カテゴリー「EU」の記事

2013.04.09

「スペイン、ジャンク級へ格下げのリスク=ムーディーズ」←「対岸の火事」ではないのです。

◆記事:スペイン、ジャンク級へ格下げのリスク=ムーディーズ(ロイター 4月9日(火)21時40分配信)

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは9日、現在「Baa3」としているスペインの格付けについて、

今年の財政再建目標を達成できない恐れがあり、ジャンク(投機的)等級に引き下げられるリスクがあるとの認識を示した。

スペインは昨年、財政赤字を国内総生産(GDP)比7%までしか削減できず、6.3%の削減目標を達成できなかった。

今年の目標は4.5%だが、ムーディーズは達成できる公算は小さいとし、

「当社はGDP比6%程度への緩やかな赤字削減を見込んでおり、

公的債務の急増ペースを低下させることが妨げられる」との見方を示した。

格付け見通しについては「ネガティブ」で据え置き、スペイン政府は、財政再建目標を達成できず、

度々目標を修正することで信頼を失っていると指摘した。

政府筋によると、スペイン政府は2013年の財政赤字削減目標をGDP比6%に緩和する見通しで、

現在2014年となっているGDP比3%への削減達成期限を先送りするよう欧州委と交渉している。


◆コメント:アベノミクス期待で、日経平均株価が上昇しても欧州危機は終わっていないのです。

これは、スペインの特定の民間銀行が危ない、ということではありません。

こういう国家の信用リスクを「ソブリン・リスク」といいます。ソブリン「sovereign」とは元来「国王、主権団体」という

意味です。ムーディーズとスタンダードアンドプアーズ(S&P)というのが、二大格付け機関(会社)ということになっております。

格付け機関というのは、自らは何も付加価値を創造しないで、世界中の国の国債とか大企業の社債の格付けをして、

その信用力に関する情報を世界中の投資家に売って食っている連中で、どうして彼らがそれほど「エラい」のか、

誰にもわからないので、とくにアメリカのサブ・プライムローン問題の後から、この格付け機関にたいして、

おめーら、いい加減にしろよ?

という声も多々あがっているのですが、今のところまだ生きながらえております。

二大格付け機関のひとつ、ムーディーズという会社がスペインの信用力が著しく衰えている、と発表したというのですが、

これは、現在、御存知のとおりヨーロッパはEU(欧州連合)として、一つの経済地域とみなされますので、

ドイツなんかは、まあ、大丈夫なんですけれども、スペインというかなりEUの中では大きな国、その国家の信用力が

怪しい、となると、EU全体の信用力に関わるのです。


すると、ヨーロッパの国々の国債の価格が暴落するので、ここに投資しているアメリカや日本の投資家が

下手をすると大損します。

また、国債だけではなくて、スペインがまず一番ですけれども、ヨーロッパの銀行などの信用力に疑問符が付きます。

以前にも書いたことがありますが、世界中の金融機関というのは一つのネットワークになっておりますから、

スペインの銀行一つぐらい潰れてもいいや、という訳には参りませんで、必ずその銀行に他の銀行なり何なりが

短期金融市場という所でおカネを貸しています。そのおカネが帰ってくるのをアテにして別の所から資金を借りていたとすると、

たった一つのスペインの名前を聞いたこともないような銀行が資金繰りが付かなくなっただけで、その影響はドミノ(将棋倒し)的に

極端に言えば、全世界に波及する危険性があります。この危険を「システミック・リスク」といいます。


ですから、他人事(ひとごと)ではないのです。日本の投資家が直接スペインの地方銀行に投資していることは

殆どないでしょうが、ヨーロッパの他の銀行には投資しています。また、アメリカの銀行や証券会社などにも投資しています。

ドミノ式資金繰りショート(不足)が回り回ると、日本の投資家が持っている海外の国債や社債や、株が紙屑になります。

その損失を埋めるには、商売の元手である「資本金」を取り崩さなければならなくなります。これは最悪でして、

資本金を取り崩すこと=その会社の信用力が低下する→資金を調達しにくくなる、という悪循環が起きます。


こういうのがものすごい規模で起きたのが2008年9月15日のリーマンショックに端を発する世界金融恐慌です。

スペインの格下げで、そこまでの大波乱になるとは、おもいませんが、日経平均がノーテンキに上がり続けることは

できなくなるでしょう。新総裁の下で日銀が「大胆な金融緩和」を実行すれば、日本は安泰というほど、

世の中は、単純に出来ておりません。

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2013.03.18

キプロスで何が起きたのか。

◆記事:ユーロ圏、キプロス支援で合意=1.3兆円融資、貯蓄税を徴収(時事通信 3月16日(土)12時22分配信)

