カテゴリー「木管楽器」の記事

2014.05.29

【音楽】サヴァリッシュ=バイエルン国立管弦楽団管楽器奏者「王宮の花火の音楽」他。ものすごくレアです。

◆子供の頃から尊敬し続けたサヴァリッシュ先生が亡くなったのが去年の2月です。

小学校5年の頃からずーっと尊敬し続けた、指揮者のウォルフガング・サヴァリッシュ先生が亡くなったのは、

昨年(2013年2月22日)で、本来ならずっと特集を組みたいところでしたが、

ちょうどその少し前、2013年1月3日に母が死んだ直後で、雑事でバタバタしまして、

あまり音楽どころではありませんでしたが、サヴァリッシュ先生の追悼CDというか、

はっきりいって、大指揮者が亡くなると、レコード屋さんの稼ぎ時なんで、廃盤になっていた録音が

CDとして復活したり、というのは、よくあることです。


◆ものすごく珍しい。サヴァリッシュ先生のヘンデルしかも管楽アンサンブルなんて聴いたことがない。

追悼盤の中でもひときわ異彩を放っているのが、

ヘンデル:王宮の花火の音楽、ディヴェルティメント第46番「聖アントニー・コラール」、モーツァルト:セレナード第10番「13管楽器」より第1楽章&第7楽章

これには驚きました。バイエルン国立管弦楽団というのはサヴァリッシュ先生の手兵ですが、

このディスクだけでは無いでしょうか。弦楽器なし。


王宮の花火の音楽は、イギリスに帰化したドイツ人、ヘンデルが、

ジョージ2世から依頼を受け、たっての希望により屋外演奏用に管楽器だけということで

書いたのです。ヘンデル自身があとで、弦楽器を加えたバージョンも書いてまして、

今では(あんまり最近のプログラムで「王宮の花火の音楽」なんて見ませんが)、弦楽器も加えた

通常の管弦楽で演奏されますが、この録音、1973年、サヴァリッシュ先生は、初演当時に近付けてみようと

思ったのでしょうか。私の知る限る、サヴァリッシュ先生が管楽器と打楽器だけを振るのなんてしりません。

CDのライナーノーツによると「当時としては珍しい、オリジナル楽器を使っての演奏」とのことですが、

厳密にピリオド楽器(当時の楽器)にしてはトランペットパラパラ吹きすぎ。オーボエなどの音は古楽器に

やや近いけど、多分の古楽器おコピーのような楽器ではないか、と想像します。

「王宮の花火」の録音といったら、はっきり言ってもっと良い演奏はありますが、とにかく

今までずっと知らなかった録音が突如CD化されたのには、驚きました。

能書きはこの辺で、早速演奏を。


◆ヘンデル、ハイドン、モーツァルト。

まずはヘンデルから。王宮の花火の音楽から抜萃。


◆ヘンデル「王宮の花火の音楽」から序曲



ヘンデル:王宮の花火の音楽「序曲」



◆ヘンデル:王宮の花火の音楽 「歓喜」



ヘンデル:王宮の花火の音楽 「歓喜」


お聴きのとおりトランペットやホルンが多いので、普通のオーケストラならば

ヴァイオリン(特に、ファースト・ヴァイオリン)が担当する主旋律を20数本のオーボエが

受け持ってます。


◆ヘンデル:王宮の花火の音楽 「ファイナル・メヌエット」


ヘンデル:王宮の花火の音楽 「ファイナル・メヌエット」


これ、いいでしょ?

今の普通のオーケストラでも弦楽器を含む管楽器版をもっと演ればいいのに、

と思います。このファイナルメヌエットというのは、盛り上げやすい。

一番持ち上がったところで、シンバルなどを加えると一層、血湧き肉躍る音楽になります。


次はハイドンです。

ヨーゼフ・ハイドン先生が管楽器アンサンブルの為に書いた作品って初めてしりました。

雇い主のエステルハージ侯の軍楽隊の為に書いた音楽6曲の中の一曲と言われてますが、

その第一楽章だけ。楽しい音楽です。お気軽に。


◆ハイドン:ディヴェルティメント第46番変ロ長調《聖アントニー・コラール》第1楽章


ハイドン:ディヴェルティメント第46番変ロ長調《聖アントニー・コラール》第1楽章



次のモーツァルトの「グラン・パルティータ」(セレナード10番)のさきがけっぽいです。


最後はモーツァルト。

セレナード 第10番 変ロ長調 K.361 ≪グラン・パルティータ≫ というのですが、

私が、最初にこの曲のアナログレコードを買った1970年代には、「13管楽器の為のセレナーデ」と

呼ぶのが普通だった、と思います。

クラリネットとバセット・ホルン(クラリネット族の木管楽器)、オーボエ、ファゴット、ホルン、コントラファゴット

(オリジナルの指定は、弦楽器のコントラバスですが、コントラファゴットで演奏することが多いです)による合奏。

あたかも、一瞬、「オルガン?」と一番始めに聴いたときには、錯覚に陥ったほど音が融合します。

第一楽章だけ。


◆モーツァルト セレナード 第10番 変ロ長調 K.361 ≪グラン・パルティータ≫ より 第1楽章


セレナード 第10番 変ロ長調 K.361 ≪グラン・パルティータ≫ より 第1楽章



それぞれの曲に関しては、もっと良い演奏,録音があるでそうが、サヴァリッシュ先生が管楽器だけの

演奏でディスク(レコード)を残していたというのが、全く初耳で驚きなのです。

お薦めします。

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2013.12.02

【音楽】サクソフォン。ポール・ブローディ(ソプラノ・サックス。ハープ伴奏)とサクソフォン5重奏「バッハ:小フーガ」

◆土曜日のSKEの古畑さんの演奏で連想しました。

前回の記事の終わりにSKE48の古畑奈和さんという人のアルト・サックスが上手くて驚いた、

と書きました。

サクソフォーンは1840年代にベルギーの楽器製作者、アドルフ・サックスが発明した楽器なので

サクソフォーンというのですが、19世紀ですからね。昔の大作曲家はサクソフォーンという楽器を知らない。

サクソフォーンの為の音楽はその後現代の作曲家まで書いてますけど正直言って、大して名曲じゃないです。

どうしても、編曲ものになります。

それなら、もう亡くなりましたが、カナダのサックス奏者、ポール・ブローディ(Paul Brodie)(1934-2007)という人が

上手いです。ソプラノサックスをハープの伴奏で吹いてます。

ナクソス・ミュージック・ライブラリーで発見したのはいいのですが、何処にもCDがない。

iTunes Storeにもない。探しに探して、やっとみつけました。


クラシック・オンラインというダウンロード販売でやっと。


今は、ベンジャミンという人の作品であることが判明したそうですが、

長い事、チマローザのオーボエ協奏曲だと信じられていた、この作品。

とにかく綺麗ですから、お聴き下さい。

ポール・ブローディ(Paul Brodie S.Sax.) エリカ・グッドマン(Erica Goodman Harp)


