カテゴリー「構造改革」の記事

2011.11.10

「首相『公的保険制度守る』TPP交渉巡り」←守れないでしょ?TPP絶対ダメ(その3)。

◆記事:首相「公的保険制度守る」TPP交渉巡り(日本経済新聞 2011/11/9 22:56)

野田佳彦首相は9日の衆院予算委員会でTPPについて「議論が熟した段階で一定の結論を出す必要がある」と強調。

TPP参加で、保険診療と自由診療を併用する混合診療の全面解禁が求められ、

公的医療保険制度に影響が出るとの懸念に関しては

「公的保険制度を壊してまで進めようという気はまったくない。

国益を踏まえて交渉するのが日本の立場だ」と語った。


◆コメント:公的保険制度を壊す気がないと日本が言っても意味がない。

先日から何度も書いている透り、TPPは農業だけではなく、金融や保険その他諸々の分野で

関税や非関税障壁を撤廃して「自由貿易」を可能にするものだ、

とアメリカや、その走狗と化した日本政府、大手メディアは、

国民に都合の悪いことは、説明しない。

いくら野田総理が、

公的保険制度を壊してまで進めようという気はまったくない

と言っても、一旦TPPに参加したら、法律や制度すら、

アメリカに「非関税障壁だ」といわれたら、廃止せざるを得ないのだ。

健康保険の分野にもTPPが適用されたらどうなるか。


アメリカは先進国で唯一公的年金制度を持たない国である。

しかし、医療費そのものは非常に高い。

だから、米国民は民間の保険会社の保険に加入して、

何かあったときには、それを用いるが民間保険は商売だ。

常日頃から高い保険料を納めている人間は、高額医療費も

保険で賄えるが、今のように極端に景気がわるくなって、

失業したり、働いても、所得が少なければ、

保険料の安い保険にしか加入できない。

大病をしても、カネが払え無いから医療を受けられず

我慢するしかなく、そのまま死んでしまう人が珍しく無いのだ。

要するに、TPPが保険の分野にも適用されたら、

アメリカの保険会社を儲けさせるために、アメリカ政府は

日本政府に対して、公的保険制度そのものを「非関税障壁」だから

廃止せよと迫るであろう。


我々は健康保険証を取りあげられ、日本に乗り込むアメリカの

生命保険会社と契約を結ぶように仕向けられるであろう。

金持ちは高い保険料を払い、実質的には、現在と同程度の医療を

受けられるが、一般庶民は、保険料が安い=支払われる保険金額が少ない

保険に入ることしかできず、そんなものでは、ガンになっても、

心臓が変調を来しても、脳溢血になっても病院に行って、

治療費を支払えないと分かったら、追い返されるだろう。

更に民間の保険屋だから、一度保険を利用したら、翌月から

保険料が高くなるし、或いは、ある保険が気に入らなくて、

他の生保に切り替えたくても、一旦病気で入院したことがあると

新しい病院は見つからず、新しい保険契約を結ぶことが難しくなる。

極端な「格差」が生じ兼ねない。


TPPにより、日本がアメリカと同じ医療制度に無理矢理変えられてしまう。

内閣総理大臣がいくら「公的年金を守る」と言っても

アメリカが承知しない。出来る訳がないことを首相は約束している

ことになる。TPPは絶対に、交渉に参加することから禁じるべきだ。

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2010.09.13

<振興銀破綻>債務超過1804億円 提携交渉望み絶たれ←債務超過の銀行は潰すべきだと小泉に進言していた木村剛。

◆記事:<振興銀破綻>債務超過1804億円 提携交渉望み絶たれ(毎日新聞 9月10日(金)22時12分配信)

経営再建中の日本振興銀行(東京都千代田区)は10日、経営破綻(はたん)し、東京地裁に民事再生法適用を申請した。

8月末時点での債務超過額は1804億円。民間調査会社の帝国データバンクによると、3月末の負債総額は6194億円。

江上剛(本名・小畠晴喜)社長ら取締役5人は退任を申し合わせた。

元金融庁顧問の木村剛被告=今年8月に銀行法違反(検査忌避)の罪で起訴=らが中小企業融資に特化して設立した銀行は、

6年半で行き詰まり、預金の元本1000万円とその利息までしか保護しないペイオフが初めて発動された。


◆コメント:小泉政権時代、竹中金融相のブレーンで、不良債権を抱えた銀行はどんどん潰すべきだと主張していたのが、木村剛

2001年、小泉政権が発足し、小泉が所信表明演説を行った、2001年5月7日、

日経平均株価は14,529円だった。

小泉首相の経済政策は明確に二つの項目が示されていた。それは、

国債は絶対に30兆円以上発行しない。(緊縮財政)。

企業の破綻処理を薦める(不良債権処理)

だった。2番目の政策は、つぶれそうな企業は、潰す。という意味であり、エコノミストの中には猛反対する声もあったが、

反対されると実行してしまう小泉首相は、現実に破綻処理を薦めた。

その結果、所信表明演説から約2年後、2003年4月28日、日経平均株価は、7,607円と約半分。

金融恐慌ギリギリのところであった。


◆そうなった原因は竹中金融相と、政策を進言した、ブレーンの木村である。

2002年8月竹中平蔵が金融担当大臣になった直後、ニューヨークタイムズのインタビューに答えて、

「銀行の破綻もありうる」と発言したため、日本の金融市場では金融恐慌の可能性が現実味を帯び、

それが、株価の下落を引き起こし、2003年4月の7000円台という目も当てられない状況を呼び込んだのである。


◆小泉政権が経済政策の完遂に失敗したおかげで、その後景気は回復したのだ。

竹中は、木村剛の意見を取り入れ、アメリカ風に「金融機関に自己責任を負わせる」方針を名言した。


2003年3月決算において、りそな銀行は国内営業を行うため、最低必要とされる自己資本比率4%を割り込み、本来破綻するところだった。

そうなったら、世界の金融システムは一つの巨大なネットワークになっているから、りそなが潰れたら金融恐慌が起きるところだった。

小泉政権が当初の公約通り、「破綻処理をすすめ」ていたら確実にそうなるところだった。


しかし、現実には、小泉政権は、公約を破棄し、りそなに公的資金を注入して救済した。

小泉政権が公約を破棄し、「潰れそうな銀行も潰さなかった」が為に、その後の景気回復が

始まったのである。


◆銀行の自己資本に組み込む、「繰り延べ税金資産」の問題。

この時問題となったのが、銀行の自己資本に繰り入れる繰り延べ税金資産

(先に払った税金が、不良債権の処理状況によっては、還付される)であった。

竹中金融相のブレインの一人であった木村剛は、

自己資本に計上する繰り延べ税金資産は最大1年分だといっていたが、

りそなは3年分の繰り延べ税金資産を自己資本に組み込むことにより破綻を免れたのである。

1年分しか繰り延べ税金資産を計上しなかったら、確実にりそな銀行は潰れていたのである。


◆結論:小泉経済改革が破綻したから、景気が回復したのである。

2003年4月の7千円台から次第に株価は値を戻し、8月18日に1万円台を回復した。

この頃、世間は「小泉改革路線の成果だ」ともてはやしたが、そうではない。


小泉経済改革が破綻したから、金融危機を免れたのである。

木村剛、竹中平蔵の当初の路線を継続していたら、金融恐慌だったのである。

木村が、小泉政権の金融行政ブレーンを辞めて、銀行を作りたい、といったら、

担当大臣の竹中はあっさり認可した。木村は元日銀マンで秀才で通っていたらしいが、

中央銀行でいくら優秀であっても、民間銀行を経営するセンスは、全く違う種類のものだ。

とうとう日本振興銀行は破綻した。

ペイオフの発動により、預金全額が戻らない預金者が3,423人もいる。

自見金融担当相がいうとおり、当時、安易に銀行免許を与えた竹中の責任は、確かに存在する。

竹中はマスコミの取材に対して、知らぬ、存ぜぬを繰り返しているらしいが、このままで済ませていいのか。

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2009.10.21

「日本郵政・西川社長が辞任表明」←民間企業の社長を国家権力を以て無理矢理辞任させるのですか?

