カテゴリー「企業」の記事

2015.11.13

日本で初めての生体肝移植から、今日で26年です。私が書くのは、13回目です。

◆毎年、同じことを書き写していますが、忘れてはいけない事だと思います。


1989(平成元)年の今日、日本で初めて、生体部分肝移植手術が行われました。

今では、脳死肝移植が行われても、さほどの大ニュースとして扱われなくなり、

勿論、脳死したドナーの方はお気の毒なのですが、むしろ移植は「普通の事」になりました。

しかし、それは、比較的最近のことです。

日本では長い間、臓器移植は「タブ-」でした。その禁を破ったのが、

当時の島根医科大学(現在の島根大学医学部)第二外科、当時助教授だった、

永末直文先生です。永末先生が映画「孤高のメス」の当麻医師のモデルです。

今、日本で臓器提供意思表示欄が、運転免許証や健康保険証にまで、

(臓器を提供するかしないかは勿論任意ですが)印刷されるようになりました。

全て、永末先生の職を賭しての「決断」のお陰です。


◆そもそもの始まり。

移植手術の患者は、生後間もない杉本裕弥ちゃんでした。生後1ヶ月検診で黄疸がある、と言われました。

山口県玖珂郡和木町、岩国市のすぐ北、広島との県境で開業していた木村直躬医師に、

裕弥ちゃんのおばあさんが、そのことを告げました。1988(昭和63)年12月のことです。

木村先生はエコー(超音波)で、ただちに、杉本裕弥ちゃんが、先天性胆道閉鎖症という病気である、と診断しました。

先天性胆道閉鎖症とは、生まれつき胆汁が流れ出る道がふさがっていて、胆汁が肝臓へ流れていかないので、

黄疸が段々強くなり、しまいには、肝硬変で死に至る病です。


◆杉本裕弥ちゃんは、移植以前に、胆道閉鎖症の専門家による手術をうけましたが、上手く行きませんでした。

この世に生を受けて間もない赤ん坊が、

可哀想なことに、何度も手術を受ける運命にあったのです。

木村先生の紹介で、地元山口県の国立岩國病院の小児外科により、胆管を何とか開く手術が行われました。

1度では上手く行かず、2度目の手術も失敗でした。

岩國病院の担当医から、木村先生(最初に裕弥ちゃんを診察した開業医の先生)の元に、手紙が来て、

「この子の予後はホープレス(望みがない)」とのことでした。残酷な宣告です。

それでも、裕弥ちゃんの家族は諦めませんでした。

木村先生に、何とか手段は無いか、と聞きました。先生は肝移植以外に道はない。といいました。

日本では、移植手術はタブーとされていました。

1968年札幌医大で行われた日本初の心臓移植手術の失敗が、その背景にありますが、その説明は省きます。

日本木村先生はオーストラリアの病院に問い合わせましたが、オーストラリアの病院は

「生体肝移植は難しくて無理だ。」という、つれない返事をよこしてきました。

しかし、木村先生も諦めませんでした。


◆木村先生は、「移植手術を頼むなら、島根医大の永末先生しかない」と考えました。

木村先生の頭に浮かんだのは、九州大学医学部の後輩で、広島赤十字病院で同僚だった永末直文医師でした。

木村先生は内科、永末先生は外科ですが、肝臓を専門とすることで共通していました。

木村先生がエコーで肝臓ガンを診断し、永末先生が切除可能な肝ガンの手術を6年間で200例も手がけていました。

木村先生は「生体肝移植を頼むなら、(島根医大に移った)永末君しかいない」と思いました。

永末先生は、最初あまり乗り気ではなく、オーストラリアの病院で手術を受けることを進めました。

これは、前述の通り当時の日本の医学界で「移植」という言葉はタブーだったのです。

このタブーを破った医師は、医師生命を絶たれる危険がありました。ですから、最初に永末先生が積極的ではなかったことも、

無理からぬことだったと言って良いでしょう。

ところが、木村先生は諦めませんでした。講演のため、広島に来た永末先生に会い、

とにかく裕弥ちゃんの診察だけでもしてくれ、と、頼みました。永末先生は引き受けました。

永末医師が初めて診る裕弥ちゃんは、黄疸が強く出ていて、溜まった腹水でおなかがパンパンに膨れて、静脈が浮き出ていました。

既に食道静脈瘤が出来ている可能性があり、これでは、いつ吐血してもおかしくない。

吐血しなくてもあと1ヶ月ほどの命、と永末先生は思いました。まだ、生後一年経っていない赤ん坊が肝硬変です。残酷な現実でした。

裕弥ちゃんの体力が移植手術に耐えられるか、五分五分だと考えました。


◆永末先生は裕弥ちゃんの家族にありのままを話しました。

永末医師は家族に客観的事実を説明しました。それは、


  • 正確なことは精密検査をしないと分からないが、移植手術は出来そうなこと。

  • 但し、島根医大の永末医師のグループでは生体肝移植の経験がないので、上手くいくかどうか保証できないこと。

  • 手術まで持ち込めても、裕弥ちゃんの全身状態があまりにも悪いので、手術に持ちこたえられずに亡くなる可能性も高いこと、


という内容でした。決して楽観出来る話ではありません。しかし、家族は必死でした。

永末医師は特に裕弥ちゃんの祖父政雄さんの言葉を強く覚えています。
このまま裕弥を死なせたら悔いが残ります。明弘(引用者注:裕弥ちゃんの父)の命に別状がないのなら、結果は問いません。是非手術をして下さい。