欧州連合(EU)のユーロ圏諸国は15日、ブリュッセルで臨時の財務相会合を開き、16日未明まで議論の末、

ギリシャの債務危機で銀行が深刻な打撃を受けたキプロスに対する金融支援で合意した。

支援額は最大100億ユーロ(約1兆2500億円)。

ユーロ圏による危機支援は、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインに次ぎ5カ国目。

キプロスは2012年6月に支援要請後、ユーロ圏との交渉が難航していたが、ようやく一区切り付いた。

融資には国際通貨基金(IMF)も参加する。

キプロスは支援と引き換えに、同国の銀行預金を対象に最大9.9%の貯蓄税を徴収。

財務相会合の声明によると、キプロスは法人税率の引き上げや、

劣後債保有者に損失負担を要請することも約束した。


◆キプロスはEU参加国なのですが、ロシア人の富豪の預金が多いのです。

ちょっと、記事では、分かり難いでしょうか。

キプロスという地中海の島国があります。面積は四国の半分程度で人口は約80万人です。

小国ですが、2004年にEU(欧州連合)に加盟し、2008年にはEUの単一通貨ユーロを導入しました。

そのキプロスが財政危機で、このままではデフォルト(債務不履行)に陥ることは避けられないというので、


EUに対して、記事にもありますが、ギリシャ、アイルランドのように、緊急的に資金を貸して欲しい、

と頼み、EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)が相談して金融支援を発表しました。

キプロスは、170億ユーロ、貸して欲しい、と頼んでいたのですが、EUが16日(土)に発表したのは、

1.EUとIMFが最大100億ユーロを支援。

2.あとはキプロスの銀行の預金者に58億ユーロの「預金税」を課税して賄え。

ということでした。元々キプロスが期待していた、170億ユーロに届かないばかりか、

キプロスの預金者も、一部財政危機を乗り越えるため、負担しろ、という前代未聞の方法なので大騒ぎです。

詳細に書くと、キプロスの銀行にある預金のうち、10万ユーロ以上の部分については、9.9パーセント。

10万ユーロ未満の部分については、6.75パーセントの「預金税」を課すというのです。

そんなことをキプロスの一般市民が知ったら、一斉に預金を引き出す「とりつけ」騒ぎが起きるのは

目に見えています。税金を掛けられる前に、出金してしまおうとするでしょうから、16日からすでにオンラインバンキングでの

振込などもできなくなっていまして、それがきょう、18日まで続いてます。18日はキプロスの休日だそうです。


火曜日の朝、預金封鎖が解かれたときには、10万ユーロ以上の預金の9.9%、

10万ユーロ未満の預金部分の6.75%は、税金として徴収されなくなってしまっているはずです。


これは、ギリシャ系の普通に暮らしている国民は怒るでしょうが、ヨーロッパは割と冷ややかです。

キプロスは、ヨーロッパからもアフリカからも、中東からも近い地理的条件を利用して、

税率の低い「タックスヘイブン」(租税回避地)になろうとしました。旧ソ連が崩壊してから、

特にソ連の富豪が税金逃れやマネーロンダリング(資金洗浄)のためにキプロスを利用しました。


ですので、キプロスの銀行にはロシア人の大富豪の預金が大量にあります。そしてロシアはEU加盟国ではありません。


ですから、EU諸国とその国民達から見ると、自分達の税金で、EUメンバーでもないロシア人の金持ちの

しかも、税金逃れや資金洗浄のための「汚い」おカネが一杯である、キプロスの銀行を救うのは、

愉快ではありません。


それが、今回、「100億ユーロは支援してやるが、あとはキプロス人も負担しろ」と決めた理由です。

資金洗浄とか脱税とか、悪いことをしていないキプロス市民にとってはたまらないでしょうが、

ロシア人の預金だけに課税する、というと、やはりどこでも差別だなんだ、と面倒なことになる。

そういう情緒的な面もありますが、キプロスはロシアの富裕層だけに課税し、彼らが怒って
もう、二度とキプロスの銀行は使わない。

と言われると困る。キプロスの一般市民も巻き添えにすることにより、「こちらも苦労してますから」という

ところを強調したいのでしょう。

経済規模からするとキプロスのGDPはユーロ圏全体の0.2%で、その意味では大した事がなさそうなのですが、

この小国の件で、日経平均まで大幅反落し、世界中の投資家が様子を窺っているのは、

今回の措置が正式に定着すると、今後他の国を金融支援する際にも、似たようなことになるかも知れない。

とりあえず落ちついたと思っていた欧州危機は、まだ、危ない要因がある、ということを改めて思い出したからだと

思います。

キプロス議会は日本時間19日(火)午前1時から、「銀行預金への課徴金適用をめぐる採決」を行うそうです。

この稿をかいているのは日本時間18日(月)午後11時ですが、小額預金は非課税にするかもしれない、

というニュースが流れています。事態の推移が注目されます。

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2012.06.16

情報の軽重を考えることは大切です。「欧州」「橋下」「高橋容疑者」「子供の脳死臓器移植」

◆一人で世界の全てを見渡すことは、勿論出来ませんが・・・・。

最近は、「ネットで読めるから」という理由で、紙の新聞を購読しない(買わない)

人が増えているようです。私は情報商売なので、正直、カネがかかって辛いのですが、

例えば、日経は電子版を購読し、紙は駅の売店で買っています。

しかし、これだけだと、経済問題が最優先になりがちなので、毎日新聞も購読してます。

どうしてか、というと。


新聞の報道のあり方、色々不満がありますが、紙の新聞、

全ての紙面が全く余白なく、記事や広告で埋められていますね?

あれって、結構芸術的な「技」です。


ぴったり決められた字数で記事を書くように、新聞記者は訓練されてます。

そして、新聞のトップ(1面)ならトップに、さらにどのようなニュースを

どういう情報量で配分してレイアウトして印刷するか、これは「整理部」という部署の仕事です。

この整理部は重要な仕事で、ここがいい加減だと、

「今日、この新聞が特に重要だと考えていることは、何なのか?」

が、はっきりしない、「だらしのない」紙面になってしまうのです。

つまり、新聞各社の「整理部」は、情報の軽重(けいちょう)、重要度を、

なるべく早く決める、というそのバランス感覚が大切ですが、

これは、マス・メディアのみならず、各個人においても意識すべきことです。


◆大騒ぎされていることが、世の中全体にとって重要なこととは限りません。

今日ならば、朝方、オウムの高橋容疑者が身柄を確保されたことが

最も派手に取り上げられました。逮捕がニュース速報になるのは当然ですが、

あれだけ、網を張り巡らしていたら、捕まるのは時間の問題。


そして、高橋容疑者が地下鉄サリン事件などで果たした役割と、逃げ続けていた

という事実を考えると、どうせ死刑確定だと思います(本当は、有罪判決を待たなければいけませんが)。


ですから、1日中騒ぐことではありません。


Twitterでは、もう何週間も、毎日、何百件、何千件という「橋下大阪市長批判」がTweetされてます。

これは、皆が気がついているということですから、まあ、正常です。小泉のときは稀代のペテン師である

ことに、有権者が殆ど気付いていない、ということ自体が問題でした。

橋下のことは考えなくても良いとはいいませんが、あれだけ世間にウォッチされているので

変なことを、言ったり行ったりすれば、直ぐにニュースになるでしょう。


◆「6歳未満で脳死と判定された男児からの臓器摘出」は逐次報道する必要を認めません。

これ、メディアが実に無神経ですね。

国内で、脳死判定された子供からの臓器提供は初めてであるのは事実ですが、

6歳未満のお子さんが亡くなった親御さんが、当然いるのです。

昨日、気丈に記者会見をして、コメントを発表してましたが、

幼子を亡くした親がいる、ということですね?


いくら、臓器提供を決心したからといっても、

我が子を亡くした両親は胸が張り裂けんばかりの悲しみの中にいます。


それは、100パーセント、聞くまでもなく明らかです。


そのご両親が、やれ、臓器摘出が始まった。

心臓が取り出された、肝臓が摘出が終わった。角膜も取り出した

と、逐一報道されて、どんな気持ちになるでしょうね?

