほどの美しさ。

続くフーガ。静寂からぞっとするほど綺麗な音が聞こえる瞬間。何度聴いても、どこからどう聴いても美しい。


次は、ケルン放送響首席コントラバス奏者、河原泰則さんのコントラバス。「コントラバスの奇跡」から。


ラフマニノフ:「ヴォカリーズ」


ラフマニノフ:ヴォカリーズ



ラフマニノフといえば、99パーセントの方はピアノの超絶技巧曲を連想なさることでしょう。


それはそれで、音楽史上の宝ですが、私はその超絶技巧のラフマニノフが書いた、この切ない旋律が一番好きです。

河原泰則さんの演奏はこのアルバムはまさに「奇跡」で、コントラバスの表現力の広さを、存分に知ることができます。


最後は、映像と一緒に。金管楽器で「G線上のアリア」は、聴いたことがないでしょう?

あるんですねえ。これが。『バッハ・フォー・ブラス』 ジャーマン・ブラスから。


バッハ:管弦楽組曲第3番から「エア」(G線上のアリア)






何度も書きますが、これを演奏しているのはバッハがここで働き、バッハのお墓がある、ライプツィッヒの聖トーマス教会です。


簡単そうに聞こえますけれども、全ての管楽器に必要な基礎中の基礎。「ロングトーン」といって、ひとつの音を長く揺れないで伸ばす。

なかなか難しいのですよ。


みなさま、良い週末をお過ごしください。

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2013.04.28

【音楽】昨日に関連して、バッハによる「編曲もの」をさらに編曲した演奏。

◆既出なのですが、常に一見さんがおられますので・・・。

まことにありがたいことに、こんなヘボの日記・ブログではごじますが、

弊ブログの御常連の読者の方々がいらっしゃいます。ありがとうございます。


その方々は、

またか?