◆記事1:日本郵政・西川社長が辞任表明(10月20日18時36分配信 読売新聞)

日本郵政の西川善文社長は20日、亀井郵政改革相、原口総務相と相次いで会談し、辞任する意向を正式に伝えた。

辞任の理由については、記者会見で「(鳩山内閣の)基本方針と私のやろうとすることに大きな隔たりがある」と述べた。

辞意表明を受け、政府は後任社長を含めた新体制を月内に発足させたい考えだ。政府は同日、グループ株式の売却を凍結し、

銀行、保険の金融2社にもユニバーサルサービスを義務づけるなどの方針を決定しており、小泉政権以降の郵政民営化の路線が大きく転換する。


◆記事2:西川社長に辞任、重ねて促す=「思いに変わりない」-首相(10月19日19時4分配信 時事通信)

鳩山由紀夫首相は19日夕、日本郵政の西川善文社長の進退に関し

「首相になる前に『社長を辞めるべきだ』と言ってきたが、その思いは変わっていない」と述べ、

改めて辞任を促した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

その上で、首相は「どのようなことになるかは、亀井静香郵政担当相がいろいろ腐心している」と述べ、

亀井担当相の対応を見守る考えを示した。首相と同様に自発的に辞任を求めている亀井担当相は19日の記者会見で、

西川氏と13日に会い、郵政民営化見直しの基本方針などを伝えたことを明らかにしている。

首相としてはこの機会に、鳩山政権として辞任を求める立場を改めて明確にし、西川氏に決断を迫る必要があると判断したとみられる。


◆コメント:職務に忠実に務めてきた、民間企業の社長に、首相や閣僚が「辞めるべきだ」ということが許されるだろうか。

最初に私の立場を明らかにしておく。

私は2005年9月11日に行われた、所謂「郵政民営化選挙」よりも前から民営化には反対だった。

エンピツの読者の方には恐縮だが、ブログでは、私は「郵政民営化」というカテゴリーを設けている。

JIROの独断的日記ココログ版: 郵政民営化の記事を最初から読んで頂くと分かる。

僭越な物言いになるが、市井の一般人であり、郵便制度や、経済・財政の専門家でもない人間で、

これほど、しつこく郵政民営化反対の理由を詳細に書いている人は、さほど多くない、と思う。


短絡的な人は、「それでは、何故、西川辞任を批判するのか」というかもしれないが、

郵政民営化に反対することと、国家権力の濫用に反対することは別だ。今日は後者である。

もっと分かり易い表現をするならば、これほど郵政民営化に反対していた人間ですら呆れるほど、

今日の西川社長辞任に至る、政治的圧力は不当なのである。


◆経緯を顧みれば、分かる。

郵政民営化の経緯を見れば、当然私と同じ意見の方がいる筈だ。

2005年9月11日の郵政民営化選挙で、有権者は自民党を圧勝させた。

小選挙区制では死票が増えるがとにかく、我が国は代議制民主主義国なのだ。

選挙結果は国民は郵政民営化に賛成したことを意味するのだ。

その「民意」どおり、選挙からわずか1ヶ月後、2005年10月14日、郵政民営化関連法が成立した。

法案が成立を受けて民営化の準備の為に、日本郵政株式会社が2006年1月23日に設立された。

準備から民営化までの総指揮を任せる人物として、当時の小泉政権は三井住友銀行特別顧問だった

西川善文氏に、日本郵政社長となってもらうべく打診し、西川氏はこれを受けた。

西川氏はこの難事業の総責任者となってくれた人物として、日本政府から三顧の礼をもって迎えられ、

日本郵政株式会社成立と同時に社長に就任したのである。


◆民営化実行

約2年の準備作業を経て、2007年10月1日、郵政事業の民営化が現実に始まった。

西川氏が社長を務める日本郵政株式会社は、持ち株会社となり、日本郵政公社は解散。

郵政事業は、日本郵政株式会社とその傘下の4つの事業会社、すなわち、

郵便局株式会社

郵便事業株式会社

株式会社ゆうちょ銀行

株式会社かんぽ生命保険

に、分割・移管された。持ち株会社日本郵政株式会社社長、西川氏はその全ての経営に責任があり、

これらの会社が円滑に運営されるべく、指揮を執ったのである。

後から次々と旧・郵政公社時代からの構造的汚職などが判明し、

それらを正して、「まともな会社」にするのは、さぞや大変だったに違い無い。


◆小泉・竹中は途中で逃げ出した。

郵政民営化の言い出しっぺである小泉純一郎は、2006年9月、次期首相として安倍晋三が2006年9月20日自民党総裁に

選出され、小泉は首相を退任した。安部は約1年後、健康状態の悪化を理由に内閣総理大臣の職を辞し、

福田康夫が内閣総理大臣となった。福田もまた、約1年で内閣総理大臣を辞め、2008年9月、麻生太郎が内閣総理大臣に

選出されたが、この間、小泉が打ち出した「改革路線」により日本はかつてない「格差社会」「弱者切り捨て社会」となり、

内閣支持率、自民党支持率は下がる一方。次の衆議院選挙で負ける事は明らかとなった。

小泉はそれを見て、次期衆院選には立候補せず、政界引退する意思を表明した。

衆院選で自民が惨敗したら、「改革路線」が敗因であること、それを言いだした自分が槍玉に挙がることが

明らかだったので、さっさと逃げを打ったのである。


小泉と共に改革路線を訴え、郵政民営化の「正当性」を声高に訴えていた、竹中平蔵は2005年9月、第3次小泉内閣で、

総務大臣兼郵政民営化担当大臣に任命されるが、形勢が不利と見て、1年後、2006年9月15日に任期を4年残して、

政界引退を表明し、学者に戻り、郵政民営化の責任から逃げ出した。


このようにして、郵政民営化推進の中心となる政治家がさっさと逃げだし、西川氏だけが後を任された。

小泉がいなくなったとみるや、他の勢力が増長し、鳩山邦夫は、日本郵政が宿泊施設「かんぽの宿」を

オリックスに一括譲渡しようとした問題を「不正義」と批判し、「西川攻撃」をはじめた。

この問題に関しては、「不動産売却等に関する第三者検討委員会」(委員長、川端和治・元日本弁護士連合会副会長)が、

5月29日、報告書を提出した。その内容は、

手続き上の問題はあったが、売却方針自体は経営判断として許容される裁量の範囲内

との結論だった。5月18日、日本郵政株式会社取締役会で続投の方針が支持された。

それでもまだ執拗に西川氏辞任を求めた鳩山総務相は6月12日、麻生当時首相に更迭された。

この時も西川氏の怒りは殆ど頂点に達していた。


◆民主党のマニフェストでは、郵政民営化を抜本的に見直すと書いているが・・・・。

民主党マニフェスト郵政事業・情報通信・放送
を読むと、確かに「郵政事業の抜本的見直し」に言及しているが、それが何故、

西川氏辞任を要求することになるのか、不明である。

鳩山由紀夫代表は、衆院選の前から、「民主党が政権を取ったら、西川氏には辞めて頂く」と

発言していたが、この発言をメディアも国民も問題視しなかったことは、迂闊だった。

郵便事業は確かに公共性が高いから、私も民営化には反対し続けたが、

少なくとも有権者は2005年の選挙では、それを支持し、日本郵政株式会社は民間企業である。

政権を取ったら辞めて頂くと、鳩山現代表は公言し続けていたわけだが、

どうして西川氏と話し合う前から辞めて頂く、といえるのか。

何故、西川氏が社長のままでは民主党の郵政事業の抜本的見直しが不可能、と選挙前から断言できたのか?

民主党政権下では、政府の方針に従わない会社は、国家権力を以て、強制的に経営者を辞任させるつもりか?