◆チマローザ オーボエ協奏曲 第一楽章 ラルゲット


Cimarosa Oboe Concerto Introduzione: Larghetto


綺麗でしょ?

第2楽章はアレグロで少し弾む感じです。


◆チマローザ オーボエ協奏曲 第二楽章 アレグロ


Cimarosa Oboe Concerto  II. Allegro


次がシチリアーノで何とも切ない。


◆チマローザ オーボエ協奏曲 第三楽章 シチリアーノ



Cimarosa Oboe Concerto  III. Siciliana


これは、本当に綺麗ですね。管楽器は、管長が短いほど、音が柔らかくなりにくいし、音程も

狂いやすくなりますが、この人、完璧ですね。

もうひとつだけ。あまりにも有名なラフマニノフのヴォカリーズ。


◆ラフマニノフ:ヴォカリーズ


Rachmaninov Vocalise


非常に落ちついた、良い演奏です。


◆クインテセンス・サクソフォン五重奏団:バッハ「小フーガ」をスウィングします。

iTunes Storeで、Quintessence Saxophone Quintet(クインテセンス・サクソフォン・クインテット)を

検索すれば直ぐ見つかります。

バッハのオルガン曲「小フーガ」BWV578をジャズ風にスイングしながら吹いてしまいます。


◆バッハ:小フーガ BWV578


Bach:Fugue In G Minor, BWV 578



私は、面白い、と思いました。

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2013.11.30

【音楽】久しぶりにトランペット。ガボール・タルコヴィ氏(ベルリン・フィル首席)。/SKE48古畑奈和さんのサックスに驚嘆の件。

◆最近、気が滅入るような話題ばかりですから、好きなトランペットのことを書かせて下さい。

この頃、日本とか世界のニュースを読んでいるとあまりにゆううつでして、

正直いって、何ヶ月か音楽聴かなかったです。

今年の来日オーケストラは、すごかったですね。ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、コンサルトヘボウが、

まあ、よくも同じ時期に来てくれました。申し訳ないけど、それすら全然興味がなくなるほどでしたが

今年唯一、感銘を受けた音楽的事象は、2005年からベルリン・フィル首席トランペット奏者を務めている、

ハンガリー生まれのガボール・タルコヴィ氏をNHKBS、早朝6時からの「クラシック倶楽部」で発見したことです。

良さそうなのは録画しておくのですが、冒頭に書いたとおり、ゆううつなことが多いので、

直ぐに録画しておいた音楽番組を見る気がしないのですかが、この人は幸い、聴きました。


放送されたのは、ずっと前、2010年来日時のリサイタルなのですが、今でも、ベルリン・フィルのサイトをみると

メンバー表に名前がありますから、今も同じように上手いことでしょう。

人間、本当にドスーンと落ちこんだときには、何をしても無駄ですが、

少しエネルギーが溜まると「聴くエネルギー」が出ます。


タルコヴィ氏、上手いですねー。ベルリン・フィル首席なら当たり前と

仰有る方がいらっしゃることでしょう。本当に分かって仰有っているのならば、その通り。

普通は、オーケストラで上手くても、ソロで十分通用するほど上手いかというと、

それは、勿論、オーディションではソロ曲も吹きますが、

オーケストラの正規メンバーになると、まずそれが仕事ですから、なかなかソロ曲を練習して

ソリストとして直ぐ通用するレベルを維持するのが難しいのですが、

岩城宏之さんが生前、書いていましたが、ベルリン・フィルは別格で皆が直ぐソリストになれるぐらい、

上手い。正にそういうレベルです。


◆「イタリアのトランペット協奏曲」 (ガボール・タルコヴィ)をお薦めします。

NHKBSプレミアムでの演奏を聴いて、感心してAmazonで見つけました。

「イタリアのトランペット協奏曲」から。


アルビノーニのオーボエ協奏曲はどれもとても美しく、トランペットでも

この曲だけではありませんが、良く演奏されます。


◆アルビノーニ:トランペット(オーボエ)協奏曲 変ロ長調 Op. 7 No. 3 第1楽章 アレグロ


Albinoni: Trumpet Concerto In B Flat Major - 1. Allegro



高音域でも音質が変化せず良く鳴り、良く伸びます。音程と発音が非常に正確です。

イタリアの陽光を彷彿させるような、明るい演奏です。


◆マルチェルロ:トランペット(オーボエ)協奏曲 ニ短調 第2楽章 アダージョ


Marcello (A): Trumpet Concerto In D Minor - 2. Adagio


あまりにも有名な、マルチェルロのオーボエ協奏曲第2楽章。「ヴェニスの愛」です。

オーボエならぜったいヴィヴラートをかけるでしょが、タルコヴィ氏は敢えて真っ直ぐな音で吹いています。

歌い方が大変見事で、奏者のデリケートな音楽性が直ぐに分かります。


次は大変珍しい。18世紀イタリアのガルッピという作曲家で、

チェンバロソナタをかつて取りあげた事があります。昔ピアニストのミケランジェリが

好んで弾いていました。オペラも100曲以上書いているそうです。この当時他の作曲家も書いてますが、

トランペットとソプラノ。ソプラノはモイチャ・エルトマン - Mojca Erdmannという人で、大変優れたソプラノです。

エルトマン単独の録音を私はまだ持っていませんが、モーストリー・モーツァルトという、モーツァルトのアリア集をグラモフォンに録れています。

グラモフォンがアルバムを録音しているというだけで、上手いことがわかります。


◆ガルッピ 評判のトランペット(Alla tromba della Fama)