そんなことは、いちいち「実況」しなくて良いのです。

どうしても報じたければ全ての臓器移植が終わった後で、

「全て無事に終了した」と、短く伝えればいいのです。

メディア報道を見ると好奇心が優先してます。

世の人々も逐次状況を知りたいと思っていない。

報道機関のデリカシーの無さに呆れます。


◆欧州金融危機

世界のメディア、政府・金融政策担当者などが、今一番緊張してます。

金融市場は、世界中が一つのネットワークになっています。

昨日、ムーディーズという格付け会社がスペインのソブリンを3段階格下げし、

17日にはギリシャで選挙がある。

ギリシャは、財政危機にあり、自分の国が発行した債券を返せなくなるかも知れない。

デフォルト、といいますが、これを避けるために、ユーロ圏の他国からの財政支援を必要とするのです。

但し、ただで支援してくれるわけではなくて、ユーロ圏の財政支援を受けたいならば、

ギリシャは債務の国内総生産(GDP)比率を2011年の165%から116.5%に低下させる必要がある。

その為には、ギリシャ政府は財政を引き締め、つまり、無駄使いをなるべく減らさなければなりません。

ところがギリシャは労働人口の4分の1が公務員ですし、社会保障が手厚い。手厚すぎるのです。

公務員年金は、現役時代の給料とさほど変わらない。

ギリシャ人は、今までそれが当たり前と思い込んでいますが、

緊縮財政政策を取るということは、公務員の給料や年金支給額を減らす必要がある。それはイヤだ、という人達が

世論調査ではまだ半分近いというのですが、財政立て直しをしないなら、ユーロ圏他国は財政支援してやらないよ?

といっているのです。そしてユーロ圏の支援を受け入れないのなら、共通通貨ユーロか出て行きなさい、と。


そこまで来て、初めてギリシャ人にも事の重大さが分かりました。

ギリシャは元々ドラクマという独自通貨をもっていましたが、経済力のない、つまりあまり信用が無い国、通貨だったので、

金利が高く、ギリシャ国民は借金をしづらかったのですが、統一通貨ユーロは、信用があるので、金利が低い。

ギリシャ国民は、ドラクマ時代よりも低い金利で借金ができるようになりました。

また、統一通貨ユーロ圏内は、たとえばドイツも同じユーロを使っているので、貿易をするにも

いちいち通貨を替える必要がないですね。為替リスクがなく、両替の面倒もない。だから、一時期、

ギリシャ人は調子に乗り、借金をしまくって、ドイツのポルシェを買いまくったので、

「ギリシャはポルシェを世界一多く保有している国」といわれていますが、これがユーロから追い出されて

ドラクマに戻ったら、弱小通貨ですから、ドラクマ安になる。つまり他国からの輸入品の値段がすごく高くなりインフレになる。

これが怖い。はっきり言って狡いのです。ユーロの信用力を享受したいのなら、日本人並は絶対に無理ですが、

いくら何でももう少し働け、と。民間で稼いで税金収めろと。いうことです。


17日の選挙では、2つの政党、緊縮策をとり、ユーロ圏の支援を受け入れようという、「新民主主義党(ND)」と

緊縮財政反対を掲げる(アホですな)ギリシャ急進左派連合(SYRIZA)のどちらが勝つか?が注目されています。


ギリシャ急進左派連合が勝利してしまうと、ギリシャは、ユーロ圏から放りだされます。

すると、ギリシャの銀行に投資していた、他のヨーロッパの銀行が資金繰りが危なくなり、

さらにそれら、ギリシャ以外のヨーロッパの銀行に投資していた、アメリカや中国の金融機関が大損して、

さらにそのアメリカの銀行に投資してた日本の投資家も潰れるんちゃうか?と、金融はそういう風に繋がってます。

日米欧の各国中銀が日曜日も出勤して、ギリシャ選挙の結果を注視するのは、万が一、ギリシャが、

ユーロ離脱ということになっても、ギリシャに投資してた銀行、その銀行に投資してた銀行・・・

がおカネを回収できなくなりそうだったら、直ぐに中央銀行(日本なら日本銀行です)が

金融市場に資金を注入する相談をしてるから、大丈夫だよ、としきりにパニックを予防しようとしてます。


とりあえずは、それで事態を沈静化できても、信用不安は残ります。つまり、

ヨーロッパのあの銀行、実は資本不足じゃないの?というような噂が流れただけで、

リーマン・ショックのときのような、信用収縮、つまり銀行ができるだけ貸出は安全運転に徹しようと。

信用収縮といいますけど、リーマンのときは、それで世の中全体のおカネの巡りが悪くなって、

世界中が同時に不況に突入してしまったのです。

リーマン・ショックは、2008年9月15日に発生しました。

昨年の初めの頃は、日本経済は、漸くその長い痛みから抜け出しかけていた。

それなのに、東日本大震災で、元の木阿弥になってしまったのです。

この上、欧州経済危機の影響を受けたら、また不況が長引きます。

全然、対岸の火事ではない。ものすごくきわどい状態です。


◆原発再稼働

欧州金融危機の説明が長くなってしまったし、大飯原発の再稼働については、

今までにも書きました。

時事通信が15日(金)に発表した世論調査では、大飯原発再稼働に関して、

「反対」が46%、「賛成」が39%で、辛うじて「反対」が「賛成」を上回りましたが、

私としては、福島第一原発の悲劇をみているのに、まだ約4割の回答者は原発再稼働に

賛成である、ということが驚きです。経験から何も学んでいないのがショックです。


◆まとめ:できるだけ色々なニュースを並行的にウォッチしている人が多いほど安心です。

あまり偉そうなことを書きたくありませんが、日本人のTwitterを読んでいると視野狭窄的で、

橋下大阪市長批判の人はそればかりだし、原発再稼働反対の人はやはり他のことを話さないし、

世の中の問題には、我、関せずでずっと音楽の話をしている人もいて、それぞれ自由なんですが、

社会と無縁でいられる人はいないので、色々な方面に意識的に注意を向けることが、

やはり大事なのではないか。

同時並行的に色々なことが視野に入っている人が多いほど、

世の中全体が安定的な状態に近づくのではないか、と思います。

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2011.12.02

欧州経済危機とは何か(その2)

◆EU(欧州連合)とユーロ圏とは一致しません。

「その2」と書いたとおり、一度簡単に説明しております。

2011年09月15日(木) 欧州経済危機とは何か。(ココログ)