と、思われるでしょう。強縮でございますが、

私、最近、たびたびブログで触れておりますが、何年も前からTwitterも使っています。

一旦入会しては、都合により退会。そして再登録を4回ぐらい行ったと思いますが、それはさておき

そのTwitterで、新しく「JIROの独断的日記」を読んで下さる方がおられます。


この日記・ブログは11年もかいてますので、過去記事はとてもではないけれども全部はお読みに

なる時間がないでしょうから、実は、以前、何度も取り上げたけれど、良いものは良いので、

また、ご紹介します。良いものをひとさまにお教えすることにおいてても「継続(反復)は力ない」だと思うのです。


◆ヴィヴァルディのソロ・ヴァイオリン協奏曲を、バッハがチェンバロ協奏曲に編曲した、BWV 972

昨日の「4台のピアノのための協奏曲」は、まず、バッハが編曲したのを先にお聴き頂きましたが、

今回は、私の印象では、原曲よりも編曲(一度じゃないです)するほど良くなって行くので

まず、原曲からお聴き頂きます。

これは、私は録音は持っていないのですが、さいわいYouTubeで発見しました。

ヴィヴァルディの作品番号、RVで表しますが、RV 230の原曲をどうぞ。


Antonio Vivaldi - Concerto in D major from L'estro armonico No. 9 op. 3






これが、おおもと、です。


バッハは、ヴィヴァルディとかマルチェルロとかイタリアの、とくにヴァネツィアの同時代の作曲家の作品が

好きだったようですね(どこにも、「好きであった」という記録などありませんが、頼まれもしないのに、わざわざ嫌いな曲を

編曲しない、と思います)。この他にもマルチェルロを編曲したり、かの有名な、マルチェルロのオーボエ協奏曲

(映画「ベニスの愛」に使われて有名)を、自作に「そのまま」使ってます。


話がそれましたが、ヴィヴァルディのRV 230をバッハがチェンバロ協奏曲(というか独奏曲だと思いますが)に

編曲したのが、バッハの作品番号でいうと、BWV S972です。そのピアノ演奏。これもYouTubeで発見。


Vivaldi-Bach concierto n^(o)1 en D Major (BWV 972). Esteban Rinsky





埋め込ませて貰って、こういってはなんですが、演奏自体も、音質も格段にすぐれてえいる、とは、言えませんが

要するに、「バッハが鍵盤用に編曲したのが、これですよ」という資料的なものだとお考え下さい。


◆さらに、BWV 972を、金管アンサンブルに編曲して演奏したもの。これが一番良いのです。

ドイツに、一流オケで首席を経験したような人たちばかりで構成されている、

ジャーマン・ブラス(German Brass)という、やたらと上手な金管アンサンブルがあります。

このリーダーは、南米医出身ですがベルリンで勉強した、エンリケ・クレスポというトロンボーン奏者ですが、

主に旋律を担当するトランペット奏者で、演奏も巧みですが、アレンジを担当している、マティアスヘフスという人がいます。

この人が編曲したのが素晴らしいのです。DVDがあります。

『バッハ・フォー・ブラス』 ジャーマン・ブラス

です。Amazonにも一見、同じ商品がありますが、リージョンコードが「1」なので、リージョン・フリーのDVDプレイヤーか、

リージョンコードを解除するPCソフトがないと、そのまま、普通に家庭用DVDプレイヤではみられませんが、

このHMVのは、「リージョンコード : ALL 」ですので、何でも見られる筈です。


話がそれましが、演奏をご覧になり、お聴き下さい。演奏しているのはバッハが長いこと「勤め」て、バッハのお墓がある

ライプツィッヒの聖トーマス教会。バッハそのものです。


Bach BWV 972 after Vivaldi Violin Concerto RV 230






画面、一番右側。ピッコロトランペットで、主に旋律を担当しているのが、マティアス・ヘフス(Matthias Hofs)氏で、

ジャーマン・ブラス用にBWV 972を編曲したのも、彼です。

本当は、原曲から一番離れているわけですが、不思議なもので、原曲よりもむしろ音楽としては、

最後の金管の演奏の方が魅力的に感じます。それは、私が金管楽器がすきなので、単なる「好み」の問題かもしれませんが、

かなり冷静に、客観的に聴いて、原曲よりも、バッハの鍵盤楽器用編曲よりも金管楽器群の演奏が

生命力と輝きに満ちていると思います。

誠に音楽とは不思議なものです。DVD「バッハ・フォー・ブラス」では、他にもまだまだ素晴らしい演奏があります。

色々な金管(特にトランペット奏者達)の楽器の使い分けなど、面白いのです。お薦めします。