と言いたくなる。

鳩山代表の政治思想は「友愛」だったと記憶しているが、

西川社長の辞任を当然だ、と言いきる行為は「友愛」と矛盾しないのだろうか。

私には、これは国家権力の濫用、大袈裟に言えば「ファシズム」に見える。

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2009.05.29

初の党首討論所感。

◆記事:党首討論:詳報(注:冒頭部分のみ)(毎日新聞 2009年5月28日 東京朝刊)

【為参考】

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090528ddm005010074000c.html

(暫くすれば衆議院会議録に掲載される。)

画像・音声を視聴するには、衆議院インターネット審議中継のトップページにカレンダーがあるから、

2009年5月27日を選ぶ。すると、

2009年 5月27日 国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)があるから、そのリンクをクリックする。

初めて見るときには、視聴方法でWindows Media Playerか、Real Playerか。ブロードバンドかナローバンドか選択する。

WMPでブロードバンドを選択し、鳩山由紀夫(民主党・無所属クラブ)をクリックすると再生が始まる。

上手くリンクできるか分からないが、一応。

鳩山由紀夫(民主党・無所属クラブ)



上手く再生出来ない方もおられるだろうから、最初の部分、毎日新聞が文字に起こしているので、少しだけだが転載する。

◆北朝鮮問題(省略)

◆国のあり方

鳩山 時の総理がこの国をどのようにしたいか、ビジョン、理念がまずあり、

それに基づいて具体的な政策を作り上げていくことが極めて大事だ。今までの自民党は、総裁総理になることが目的で、

何をやるかが決まっていない。だから結果として、官僚任せの政治になってしまっているのではないか。

先日の党代表選で申し上げたのは「友愛社会の建設」。この国では社会におけるきずながずたずたに切れている。

人の幸せを自分の幸せと思える世の中にしたいと思っている。

今の日本の政治はまったくそうなっていない。なぜそのようになってしまったか。

麻生 人に対する情愛を掲げられることに異論はない。

ただ問題は、理念、抽象論ではなく、現実問題として我々は100年に1度という経済危機に直面している。

数え上げれば切りがない現実論を抱えており、それへの対応は時の政権に最も重要な案件だ。

私どもは「小さくても温かい政府」を(就任直後の)7カ月ほど前に申し上げた。

ほころんできている福祉面に関し、きちんとやっていかねばならないと申し上げている。

私どもこそきちんとした理念をそれなりに申し上げている。「政権交代」と言うが、政権交代は目的ではない。

我々から見ると民主党は、社会保障問題も、安全保障問題も、極めて不安を抱かざるを得ない。

鳩山 理念的なことは聞かれなかった。残念だ。政権交代は目的ではない。

スタートラインだ。そこから新しい日本が生まれる。

一つ具体例を申しあげたい。それは三鷹第四小学校の例だ。教師のほかに200名のボランティア教師がエントリーされ、

20人のクラスに1人の先生と3、4人のボランティアがつき、子供たちに個人指導して落ちこぼれがなくなっている。

子供も満足し、ボランティアも子供に幸せを与えて幸せを感じている。

みんなが人の幸せを自分の幸せに感じることができる、社会のきずな。これからの日本を築き上げていく原動力だ。

こうした社会を作り上げるには、冷笑するような人たちに去っていただかなくてはならない。

今の麻生政権、自公連立政権は官僚主導の政権だ。私たちは国民、市民、生活者に視点を当てた政権を作りたい。

中央集権的な発想をやめ、地域のことは地域に任せる、地域主権の国づくりに変えていく。

業界中心の縦国家に対し、我々は市民の連帯を大事にする横社会を作り上げていきたい。

新しい政治を作る発想にどうして麻生政権はならないのか。

麻生 例の全体像がよく見えない。それを全国でやる場合に、具体的に政策にしていかないと見えてこない。

「それぞれの居場所」との話も極めて抽象的だ。政策として具体化していくのが最も大切だ。

我々は学者や評論家をしているわけではない。また「官僚目線」というが、公務員が誇りを持って公、

国家のために尽くすようにしてやるのが基本。官僚バッシングだけやってもうまくいかない。

鳩山 極めて上から目線の麻生首相らしい答えだ。政府による解決は、金がかかりすぎ、ある意味での悪平等という弊害に陥る。

市場原理にすべてを委ねると、弱肉強食の世界に入ってしまう。だから今、第3の道を模索しなければならない。

今までボランティアとかNPOなど、政治の光が与えられてこなかった分野に光をあてる。コストもかからない。


◆コメント:全部を聴いていないので、最終的な評価はまだ出来ないが、この部分だけを読むと鳩山は抽象論が多すぎる。

最初に断っておくが、私は現在、支持する政党はない。この討論と、過去の経験を元に所感を書く。


鳩山民主党代表が「国のあり方」で述べたことは、原理的には正しい。

国家の政治の最高責任者は、「日本をどのような国にしたいか」という思想を有するべきである。当然である。

しかし、民主党は「友愛社会の建設」。これがどうにも頂けない。訳の分からない新興宗教じゃないのだから。

間違っていないけど、当たり前すぎる。こういう事ばかり言っているから、ピンと来ない。

そして現実性に乏しい。

人の幸せを自分の幸せと思える世の中にしたいと思っている。

ほぼ断言するが、未来永劫、そんな世の中は出来ない。人の幸せは妬ましく、他人の不幸が蜜の味であるのが、

残念ながら人間の本性である。政治によって、人間の本性を簡単に変化させることは、不可能である。

そもそも、「何が幸福か」は人それぞれ違う。全体に共通する「幸福」を極大化することは極めて困難である。

抽象論でもどうせ、何か云うなら、
不幸な人、気の毒な人が少しでも少なくなる社会

の方が、適切である。即ち、突然の病気、災害、家族の死、犯罪の被害に遭う、など、本人の責任に帰さない原因により、

経済的に困窮し、社会的に弱い立場に置かれる人がいつの時代にも、必ずいる。こういう人々にどのように

政治の光を当てるか、は、政治を担当する者が考えるべき大きな責任である。


◆自民党も何が目標だか分からない。

民主党が「友愛社会」の建設を目標とする一方、自民党のスローガンは「小さくても暖かい政府」だそうだ。

それは、一体何をどうするのか?小泉政権の時代に社会保障、セーフティ・ネットがズタズタに壊された。

医療費の国庫負担を少なくするため、治る見込みの無い末期ガン患者は無理矢理退院させられ、自宅で死んで下さい、

という世の中である。末期ガン患者特有の疼痛が患者を襲っても直ぐに医療従事者が駆けつけられるわけがない。

医師、看護師など医療従事者は、外来と病棟で手一杯。過労死寸前である。その合間に「往診」出来る訳がない。

末期ガン患者は、自宅で長い間激痛に苦しむ。家族は見ているしかない。残酷な世の中にしたのは小泉自民党である。

今更「暖かい政府」は無いだろう。

そう言えば「宙に浮いた年金」5千万件の照合を1年で終わらせると安倍晋三が宣言したのが2年前である。

あれはどうなったのだ?今だに照合出来ていないだろう。全然。

新型インフルが起きて、厚労省は「ラッキー」と思ったかも知れない。

社会保険庁の作業の進展を報告して欲しい。国民から預かった金がどこに言ったか分からない、では許されない。

税金は取り忘れない癖に。


◆どの政党が政権を取ろうが国民に取ってはどうでも良いことなのだ。

党首討論で、鳩山も麻生も政権を取ることが目的ではない、とうそぶいている。

まあいい。どちらの政党も、山積する経済、社会保障、教育、安全保障などについて、何をどうするつもりなのか。

分かり易くはっきり、箇条書きにしてサイトに掲載して下さい。話はそれからだ。

国民としては、景気が持ち直し、社会保障が修復され、教育が少しはマシになり、安心な生活が送れるのならば、

どの政党が政権を取ろうが、誰が内閣総理大臣になろうが、知ったことではないのである。


民主党に肩入れするつもりはないが、鳩山代表を見ていて、2005年9月の郵政民営化選挙の時の経験から全然何も教訓を得ていない、

と思った。あの時、小泉は、

この選挙は、「郵政民営化」の是非だけを問う選挙だ。

とうそぶいていたが、実際には、自民党のサイトには選挙期間中から自民党 政権公約2005 120の約束

が、掲載されていた。この中に、2007年に「税制の抜本的見直し」(といったら増税に決まっている)を行う、と書いてあった。

だから、私は2005年9月の選挙前に、

2005年09月07日(水) 【衆院選】自民党が勝利すると、こういうことが起きる。ココログ) を書いた。

しかし、所詮、市井の一般人がブログで何を書こうが読む人の数は知れている。

あの郵政民営化選挙の際、代表は岡田だったが、私は、「どうして『自民党が勝ったら、こういうことが起こりますよ』と言わないのか」と、

不思議で仕方がなかった。民主党はまだあのとき負けた原因が分かっていないように見える。



鳩山代表は、いきなり「友愛社会の建設」が目標だといい、自民党にもそれに相当するものを示せと言った結果、

「小さくても暖かい政府」が麻生の答えだった。こういう抽象論をいくら言い合っても、学者や評論家じゃないのだから、意味がない。

民主党の意味する「友愛社会」は如何なる政策、法制度の改革を考えているのか。そしてそれは、どのようなメリットをもたらすのか。

自民党の「小さくても暖かい政府」は毎日100人も自殺者が出るほどの末期的不況にこれ以上対処しようがないのか、新たな施策はあるのか。

北朝鮮で首領様が死んで軍がヤケクソになって、核弾頭を搭載したミサイルをぶっぱなしそうになったらどのように対処するのか。

今回は弱毒性だったが、強毒性のH1N5型インフルエンザウイルスによる、本格的なパンデミックが起きたときに備えて、医療体制をどうするのか。

「友愛」や「暖かさ」だけでは、何も分からない。分かるように提示してくれ。

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2009.04.16

「15.4兆円の追加経済対策」に関する一考察。

◆記事:追加経済対策:政府が決定 過去最大規模でGDP2%上げ(毎日新聞 4月11日 0時42分)