このときには、ギリシャの問題を中心に書きました。

もう少し丁寧に説明します。


まず、EU(欧州連合)という共同体があります。27ヶ国がメンバーです。

ドイツが第一次、第二次いずれの世界大戦でも負けて、凋落してしまい、

ヨーロッパがアメリカのドルに支配されるのを危惧して、もっぱら最初はドイツが

音頭を取って、EU(欧州連合)というものを作った訳です。


そして、EUの共通通貨がユーロです。

ユーロ導入国は23ヶ国です。


すこしややこしいのですが、EU加盟国27ヶ国のうち、17ヶ国がユーロを自国通貨としています。

EU加盟国で、ユーロを導入していないのは、
イギリス、デンマーク、スウェーデン、チェコ、ポーランド、ハンガリー、リトアニア、ラトビア、ブルガリア、ルーマニア

の10ヶ国です。これらは、従来からの自国通貨を維持してます。


また、EUに加盟していないのにユーロを自国通貨としている国があります。

通貨同盟を結んでいた相手国がユーロに参加したため、一緒に加わったという、

いずれも人口数万人というぐらいの小さい国です。それ(EU加盟国ではないけど、ユーロを導入している国)は、
アンドラ、モナコ(フランスと通貨同盟)、

サンマリノ、バチカン(イタリアと通貨同盟)、

アンドラ(スペインと通貨同盟)

の4ヶ国。

それからコソボ共和国と独立を宣言している国があります。

ドイツマルクを自国通貨にしていましたが、ドイツがユーロを導入したので、ユーロを自国通貨にしました。

コソボはセルビアの一部で国連加盟国193国のうち、コソボを独立国家として承認しているのは、85ヶ国です。

承認していない国々はコソボをセルビア領土内の一地域、と見なしている。

ややこしいですが厳密にいうとそう言うことです。

そして、さらに、モンテネグロという国は一方的にドイツマルクを自国通貨にしていました。これもユーロに移行です。

EU加盟国であり、ユーロを自国通貨としているのが、17ヶ国。

それに、アンドラ、モナコ、サンマリノ、バチカン、コソボ、モンテネグロ、の

6ヶ国を加えるので、ユーロ導入国は23ヶ国です。


◆ユーロ導入している国が次々にヤバいのです。

単一通貨ユーロを導入すると、ユーロ圏では、両替をしなくていいので、コストが削減され、

また、為替変動リスクを気にせずに済むようになるので、ユーロ圏内では相互に貿易が盛んになり

経済活動が活発化します。


ところが、逆にデメリットがモロに出ているのが今の状態です。

ユーロ圏内は経済的運命共同体なので、一国でもいい加減なのがいると、

ユーロを導入している地域全体の信用問題になるのです。


ユーロ導入国であり、かつEU加盟国であるギリシャは、EU加盟の条件で

本当は財政赤字をGDP(国内総生産)の3パーセント以内に収めていなければならないのです。

しかし、9月に説明したように、ギリシャは、オリンパスじゃないですが、粉飾決算をしていたのです。

2009年10月に政権交代があり、今のパパンドレウ新政権のもと、旧政権が財政赤字を隠蔽していたことが

明らかになりました。旧政権は財政赤字はGDPの4パーセントぐらいだと言っていましたが、新政権が調べたら、

なんと3倍以上、GDPの13パーセントもあることが判明しました。

そこから、欧州ソブリン(国債など国家が発行したり政府が保証している債券)危機が始まりました。

それはそうでしょう。国家の発行する債券は、本来、最も安全でなければならないのに、本当はEUに参加出来ないような

ギリシャが財政赤字を誤魔化してEUのメンバーになっていたのですから、

「ユーロ圏は信用出来ないな」と思われてしまう。そうすると、世界の他の国が

ユーロ圏の債券を買わなくなる。資金が調達できなくなるから、ますます財政赤字が膨らむ、

という悪循環になるのです。


◆南欧諸国の財政状況の悪さも明らかになりました。

ギリシャの財政赤字は、身から出たさびですね。

ギリシャの公務員は、全労働人口の20%以上に当たる100万人以上もいて、

公務員給与と年金が政府支出の40%にも及ぶというから無茶です。

因みに2010年にOECDが発表した2007年のデータによると、公務員人件費の対GDP比率は、

資料を提出した23ヶ国中、日本は最も低く6.2パーセント。人口1000人あたりの公務員の人数は、

日本は32人で、フランス、アメリカ、イギリスの半分以下。

国家公務員に限ると、なんと日本はフランスの10分の1です。


それはともかく、ギリシャ人のデモを見てると全然分かっていないですね。

ギリシャのソブリンリスク、国家としての信用が暴落したので、

ギリシャ国債に投資していた、他のヨーロッパ政府やヨーロッパやアメリカの金融機関が

大きな評価損を計上せざるを得ない状況です。全然ギリシャ人は分かっていないです。

全労働人口の5分の1にあたる公務員。彼らは5時間の昼休みを取ります。

年金支給額が現役の給与とほぼ、同水準。それを減らすと言ったら、デモですよ。


ギリシャだけならまだしも、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランドが

どうも、自力で財政再建不可能らしいということで、既に投資不適格の格付けになっている国もある。

問題は、特にイタリア、スペインには、同じユーロ圏のドイツ、フランスが多額の投資をしている。

従って、イタリア、スペインが極端な話、デフォルト(債務不履行)などおこしたら、

イタリア、スペインの国債は紙屑となり、両国の銀行などの株・債券の価格が暴落し、

フランス・ドイツを巻き込み、さらにその結果アメリカや日本の投資家も評価損を計上することに

なるかもしれない。

そういう漠然とした、しかし、十分あり得る事態が鮮明になってきたので、

11月30日には何と、日本銀行の白川総裁が夜の11時から記者会見を開き、

日本銀行、カナダ中銀、英国中銀、欧州中銀、フランス中銀、スイス中銀の総裁が相談して、

それぞれの国で外貨、とくにアメリカドルの流動性資金が不足しそうなときは、余っている国から

融通する「スワップ取極」という制度があるのですが、その時タダじゃないのですね。金利を取ったり

取られたりするのですが、その金利を下げることにした、と発表したのです。

これによって世界の主だった国や、その国の金融機関が資金繰り難に陥るのを防ぐ。

その意思をヨーロッパ時間に合わせて同時に発表することによって、マーケットに、

ひとまず、安心感を与えましたが、白川日銀総裁は、11月30日夜11時からの記者会見で、

これは、けっして欧州財政危機の根本的な解決にはならないのであって、

財政に問題を抱えるユーロ圏で、対策を考えて貰わないと、リーマン・ショックのような

ことになりかねない(これは、昨夜ではないと思いますが、そういう趣旨の発言はしています)、

と言っていました。


◆全く予断を許さない、きわどい状況です。

11月30日、6ヶ国中央銀行の意思表明の結果、12月1日には、

ひとまず安心感から株が買われましたが、あくまでも「ひとまず」です。

日本の中央銀行総裁が夜の11時から記者会見をして世界に安心感を与えなければならないほど、

きわどい状況なのか、ということが、私には、むしろショックでした。

相当、ヤバい。下手をすれば、リーマン・ショック以上ですね。

民間企業ではありませんから。今、問題になっているのは。

G7といって、世界経済の最も主要な7ヶ国のうち、フランス、イタリア、

場合によってはドイツまで、デフォルトするかも知れないというのは、

もしそうなったら・・・・ちょっと想像が付かないですね。

世界大金融恐慌とそれによる、ものすごい大不況の到来ということでしょうか。

そんなことで済むかな?というほどの問題が起きる可能性が現実にある。

一般の方々が考えておられるよりも事態は遙かに深刻です。

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2011.10.30

【翻訳】野田首相、欧州経済危機に更なる努力を希望。(フィナンシャル・タイムズ紙 インタビュー)