Galuppi: Alla Tromba Della Fama



エルトマンさんは、声が美しくテクニックが優れているのみならず、声量が豊かです。

タルコヴィ氏とのバランスが絶妙な名演奏だと思います。


最後はタルティーニです。


◆タルティーニ :トランペット協奏曲 ニ長調 第3楽章 アレグロ・グラツィオーソ


Tartini: Trumpet Concerto In D - 3. Allegro Grazioso



これは、今まで、モーリスアンドレが初めて吹いて、その後は、弟子のロルフ・スメドヴィックしか吹いているのを知りません。

大変難しい、アンドレと同じカデンツァまで、非常な高音を含むあらゆる音域での高度なテクニックを

タルコヴィ氏が持っていることがよく分かります。


全体として選曲も演奏も素晴らしい。是非、お薦めします。


◆この稿とは全然関係ないのですが、SKE48古畑奈和(なお)さんのサックス演奏が見事だった件。

毎週土曜日、夜11時半から30分。NHKBSプレミアムで「AKB48ショー」を放送していますが、

11月30日(土)の放送の最後に姉妹グループ、名古屋拠点のSKE48古畑奈和さんが、

同じSKE48の東李苑(あずま りおん)さんのピアノ伴奏でアルトサックスを演奏しました。

曲は、SKE48松井玲奈さんのソロ曲「枯葉のステーション」という歌ですが、これが並の上手さではない。

古畑さんのサックスは、「アイドルにしては」上手いを通り越していて、完全にコントロールされた音とヴィヴラートと

正確な音程と美しい音色で、ひっくり返るほど驚きました。

これほどのレベルならば、音大のサックス科を目指しても良いのではないか、と大きなお世話ですが、思いました。

「展覧会の家」(ラヴェル編曲)にアルト・サックスに旋律を吹かせる「古城」という曲がありますが、

古畑奈和さんなら、ちょっとさらえば、あるいはすぐにでも、シンフォニー・オーケストラで吹いて全く遜色ない。

それほどのレベルです。

芸能界の人々は、このレベルがよく分からないでしょうし、クラシックファンで「AKB48ショー」を見る人は,

これもまた、いないか、非常に少ないでしょうから、私が敢えて「記録」と「証言」として書かせて頂きます。

NHKオンデマンドで見て聞けます(放送後2週間までだと思います)。

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2013.07.15

【音楽】カールライスターオペラ・ファンタジー、他。管楽器ヴィルティオーゾ集。「上手いっ!」ってことです。

◆元、ベルリン・フィル首席クラリネット奏者。カール・ライスター氏

カラヤン=ベルリン・フィルの黄金期には、プレイヤーも今では信じられないような天才ばかりが

首席を務めていて、オーボエのローター・コッホ、フルートのジェイムズ・ゴールウェイ、ホルンのザイフェルト、

そしてクラリネットのライスター、ファゴットのピースク。というのは、今では夢のような、

日本のプロ野球の「3番・ファースト・王、4番・サード・長嶋」みたいなものなのです。


ライスター氏はベルリン・フィルと共に来日したことは勿論、群馬交響楽団の音楽監督を、頼まれて務めた

元・ベルリン交響楽団、コンサートマスター、豊田耕児氏が招いて、モーツァルトのクラリネット協奏曲のソリストとして

来て繰れてから群響には度々客演していますし、日本のカメラータというレーベルに多数の録音を残しました。

その一つにオペラのアリアを主題とした、クラリネット用変奏曲。しかも、クラリネットの名人芸を披露するような

曲を録音したことがあります。

オペラ・ファンタジー/カール・ライスターです。


その中から冒頭の一曲。


◆ヴェルディ:歌劇「椿姫」の旋律による演奏会用幻想曲(ロヴェッリョ,ジャンピエーリ)


ヴェルディ:歌劇「椿姫」の旋律による演奏会用幻想曲(ロヴェッリョ,ジャンピエーリ)



プロ、クラリネット奏者のネット上のお知り合い、Nべさんのお話では、この当時の演奏家は有名なオペラアリアを自分で

編曲・演奏して腕の良さを見せて稼いでいたそうで、特に珍しいことではないそうです。オペラ・ファンタジーで検索すると

確かに他の楽器もあります。

この曲はむずかしいことはむずかしいけれども、とりあえず吹くだけなら、今や日本の高校生が吹いてしまうそうですから、

技術的な向上には、目を瞠るものがあります。ライスター氏はしかし、流石にベルリン・フィル首席ですから音質にムラガなく、

音の安定感が、素晴らしいと思います。


◆トロンボーン:「スコットランドの釣鐘草変奏曲」クリスチャン・リンドベルイ

クリスチャン・リンドベルイ(Christian Lindberg)はスウェーデンのトロンボーン奏者で、

Wikipediaによると、世界でただ1人、フルタイムのソロ・トロンボーン奏者として成功している(食えている)

人物だそうです。そうでしょうね。トロンボーン協奏曲なんて、まず演りませんからこの人は、何でもトロンボーン用に

編曲して、世界中でリサイタルをしてます。最初に日本でも知られた、熊蜂の飛行”~ヴィルトゥオーソ・トロンボーンから。

「スコットランドの釣鐘草」は聴けばどなたも御存知でしょうし、変奏曲としても原始的な形態ですが、

トロンボーンのテクニックを披露する曲としては割と有名です。


◆スコットランドの釣鐘草 変奏曲(アーサー・プライヤー)


Blue Bells of Scotland(Arthur Pryor)