 政府・与党は10日、15.4兆円の財政支出を行う過去最大の追加経済対策を決定した。

事業規模の総額は56.8兆円で、09年度の実質国内総生産(GDP)の成長率を2%程度押し上げ、

40万~50万人の雇用創出効果が見込まれる、と説明している。

対策を発表した麻生太郎首相は「国民生活を守り、危機に対処するため断固とした対策を打つ」との決意を述べた。

経済対策は失業者の再就職支援や中小企業の資金繰り支援を大幅に拡大。

環境分野など未来への成長戦略として、電気自動車などの環境対応車や省エネ家電への買い替え促進のほか、

太陽光発電の普及拡大策を盛り込んだ。また、地域交通の活性化や障害者の自立支援などの対策にも取り組む。

◇追加経済対策の主な施策

【自動車・家電】

・環境対応車(エコカー)への買い替え促進に最大25万円(軽自動車は12万5000円)を補助

・省エネ家電を購入すると価格の5~13%相当を「エコポイント」として補助。地デジ対応テレビは最大で3万9000円のポイントに

【住宅】

・住宅購入時に限り、贈与税の非課税枠を500万円拡大して610万円に

【雇用】

・「緊急人材育成・就職支援基金(仮称)」を7000億円で創設。雇用保険の対象とならない人たちを職業訓練、住宅補助などで総合的支援

・派遣労働者保護の強化

【子育て支援】

・就学前3年間の幼児を対象に第1子から1人当たり3万6000円を支給

【企業の資金繰り支援】

・中小企業の資金繰り支援で緊急保証枠を10兆円追加

・日本政策投資銀行などの長期資金貸付枠拡大

【株価対策】

・政府の関係機関が株式を買い取る仕組みを整備。政府保証枠50兆円


◆コメント:あのね。規模が大きいのは仕方ないけど、弱者より強者を優先しているのですよ。そこが気に入らん。

麻生政権にとっては、「空前の規模」15.4兆円の追加経済対策が私の気に入ろうが入るまいが関係ないことは当然ですが、

所見を述べます。

景気を回復させるためには、個人所得が増加しなければ効果が無いのです。

財政支出で国が需要を生み出し、減税で国民所得を増やし、国民の総支出を増やさないと、景気は良くならない。

それから、まず、これだけ不況になっているのだから、経済的弱者を救済するべきなのです。社会保障は小泉・竹中時代に

ぶっ壊されたけれども、それの再構築におカネを使って欲しかったですね。


「エコカーへの買い替え促進」

上述のとおり、「エコカーへの買い替え促進補助」っていったって、給料が減っているんだから。

これは、自民党に献金している自動車会社から頼まれたんでしょうね。

「省エネ家電を購入すると価格の一部補助」も、家電メーカーから頼まれたのでしょうね。

一見、環境に配慮して良いじゃないか、と思わせてますが、殆ど、見え見えです。


「贈与税の非課税枠を500万から610万円に拡大」、というのは、中途半端ですが、ある程度資産のある、

「金持ち」優遇なんですよ。そう言うことよりも、今は住居を失っている人がいるんだから、

その人達の住むところを確保するべきですね。

まず、弱者を先に考慮すべきなのに、金持ち優遇が先に来ているところが良くないです。

金持ちをイジメろって訳じゃないですが、とりあえず困ってないんだから、後でいいんですよ。


次、雇用対策

「緊急人材育成・就職支援基金を創設。雇用保険の対象とならない人たちを職業訓練」って、これは、企業におカネが

渡されるわけです。失業者が大勢いるのだから、雇用保険の対象にならない人を訓練する前に、まず、雇用保険の対象を

拡大すればいいでしょ?失業して、ホントにカネが無くて自殺している人がいるのだから、そういう人におカネが回るように

するべきなんですけど、まず、企業に人材育成基金からおカネを渡してって、育成するまでに餓死しちゃうでしょ?


その次。「子育て支援」

「就学前3年間の幼児を対象に第1子から1人当たり3万6000円を支給」。支給対象を第一子にまで拡大したんですね。

しかし、ここには書いてないけど、これは今年度(平成21年度)1年限りの時限措置なのです。子育て支援としても、

景気対策として、何らかの効果があるとは思えません。


「企業の資金繰り支援」

「中小企業の資金繰り支援で緊急保証枠を10兆円追加」、だそうですが、コメントのはじめに書いたとおり、

企業の生産が増える見込みがなければ、つまり総需要が増える見込みがなくて、作っても売れそうになければ、

銀行からおカネを借りて設備投資したり、原材料を買ったりする必要がないのです。

需要がないところで、銀行の尻をいくらひっぱたいても、借りる人がいないですよ。


◆結論:景気対策にならないと思います。

以上、ざっと見たように、「史上空前の15.4兆円」の使い方がまずい。

国が需要を作らないとダメです。

国債をこれ以上発行して、財政健全化から遠のくわけにはいかないといっていたのが、竹中平蔵ですが、

結局、国債発行枠の公約を破って、景気が上向いたんです。小泉・竹中は、財政支出を減らして、改革をすすめろ

といって、不景気になったのです。失敗に気付いて、「改革路線」を緩めたから、景気が回復したんです。

国民の多くはそこら辺がわからないですから、竹中平蔵、「サンデープロジェクト」に出てヘラヘラしてますが、

私に言わせれば、

お前さん、よく人前に顔が出せるな?

という立場の人ですよ。

今は兎にも角にも「改革路線」の逆をやらないとダメです。

プライマリー・バランス基礎的収支の均衡、ということがしきりにいわれます。

国の借金をこれ以上増やして良いのか、ということがよく言われますが、言っているのは、不況になっても給料が減らない財務省の役人です。

こんな大不況のときは、もっと公債を発行しても、財政支出を増やし、需要を創出するべきです。

また、「国の借金が増える」と言うけれども、国の借金というのは、会社が銀行からカネを借りるのと違います。

公債という形で、国民から借金をするわけです。公債の発行残高が増えるということは、

その分、国民が公債を買って国民の金融資産が増えるのですから、「日本が倒産する」ということは無いのです。

「将来の世代にに負担を押しつけていいのか?」とか、今はそういうことを言っている場合ではなく、

くどいようですが、日本国が需要を創り出して、経済活動を活発化させないと、国民所得も増えない。

したがって、家計の消費も減る一方。負のスパイラルに陥っていくばかりです。

15.4兆円の使い方は、正しいと思えません。

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2009.04.07

「オーケストラ運営火の車…減る一方の自治体助成・企業援助」←オーケストラは無くても困らないから潰すという無教養な発想。

◆オーケストラ運営火の車…減る一方の自治体助成・企業援助(2009年4月6日00時38分 読売新聞)