◆Japan urges more action on euro crisis(FT:October 28, 2011 4:15 pm)

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/801de296-0164-11e1-ae24-00144feabdc0.html#axzz1cGGqzlHC

日本の野田新総理は、欧州首脳会議で決議された金融安定化策に、日本としても貢献をするつもりだが、

同時にEU各国首脳に、問題解決に向けて一層の努力を求める意向を明らかにした。


28日(金)、野田佳彦内閣総理大臣は、フィナンシャル・タイムズの単独インタビューに応じ、

欧州首脳会議が、金融危機対策で包括的合意に達し、ギリシャに対する債権を減免したことを

歓迎すると述べた。


しかし、世界第3位の経済大国の首相は、同時に引き続き欧州経済には様々な未解決の問題があり、

それによって日本経済に悪影響が及ぶ可能性を大いに憂慮している、ことを明らかにした。


野田首相は、「EU及び、ユーロ圏内の諸国に対して、我々は一層力強く、詳細にわたる努力を要求する」

と述べ、同時に、日本及び諸国もまた、経済成長と財政再建に向けた新しい政策を策定すべきだと

付け加えた。


同首相は「これは『対岸の火事』ではない。今、最も大切なことは火がアジアや世界経済に燃え移るのを

防ぐことだ」と語った。

日本自身、財政赤字が大きな問題となっているが、利用出来る資金は莫大である。

12兆USドル相当の外貨準備を保有しており、これは中国に次いで多い。


EU首脳会議の決議は、ユーロ圏救済の為の基金(EFSF=European financial stability facility。

欧州金融安定ファシリティと呼ばれる)を増強することを含んでいるが、

EFSFのクラウス・レグリング最高経営責任者(CEO)は、金曜日、中国を訪問して、一層の支援を希望する

旨を伝えた。レグリング氏は日本にも行く予定である。


日本は現在、EFSFが発行した約100億ユーロの債券の20%を保有している。

首相になる前は財務相を務めていた野田総理は、EFSF債券にさらに投資する可能性を示唆した。


「日本は、今までは経済と金融の安定に寄与することになれば、という意図でEFSF債の一定割合を購入していたが、

今後も、われわれが適切な方法での支援継続を望んでいるのは言うまでもない」と述べた。


野田首相は来週開催されるG20が、互いに情報を共有しソブリン債危機の世界的拡大を防ぐために

重要な機会になるであろう、との考えも明らかにした。

欧州財政危機と米国の景気の弱さは、日本が東日本大震災によって被った経済的打撃から

回復していく上で、懸念材料となりつつある。

日本の財政・金融政策担当者はまた、GDPの2倍に達する財政赤字が、日本の信用力を低下させることに

懸念を抱いている。

野田首相はインタビューの席で、来るG20を、日本が財政危機に陥るのではないか、

という諸外国の懸念を払拭するいい機会だ、と考えている、という。

ただし、震災と津波の被災地復興のためには、復興財源が必要で、

日本の内閣は、金曜日、国会に約12兆円の第3次補正予算案を提出した。

財源は復興債の発行による。

これによって、日本国の借金はされに増えることになる。


しかし、財政政策に関して、どちらかといえば保守的な考えを持つ野田首相は

復興債は、一般会計とは切り離して管理し、政府が財政に関する規律を考慮している

というメッセージを国民に示すつもりである、と説明した。


野田政権は、2020年までにプライマリーバランスを修復するための努力の一環として、

2015年までに現在5%である消費税を10%に引き上げる法案を成立させたい、と考えている。

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2011.10.27

ユーロ安・円高なので、ベルリン・フィルを(相対的に)安く視聴できます。

◆ドル円相場が歴史的安値を更新しているのに、理由はないのです。

ドル円直物為替相場が下がり続けています。

始めに余談です。

日本のメディアは、あくまで「円」タームで表現するので、

円が戦後最高値(さいたかね)を付けた

と書きますが、1ドル=76円が75円になったときに「上がった」というのは

やはり、感覚的に不自然です。このため、外為ディーラーはこういうとき

「(ドルが)下がった」というのが普通です。つまり、
ドル円が最安値を更新した

と言います。

さて、本題です。最近、円高の理由として

欧州経済危機の見通しがたたないので、当面の避難先として、円が買われている

など、尤もらしいことが書かれています。


これは、ウソである、とは断定できませんが「憶測」でしかありません。

世界中の「円を買っている人」を探し(それ自体不可能です)、
あなたは何故、円を買うのですか?