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2013.04.16

【訃報】アドルフ・ハーセス氏。半世紀以上、シカゴ交響楽団首席トランペット奏者を務めた音楽家です。

◆凡そ(特にクラシック系の)ラッパ吹き(吹いていたことがある者)で知らない人はいないのです。

アドルフ・ハーセス氏を知らないラッパ吹き、特にクラシック系のラッパ吹きがいたら、モグリです。

それぐらい、世界中のオーケストラ・トランペット奏者の頂点に君臨したといっても良いかもしれません。

尤も難しいところで、このシカゴ交響楽団というアメリカでは、雑誌の「タイム」でしたか。

アメリカ人ってのは何でも「順位」を付けるのが好きなようで、毎年オーケストラ・ランキングを発表します。

ここ数年はどうなっているのかしりませんが、以前は長い間、サー・ゲオルグ・ショルティ指揮=シカゴ交響楽団が、毎年1位でした。


実は私はサントリーホールで聴いたことがあります。「展覧会の絵」を含むプログラムでトランペットは大活躍します。

しかし、お悔やみ記事の中でこんなことを記すのも、なんですが、あまり印象にのこらないシカゴ交響楽団の演奏でした。

このオーケストラは一人一人は非常に技術のレベルが高く、今もいるのかわかりませんが、以前はチェロの首席奏者が

チャイコフスキーコンクール、優勝だか2位だったか、とにかく「ソリスト級の名人」を集めたオーケストラですが、

オーケストラ全体としての音楽が、聴き手の心に残るためには、単に「上手ければいい」ものではない、ことが、

皮肉な言い方になってしまいますが、よく分かりました。しかし、そうとはいえ、ハーセス氏はすごいです。


◆どのように「すごい」のか。

シカゴ交響楽団に対する好みは分かれるでしょうが、やはり第一級のオーケストラであることは間違いありません。

一流オーケストラのメンバー、とりわけ、各楽器の「首席奏者」は「上手くなければならない」上に、

「間違えてはいけない」のです。


厳密に言うと、絶対間違えないということは、人間、あり得ないと思います。

オーケストラの奏者ではなくて、ソリストですが、私が過去に何度も記事にした、不世出の名手、

モーリス・アンドレ氏のごとき天才ですら、一度、ハイドンのトランペット協奏曲でちょっとミスをしました。

あれほど常に完璧な演奏をする天才(←ご本人は「天才」と言われると機嫌が悪かったそうです。「練習だ」と)ですら

ミスがあるのか!と逆に感動(?)した、中学時代の私でした。


アドルフ・ハーセス氏も一度だけ、ミスをしたのを聴いたことがあるという日本のプロ・トランペット奏者がおられます。

不思議はありませんが、その時だけだ、というのです。


アドルフ・ハーセス氏は、1948年から2001年まで実に53年間の長きにわたり、シカゴ交響楽団首席トランペット奏者、

という栄光の、しかし、ものすごいプレッシャーがかかる地位にいつづけました。

どうしていられたか?というと、それは音楽家として優れていたからですが、トランペットは

とにかく目立ちます。ハーセス氏は1921年生まれで、80歳まで首席だったのは、オーケストラの演奏において

トランペットの「ここ一番!」というところ。絶対に間違えたらいけないところで殆ど絶対に間違え無かったという

その安定した演奏ぶりゆえ、だと言ってよいでしょう。これは自分もラッパを吹いていたことがある私には、

少しは想像がつきます。トランペットはピアノのハンマーアクションのように「ド」の鍵盤を叩いたら「ド」の音が出る

という楽器ではない。人体の一部を振動体とするのは、西洋音楽では声楽とトランペットだけです。

声楽の音源は、元々音を発するための臓器である「声帯」ですが、トランペットは本来その為に存在するわけではない

「唇」を振動体(音源)として用います。それだけ不安定で、たゆまない練習により、楽器と身体との一体感を醸成しないと

ハーセス氏のような偉業を成し遂げることはできません。やはり、永遠にトランペット奏者の歴史に名を残す方だと思います。

それがアドルフ・ハーセス氏の「すごさ」です。


◆ハーセス氏のトランペット協奏曲を乗せて、栄誉を讃えます。

もう廃盤ですが、クラウディオ・アバドがシカゴ交響楽団を振っていた頃に、シカゴの名人達をソリストにして、

ドイツ・グラモフォンに「管楽器協奏曲集」を録音しました。その中にハーセス氏がソロを吹く、ハイドンがあります。

T_chicagoconcerto001

その演奏を乗せて、アドルフ・ハーセス氏の栄誉を讃え、氏への弔意を表します。


ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 第一楽章 アレグロ


Haydn: Trumpet Concerto In E Flat, H 7E - 1. Allegro