日本のオーケストラが〈冬の時代〉を迎えている。

文化振興の名目で支援してきた自治体が、財政難を理由に2009年度、次々に助成金をカットしているうえ、

世界不況の影響で、企業に「文化」への支援を控える動きが相次いでいるためだ。

各地のオーケストラで芸術への理解を求める声が強まっている。

1947年創立の大阪フィルハーモニー交響楽団(大阪市)は大阪市や経済界からの支援のほか、

08年度には大阪府から6300万円助成を受けていたが、橋下徹知事の財政再建路線で打ち切られた。

府はさらに、貸付金6000万円の返還を求め、楽団は計1億2300万円の支援を失った。

小野寺昭爾事務局長は「大変なピンチの年。貯金もなく、火の車状態」と危機感を募らせる。

府はまた、出資する財団が運営している大阪センチュリー交響楽団(大阪・豊中市)に対しても、

08年度に3億9000万円あった補助金を1億1000万円に減らした。同楽団は今年、創立20周年。

海外での記念コンサートなどを想定して積み立てた基金を取り崩さざるを得ない状況だ。

愛知県は、名古屋フィルハーモニー交響楽団(名古屋市)への事業補助金を08年度比850万円カット。

県の担当者は「他団体の補助も減らしており、特別扱いできない」と話す。

企業の支援も細る。日本フィルハーモニー交響楽団(東京・杉並区)は、これまでコンサートを協賛していた2社が撤退し、

協賛金計1000万円以上を失った。東京フィルハーモニー交響楽団(東京・新宿区)も

「昨年後半から、企業側から協賛の辞退などが相次ぎ、困っている」と悲鳴を上げている。


◆コメント:世の中が不景気で殺伐としているときこそ、芸術が大切なのだ。

「冬の時代を迎えている」って、今まで「春」でも「夏」でもなかったのである。

西洋音楽の本場ですら、オーケストラは自治体や企業の援助で成り立っている。オーケストラは元来そういう運命にある。

本物の芸術は大衆の理解を得にくい。儲からないのが当たり前。そこを保持するか否かで、国家や自治体の教養が問われる。


自治体や企業からの援助がカットされている、ということは今までポーズで援助していた、という事だ。

自治体の「文化事業担当者」も企業の「社会貢献室」の担当者も「観念的に」理解していただけなのだろう。

つまり、「芸術に理解を示しているフリ」をしていただけなのだろう。


橋下知事は大阪センチュリーだけじゃなくて大フィルへの援助も打ち切ったのか。無教養な奴だ。

橋下知事も、役人も企業の担当者も、多分、オーケストラなど聴いたことがない。音楽を聴いて感動したこと無いから、

簡単に援助を打ち切る、又は減額するというのであろう。それを決める前に、とにかくオーケストラを聴いてご覧なさい。

それなりの感受性があれば、オーケストラという貴重な文化的財産を鶴の一声で潰して良いかどうか分かるだろう。

分からない奴は、バカだ。


この連中は、安永徹さんが、ベルリン・フィル(も知らないだろう)のコンサート・マスター(も知らないだろう)を25年務め、

先日退団したことなど、勿論知らないだろうし、独政府から勲章を授与されたことも知らないのだろう。

芸術の価値を理解出来ないのである。

前にも引用したが、せめて漱石の草枕の冒頭を読んでみるが良い。

山路を登りながら、こう考えた。

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。

人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。

ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。

人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、

束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。

ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。

あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。

住みにくき世から、住みにくき煩いを引き抜いて、

ありがたい世界をまのあたりに写すのが詩である、画である。あるは音楽と彫刻である。

今は、世界同時不況のまっただ中で、ただでさえ「棲みにくい」世の中が一層棲みにくくなっているときである。

こういう時に、直接、景気回復に役に立たないどころか、カネがかかるから、という理由でオーケストラへの助成金を

無くしたり、削減したり、「オーケストラなど、要らない」という発想に傾く橋下知事、その他、政治家や役人は、

「草枕」を読んだこともなければ、音楽を聴いたこともないのだろう。気の毒な人たちだ。


もう一度書く。オーケストラが、芸術が、直接、生活に必要でないからと言って、潰してしまっていいものか。

それを判断する前に、とにかく、オーケストラを聴いてごらんなさい。

それでも、何も感じないなら、そんな鈍感な感受性の乏しい奴は、所詮、人情も分からないバカだろう。

さっさと辞めるが良い。

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2009.02.24

「人間社会はそんなに単純でない=竹中氏の理論を一蹴-与謝野財務相」←賛成。

◆記事:人間社会はそんなに単純でない=竹中氏の理論を一蹴-与謝野財務相(2月24日12時0分配信 時事通信)

与謝野馨財務相は24日午前の衆院財務金融委員会で、竹中平蔵元総務相が小泉政権時代、市場競争の末に富が一部に集中しても、

そのおこぼれを貧困層も享受できるとする「トリクルダウン効果」を主張していたことについて、

「人間の社会はそんな簡単なモデルで律せられない」と一蹴(いっしゅう)した。階猛(しな・たけし)氏(民主)への答弁。


◆【為参考】衆議院インターネットTVから、与謝野大臣の答弁を文字に起こしたもの。

上の記事だけだと、ちょっと与謝野大臣の発言の趣旨がよく分からないので、衆議院インターネットTVからJIROが文字に起こしました。

民主党の階猛議員の質疑の部分を含めて文字にします。

階猛:今までは何が世の中の通説だったか。特に竹中(平蔵)さんが、言われていたのは、規制緩和と小さな政府、これが論理的に正しいのだということだったが、

(与謝野)大臣も仰っていたように、規制緩和で、かつ「小さな政府」ということになると、規制緩和で競争がどんどん進んでいく。そして敗者が当然出てくる。

敗者が出たときに、小さな政府だとその人が救われない。セーフティ・ネットが弱いと救われない。これだと、大変なことになる。社会がどんどん壊れて行く。

ということで、私はこの考え方には非常に問題があると思う。

ただ、これを竹中さんがどのように説明していたかというと、「規制緩和で、かつ、小さな政府で国民負担を軽くしてゆくことで、

強者がどんどんおカネを儲けていって、その恩恵が下々にも及ぶのだ」と。「トリクルダウン」なんて言い方をしていたが、

その「トリクルダウン」によって全体に恩恵が及ぶから、このあり方で良いのだ、という言い方だった。

私は今回の金融危機の一連の動きを見ていると、全く間違いであったと。「トリクルダウン効果」はなかったと判断している。

その点について、間違いだったといことを(与謝野)大臣はお認めになるか。

与謝野:人間の社会ってのはそんな簡単なモデルで律せられないと私は思う。

現にアメリカの社会で起きていることは、フリードマンのマネタリストの流れを汲むような流れで物事が動いていない。

むしろ、流れとしては、アメリカですら「弱い人を助けよう」という、例えば今回の経済危機に関しても、そういう動きである。

市場原理主義の人が幻想のように持っていた、「物事はルールですっぱり切っていくんだ」、という考え方は、アメリカ社会にすら適用されていない。

このことは、そういうこと(トリクルダウン効果)を主張された方(注:竹中のこと)は、もう一度お考えになった方が良いのではないかと思うし、

中谷巌先生(注:経済学者。元一橋大学教授)の書かれた本はやっぱり、経済を論じるときには人間的な要素、

或いは文化的な背景というものを加味してものを考えないとダメだということを主張されている。(後略)


◆コメント:久々にまともな政治家の答弁を聞いた気がする。

何しろ、内閣総理大臣は郵政民営化に反対だったのが、賛成になったり、

前の財務相は答弁どころか、単なる酔っぱらいで、バチカン市国でもヒンシュクを買っていたそうで、

答弁以前の問題。というか、問題外だったが、今日の与謝野大臣(三つも兼務しているので、「大臣」で済ませていただく)の答弁は、

久しぶりにまともな、知的な政治家の答弁を聞いた気がするし、内容に関しても賛成である。


与謝野大臣が答弁で主張していることは、数学者の藤原正彦氏が、ベストセラーとなった著書、「国家の品格」で書いていたことと同じ方向である。

要するに、アメリカの合理主義、何でもかんでも論理、ルールで割り切るやり方を日本に当てはめようとしてもダメだ、これから大切なのは、

むしろ「情緒」なのだ、というのが藤原正彦氏の主張であった。

アメリカは、世界中をアメリカにしたがるクセがあり、アメリカ式民主主義、アメリカ式市場原理主義にすれば世の中上手くいくのだ、

といっていたが、与謝野大臣の言うとおり、アメリカが今、現実に行っている、民間銀行に公的資金を注入したり、

ローンを返済出来ない人に猶予を与える、という措置は、市場原理のルール外である。あれだけ、市場原理・自由経済と言っていた

アメリカですら、それでは世の中が回らなくなっている。

ましてや、元々、論理的というより情緒的な傾向が強い日本社会に市場原理・自由主義を持ち込んでもダメなんだ、

ということで、「トリクルダウン効果」に至っては、全然机上の空論だ、という意見であるが、それには全面的に賛成である。

今の自民党で一番まともなのは与謝野氏かもしれない(だからといって自民党が何もかも良い、と言うつもりはないが)。

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2009.02.09

首相、郵政4分社体制の見直し表明」←見直すこと自体は悪くないと思います。

記事:首相、郵政4分社体制の見直し表明(2月5日21時51分配信 読売新聞)