と訊いたのではなく、新聞社は銀行のディーラーに訊くのです。

彼らも、経済学的・地政学的必然で通貨の売買をしているのではない。

敢えて言えば「なんとなく、(ドルが)もっと下がりそうだから」が

本音です。次々とドル円の歴史的安値が更新されるのは、

ディーラーとは、そういう生きものでして、自分が最安値を付けた

と言いたい、という極めて単純かつ幼稚な動機しか無いと思います。

これを介入で買い支えると、さらにドル安になるでしょう。

ディーラーの全員とまでは言いませんが、殆どがドル売り持ち

即ち、ドル・ショート・ポジションになれば、嫌でも自分でドルを

買い戻さなければならなくなる。永遠に進行するドル安・円高など

絶対にありません。


◆円が強くなるということは、海外から安くモノ・サービスを買えることです。

円高が問題だというのは、海外でモノやサービスを売っている人々です。

例えば自動車会社は、アメリカで、クルマ一台を1万ドルで売っていたとしたら

ドル円相場が仮に100円ならば、1万×100=100万円ですが、

1ドルが76円だと、1万×76=76万円になってしまうのです。

それは確かに目先は痛いですが、逆にモノを輸入するときには、

得なわけです。個人でもそれは同じです。


◆ベルリン・フィル、デジタルコンサートホールが1ヶ月約3,000円です。

昔は、想像だにしなかったことですが、今やベルリン・フィルの演奏会をライブで、

或いは、過去の演奏のアーカイブをネットで視聴することができます。

ベルリン・フィルの公式サイトに、DIGITAL CONCERT HALLという

リンクがあります。

チケット & クーポン券に、日本語で購読の種類と料金に付いての説明が載っています。

長いほど割安になるのは、何でも同じです。一番短いのは48時間9.9ユーロ(=約1,050円)で、

1ヶ月が29ユーロ(=約3,000円)です。今はユーロ安、円高なので、得なのです。

ドル・ユーロ安・円高が続きすぎても困りますが今は円高をメリットを享受するチャンスでもある

ということです。


◆2001年2月、アバドのベートーヴェン「運命」。

デジタルコンサートホールには、かなり前の映像があります。

2001年2月、アバドがローマで振ったベートーヴェン交響曲全曲チクルスも

その一つ。このシリーズでは奇数番の交響曲は全て安永徹さんがコンサートマスターです。

運命をどうぞ。


ベートーヴェン:交響曲第五番 ハ短調 作品67、「運命」






オリジナルの2管編成(管楽器をそれぞれ倍の人数にして演奏することがよくあります)ですが

すごい迫力。音が大きければ良いということではないですけど、1人1人が楽器を鳴らしていないと

こういう音にはなりません。

名演だとおもいます。

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2011.05.18

「ギリシャ債務再編の可能性」とは、実は重大事なのです。

◆記事:ユーログループ議長、ギリシャ債務再編の可能性初めて認める(ロイター 5月18日(水)5時27分配信)

ユーログループのユンケル議長(ルクセンブルク首相)は17日、

ギリシャ債務が「ソフトな再編」へと向かう必要性があると述べ、

ギリシャが債務再編を余儀なくされる可能性があることを初めて認めた。

議長はセミナーで、ギリシャはまず500億ユーロ規模の民営化を早急に実施し、債務を圧縮する必要があると指摘。

その上で「ギリシャがこれらの取り組みを行えば、ギリシャ債務のソフトな再編が可能かどうか判断しなければならない。

私は大幅な債務再編には断固反対だ」と述べ、民営化実施の見返りとして、

何らかの債務再編を検討する可能性があるとの見解を示した。


◆コメント:日本では殆ど無視されていますが・・・。

これは、完全にデフォルト(債務不履行)ではないけど、表現を変えただけであって、

実質的にはそれに近いわけです。ギリシャが期日に借金を元利まとめて返せないかも知れない。

となると、ギリシャと同様に、EUとIMFに支援を要請したアイルランドやポルトガルも、

債務再編ということに、論理的にはならざるを得ず、ヨーロッパ全体の信用に関わる。

これとは、全く別件ですが、アメリカの経済指標で昨夜発表されたのをみても、良くないのです。

日本の地震の影響もありますけど。世界全体の景気がドカンと落ちこむ危険があるのです。

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2010.10.09

「円急伸、一時81円72銭に 米雇用者数が予想超え減少」←世界中が金融緩和政策を取ろうとしているのです。

◆【お詫び】一昨日、昨日は寝てしまいました。

最近たるんでいまして、1ヶ月に何度か、木曜日にどっと疲れが出て、更新できないことがあります。

そういうときでも、何とか「今日は更新できません。悪しからず」というような、「お詫び」を書いたことにより、

「インチキ更新」(空白の日にはしなかっただけ、という意味です)はしていましたが、

一昨日の晩は、どうにもこうにも抗うことのできない睡魔に襲われ、何も書かずに寝てしまいました。

そして、昨夜こそ更新しようとしましたが、今週はたまたま余程疲れていたようで、また、パタリと寝てしまい、

更に今日(9日、土曜日)も朝食後、いつの間にか眠りに落ち、目が覚めたら夕方でした。


普段、夜更かしし過ぎて、3時間ぐらいしかねないのです。それで身体を壊すことはないのですが、

あまりに連続すると、脳が「とにかく、寝ろ」という問答無用のシグナルを送ってくるようです。

失礼しました。


◆記事:円急伸、一時81円72銭に 米雇用者数が予想超え減少--1995年4月以来の高値(日経 2010/10/8 23:07)

8日午前のニューヨーク外国為替市場で円相場が一段高となり、一時1ドル=81円72銭まで上昇した。

1995年5月29日に付けた81円80銭を突破し、95年4月下旬以来、約15年5カ月ぶりの円高・ドル安水準となる。

米労働省が朝方発表した9月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数が市場予想を超えて大幅に減少。

米連邦準備理事会が追加金融緩和に踏み切る可能性がさらに高まったとの見方を背景とした円買い・ドル売りが続いている。


◆コメント:折角日銀が金融緩和したけど、世界中が金融緩和政策を取ったら、同じ事ですよね。

日本銀行が10月4日、5日と金融政策決定会合を開き、ゼロ金利政策を取ることと、追加的な資金供給の為の基金を

創設する、と発表しました。それは、日本銀行のサイト、 新着情報一覧で確認できます。

日本銀行:2010年10月 5日 「包括的な金融緩和政策」の実施について(13時38分公表) (PDF, 177KB)

遂に5年ぶりにゼロ金利政策を採用することと、実質的「量的緩和」を組み合わせました。

翌日、首相や財務相からは、「日銀の姿勢を評価する」旨の発言が相次ぎました。

ところが記事に書かれているとおり、円高は止まりません。日本が金融緩和を実施する、と発表したら、

普通は、外為市場でドル円相場は円安に動く筈です。


何故そうならないか、というと、金融緩和を行って円安に振れるためには、ドル金利は動かないけれども、

円金利は下がる、つまり、金利差の縮小によるものです。

ところが今は、アメリカも景気が回復せず、あの大変な支持を得て(無論一部には不満分子が存在していましたが)