安定した立派な音だと思います。


ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 第二楽章 アンダンテ


Haydn: Trumpet Concerto In E Flat, H 7E - 2. Andante


弱音のコントロールと、歌心が素晴らしいと思います。


ハイドン:トランペット協奏曲 変ホ長調 第三楽章 フィナーレ・アレグロ


Haydn: Trumpet Concerto In E Flat, H 7E - 3. Finale: Allegro


華やかな音色とテクニックの切れが心地良く響きます。


やはり、アドルフ・ハーセス氏はクラシック・オーケストラ・トランペット奏者の代名詞といっても過言でない。

その名は永遠に残ることでしょう。

心より、お悔やみを申しあげます。

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2013.03.24

March(3月)はmarch(行進曲)です。

◆久しぶりにマーチです。

この、「March(3月)はmarch(行進曲)です。」という、下らんダジャレを伴う企画は、

以前は毎年履行していたのですが、最近サボって(?)いたように思います。


もちろん、3月に限らず、マーチ(行進曲)はいつ聞いても良いですね。

単純な構造の楽曲ですが、人間が歩くときに元気がでるように書かれた実用的なものから、

行進曲という名前のピアノソナタの楽章もあれば、後でお分かりになりますが、

交響曲の一つの楽章になったり、色々な「行進曲」があります。

いつもはスーザのマーチだけ、などで終わらせたのですが、今日は色々ならべました。


◆最も基本的なマーチの原型。フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルのスーザ。

フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルは金管アンサンブルの始祖ですが、

実は、本国、イギリスで演奏するときには、必ずしも金管楽器だけ、の編成に

拘らず、木管と打楽器を加えて、一時的に「吹奏楽団」として演奏することも

多かったそうです。以下の楽曲の引用元は、

旧友、星条旗よ永遠なれ~世界のマーチ集 フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル

です。


最初は、原題は"Semper Fidelis"(ラテン語。「常に忠実な」)というそうです。邦題は「忠誠」。


スーザ:忠誠



Semper Fidelis


いいですね。最初の2小節を聴いただけで、パッと空気が軽くなるというか光が差すような快感が弾けます。

これぞ、マーチ。

次は「キングコットン」というマーチですが1895年にジョージア州アトランタで開かれた

Cotton States and International Exposition(コットンステイト博覧会)のために作曲を委嘱された

とのこと。


スーザ:キング・コットン


King Cotton



この曲がスーザの多くの曲の中で特別に優れているわけではないのですが、

私の人生における、非常に少ない、短い「合奏に参加出来た時期」に演奏した曲の

1つなのです。個人的な思い入れがございます。

それはさておき、2曲ぐらいならいいですが、マーチばかりの録音やコンサートでは

気を付けなくてはいけないのは、テンポを曲によって少しずつ変えることです。

実用的につまり、運動会の入場行進に演奏する場合は、テンポは一定でなければなりせんし、

歩くのに適当なテンポでなければなりませんが、コンサートでマーチを演奏する場合、

実用と同じテンポでは概して遅すぎます。実用ではとても使えないぐらい、速いテンポで

演奏することも、お客さんを飽きさせないためには、重要です。


◆オーケストラが演奏するマーチ。

オーケストラが演奏するマーチは多くの場合、演奏会用曲目。つまり実用ではなくて

「聴くための音楽」です。

ふと、気がつきましたが、毎年、ウィーン・フィルのニューイヤーの最後は「ラデツキー行進曲」ですが、

ベルリン・フィルの夏の恒例ヴァルトビューネも最後は「ベルリンの風」というマーチ。

イギリスの夏のプロムス。最後のコンサート、「プロムス・ファイナル」はやはり、

エルガーの行進曲「威風堂々」第一番で締めくくられます。節目にはマーチなのでしょうか。


さて、最初は若い頃のバーンスタインとニューヨーク・フィルハーモニックです。

星条旗よ永遠なれ~マーチ名曲集

これは、景気がいいです。若い頃のバーンスタインって、ニューヨーク・フィルハーモニックと来たときに