これは、映像があると更に面白いのです。

文字通り、目にも止まらぬ速いスライド・アクション、それ自体が芸術的です。


◆トランペット「ヴェニスの謝肉祭」変奏曲 マティアス・ヘフス

この曲を初めて聴いたとき、私は「これは、ごく限られた才能を持つ、天才しか吹けないだろう」と、

思ったものですが、その後、吹ける人が大勢現れました。ラッパ好きとしては喜ばしいのですが、

このような曲は、どうしても「テクニック誇示」になりやすく、難しいテクニックを綺麗に決められただけでは

さほど感心しません。マティアス・ヘフス氏は、ジャーマン・ブラスで活躍中の方ですが、

テクニックと音楽性を兼ね備えた、稀有な例ではないか、と思います。

音源は、Trumpet Acrobatics Matthias Hofsです。


◆アーバン:ヴェニスの謝肉祭 変奏曲


MatthiasHofsCarniva.OfVeniceVariation


最近、これをもっと速く吹く、若いトランペット奏者がいましたが、前述の通り、完全にテクニックを誇示するだけ

になってしまって、そうすると、いくら上手くても、聴いていて妙に白けるのです。難しいものです。


◆テューバ「ヴェニスの謝肉祭」変奏曲 オイスタイン・ボーズヴィク

オイスタイン・ボーズヴィク氏はノルウェーのテューバ奏者です。何故か北欧からは、卓越した金管楽器奏者が次々と現れます。

オイスタイン・ボーズヴィク氏もトロンボーンのリンドベルイ氏同様、世界でただ1人、フルタイムのソロ・テューバ奏者として

食えている人です。ソロとなれば、関係ないのですが、オーケストラでは、トロンボーンよりも更に出番が少ないテューバのソリストを

職業として成り立たせているということは、つまりそれだけ、卓越しているということです。


音域が低いので、上でお聴き頂いた、トランペットのヘフス氏に比べると多少「ボソボソ」と聞こえますが。

兎にも角にも、あの、一見、運動性のなさそうな、金管楽器セクションの最低音域を受け持つ楽器が、

全く同じ難易度の譜面を演奏してしまいます。これを本日の最後にお聴き頂きます。

音源は、チューバの謝肉祭です。


◆アーバン:ヴェニスの謝肉祭 変奏曲(テューバ オイスタイン・ボーズヴィク)


Baadsvik - Carnival Of Venice



世の中、ありとあらゆる楽器で信じられないほどの名人がいるものです。

いずれの楽器も難しい。ただひたすら練習した人が上手くなるのですねえ。

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2012.12.05

【音楽】毎年恒例。12月5日はモーツァルトの命日です。

◆没後221年になります。

モーツァルトの生涯は、1756年~1791年ですから、今年で没後221年です。

モーツァルトに限りませんけれども、特に、バッハとかモーツァルトという人達は、

亡くなった後、220年も経って、全然、関係の無い文化圏の我々が聴いてもゾッとするほど美しい音楽を書きました。

新しく生まれてきた子どもがアッというまに音楽家になって、モーツァルトを弾いています。


商業的音楽(要するに広義の「歌謡曲」です)が20年もすると思い出のメロディーになってしまって、

あれはあれで良いものがあります。私も好きな歌がありますけれども、失礼ながら200年後、世界中で聴かれているか?

と想像すると、その可能性は殆どゼロでしょう。


そう考えると、モーツァルトを始めとする歴史に名前が残っている作曲家の、恐ろしいほどの天才に畏敬の念を覚えます。


◆「モーツァルト頌」という本があります。

Amazonを見たら、今は古本しかないですけど、ときどき新品がでます。モーツァルト頌という本です。

「頌」とは讃える、という意味です。この分厚い本には、自らが天才の名をほしいままにした、大芸術家がモーツァルトを

讃える言葉ばかりを集めたものです。天才たちが「自分など足元にも及ばない天才だ」と尊敬したのがモーツァルトです。

子供の頃のモーツァルトを、既に完全に完成した作曲家だ、と認めたのは、ハイドンでした。

私は神に誓って申し上げますが、ご令息は、私の知る限り最も偉大な作曲家です。(ハイドンが、レオポルド・モーツァルトに向かって云った言葉)

モーツァルトが19歳のときに書いた、「ファゴット協奏曲」です。モーツァルトの管楽器の為の協奏曲で

最初に書かれたのがこの作品です。


ファゴットはクラウス・トゥーネマン。

音源は、クラリネット協奏曲、ファゴット協奏曲、オーボエ協奏曲 ライスター、トゥーネマン、ホリガー、マリナー&アカデミー室内管



モーツァルト:ファゴット協奏曲変ロ長調 K.191 第一楽章。


Mozart Faggotto 1st Movement Allegro



これが19歳の少年の作曲なんですからねえ。


「モーツァルト頌」では、ロッシーニの言葉も見つけました。
モーツァルトの肖像を贈呈します。この大家中の大家を前に、私もそうしているように、あなたも帽子を脱いで敬礼したまえ(ロッシーニ)

ロッシーニ自身、十分に天才ですが、その人がモーツァルトを「大家中の大家」と。


モテット「踊れ喜べ、幸いなる魂よ」より、有名な「アレルヤ」。

こういう歌の歌い方はクラシックの声楽以外では、ありません。本当に毎日何年も練習して、

それでも、出来ないということもあるだろうとおもいます。

私が日本音楽史上、最も上手い声楽家と思っている、ソプラノの森麻季さん。映像と共に。


Alleluia(Exsultate, jubilate) by Maki Mori







完璧な声のコントロールですね。素晴らしい。ここまで上手い人、滅多にいません。


最後、「モーツァルト頌」から。
モーツァルトのピアノ協奏曲のような「本当の音楽」の良さは必ずしも誰にでも分かるものではない。私如きの作曲がもてはやされるのは、そのおかげです(ブラームス)

ブラームス先生も十分、天才なんですけどねえ・・・。


モーツァルトの最後のピアノ協奏曲、第27番 変ロ長調。

音源は、ワルタークリーン・N響の伝説の名演がCD化されたものです。

N響85周年記念シリーズ:モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番、23番、24番、27番/ワルター・クリーン、ホルスト・シュタイン、若杉弘