そして、政雄さんは、裕弥ちゃんの両親に言いました。
「明弘、寿美子さん。お前たちが両親なんだから、お前たちからはっきりお願いしなさい」

15秒ほどの沈黙の後、それまで寡黙だった明弘さん(裕弥ちゃんの父)が永末医師を正面から見つめ、言いました。
「お願いします」

その言葉に永末先生の気持ちが動きました。

「この人達は裕弥ちゃんを助けようと必死になっている。移植手術未経験だというのに、頼むという。

ここで失敗を恐れて背を向けたら、医師として最も大事なものを失ってしまう」と思ったのです。


◆永末先生は、島根医大第二外科全員に「この手術を断るぐらいなら、明日から肝移植の研究など止めてしまおう」と言いました。

永末先生の気持ちは固まりました。

当時永末先生は助教授でしたから、第二外科の部長中村教授の了解も取り付けました。

自分の研究室に戻った永末先生は、肝臓グループの医師たちに、裕弥ちゃんの生体肝移植を引き受けることにした、と言いました。

医師達は全員無言になりました。

「日本で初めての生体肝移植」であることに加え、裕弥ちゃんの症状が悪すぎる、と専門医たちは誰もが思ったのです。

スタッフが躊躇っているのを見て、永末先生は、言いました。

「我々は『肝移植』を標榜している。

赤ちゃんは死にかけている。家族は結果は問わないからやってくれという。責任は全て私が取る。

目の前の赤ちゃんを救えないような研究なら意味は無い。もしこの移植を拒むなら、明日から移植の研究など止めてしまおう。」

第二外科の河野講師(当時)はこの言葉を聞いて、身体が震えたといいます。皆同じ心境だったことでしょう。


◆中村教授は「永末君、君は全てを失うかも知れない、本当にそれでいいのか?」と心配しました。

手術を行うことが決まってから、永末先生は、中村教授の部屋で何度も話し合いました。

中村先生は、心配していました。

「永末君。僕はもう13年もここの教授をしていて思い残すことはない。福岡へ帰れば済む。

しかし、君はこの手術で全てを失うかも知れない。僕はそれがいちばん心配だ。本当に君はそうなってもかまわないのか」

その都度、永末先生は答えました。
「先生。大丈夫です。誰かがやらなければならないことを、私たちがやるだけです。これで弾劾されたら、福岡へ帰って開業します」

この言葉は、決断―生体肝移植の軌跡という本(是非、読んでいただきたい)で永末先生自身が書いている言葉です。

しかし、本当はもっと悲痛な覚悟でした。

後年、NHKの「プロジェクトX」に出たとき、永末先生は、医師を辞めることさえ覚悟していた、と話しました。

「私は英語が得意なので、学習塾の英語の先生をすれば、食べていけると思ったのです」

淡々と語る永末先生を見て、私は心の底から、永末先生を尊敬しました。

これほど立派な医師を見たことがありません。

裕弥ちゃんの移植手術そのものは成功しましたが、その後、ありとあらゆる合併症が起きました。

そして、手術から285日後、1990(平成2)年8月24日、午前2時32分、亡くなりました。1歳9ヶ月の生涯でした。

家族は、手術とその後の肝臓チームのすさまじい努力、裕弥ちゃんを救おうとする苦労を目の当たりにしていたので、

チーム全員に丁重にお礼をいいました。後年、裕弥ちゃんの弟が生まれました。

母親の寿美子さんは、永末直文医師の「直」と裕弥ちゃんの「弥」をとり、「直弥」と名付けました。

島根医大第二外科が初めての生体肝移植をしたのを見届けるように、その後、京大、信州大が、数多くの生体肝移植を成功させました。

それはそれで、良いことです。

しかし、何と云っても、「最初にやる」ことを決断する勇気と覚悟は、2番目以降とは比べものになりません。

島根医大第二外科の英断と死にものぐるいの努力がなければ、こうした道は今も開けていなかったでしょう。

島根医大は、今は島根大学医学部になってしまいましたが、それはこの歴史的事実の価値に比べればどうでも良い。