見ましたけど、指揮台で本当にジャンプしますからね。このアルバムも曲によってはさぞや

大暴れしているだろうと思います。

ただ、今日は一曲だけ。しかも盲点でした。これもマーチ。

フランス国歌の「ラ・マルセイエーズ」。


クロード・ジョゼフ・ルージェ・ド・リール :「ラ・マルセイエーズ」


La Marseillaise


やはり、国歌ですからね。「国威を発揚し」ないといけないので、こういう風になるのですね。

エディット・ピアフのシャンソン風だったら、なんだかフニャっとなりそうですからね。

あれはあれでいいけど、シャキッとするにはマーチ、ということですね。


次は、大昔の指揮者で一部のマニアは神様のように尊敬している、

クナッパーツブッシュです。本当はブルックナーとかを得意とするのですが、
クナッパーツブッシュ・ポピュラー・コンサート 軍隊行進曲

という珍しいのがあります。これは確か宇野功芳さんが何かの本で激賞していました。

今日は載せませんけど、確かに今の指揮者は絶対にやらないだろうなというようなことを

「舞踏への勧誘」で、やってます。驚くほど強いティンパニのフォルティッシモの一発、とか。


それはさておき、今日はマーチですから・・・


シューベルト:軍隊行進曲(クナッパーツブッシュ指揮:ウィーン・フィル)


Schubert Military March Op51


独特なテンポ感ですね。この曲はピアノの「おさらい会」では、連弾で演奏することが多いですが、

リズムを刻む側が上手い人が弾いてあげたほうが良いとおもいます。まだあまり上手くないこども二人が

連弾すると、低音側の子が段々はやくなり、旋律側が焦って間違えたり、両方が加速していって

とんでもなく速いテンポになってしまって、玉砕。というケースを何度か見ました。


次はお馴染み「幻想」です「断頭台への行進」ですね。不吉ですねー。


金管が華やかにマーチを吹きます。旋律を吹くのは、ベルリオーズのスコアを見ると

トランペットより柔らかい音がするコルネットという楽器です。

コルネットがカッコ良く旋律を吹いている時に、バストロンボーンが低音をずっと伸ばしてます。

低音のフォルティッシモを吹くのは大変難しい。コンサートではトロンボーンさんも

よく見て聴いてあげてください。

演奏はガリー・ベルティーニ指揮:ケルン放送響。


ベルリオーズ:幻想交響曲 第四楽章「断頭台への行進」



Symphonie fantastique IV. Marche


オーケストラが演奏する行進曲の最後は、アンドレプレヴィンがウィーン・フィルと

録れた、メンデルスゾーン:劇音楽「真夏の夜の夢」から

「結婚行進曲」。日本人だれでも最初の16小節辺りまでは知っているが、全部知っているのは

クラシック好きに限られてしまいます。

この劇付随音楽全体として素晴らしい。CD安いですからお薦めです。


メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」劇付随音楽から「結婚行進曲」


Midsummer Night's Dream "Wedding March"


文句の付けようが無い音楽だとおもいます。


◆最後はピアノ音楽の「行進曲」

ピアノで行進曲なんてあったっけ?と私も思ったのですが、灯台下暗し。

モーツァルトの「トルコ行進曲」がありました。

マニアックなことをいえば、ホロヴィッツが「星条旗よ永遠なれ」を

ピアノ用にしかも、超絶技巧連取曲風にアレンジしたもの、などがありますが、

元々ピアノ曲ではないですから。

日本人でただ1人、ショパン、チャイコフスキーという二大コンクールに入賞した

小山実稚恵さんが、アンコール・ピースみたいなのばかり弾いたCDがあります。

その名も文字通り「小山実稚恵/アンコール・プラス」です。

「トルコ行進曲」を弾ける人はそれは大勢いるでしょうが、そういう曲だからこそプロが

弾くのは大変です。明らかに素人とは「次元の違う上手さ」が無ければなりません。


中間部の16分音符が絵年と続くところは、弱めに弾いてしかもはっきり弾かなければなりませんし、

音の粒が揃っていなければならない。言うまでもなく小山さんはそんなの完璧です。

フォルティッシモはかなり強めに弾きますが、ベートーヴェンとは違うフォルテです。

その辺りにさじ加減が難しいだろうと想像します。


モーツァルト:ピアノ・ソナタ11番 K.331 イ長調 第三楽章「トルコ行進曲」


Mozart: Piano Sonata #11 In A, K 331 - 3. Rondo Alla Turca



長々と失礼しました。

みなさま良い日曜日をお過ごしください。

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