この第3楽章の主題を、数日後、モーツァルトは「春への憧れ」という歌曲に使っています。

ワルタークリーンさんは、カデンツァで「春への憧れ」全曲を取り入れ、それから変奏してまして、

「N響アワー」で聴いたのを覚えています。大変誠実な名演でした。


モーツァルト:ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595 より第三楽章



Mozart Piano Concerto No27 K.595



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2012.11.19

【音楽】11月18日は、カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)の誕生日です。

◆「魔弾の射手」「舞踏への勧誘」のウェーバーです。

社会学者にマックス・ウェーバという人がいますが、19世紀から20世紀(1864~1920)の人で、

まったく関係ありません。

それよりも、作曲家のカルロ・マリア・フォン・ウェーバーの年上の従姉妹、コンスタンツェは、

モーツァルトの奧さんになった人です。

ウェーバーとモーツァルトは親戚同士です(会うことも無かったでしょうが)。


◆【音楽・映像】「魔弾の射手」序曲。カラヤン=ベルリン・フィル。コンマスは安永さんです。

この他、非常に貴重な映像が満載されている、DVD、ベスト・オブ・カラヤンの遺産は、なんとDVDなのに1,770円で、

別に私はソニーの関係者ではありませんが、非常にお買い得だと思います。

魔弾の射手だけ。コンマスは安永徹さんです。


この映像の記録を見ると、1985年のジルベスター(大晦日)コンサートです。

1985年は、安永さんがプローベ・ツァイト(試用期間)を終えて正式にベルリン・フィルのコンサートマスターになった年です。


DerFreischutzOverture (歌劇「魔弾の射手」序曲)






今となっては懐かしい、クラリネットのカール・ライスター氏をはじめ、挙げ始めたらキリがない。

神様のような、大スター・プレーヤーばかりです。

冒頭のホルン四重奏は本当に美しく、讃美歌にもなっていますが、ホルンというのは、

ごく標準的には4本一組で、高音域担当の1,3番と低音域担当の2,4番がいます。

もちろん、どちらの担当も全音域を吹けるのですが、慣習的に「低音域担当ホルン募集」などと書いてあります」

このホルン四重奏も一人がずっと旋律を吹いているのではなくて、交互に吹いているあたり、興味のある方はご覧下さい。


◆私が生まれて初めて買った「LP レコード」は、「ウェーバー序曲集」でした。

中学から高校に書けて、NHK交響楽団は「青少年の為のプロムナード・コンサート」を、NHKホールで、

また、東京都交響楽団は「ファミリー・コンサート」を杉並公会堂で、良く企画してくださいました。

どちらも、チケットが500円だったと思います。この頃が私が最も生のオーケストラを頻繁に聴いていた時期ですが

偶然でしょうが、ウェーバーの序曲がよく、演奏され、なかでも比較的マイナーな「リューベ・ツァール」序曲が

演奏されました。


この曲は不思議で原語でも邦訳でも作品名が複数ありまして、「リューベツァール」=「精霊の王者」=「霊界の支配者」

そして現在は「幽霊の支配者」(Der Beherrscher der Geister (Ruler of Spirits))で落ちついているようです。

どうしてこうなるのか、色々調べるのですが、よく分かりません。


細かい弦楽器群や、それとユニゾンで吹くファゴットが大変難しそうです。

私が初めて買ったレコードの復刻版、

ウェーバー:序曲集(オトマール・スウィトナー=シュターツカペレ・ベルリン)をお薦めします。


「精霊の王者」(リューベツァール)序曲


Rubezahl Overtue



中間部で、トランペットのコラールの後に、ティンパニ・ソロが入ります。ここは少し不自然なくらいのフォルティッシモで

演奏するとちょうど良いと思います。生で何度も聴いた経験から、そう思います。


◆クラリネットとウェーバー。

クラリネットは、あの天才モーツァルト晩年に五重奏曲と協奏曲、2曲もの不朽の名曲を残したほど、

好んだ楽器です。楽聖モーツァルトに愛された、誠に羨ましい楽器ですが、

カール・マリア・フォン・ウェーバーもまた、どう見てもこの楽器が好きで仕方がなかったようです。

クラリネット協奏曲を二曲、その他に小協奏曲、さらに室内楽で、クラリネット五重奏曲まで書いている。

全てが一枚に収まっているのは、これです。

ウェーバー:クラリネット協奏曲第1番, 第2番/クラリネット・コンチェルティーノ/クラリネット五重奏曲(クリーク/ニュー・ヘルシンキ四重奏団/フィンランド放送響/オラモ)

オーケストラも指揮者も、ソリストも有名ではありませんが上手いと思います。


クラリネット小協奏曲がちょうど良いながさなのでこれにします。

最初3分ぐらいは何やら重苦しいですが、再生開始後3分ぐらいから、ソロ・クラリネットの華やかな動きを

堪能できます。全曲で10程度の曲です。


ウェーバー:クラリネット・コンチェルティーノ ハ短調 Op. 26 J. 109


Weber Clarinet Concertino



クラリネットの特性・魅力を、ウェーバーは、大変良く理解しています。

クラリネットは音域が広く、低音域・中音域・高音域それぞれ音質が違います。

その特徴を上手く使い分けられるかどうかが、或る作曲家のクラリネットへの理解度を測る

物差しの一つだと思います。お楽しみ頂ければ幸いです。

それでは。

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2012.11.04

【音楽】オーボエ 池田昭子さん新譜「恋のうぐいす バロック作品集」

◆もっと何枚もご紹介したつもりでいたのですが。

クラッシックがお好きな方、N響がお好きな方にはお馴染み、NHK交響楽団のオーボエ奏者、池田昭子さんの新譜です。

恋のうぐいす バロック作品集 (池田昭子)です。


私は、池田さんのオーボエの演奏が大変好きですので、今までのCDに関して何度もご紹介したつもりでしたが

「カッチーニのアヴェ・マリア」特集を何度も組みまして、それだけで3回、「ご登場」(?)頂いたのでした。

アルバムを丸ごとお薦めするのは、

2012.01.03 明日から仕事なのでせめて今日までは。【音楽】アルビノーニ&マルチェッロ:オーボエ協奏曲(Ob.池田昭子)