麻生首相は5日の衆院予算委員会で、郵政民営化で発足した日本郵政グループの4分社化体制について、

「四つに分断した形が本当に効率としていいのか。もう一回見直すべき時に来ているのではないか」と述べ、

経営統合などを含め、経営形態の見直しを検討すべきだとの考えを表明した。

4分社化の見直しは、リスク回避のため郵便事業と金融を切り離すことにした民営化方針の根幹を揺るがすことにつながるため、波紋を広げそうだ。

自民党内には、郵便局網維持のため、経営が伸び悩んでいる郵便局会社を郵便事業会社など別の会社と合併させるよう求める声がある。

首相の発言は、こうした合併案を念頭に置いたものと見られる。首相は同委員会で、

「民営化された以上、もうからないシステムはダメだ。きちんと運営して黒字になってもらわないと(いけない)」とも語った。

郵政民営化担当の鳩山総務相も「郵政民営化という改革の全面的な見直しも聖域なくやっていく。

国に戻すというのでなければ、どんな見直しをしてもいいということで対処したい」と述べた。いずれも民主党の筒井信隆衆院議員の質問に答えた。

2005年10月に成立した郵政民営化法には、民営化の進捗(しんちょく)状況を検証する「見直し規定」がある。

この規定に基づき、政府の郵政民営化委員会(田中直毅委員長)は今年3月末に首相に報告を提出することになっている。

首相の発言で、同委員会が経営形態の見直しにまで踏み込むかどうかが焦点となる。

首相は衆院予算委終了後、首相官邸で記者団に、「(民営化見直しを)検討すべき時期に来ている。

(ただし、郵政民営化委員会に)『ああしろ、こうしろ』とは言わない」と語り、同委員会の議論を見守る考えを示した。


◆コメント:麻生首相発言に与野党から非難ごうごうだが、言っていることは、間違っていない、と思います。

2005年9月11日の衆議院選挙、所謂「郵政民営化選挙」において、当時の小泉首相は、

「この選挙は、郵政民営化の是非だけを問う選挙だ」

と言いました。私は、それ自体間違いだと思っていました。そんな総選挙が有って良いはずが無い。

総選挙とは国政全般に亘る政策を各党が、主張し、それに対して、有権者が「どれが最も良いのか」を判断するものだからです。

実際は、首相は、「郵政民営化の是非だけを問う」と百万遍も繰り返していましたが、当時から、今まで、自民党のウェブサイトには、

自民党 政権公約2005というページがあり、120の約束が掲げられ、そこには、2007年に増税することも、

後期高齢者医療制度に関わることも載っています。

私は、投票日の4日前、2005年09月07日(水) 【衆院選】自民党が勝利すると、こういうことが起きる。ココログ)で、

読者に注意を喚起しましたが、悲しいかな、タカが1個人のブログの影響力、伝達力は限られていました。

国民はまんまと騙されました。


話が本題からそれました。

私は郵政民営化に関しても反対でした。それに関して書いた記事は、

2005年06月03日(金) 小泉内閣の郵政民営化プランには、緊急性、必然性が認められない。ココログ) が最初だと思いますが、

それ以降も何度も不明な点、不合理な点、を指摘しています。

ウェブ日記エンピツの方が検索しやすいので、自分が「郵政民営化」にどれぐらい言及しているか検索してみました。

これが、その結果です。

単純に「郵政民営化」の単語を拾うので、必ずしもそれが主題になっていない記事もかなり含まれていますが、ご了承のほど。


◆組織を合理化するときには「統合する」のが普通であり、一つだったものを4つに分割するのは、常識的に考えて非合理的です。

麻生太郎内閣総理大臣の発言は、後で「口が滑った」とか余計なことを言うから、大騒ぎになっていますが、

記事に書かれている麻生首相の

「四つに分断した形が本当に効率としていいのか。もう一回見直すべき時に来ているのではないか」

という考え方は理にかなっています。

「郵政民営化」は、以前日本郵政公社が全部やっていた、郵便の窓口、配達、郵便貯金、簡易保険、を、

全部、別の会社に分離したのですが、普通、民営化とか、合理化というのは、バラバラだったものを一つに統合するものです。

1社で行っていたことを4社に分けたら、ややこしくなることは目に見えています。

それは、麻生さんが言ったから私が追随するのではなく、3年前に書いています。

「郵便集配廃止6割で実施 日本郵政公社」←「甘受すべき不利益」ですね。ココログ

麻生首相の5日の発言は私と同じ考えだから、彼の発言は尤もだ、と言っているのです。

麻生首相も郵政民営化全てを白紙に戻そうと言っているわけではないのですから、民意を完全に無視しているとは言えない。

如何にもドジなのは、この発言でしょう。
郵政民営化担当相は竹中平蔵氏だったことを忘れないでほしい。私は総務相だっただけで、ぬれぎぬを着せられると面白くない」と述べ、小泉純一郎元首相が郵政解散を行った17年当時、民営化に「賛成ではなかった」と説明。小泉構造改革については「改革のひずみに対応するため改革を深化させる。市場経済原理主義の決別というならその通りだ」と語った。

あまりにも本当のことを言ってしまった。麻生首相は当時、総務相で、内閣の一員だったわけです。

日本国憲法では、
第六十五条  行政権は、内閣に属する。

更に、第66条第3項には、
第六十六条 3  内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

と規定されていますから、自分だけ「知らないよ」とは言えない。内閣の決議は全員一致が原則です。反対だったら、

その閣僚は辞表を提出し、内閣総理大臣がその閣僚を兼務して、改めて全員一致で閣議決定する。これが憲法で定められた手続きです。

だから、麻生首相は「本当は(郵政民営化)に反対だった」のなら、閣議決定のときに辞表を出すのが、本来のあり方で、今になって、

ホンネかもしれないけど、「反対だった」というのは、不味い。こういうところがドジなんですよね。麻生さんは。


但し、あの当時の小泉政治は、やや大袈裟かも知れませんが、一種の恐怖政治やファシズムに近かったように思います。

だって、衆議院で郵政民営化法案が可決され、参議院で否決されたら、可決した方の衆議院を解散して、「民意を問う」と言ったのです。

両議院の議決が異なるときは両院協議会を開き、それでも意見が調整出来ないときは、解散か、総辞職、というのが憲法で定められた手続きなのに、

それを端折って、いきなり衆議院を解散したのは、解散権の濫用なのです。

そして、小泉元首相が如何にも「粘着だなあ」と思ったのは、衆議院で郵政民営化法案に反対した与党議員を公認しなかったばかりか、

当時流行り言葉になった「刺客」を送り込んで、それでも当選した人もいたけど、多くが落選させられた。

いくら党首と言えども、党員の言論・思想の自由を奪っています。

その後、自民党に復党した、郵政民営化造反議員にも、復党の時、「反省文」をかかせてましたよね。

郵政民営化に反対といって当選したのに、自民党に復党したいが為に、それに従った議員もどうかと思いますが、

「反省文」を書かせたり「宣誓」させる自民党のあり方も、ファシズムでしょう。同じ党だって色々な意見があって当然なのに・・・。


それはさておき。


だから、麻生さん、ホンネをいっちゃったけど、当時、閣議で、当時の小泉首相に「反対」と、

面と向かって言える雰囲気ではなかったのだろうと、ちょっと同情します。


◆結論:「本当は反対だった」は失言だけど、「郵政民営化を見直す」こと自体は、構わないと思います。

「郵政民営化選挙」は4年前です。その後、実際に民営化して、旧日本郵政公社が行っていた、

郵便の窓口、配達、郵便貯金、簡易保険を4つの会社に分けて、実際に民営化が始まりました。

実際に実行してみて初めて分かる、制度上の欠陥とか不都合な点は当然出てくるはずで、それを合理的に見直そう、

という麻生首相の発想自体は、常識的かつ合理的なことだと、私は思料します。

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2008.12.18

「<日産>派遣社員ゼロに…減産拡大」←派遣だろうが、正社員だろうが人員削減を安易に決めるべきではない。

◆記事:最近の「人員削減」関連ニュース

最近、日本有数の大企業が、ゴミでも捨てるかのように簡単に人員削減を次々に発表している。以下、その中から

目立ったものを挙げる。時系列。

◆派遣・期間従業員 いすゞ、1400人全員と解約(11月21日8時3分配信 フジサンケイ ビジネスアイ)