永末先生とそのチームの偉業は、日本の医療の歴史に永遠に刻まれるでしょう。

永末先生が中心となり、当時の移植チームのメンバーが、思いを綴った本、決断―生体肝移植の軌跡を是非、読んで下さい。


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2012.04.24

「資金難の交響楽団に2億円支援=大阪の信組」←良い行為は称讃されるべきだ。

◆記事:資金難の交響楽団に2億円支援=大阪の信組(時事通信 4月23日(月)17時0分配信)

近畿産業信用組合(大阪市)の青木定雄会長は23日記者会見し、

存続の危機にひんしている日本センチュリー交響楽団に対して「今年度から2億円程度の支援を行いたい」と述べた。

今後、楽団と具体的な支援内容について協議に入る。同楽団は、橋下徹大阪市長が府知事時代に補助金を打ち切られ、

昨年4月以降、スポンサー探しを進めていた。同信組は組合員から賛助金を募ることなどを検討。

青木会長は会見で「利益の一定割合を支援に回すことも考えたい」とも語った。


◆コメント:褒めるのが下手な日本人。

と、イヤミなコメント・タイトルにしてしまったが、まず強調すべきは、

近畿産業信用組合の青木会長、偉い!

ということである。

失礼な表現になるが、信用組合は金融機関としては、相対的に小規模な企業である。

それでも、日本センチュリー交響楽団に、年間2億円程度の支援をする、という。


一体メガバンクや、日本有数の大企業、もっと拡げれば一部上場企業の経営者は

何をかんがえているのであろう。


それぞれが、経常利益の0.1%ずつでも拠出したら、日本中のオーケストラや大阪市音楽団を

余裕で救えるだろうに。

(公平を期するために書くが、既に多くの大企業は既存のオーケストラに幾ばくかの援助をしている。

N響のコンサートに行くとプログラムの最後に「賛助会員」として多くの企業名が載っている。

あれは、スポンサーであることを意味しているが、潰れそうなオーケストラを救おうと申し出る企業は、ない)。

日本語で書かれているブログは、星の数ほどあろうが、今日最も取り上げられやすいのは、

京都で18歳の無免許の少年が3人の人(7歳の女の子、26歳の女性、そのお腹にいた子)を殺した

という話であろう。

それに関して私とて、勿論百万語が煮えくりかえっているが敢えて止める。

他に書く人がいくらでもいるだろうから。


私はこのブログで以前から何度も書いているが日本人は悪い事(人)を叩くのは得意だが

(日本人に限らないかも知れないけれど)、

良いこと、善いこと、めでたいことを祝ったり、誉め称えるのが実に下手クソである。

殆ど、人の褒め方をしらないのではないか?というぐらいである。


それは、マスコミの報道姿勢が大きく影響している。

どのメディアも、人の失敗や悪事や不幸を大きく取り上げるのは得意だが、

「いい話」を大きく取り上げない。現実の世の中では、良いこと、めでたいことも起きている筈だが、

暗い事ばかりを強調すると、大衆は世の中で悪い事「ばかり」が起きているような錯覚に陥る。


最初に、この件に触れたのは、
2007.02.06「バレエ:ローザンヌ国際コンクール 若手の登竜門、河野舞衣さん2位」←こういう事を大きく報じないから世の中暗くなる。

だった。その他、何度も、日本人の「褒め下手」について書いた。

チャイコフスキーコンクール演奏部門でヴァイオリンの神尾さんが優勝したとき、

チャイコフスキーコンクールには 演奏部門の他に、楽器製作部門があり、ヴァイオリン製作部門の1位と2位を

クレモナに工房を持つ、日本人の菊田さんと高橋さんが獲ったときにも書いた。
2007.06.16「チャイコフスキー国際コン:弦楽器製作で日本人が1、2位」←「良いこと」は大ニュースにならないのかい?