以来、2度目です。


◆コメント:美しい曲の名演ばかりで、どうにもこうにも、文句の付けようがありません。

私は音楽を聴くときに、決して「粗探し」をするのが目的で聴いてはおりません。

ただし、ちょっと、演奏者と演奏上の「趣味・嗜好」が違うな、と思うことがあるのですが

池田昭子さんのオーボエに関しては、今までに色々を聴かせて頂きましたが、そういう違和感がまったくありません。

それが「文句の付けようがない」と書いた趣旨です。

徹底的に音が美しいし、なんというか、決して無表情ではなく、それどころか非常に「表現」しておられるのですが、

池田昭子さんのオーボエは「過剰な表現」というのが一切、ないのです。


勿論、十分に研究なさってから吹いておられまして、なんというか音楽は芝居になぞらえるならば、

「棒読み」になったら、面白くもなんともないのですが、「過剰に表現」されると、聴き手が疲れます。

池田さんの演奏は、絶対そうならないのです。ものすごく微妙なところですが、ホンのすこし、控え目に吹く

のが独特で、それが却って、音楽の美しさを際立たせております。

極めて品の良い、音楽的教養にあふれた演奏だと思います。

曲目は、お馴染みのものばかりです。どこから聴いても良いと思います。

全部、ここに載せてしまいたいぐらいですが、それは流石に出来ないので、少しだけ。


フルートソナタ、BWV 1031の第2楽章「シチリアーノ」はあまりにも美しいので、他の楽器でも単独で

しばしば演奏されます。ピアノ編曲その他、数えきれませんが、ここではオーボエで。


J.S. バッハ:シチリアーノ


J.S. バッハ:シチリアーノ



ぞっとするほど綺麗だと思います。

2曲目も好きな方が多いでしょう。ヘンデル、歌劇「リナルド」より「涙の流れるままに」。

以前は邦題は「私を泣かせて」が多かったのですが、同じ曲です。


ヘンデル:涙の流れるままに



涙の流れるままに



信仰心の無い私ですら、敬虔な気持ちになります。心が洗われるように美しい、と思うのです。


次は、バッハと同時代に生き、その頃はバッハよりもずっと人気があった、というテレマンの作品です。

多作の人ですが、オーボエ族の楽器、オーボエ・ダ・モーレの為の協奏曲です。

池田さんは、普通のオーボエ、コーラングレ(イングリッシュホルン)、オーボエ・ダ・モーレを巧みに使い分けますね。

これは、原曲どおり、オーボエ・ダ・モーレで演奏しています。


テレマン:シチリアーノ



テレマン:シチリアーノ



最後は、バッハのカンタータ BWV 156「アリオーソ」です。

これはバッハのチェンバロ協奏曲ヘ短調 BWV 1056の第二楽章に転用され、そのチェンバロ協奏曲を

オーボエ協奏曲ト短調 BWV 1056とすることもあって、訳が分からなくなりがちですが

大元は、カンタータ 156番 BWV 156「片足は墓穴にありてわれは立つ」の第一曲「シンフォニア」

なのです(愛称が「アリオーソ」)。

カンタータってのは教会でオーケストラとコーラスで演奏しますが、コーラスは歌わないで

オーケストラが演奏する部分があります。このシンフォニアがまさにそれで、ずっとオーボエソロなんです。

元々オーボエが吹くメロディーなんです。あまりにも美しいので、これも色々な楽器で演奏されます。


バッハ カンタータ BWV 156 より「アリオーソ」



カンタータ BWV 156 より「アリオーソ」



歌心が素晴らしいと思います。長いフレージングと美しいビブラートが(この曲だけではありませんが)たまりません。

この他、全部で16トラックあります。

アルバム名に遣われている「恋のうぐいす」は、クープランの曲です。

これは、買って「損をした」気分になる、ということはあり得ないと思います。

お薦めします。恋のうぐいす バロック作品集 (池田昭子)です。

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2012.10.23

「<音コン>クラリネット部門 川上一道さんが優勝」←モーツァルトの協奏曲で優勝、って嬉しいでしょうね。

◆記事:<音コン>クラリネット部門 川上一道さんが優勝(毎日新聞 10月23日(火)21時19分配信)