大統領に就任したオバマ氏ですら、不支持が支持を上回っていて、それは経済が好転しないこと、が理由になっています。


詳しく書くと長くなるので簡単に括りますが、米国が発表する経済指標や、不動産価格の動向を見ていると、

リーマン・ショックの根本的な原因となった、サブプライムローン問題が後を引きずっているのです。

一番新しい指標は、日本時間8日(金)21時半に発表された、米国雇用統計です。

米国雇用統計で注目されるのは、失業率自体よりも、非農業部門就業者数(nonfarm payrolls)の増減です。

農業部門の雇用者数は、景気の影響をあまり受けないので、「非」農業部門の雇用状況に注目するのです。

昨夜、事前の予想は、「前月比マイナス5,000人前後」でしたが、実際の統計は「前月比マイナス95,000人」

でした。アメリカの雇用統計は毎月第1金曜、米国東部時間午前8時30分に発表される(今月のように、第1金曜が

月初の場合は、翌週になります)ことは、株、為替、債券、金利、商品、その他あらゆる世界の市場関係者の常識で、

世界で最も注目される経済指標の一つです。この影響は大変大きい。


FRBが次のFOMC(Federal Open Market Committee=連邦公開市場委員会)で利下げするであろうことは、

雇用統計を待つまでもなく予想されていたのが、昨日はほぼ「確信」に変わりました。だから、市場は先取りして、

NY株式市場は、「金融緩和期待」により上昇して終わりました(実際に発表されたら、利食いで売られるはずです)。


この他、EU諸国も景気が悪いし、アイルランドは、ギリシャのような財政危機に陥る恐れがある。

日本の輸出企業にとって、円高よりも円安の方が好ましいのと同様、アメリカ・ヨーロッパの輸出企業にとっては

自国通貨安の方が好ましい。だから、日本が単独で円安を目指して介入するな、という声が海外から出ていますが、

皆、勝手に自国のことばかり考えて発言しているだけなのです。こうなると、全世界的に金融緩和で金利を下げて、

さらに市場介入して、自国通貨安を目指します。「世界通貨戦争」とかマスコミが書いているのは、そういうことです。

しかし、論理的に考えて、全ての国にとっての自国通貨安というのはあり得ないので、言い争っても、終わりが無い。


外需に依存するから良くないので、日本を例にとれば、輸出に頼らず、国内の需要(内需)を喚起するべきだ、

といわれます。日経の「マーケット総合欄」に「大磯小磯」というコラムがあり、ここは社説よりも自由に経済記者か

編集委員が自説を展開するのですが、「政府は内需拡大に努めるべきだ」というところまでしか書かず、

では、そのためにどうすればいいのか?を書きません。


◆所得税・地方税・消費税を(暫定的にでも)減税するべきです。

政府は8日、追加経済対策で、5兆500億円の財政支出を閣議決定しました。

主な内容は

(1)雇用・人材育成(2)成長戦略の推進・加速(3)子育て・医療・介護などの強化(4)地域活性化、社会資本整備、中小企業金融支援

となっていますが、本当に効果があるか、やってみないとわかりません。

そもそも国家のおカネを特定の経済分野に焦点を絞って、支出するというのは、本来「計画経済」で、

日本は、社会主義国ではないのですから、どうもピントが外れているように思います。


政界・財界・学者のだれも口にしないのが不思議ですが、私は以前から書いているように、

いくら、日銀が金融緩和しても、市場に資金が不足し、銀行が貸し渋るから不況なのではなくて

長らく不況で家計の支出が滞っている。GDPの約60パーセントを占めるのは、個人消費なのです。

法人税を下げても、それが、従業員の給与の増加に繋がるとは思えません(会社はコストを削りたいのです)。


一時期、今よりも財政が悪化したとしても、暫定的に所得税・地方税・消費税を減税することにより、

家計の可処分所得を増やすことが、内需を喚起する為に最も直接的に効果がある対策だと思います。

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2010.09.30

「アングロ・アイリッシュ銀の政府負担、最悪ケースで300億ユーロ超=新聞」←ギリシャとは違うけれどもかなり、ヤバいのです。

◆記事:アングロ・アイリッシュ銀の政府負担、最悪ケースで300億ユーロ超=新聞(ロイター 9月29日(水)16時5分配信)

[ダブリン 29日 ロイター] アイリッシュ・タイムズ紙は29日、アイルランド政府が救済のため国有化した

アングロ・アイリッシュ銀行について、最悪の「ストレス・シナリオ」では、15年間かけて清算する最終費用が

300億ユーロ(404億ドル)を大きく上回る可能性があると報じた。

同紙は情報源は明示していないが、費用が膨らんだとしても、前日に米格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)の

アナリストが示唆した350億ユーロは下回る見通しだとしている。

最悪の場合のシナリオを除くと、資金調達を行うファンディングバンクと資産を回収する銀行に分割する費用が推定で

280億─290億ユーロになるという。

アングロ・アイリッシュ銀の最高経営責任者(CEO)は今月、ロイターとのインタビューで、

救済費用が300億ユーロに達する可能性があるとの考えを示していた。

アイルランド政府は、同行の分割・清算にかかる資本コストについて30日の市場終了後に公表する見通し。

アイリッシュ・タイムズ紙は、政府がアライド・アイリッシュ・バンクス

の資本増強に関する概要も明らかにする可能性があると伝えている。


◆コメント:国有化した銀行の資本増強にEU(ECB=欧州中銀)の救済が必要かもしれないのです。

ギリシャ危機は、簡単に言うと、EU諸国に課せられた財政赤字基準を、遙かに超えていたのに「粉飾していた」ということでした。

EU各国は財政赤字をGDPの3パーセント以下に抑えなければならない、というルールがあるのですが、ギリシャは実際は10パーセントを

超えていたのが発覚し、周辺諸国からおカネを借りて、何とか国債の期限にこれを償還することが出来たのです。

国債は国の借金ですから、期日に返すべきお金が無いと、デフォルト(債務不履行)ということになり、国の信用力がゼロになるのです。


アイルランドはそうではないのですが、財政赤字を何とか小さくしようとして緊縮財政政策を取り、経済成長率が予想以上に低くなって

しまいました。国債の償還に関しては、資金を確保しているのですが、この記事にある、アングロ・アイリッシュをはじめとする銀行の

救済に、よそからの助けを頼むことになるのではないか、といわれていたのです。

とにかく、まず、アングロアイリッシュがどうなるか、に市場が注目していたら、案の定、巨額の資本注入が必要らしい、と。

アイルランド政府は、アングロ・アイリッシュだけではなく、他の銀行の救済も含めると、1,000億ユーロが必要ではないか、

とも言われています。そうなると、欧州金融安定機関(EFSF)というところからおカネを借りなければならないだろうとも

考えられています。国の信用力に関わる問題なので、2日ほど前からアイルランド国債が債券市場で大量に売られていて、

その減少だけを見ると、ギリシャ危機(とは原因が異なるのですが)直前とそっくりなのです。

EUは運命共同体なので、アイルランドだけの信用に留まらない。また欧州経済危機が取りざたされている訳です。


また、アメリカも最近発表された経済指標が、予想を下回っていて、再び金融緩和を行う、と予想されています。


日本は、昨日、日銀短観という数字が発表され、景気の現状は3ヶ月前よりも良い、と答えた大企業(特に製造業が注目されます)