2007.06.21 チャイコフスキーコンクール・楽器製作部門優勝の菊田さんからもコメントを頂きました

また、毎年、日本の高校生が国際数学、物理学、生物学、化学など、「勉強のオリンピック」で金メダルを獲得している。

大新聞は、社説か何かで「若者の学力低下を憂える」ようなことを書いているくせに、彼らが毎年、勉強の五輪で金メダルを獲っているのに、

絶対に社会面のベタ記事(片隅の一番小さい活字の記事)でしか取り上げない。


だから、私は、毎年必ず書いている。
2007.07.23 「<国際物理五輪>灘高の2人が日本初の金メダル」←毎度、同じ事を書くが、何故「良い事」を大きく報じないのか?

2009.07.25 「国際数学五輪、日本2位=過去最高、副島さん総合トップ-物理も全員メダル」←どうして「良い話」を「小さく」取りあげるのか

2010.07.18 「過去最高に並ぶ金1、銀3=日本代表の高校生―国際生物学五輪」←偉い。

2010.09.29 「金1、銀3で日本3位=国際地学五輪」←何度も書くが、何故「良いこと」を「小さく」報じるのか。

2011.07.18 「物理五輪、日本の高校生3人が金 銀も2人」「生物学五輪、日本の高校生3人が金メダル」←女子サッカーもいいけどさ。

2011.09.20「<地学五輪>日本代表の高校生4人全員メダル 渡辺さんは金」←毎年書くが何故「勉強五輪」金メダルはベタ記事なのか。

これだけ、日本人が「金メダルを毎年」獲得していることを知っていた人の方が少ないであろう。

メディアが悪いのである。


◆今日の結論:1.大企業はオーケストラを助けろ。2.日本人は「褒める」ことを覚えろ。

最初の日本センチュリー交響楽団支援の話から、話題が逸れたが、言いたいことは要するにその2つだ。

橋下市長は大阪市音楽団を潰そうとしているし、大阪フィルが潰れても構わないと思っている。

大阪府民に呼びかけても反応がない。素人吹奏楽の連中も(何たる恩知らずかとおもうが)、

Twitterなど見ていると、自分の楽器の練習の事ばかり書いている。プロが路頭に迷っても知ったことでは無いらしい。

こうなったら、クラシック好きの大企業経営者を見つけた方が早い。

大企業の社会的貢献ということが今、しきりに言われている。企業が自社のイメージを気にする世の中なのだ。その意味ではチャンスなのだ。

一億円だろうが四億円だろうが、世界に冠たる日本を代表するメーカーや、メガバンクにとっては、

それぐらい痛くも痒くもない。これに株主代表訴訟を起こすバカもいないだろう。

東証一部上場企業とは日本の頂点にある企業群のはずだ。オーケストラぐらい、助けろ。


メガバンクが経常利益数千億のくせに何にもしないのに、

日本センチュリー交響楽団支援を決めた、地域金融機関たる、近畿産業信用組合は立派である。

それがひとつ。


もうひとつの結論。

一般論として、世の中が暗く見えるのは、311の後は実際に深刻なのだが、

本当に深刻なことの訴え方は不十分で、殺人事件などばかり取り上げるメディアにも原因がある。


今の日本は確かに崖っぷちだが、悪い事「だけ」が起きているのではない。

良い事、善い行い。優れた人物、業績、功績を「大きく」取り上げるべきだ。

以上。

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2012.03.19

「ユニクロ最大店舗、銀座にオープン=6カ国語対応、サービス強化」←ユニクロの本質は「接客業の鑑(かがみ)」ということですよ。

◆記事:ユニクロ「銀座店」がオープン=面積最大、イメージ向上狙う(時事通信 3月16日(金)20時0分配信)