クラシック音楽界への登竜門、第81回日本音楽コンクール(毎日新聞社、NHK共催、特別協賛=三井物産、協賛=岩谷産業)の

本選会シリーズが東京オペラシティで開幕し、初日の23日はクラリネット部門が行われた。

課題のモーツァルトの協奏曲イ長調に、品性のある自然な音楽性を聴かせた川上一道さん(30)=山形交響楽団団員=が優勝した。

161人の応募から2度の予選を通過した4人が、アンサンブルofトウキョウと共演。村井祐児、横川晴児ら11氏が審査した。


◆コメント:毎コン本選に残る、というだけですでに大変なことですが。

今では、正式名称は「日本音楽コンクール」ですが、

1932年、なんと戦前に日本人が始めた、日本で最も由緒と権威がある(とされている)クラシック音楽のコンクールです。

厳密にいうと、第一回の主催は、旧時事新報社ですが、時事新報社が毎日新聞社に吸収合併され、

第6回からは毎日新聞主催で行われたので、長い間「毎日音楽コンクール」でした。今でも「毎コン」という人が多いです。


戦前に、「西洋音楽のコンクールを日本人で行おう」と決断したことも、英断ですが、

戦争中もついに、一回も中断しなかったという「根性」がものすごいと思います。


毎日新聞社が、あらゆる面で最高の新聞とは、残念ながら、全く言えませんが、こと「毎コン」に関しては、

毎日新聞社は、賞賛に値する、と思います。


その毎コンは、音楽学生や、プロにとっても「別格」だそうです。

「毎コンに出る」ということ自体、勇気の要ることです。上手くて当たり前だからです。

管楽器はどうかわかりませんが(今回のように本選出場4人のうち3人はプロということもしばしばあります)、

最もレベルが高い、ヴァイオリン部門やピアノ部門は、誰でも出願出来る、というものではなく、

先生の許可が必要だといいます。ヘタクソなのに毎コンに出たら、師匠にとっても「恥」になってしまうのです。

本選に残ったからには、皆優勝を狙うでしょうが、記事にあるとおり、クラリネット部門でいえば、

応募者は161人。そのうち、本選まで残ることができるのは4人。


毎コンの本選に残るということだけで、既に「上手い」ことは聴く前から分かります。

ヴァイオリン部門、ピアノ部門は第3予選までありますが、第3予選に残ることが出来ても十分にすごいのです。

この2つの部門に関しては、第3予選から本選に残った人と、残念ながら残れなかった人の演奏水準の差は、殆ど無きに等しい

といって良いでしょう。


◆それはさておきクラリネット部門です。

管楽器の各部門で、最近顕著ですが、全体の技術的レベルが非常に高いのです。

モーツァルトのクラリネット協奏曲は、日本のプロのクラリネット奏者、クラリネット専攻の音大生は、

譜面を音にする、ということだけなら、全員、吹けると思います。


審査方法として、比較的簡単なのは、本選にやたらと難しい曲を指定し、

ミスをしたらチェックする「減点法」で、結果的に一番ミスが少なかった参加者が優勝者になる、

という方法ですが、あまりにもテクニックばかりが注視されるので、音楽コンクールというよりも

「曲芸的演奏大会」のようになります。


モーツァルトを演奏させて審査するということは、参加者のみならず、審査員の音楽性、

力量もまた、世間から評価されるに等しく、審査員も大変だった、と思います。


モーツァルトは、最晩年、殆ど間違いなく自分の死期が迫っていることを認識しつつ、

これも大変に美しい名曲、「クラリネット五重奏曲」を書き、その上更に「クラリネット協奏曲」を書き、

余程、この楽器が好きだったのだろうと思います。


音楽評論家の吉田秀和氏の「私の好きな曲」

モーツァルト「クラリネット協奏曲」

という文章があるので一読をお奨めします。余談となりますが「音楽を聴く才能」を痛感します。


◆第二楽章をどうぞ。

全曲ご紹介したいところですが、実は今までに何度も載せています。

夜も遅いので、静かな第二楽章を載せます。

カールライスター=豊田耕児=群馬交響楽団です。


モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 第二楽章


Clarinet Concerto in A major, K. 622 II. Adagio



こういうのを「天上の調べ」と言うのだろうと思います。


優勝なさった川上さん、おめでとうございます。

ご活躍を確信しております。

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2012.08.05

【音楽】1年ぶりの「怒濤のカッチーニ」

◆ときどき、エンドレスで聞きたくなる曲。

カッチーニのアヴェマリアという曲。

あまりにも旋律が美しいので色々な声楽科や、様々な楽器の奏者が、

録音を残しています。探し始めると殆どキリがないです。


以前から何度も「カッチーニ」特集を組みましたが、最近、以前の記事を

見つけて、コメントを書いて下さる方が続きました。

約1年前、昨年の8月10日、私の誕生日に、

【音楽】怒濤のカッチーニ。

をやりまして、そろそろ、また、聞きたくなってきました。

内容は実は、殆ど変わりませんが、これだけ集めているブログは

少ないと思います。


◆順不同です。

特に良いものから、というわけではありません。全く気の赴くままに、

載せました。


順番にお聴き頂いたり、必ずしも全部をお聴き頂く

「必要」はありません(勿論、聴いて頂ければ嬉しいですが)。

お好きなように、お聴き下さい。


最初のこの曲で「おっ!」と思ったのはロシアのカウンターテナー、

スラバ(SLAVA)が、色々な作曲家の「アヴェマリア」だけを集めたCDを

聞いた時だと思います。ave mariaですね。


◆スラバ(カウンター・テナー):カッチーニ: アヴェ・マリア


Caccini Ave Maria(Slava Counter Tenor)



伴奏がシンセサイザーなのが、うーん。ちょっと残念です(あくまでも私の好みです)。


次は、元・オーボエ奏者(現在は指揮者)宮本文昭さんのお嬢さん、

宮本笑里(えみり)さんのデビューアルバム、smile [Hybrid SACD]に、

当時はまだ、オーボエ奏者を引退していなかった、お父さんが加わった親子共演ですが、それは

本質ではなく、実に美しい演奏です。


◆宮本文昭(オーボエ)・笑里(ヴァイオリン):カッチーニ アヴェ・マリア


Ave Maria 宮本笑里・宮本文昭。



綺麗ですね。


この曲は技術的には、難しくありませんので、演奏家の「歌心」がモロに出ます。

こういう誰でも演奏できる曲を歌ったり弾いたりして、なおかつ聴衆を感動させるのは至難の業です。

ただ、「カッチーニのアヴェマリア」の場合、曲そのものが、圧倒的に美しいので、よほど「棒読み」ふうに演奏しない限り

ある程度は必ず綺麗に聞こえる。


後は、その音楽家の好み・センスの問題です。最高音へ向けて盛り上がるところで、

思い切りクレッシェンドして、なおかつヴィヴラート全開にする、という弾き方。

逆にそこで敢えてやや控え目にする演奏というのもあります。それはそれでとても品がある

と思います(クレシェンドが「下品」という意味では、ありません。)


その控え目のほう。英国王立音楽院留学中、175年の歴史の中で二人目の

スペシャル・アーティスト・ステータスという称号を授与された

ヴァイオリンの川畠成道氏。アルバム、美しき夕暮れから。


◆川畠成道:カッチーニ アヴェ・マリア


Caccini Ave Maria(Narimichi Kawabata)



非常に上品な、控え目でありながら丁寧に旋律を歌っていると思います。


管楽器で、先ほどのオーボエよりと同族ですがコーラングレ(コール・アングレ)という

オーボエよりも完全五度、音域が低い楽器を敢えて選んだ、N響オーボエ奏者、

池田昭子さんの、アヴェ・マリア~オーボエ作品集から。


◆池田昭子(コール・アングレ):カッチーニ: アヴェ・マリア


Ave Maria Shoko Ikeda(English Horn)



文句の付けようが、ありません。オーボエ(族)特有の切ない、メランコリックな音色がこの曲にぴったりですね。

やはり控え目でありながら美しく歌う。非常にデリカシーのある名演です。


弦楽器に戻ります。同じ区N響の首席チェロ奏者、藤森亮一氏の「ラルゴ:チェロ小品集Ⅱ」から。


◆藤森亮一(チェロ):カッチーニ:アヴェ・マリア


Caccini Ave Maria(Ryoichi Fujimori)