トラック大手のいすゞ自動車は、販売不振を受けた減産に伴い、国内の工場で働く派遣従業員と期間従業員の計

約1400人全員の契約を12月末で打ち切ることを明らかにした。

トラックを生産する藤沢工場(神奈川県藤沢市)と、エンジンや足回り部品を製造する栃木工場(栃木県大平町)で実施する。

契約期間中の解約も含めて、国内工場で非正規従業員の契約をすべて打ち切るのは異例。

金融危機を受けた景気悪化で、日本や米国で新車販売が不振なうえ、

業績を牽引(けんいん)してきた新興国でも需要が落ち込んできたのが影響したという。

削減する計約1400人の内訳は、藤沢工場が約960人、栃木工場が約440人。

2008年度の藤沢工場でのトラック生産台数は、当初計画から約1割減る見通しだ。

◆雇用削減 キヤノンと東芝計1600人…派遣・期間従業員(12月4日23時6分配信 毎日新聞)

キヤノンと東芝が、九州の工場の派遣・期間従業員など計約1600人を削減することが4日、分かった。

世界景気の悪化で、デジタルカメラや薄型テレビなどの販売が低迷しているため。

キヤノンは、カメラを生産する子会社の大分キヤノン(大分県国東市)で請負社員を来年1月までに計約1097人、

プリンター用カートリッジを生産する大分キヤノンマテリアル(同県杵築市)で同約80人との雇用契約を打ち切る。

東芝も、液晶テレビ向けなどの半導体を生産する大分工場(大分市)と北九州工場(北九州市小倉北区)で、

来年3月末までに派遣社員と期間従業員計約480人を削減する。

電機業界では、シャープが年内にも福山工場(広島県福山市)で約300人、

三洋電機も来年3月までに半導体レーザーを製造する事業部(鳥取市)の派遣社員約100人の削減を予定している。

◆ソニー、派遣・業務委託など非正規雇用で8000人以上削減へ(12月9日19時27分配信 ロイター)

ソニー<6758.T>は9日、同日発表した収益改善策で派遣社員や業務委託など非正規雇用の人員について

8000人以上の削減を行う意向を明らかにした。

 同社はエレクトロニクス事業において約16万人の5%にあたる約8000人を削減する方針を打ち出しているが、

非正規雇用についても同様の削減規模になるという。

◆<日産>派遣社員ゼロに…減産拡大(12月17日13時18分配信 毎日新聞)