が多いのですが、3ヶ月後はどうか?という問いには、多くが「悪化するだろう」と答えていて、そう考えている以上、経済活動が

活発になるとは思えない。日銀は10月5日から金融政策決定会合をやりますが、そこで、更に金融緩和(後は量的緩和ぐらいしかないのですが)、

するだろうと考えられています。

このように、世界中、景気が悪いので、所謂「二番底」が到来するのではないか、という恐怖が経済の世界では広がっています。

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2010.09.16

「リーマン・ショックから2年目」に「6年半ぶりの日銀介入」。

◆記事1:米経済に今も傷跡=住宅市場、回復に遅れ―リーマン・ショック2年(時事通信 9月13日(月)15時32分配信)

証券大手リーマン・ブラザーズが住宅バブル崩壊のあおりで破綻(はたん)してから、15日で2年。

金融危機で冷え込んでいたウォール街(米金融街)のビジネスは、企業合併・買収(M&A)が増加するなど活気が戻りつつある。

ただ、住宅市場の回復は遅れ、中小金融機関の破綻も後を絶たない。リーマン・ショックの後遺症は今も残っている。

ウォール街をにぎわすM&A。調査会社ディーロジックによると、8月の買収総額は世界全体で2834億ドル(約24兆円)に上り、

前年同月から倍増した。米金融当局による事実上のゼロ金利政策のおかげで、資金調達コストが低下していることが背景にある。

だが、ウォール街の復調とは裏腹に、家計や中小企業の資金繰りは厳しい。

不況の長期化と雇用情勢の冷え込みが原因だ。金融機関も「焦げ付きを警戒して、既存の顧客以外には貸したがらない」(米金融関係者)。

とりわけ住宅ローンには慎重で、住宅市場が回復しない一因となっている。


記事2:82円台突入で円売り介入=財務相「急激な円高、看過できず」―日本単独6年半ぶり(時事通信 9月15日(水)10時52分配信)

政府・日銀は15日午前、急激な円高を阻止するため、東京外国為替市場で円売り・ドル買いの為替介入に踏み切った。

これを受け、15年3カ月ぶりの高値となる1ドル=82円台後半で推移していた円相場は、一時85円台まで急落した。

介入は1000億円を大きく上回る規模とみられる。為替介入は2004年3月16日以来、6年半ぶり。

米欧の通貨当局との協調はなく、日本単独で実施した。

野田佳彦財務相は介入実施直後に緊急記者会見し、

「足元の動きは経済、金融の安定に悪影響を及ぼし看過できない問題だ」とした上で、

「過度な変動を抑制するため為替介入を実施した」と明言。

さらに、「必要な時には介入も含め断固たる措置を取る」と改めて市場を強くけん制した。

米欧は輸出拡大を狙って自国通貨安を容認しており、日本が介入する場合は海外通貨当局の理解が不可欠と見られていた。

これについて野田財務相は、日本単独で実施したことを認めた上で、

「必要な関係当局と緊密な連携は取っているが、それぞれどういう反応を示しているのかはコメントを差し控えたい」と明言を避けた。

白川方明日銀総裁もほぼ同時に、「為替市場における財務省の行動が為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待している」

との談話を発表。

日銀としても「今後とも金融市場に潤沢な資金供給を行っていく方針だ」とし、

介入により市場に放出された円資金を利用し、強力な金融緩和環境を維持する姿勢を示した。

具体的には、本来、金融調節で吸収すべき円資金を市場に放置するとみられる。

菅直人首相はこれまで、「円高の急速な進行と長期化は経済・金融の安定に悪影響を及ぼすため看過できない」

との政府見解を表明。「必要な時には為替介入を含む断固たる措置を取る」と述べ、介入も辞さない構えを見せていた。


◆コメント:奇しくもリーマン・ショックからちょうど2年後に、6年半ぶりの為替市場介入となった。

日銀は東京市場に続き、ロンドン、ニューヨーク市場でも介入を続けている。

流石に、6年半ぶりの介入初日は、マーケットに「耐性」が無いから、ドル高・円安となった。

しかし、問題の根源は、「ドル売り」である。記事1に示したとおり、今日(9月15日)は、

アメリカの巨大証券会社、リーマン・ブラザースが破綻した「リーマン・ショック」からちょうど2年目である。

アメリカの景気は好転しないが、結局、リーマン・ショックの影響が残っている。不動産価格が低迷したままなので、

サブプライムローンを組んだ人々は、所有する不動産を売っても、ローンを返済できない。

このため、アメリカでは普通の事である、、職を探して自由に国内を移動する、ということができないので、

雇用を失った人が、他の土地へ言って職を見つけることができず、失業したままとなる。この雇用情勢の悪さが、

アメリカ経済の回復をさらに遅らせている。


2年前、リーマン・ブラザーズが破綻した際、こんなことをしたら影響が大きすぎると書いた。

「米証券大手リーマン、破産法適用申請へ」←三菱UFJか三井住友か、みずほが潰れたようなものです。超一大事です。ココログ

それはともかく、8月10日のFOMC(Federal Open Market Committee=連邦公開市場委員会)で、反対するメンバーもいたが、

最後は議長のバーナンキの決断で、アメリカは追加的金融緩和を決めた。


日銀は8月30日に臨時の金融政策決定会合を開き、金融緩和策の強化を発表した

しかし、円高は収まらず、民主党代表選が終わるのを待ちかねていたように、今日(9月15日)

為替市場介入を実行した。昔の介入は、介入したかどうか、旧大蔵省も日本銀行も、はっきり言わなかったが、

今日は記事2に書かれているとおり、介入開始後、財務相が記者会見を開き、

白川日銀総裁が、「総裁談話」を発表した。

このような介入の仕方は、初めてである。しかし、それは枝葉末節である。


介入が効果を持続できるか。

多分、無理であろう。問題の本質は米国経済が好転しないことよる「ドル売り」である。

また、欧州財政危機への不安から来る「ユーロ売り」である。

日本とて、デフレを克服できず、決して世界で唯一景気が良い国でもなんでもないのだが、

相対的にリスクが少ないと思われている。

さらに、アメリカもEUも自国通貨が安くなった方が、輸出企業にとって有利である。

日本の輸出企業に取っては円安が有利であることと同じ原理である。

1ドル=80円では、1台1万ドルの自動車は80万円だが、円安で、1ドル=100円になれば、

同じ1万ドルが100万円になる。


アメリカやユーロ圏の輸出企業にとっては、円高・ドル安或いは、円高・ユーロ安、の方が

有りがたい。従って、皆自分の事しか考えていない訳だが、日銀が介入により、極端に円安に

しようとしても、邪魔するだろう。


久しぶりの介入なので、マーケットは反応したが、やがて慣れてくる。

謂わば、日銀介入に「耐性」ができるのである。

一旦円安に転じた相場もやがて再びドル安・ユーロ安・円高に戻り、80円を割り込み、

歴史的安値、79円75銭を更新する可能性が高い。

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