低音楽器が弱音で演奏したときの独特の美しさ。


さらに低音。元N響コントラバス奏者、池松宏氏の5つのアヴェマリアから。


◆池松宏 (コントラバス):カッチーニ  アヴェ・マリア



Caccini Ave Maria(Hiroshi Ikematsu Double Base)



いいですね。低音は気持ちがぐっと落ちつきます。テンポをやや遅めに設定して演奏しているので、一層安定感が出ています。


次は、金管楽器です。アメリカ、ミルウォーキー交響楽団 首席トロンボーン奏者、神田めぐみさん。グロリアから。


◆神田めぐみ(トロンボーン):カッチーニ アヴェ・マリア


Caccini Ave Maria(Megumi Kanda Trombone)


美しいです。トロンボーンには、他の楽器と同様に、色々な表現の可能性がありますが、柔らかく、朗々と吹くと、

これほど、優しい音がする、ということです。


同じく金管でトランペットです。ガボール・ボルドツキ(Gabor Boldoczki)という、ハンガリーのトランペット奏者です。

グローリア~オルガンとトランペットから。


◆ガボール・ボルドツキ(トランペット):カッチーニ アヴェ・マリア


Caccini Ave Maria(Gabor Boldoczk Trumpet)


トランペットは金管セクションで最高音域を担当します。とくにその高音域では、音色が金属的、刺激的になりがちです。

緊張感を持たせないで、柔らかい高音を吹けるか?というのはトランペット奏者共通の課題です。この人は上手いです。


最後は、声楽。以前から何度も何度もご紹介している、日本音楽史上、バスからソプラノまで含めて、最も上手い声楽科だと

私は思っています。ソプラノの森麻季さんのアヴェ・マリアから。


◆森麻季(ソプラノ):カッチーニ アヴェマリア


Caccini Ave Maria (Maki Mori Soprano)



どう聴いても完璧な演奏ですね。これ以上美しい歌い方が人間に可能であろうか?と思います。


沢山並べました。週末です。ごゆっくり、お楽しみください。

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2012.07.10

【音楽】モーツァルト:クラリネット協奏曲。カール・ライスター=群馬交響楽団。

◆最近、余りにもやりきれないもので。

50過ぎたオヤジがカマトト(←意味が分からない人は辞書を引いてください)ぶる訳では

ありませんが、いくら何でも、最近の世の中を見ていると、人間の私欲とか残酷さとか、

身勝手さとか、とにかく、この生きものの余りにも汚い所ばかりを見せつけられて、

ときどき、冗談ではなくて、もじどおり吐き気を催すほどです。

あまりにも毎日、人間の醜さを見ているので、

今日は人間が創り出した、最も美しいものを聴きましょう。

音楽のなかでも、多分ありとあらゆる音楽、古今東西、人類史上、

本当の「天才」を挙げるとしたら、この人しかいないでしょう。

モーツァルトです。


映画「アマデウス」は、モーツァルトをライバル視していたサリエリが

晩年、過去を回想する、という設定ですが、あの映画の中で、サリエリが

モーツァルトが席を外した隙に、モーツァルトの作品(楽譜)を次々と読み

あまりの才能に愕然とするシーンがあります。


それから、何十年も経っているのに、サリエリは

あれは、奴(モーツァルト)が創ったのではない。奴の身体を使い、神が創り給うたのだ!

と、まだモーツァルトの才能に嫉妬していましたが、誠に同感で、普段信仰心も無ければ無神論の私としては

まるっきり矛盾するのですが、モーツァルトの音楽ばかりは、人間が書いたものというよりも、

それを超越する高みに存在する「何か」を想定したくなります。

要するに、人間が創り出したあらゆるものの中で、モーツァルトの音楽ほど

美しいものは、他に無いのではないかと思います。


◆モーツァルト:クラリネット協奏曲。カール・ライスター。豊田耕児指揮、群馬交響楽団。

今までに何度も書いたので、簡単にすませますが、まず引用元は、

モーツァルト:クラリネット協奏曲: カールライスター, 豊田耕児, 群馬交響楽団, ウィーン弦楽四重奏団です。

作曲家の故・柴田南雄氏が、カール・ライスター(元・ベルリン・フィル首席クラリネット)が上手いのは

当たり前として、伴奏の群馬交響楽団について、

これは、驚いた。音だけを聴いて、日本のオーケストラだと分かる人がいるだろうか?

と、大絶賛したので、余計に評判になりました。

豊田耕児さんという方は、ベルリン交響楽団のコンマスを長い間務めた方ですが、

群響に乞われて、音楽監督に就任して、猛烈に特訓したのです。


知ったかぶりは、ここまでにします。


モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622 第一楽章


Clarinet Concerto in A major, K. 622 I. Allegro



第二楽章は特に「天上の調べ」とはこのために存在する形容ではないか、と思うほどです。


モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622 第二楽章


Clarinet Concerto in A major, K. 622 II. Adagio



モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622 第三楽章


Clarinet Concerto in A major, K. 622 IIII. Rondo: Allegro



モーツァルトは「クラリネット協奏曲」を書いたときには、自分の余命が長くない事を悟っていました。

先日なくなり、9日に「お別れの会」が行われた、音楽評論家の吉田秀和氏は、
この曲では、この音楽の天才が、音楽と人生に別れを告げているのが、聞かれる。

と書きました。歴史を知って後からそう思って聴くから、ではなくて、あれぐらいの「音楽を聴く才能」のある人には

本当にそれが聞こえたのであろうと思います。


私が中学二年の時に、叔母(父の妹)が僅か48歳で他界しました。

葬儀では、故人の希望により、この「クラリネット協奏曲」のレコードが流れました。

当時、私は音楽の歴史とかモーツァルトの生涯、また吉田秀和氏のことを知らなかったので、

ちょっと聴くと「明るい」この音楽を葬儀で流して欲しいと言い遺した叔母の意図がわかりませんでしたが、

ずっと後に、吉田秀和氏の文章を読んで、ようやく意味が分かりました。

明るいけれども、悲しく美しい、西洋音楽2,000年の歴史における、最高傑作の一つだとおもいます。

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