日産自動車は17日、09年3月末までに国内工場の生産台数を7万8000台減らすと発表した。

これまでの発表分と合わせ、今年度の国内の減産幅は22万5000台規模に上る。国内直営工場の派遣社員も500人を追加削減する。

その結果、08年4月時点で2000人いた日産の派遣社員はすべて削減されることになる。

景気悪化が予想以上に加速しているため。自動車業界では、いすゞ自動車も非正規社員全員の解約を進めている。

減産の対象となるのは、栃木工場(栃木県上三川町)と九州工場(福岡県苅田町)、追浜工場(神奈川県横須賀市)の3工場など。

日産はこれまで、12月末までに派遣社員1500人を削減する計画で、

残る500人は「来年以降の販売状況を見て決める」としていた。

◆ハローワーク 派遣切り相談窓口 「住」の悲鳴、初日で1267件(12月17日16時7分配信 産経新聞)
■転居関連費用が最多

解雇された派遣社員などの住居確保支援のため全国のハローワークで15日始まった相談業務について、

初日の相談は1267件あり、このうち転居に必要な敷金など経費に関するものが最多の255件、

次いで雇用促進住宅への入居に関する相談が209件だったことが、厚生労働省のまとめで分かった。

このほか寮や住み込み付きの求人に関するものが多かった。都道府県別では、愛知が最多で247件、

次いで広島155件、東京108件、神奈川92件、岡山70件、大阪56件と続く。

 大阪ではハローワーク10カ所に窓口が設けられ、ハローワーク大阪東(大阪市中央区)には初日だけで5人が訪れた。

 兵庫県内の工場に派遣で勤めた40代の男性は人員削減の第一陣として1カ月前に予告を受け、今月初めに退職。

派遣会社の借り上げ住宅から退去を余儀なくされ、大阪市内の実家に身を寄せているが、

「いつまでも親元にいられない」と窓口を訪れ、この日の相談ではただ1人、雇用促進住宅入居の見通しが立った。

このほか同住宅に入居するための家賃(約2万~3万円前後)2カ月分に相当する初期費用が払えないなど家賃に関する相談が寄せられた。

同ハローワークの担当者は「非正規労働者が、働きながら次の仕事を探すのは難しく、

住まいがなければ路上生活になってしまう。当面の生活資金や仕事の経験など個々の事情に沿えるようにしていきたい」としている。


◆コメント:小泉改革のなれの果て。

最新号の週刊現代で、小泉内閣の経済諮問委員、つまり小泉のブレーンだった、元・一橋大学教授、経済学者の中谷巌という人が、

小泉改革は完全に誤りだった、とはっきり認めている。以下はその趣旨をまとめたもの。


小泉政権は、といっても小泉は何も分からないから丸投げされた竹中平蔵と、そのブレーンがは、しきりに「構造改革」を

強調したけれども、具体的には、アメリカ流のグローバル資本主義、つまり、市場原理を最重視する資本主義を日本に持ち込んだのである。


「聞こえ」は良いが、これが、日本がガタガタになった始まりだった。

「市場がキチンと機能するように制度を変えること」が構造改革の本質だった。

しかし、マーケットが機能する、といっても、全てのひとが平等に恩恵を受けられるマーケットなど存在しない。

素人よりも、多くの情報源を持っているプロの方が有利に決まっている。そういう人間だけが巨大な利益を得る、

というのが、「マーケット」の現実である。

中谷氏ら多くの日本のエコノミストはハーバードなど、アメリカに留学しているが、それは、1960年代から70年代初めだった。

中谷氏らは、アメリカの中産階級の裕福で大らかな暮らしをみて、これが、市場原理の所産だと思ったが、そうではなかった。

それは、ケネディやジョンソンの民主党政権が社会福祉を重視し、福祉国家に注力し、所得を再分配して国民所得を平等化しようとした

結果だった。しかし、そのせいで、アメリカには膨大な財政赤字が生じた。


1981年、共和党のレーガン政権が誕生し、政策を変えた。社会保障を重視する「大きな政府」をやめて「小さな政府」にして、

つまり、市場原理に任せたのである。

その結果、アメリカ経済は活力を取り戻したが、同時に、巨大な所得格差と多数の医療難民(医療を受けられない人)を生み出した。

中谷氏は、当初、市場原理の副作用に気付かずに、とにかくマーケットを重視すれば、アメリカの様な経済的繁栄が日本にももたらされる、

と、考えた。しかし、次第に「市場原理だけで、人間は幸福になれるのか」疑問を抱き始めた。

中谷氏はブレーンを辞めたが、竹中は、「改革」の一点張りでこれを推進した。


◆雇用改革も市場原理、競争原理の結果。

市場原理を重視するというのは、要するに競争に勝った者は良いが、負けた者は、とっとと路頭に迷うか、死んでくれ、

というと言い過ぎかも知れないが、要するにそういう社会である。

日本に市場原理重視を持ち込んだ所為で、競争は激化し、企業は労働コストを削減するために「雇用改革」を始めた。

従業員を正社員とそれ以外の派遣労働者・パート労働者とに完全に分断してしまった。

これによって、企業は利益率を向上させたが、日本において、会社とはそうクールに割り切れるものではない。

労働者の差別化により企業としての一体感が薄れてしまった。


日本の戦後の高度成長は一般庶民に非常な「活力」があったから、全体が質の高い労働力で、働けば報われる、という

世の中だったからである。

雇用改革によって、エセアメリカ風になった日本企業ではこのようなことは望めない。一生懸命働いても、突如クビを切られる。

非正規労働者を増やした結果、企業は儲かるが、年収200万円以下の低所得者層を大量に生み出してしまった。

このあたりから、日本がガタガタし始めて来たのである。

冒頭に掲げた人員削減の嵐は、かつての日本では考えられなかったことで、まるでゴミを捨てるかのように、

非正規労働者を中心に人員削減を発表する。

正社員だろうが、派遣だろうが、パートだろうが、コスト削減の為に従業員をクビにする、というのは、

以前の日本企業なら、最後の手段だったのだが、今や天下に名だたるソニーや日産が平気で何千人というひとを

クビにします、と発表する。

人のクビを切るというのは、大変な決定である。クビにされた方は、路頭に迷うということである。食えなくなる、と言うことである。

特に今は不況なのだから、次の勤め口が簡単に見つかるわけが無い。勝手に死んで下さい、というのと変わらない。

それを知っていて平然とこのような決定をするのは、やはり、日本人の心情に合っていない。

2005年にベストセラーとなった、藤原正彦氏の「国家の品格」で、

しきりに強調していたのも、同じ事である。「論理性・合理性」ばかりを重視した「改革」は日本をよくしない。

必要とされているのは、日本人が昔から重んじてきた情緒(惻隠の情など)である、というのがこの本の趣旨だが、

かつて、「改革」に携わっていた中谷氏も結局同じ結論に到達している。

政治家も役人も自分は食うのに困らないから、雇用対策といっても、言語はあるが、親身になっているように感じられない。

大至急、何とかしろ、と云いたい。

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2007.08.01

「<安倍首相>赤城氏留任させず…9月改造で示唆」←そういう小手先の手を使ってもダメなのですよ。

◆記事:<安倍首相>赤城氏留任させず…9月改造で示唆(7月31日20時44分配信 毎日新聞)

安倍晋三首相は31日夜、参院選での自民党惨敗を受け、党総務会で赤城徳彦農相の即時辞任か更迭を求める声が出たことについて

「赤城大臣も含めて人心を一新していく」と述べ、9月に予定する内閣改造・党役員人事で赤城農相を留任させず、

事実上更迭する意向を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 また首相は、役員人事を改造と切り離して先行実施すべきだとの一部の意見について「基本的には同時にやりたい」との方針を表明した。

早期の体制立て直しのため、8月中の実施を求める声に対しては「熟慮断行していきたい」とだけ述べた。

松岡利勝前農相、赤城農相と閣僚に「政治とカネ」の問題が相次いだことから、首相官邸は改造に際し、

対象者の身辺調査をこれまで以上に入念に行う方針。首相は政治資金規正法の再改正を検討する意向で、

自民党案を8月中に取りまとめる方針を示していることから、首相補佐官も含めて人選を慎重に進める考えだ。


◆コメント:部下に責任を負わせて、責任逃れする上司、ということですね。

昨日も取り上げたが、首相は30日の記者会見で、「全ての責任は自分にある」を繰り返しながら、

「政権の基本路線は多くの国民に理解されており、間違っていない」

という、殆ど支離滅裂、意味不明、言語道断、厚顔無恥な発言をしていたが、その滅茶苦茶さがこのニュースにも出ている。

赤城農相の事務所費問題など、安倍政権の問題の本質ではないが、一応説明する。

故・松岡前農相が事務所費の不正計上で、追い詰められて自殺した後、

よりによって、全く同じたぐいの、不正事務諸費計上の疑惑を抱える赤城農相を、良く調べもせずに

後任の農水相に推したのは安倍首相である。
「全ての責任は自分にある」

というからには、まず赤城農相を指名した自分が、宰相の座を譲らなければ、筋が通らない。

いずれにせよ、赤城農相などというザコは問題の中心ではない


◆国民は「政治とカネ」問題だけで与党を見捨てたのではない。

安倍政権は、要するに小泉のバカの一つ覚え、「改革を止めても良いのですか?」をしばしば口にする。

改革、改革って、一体何が改革されたのか?前回の衆議院選挙で自民党が大勝していらい、「格差」が殆ど流行語になっているではないか。


小泉が改革と称して「自民党をぶっつぶす」と云っていたのは、天下国家の為ではない。

師匠である、故・福田赳夫の仇敵だった、故・田中派の流れを汲む(途中枝分かれしているのだがややこしいから省く)勢力を

徹底的に叩き潰すのが目的だったのである。

郵政民営化は、アメリカからプッシュされたこともあるが、特定郵便局長会が、旧田中派の強力な支持層だったからである。

橋本龍太郎も潰されたが、田中派から枝分かれした経世会(故・竹下登元首相)の出身者だからである。

つまり、小泉は、日本国の未来を憂うようなことを云っていたが、その実、私怨を晴らすために「改革」の大義名分を振りかざしていたのである。

だから、田中派を駆逐した今、ヘラヘラと機嫌が良く、日本などどうなってもいい男なのだ。


◆安倍首相の最大の失敗は、「小泉改革路線」をそのまま継承したことである。

小泉政権末期、「格差」という言葉がしきりにマスコミで取り上げられるようになった。

格差が広がったのは、小泉政権の経済政策の失敗によるものだ。

小泉政権発足時の課題に「財政再建」(健全化)があった。二つの方法があった。

一つ目は、政府が歳出を増やし、経済を活性化させて、税収を増やす方法。

もう一つは、逆に、歳出を減らす方法。

小泉、竹中(経済財政担当大臣)は、歳出を減らす方法を選んだ。

財務省の予算には義務的支出と裁量的支出という区分がある。

義務的支出とは、生活保護、年金、など社会保障支出。

裁量的支出とは、財務省の「予算配分権限」すなわち、利権に直結する部分である。



財務省が守りたいのは、「公共の福祉」つまり「国民の幸福」ではなく、自分たち官僚の利権である。

利権とは天下り先を確保することである。もちろんそれは、どの役所でも同じである。その大元をにぎっているのが、財務省である。

財務省は裁量的支出は減らしたくないので、利権とはあまり関係がない義務的支出を減らした。

義務的支出は制度によって支出額が決定されるので、どの企業に有利なようにという談合が出来ない。利権には関係ない。だから減らした。

対象となったのは、生活保護、高齢者医療費、障害者の自己負担額(の増加)、そして義務教育費の国庫負担である。


役人の天下りを確保するため、弱者が切り捨てられていく。これが今の日本である。

選挙期間中、多くの自民党の大物が「改革を止めても良いのか」と叫んでいた。

小泉は「改革の為に痛みに耐えて欲しい」と云ったが、国民はいつまで経っても痛いばかりで、痛みに耐えただけの見返りがない。

今回、自民党が大敗を喫した要因の一つは、有権者が、「小泉改革はペテンだった」と、直感した為であろうと思料される。

安倍首相はそこのところを全く分かっていないから、

「改革を止めて良いのか!」

と真っ赤な顔をして絶叫する。そうではない。

改革を止めて貰わないと困るのだ。


◆病気なのに生活保護を打ち切られ、「おにぎり、食べたい」と書き残して餓死した人が現代の日本にいるのだ。

そもそも、安倍晋三氏は「生活に窮する」ということが全然実感として分からないだろう。

先週号の週刊ポストの巻頭に、身体をこわして、生活保護を受けていた独り暮らしの男性(元タクシー運転手)が、

如何なる経緯でそうなったのか、生活保護を打ち切られ、食べ物を買えず、

最後の日記に、「おにぎり、食べたい」と書いて餓死した、という話が載っていた。

60年前ではない。今の日本である。

コンビニの賞味期限切れの弁当・おにぎり・サンドイッチは捨てられている。

病気になったのであって、悪いことをしたわけではない。世の中いつの時代にも、気の毒な人はいる。

改革を進めた結果、そういう弱者は死んで下さい、という国になってしまったのである。

それが自民党歴史的惨敗の最大の背景です。

安倍晋三内閣総理大臣。少しは、お分かり頂けたでしょうか?

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