カジュアル衣料の「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング<9983>が、

売り場面積で同社世界最大となる「銀座店」(東京都中央区)を16日、オープンした。

老舗百貨店などが立ち並ぶ銀座中央通りに面した12階建てビルの全てがユニクロの売り場で、

総面積は約4950平方メートル。最新の商品を取りそろえるだけでなく、

接客サービスにも注力し、世界展開するユニクロのブランドイメージ向上につなげたい考えだ。


◆コメント:色々、「企業研究」の題材にされてますけどね。

急激に成長した企業でも人間でも、とにかくそれまで誰もやらなかったことを始め、

成功すると、これはもう100%の確立で良いことも悪いことも言われたり書かれたりします。

ウィキペディアの説明を読みました。



アパレル産業としてのポリシーというか、あの商品群の評価というのは正直に書くと

私は、分かりませんが、あの会社で一番すごいのは、「従業員に対する接客教育の徹底ぶり」だと思います。

私は、着るものに殆ど関心がありませんで、今まで凡そ「服」を買いに行くのは、

仕事に必要なスーツとかワイシャツとかですね。そういうのが殆どでしたが、

数年前にユニクロのある店にはいり、びっくりしましたね。、

ただの一人も感じが悪い店員がいない。


これは自分もかつて、店頭でお客さんの相手をする仕事をし、

また、現場の責任者を少しですけど、任された時期があるので、

如何に大変な偉業か、よく分かります。

あれだけの店舗数がありながら、どこの店にいつ入っても、どんなに忙しくても、

どんなに客が、イライラするような客でも、店員は「絶対に」嫌な顔をしない。

アルバイトの一人一人にまで、これでもか、これでもか、と徹底しているでしょ?

そして、よく観察すると、変な接客をしていないか監視している人がいるでしょ?


学者先生は経営方針に付いて散歩両論だそうです。

ウィキペディア、ユニクロへの批判

ビジネスモデルとしてのユニクロの低価格・大量販売戦略については賛否両論がある。

エコノミストの浜矩子は、「文藝春秋」 2009年10月号に「ユニクロ栄えて国滅ぶ」という論文を発表、

ユニクロのように企業が低価格で商品を販売することが企業の利益を縮小させ、

ひいては人件費の切り下げにつながっているとしてユニクロのような経営を

「自分さえ良ければ病」であると批判、

「せめて安いモノを買うことが自分と他人の値打ちを互いに下げていることに思い至ってほしい」と主張している。

これに対し、経済学者の池田信夫は自身のブログ上で、ユニクロの低価格モデルが相対価格の変化であり、

「ユニクロは日本を滅ぼすどころか、日本企業がグローバル化するロールモデル」と浜の意見に反論している。

浜エコノミストは、頭はいいのでしょうが、やっぱり他人に頭を下げなければならない「商売」ってのを

やったことが無い人の言葉ですな。

そういうことは本質ではない。

ユニクロのあの徹底した全社員への接客態度教育は、

アパレルに限らず、また、流通業に限らず、凡そ「お客さんと接する商売」が

手本とするべきです。繰り返しますが、これだけ店舗数が増え、海外にも銀座にも店を出し、

どこの店舗でも同じように
全ての従業員が、いつでも、どのような客にも、絶対に気持良く相対する

企業を創ることは、可能なのだ、と実際に実現して証明したこと。

これこそユニクロの偉大さです。

私は、例えば仕事で嫌なことがあったり、人間という生きものの醜さにうんざりしたときには、

どこでも良いからユニクロへ行くことにしています。見て回るだけじゃ悪いから、

まあ、シルキードライやら、ヒートテックのTシャツぐらい買います。せいぜい1,500円とか2,000円でしょ?

土日が安いことは知っていますが、安くTシャツを買うのが目的じゃ無いです。

普通、中年のオッサンはこういう時には、しばしば綺麗なオネエチャンのいるキャバクラに行ったりしますが、

まあ、それはそれで自由ですが、私はそこまで、今は必要がない。ユニクロで働く若者たちの活気と

笑顔と綺麗な言葉遣いで、十分に癒やされる。

大袈裟な言い方をすると「人間ってそれほど捨てた物では無い」と思えるようになる。

柳井さんは、それを商売の目的と考えてはいないでしょうね。あくまでも商品を売るためのサービスの一要素。

しかし、結果的に、現実に、ユニクロは私には、慰められる場所になっている。これは偉大です。

ユニクロの企業としての本質はここにある、とすら思うのです。

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